令和6年度 行政書士試験 問8 行政行為(処分)
行政行為(処分)に関する次の記述のうち、法令の定めまたは最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
処分の取消しは取消訴訟・不服申立てによるほか、行政庁自らによる職権取消しも可能です。これらに限られるとする本肢は誤りです。
- 2誤り
判例(最判昭和36年4月21日等)によれば、違法な課税処分等による損害について国家賠償を求めるのに、事前に当該処分を取り消しておく必要はありません(公定力は国家賠償請求に及ばない)。本肢は誤りです。
- 3誤り
出訴期間経過後でも、無効な処分は無効確認の訴えのほか、現在の法律関係に関する訴え(争点訴訟・実質的当事者訴訟)でも争うことができます。無効確認の訴え『のみ』とする本肢は誤りです。
- 4誤り
違法性の承継が認められる場合には、先行処分Aの出訴期間経過後であっても、後行処分Bの取消訴訟でAの違法を主張できます(最判平成21年12月17日・たぬきの森事件等)。本肢は誤りです。
- 5正しい
処分の無効は原則として瑕疵が『重大かつ明白』であることを要しますが、判例上、瑕疵が重大であれば明白性を欠いても無効とされる場合があり(明白性補充要件説的な処理、最判昭和48年4月26日等)、本肢は妥当です。
解説
本問は妥当なものを選ぶ問題です。処分の取消しは職権取消しも可能(肢1誤り)、課税処分の違法を理由とする国家賠償に先行取消しは不要(肢2誤り、公定力は国賠に及ばない)、無効な処分は現在の法律関係に関する訴えでも争える(肢3誤り)、違法性の承継が認められれば先行処分の出訴期間経過後でも後行処分の取消訴訟で先行処分の違法を主張できる(肢4誤り)です。無効の要件は原則『重大かつ明白』ですが、判例は事案により、瑕疵が重大であれば明白性を欠いても無効を認める余地を示しており、肢5が妥当です。
ここがポイント
公定力は国家賠償請求に及ばない(先行取消し不要)。違法性の承継が認められれば後行処分で先行処分の違法主張可。無効は原則『重大かつ明白』だが明白性が補充される場合あり。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。