令和6年度 行政書士試験 問6 選挙制度と国会の裁量
選挙制度の形成に関する国会の裁量についての次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
参議院定数訴訟(最大判平成24年10月17日等)は、都道府県を単位とする選挙区割りを憲法上の要請とはみておらず、投票価値の不平等が看過し得ない場合には是正が必要としています。都道府県代表的意義の付与を当然に『憲法上許容される』と一般化する本肢は、近年の判例の趣旨に反し妥当ではありません。
- 2正しい
小選挙区制が死票を多く生む可能性は否定し難いが、死票はいかなる制度でも生じ、国民の総意を議席に反映させる合理的方法の一つである、という衆議院小選挙区比例代表並立制違憲訴訟(最大判平成11年11月10日)の判示どおりで妥当です。
- 3正しい
重複立候補を認めるか否かは国会の裁量に属し、小選挙区・比例代表の重複立候補制は憲法に違反しない、という同判例の判示どおりで妥当です。
- 4正しい
名簿式比例代表制の採用が国会の裁量に属し、政党のみに投票させる拘束名簿式(個人への投票を認めない方式)も合憲とした同判例の趣旨に合致し妥当です。
- 5正しい
参議院の特定枠制度について、選挙人の総意により当選人が決定される点で候補者個人を直接選択する方式と異ならず合憲とした最高裁判例(最大判令和2年等の趣旨)に沿うもので妥当です。
解説
選挙制度の形成は国会の広い裁量に委ねられますが、投票価値の平等は重要な憲法的要請です。肢2〜4は衆議院小選挙区比例代表並立制違憲訴訟(最大判平成11年11月10日)等で合憲とされた論点であり、肢5の特定枠制度も合憲とされています。問題は肢1で、参議院の選挙区について都道府県を単位とすることは、かつては合理性が認められていましたが、近年の参議院定数訴訟では投票価値の著しい不平等の是正が強く求められ、都道府県代表的意義の付与を当然に憲法上許容されると一般化することは判例の趨勢に反します。したがって妥当でないものは肢1です。
ここがポイント
選挙制度は国会の広い裁量。ただし参議院選挙区で『都道府県代表的意義』を当然に憲法上許容と一般化するのは、近年の定数訴訟の趣旨に反する。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。