令和7年度 行政書士試験 問42 条例と国の法令の関係(徳島市公安条例事件)
次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄 ア 〜 エ に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。
条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の ア と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、 イ 、内容及び効果を比較し、両者の間に ウ があるかどうかによってこれを決しなければならない。例えば、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうるし、逆に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の イ に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する イ と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一 イ に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その エ に応じて、別の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの ウ はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。 (最大判昭和50年9月10日刑集29巻8号489頁)
語群
- 1. 立法事実
- 2. 効力
- 3. 対象事項
- 4. 歴史的背景
- 5. 整合性
- 6. 目的
- 7. 結果
- 8. 相当性
- 9. 状況
- 10. 立法経緯
- 11. 必要性
- 12. 首尾一貫性
- 13. 立法者意思
- 14. 排他性
- 15. 優劣関係
- 16. 地方の実情
- 17. 住民の意識
- 18. 委任関係
- 19. 矛盾抵触
- 20. 手続
空欄の正解
- ア3. 対象事項
条例と国の法令が違反するかをまず形式的に比較する出発点として、両者が何を規律しているか、すなわち『対象事項』と規定文言を対比するという文脈に合致します。
- イ6. 目的
趣旨・内容・効果と並べて比較される要素であり、後段で『別の目的に基づく規律』『同一目的に出たもの』と繰り返し用いられることから、入る語は『目的』です。
- ウ19. 矛盾抵触
条例が国の法令に違反するか否かは、両者の間に実質的な抵触があるかで決まるという徳島市公安条例事件の核心であり、『矛盾抵触』が入ります。
- エ16. 地方の実情
国の法令が全国一律の規制を求めず、各地方公共団体がその実情に応じて別の規制を施すことを容認する趣旨である場合を述べており、『地方の実情』が文脈に合致します。
解説
正解はア=3(対象事項)、イ=6(目的)、ウ=19(矛盾抵触)、エ=16(地方の実情)です。徳島市公安条例事件(最大判昭和50年9月10日)は、憲法94条にいう『法律の範囲内』で条例を制定できるかの判断基準を示したリーディングケースです。条例が国の法令に違反するかは、対象事項と文言の単純比較ではなく、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかで実質的に判断するとしました。そのうえで、国の法令が明文規定を欠いていても規制を放置する趣旨なら条例は違反となりうる一方、両者の目的が異なり効果を阻害しない場合や、同一目的でも全国一律規制ではなく地方の実情に応じた別規制を容認する趣旨と解されるときは、矛盾抵触はなく条例は違反しないと整理しました。いわゆる『上乗せ・横出し条例』の許否を支える基準です。
ここがポイント
徳島市公安条例事件(最大判昭50・9・10)は、条例の国法令違反を、対象事項・文言の対比だけでなく趣旨・目的・内容・効果を比較し『矛盾抵触』の有無で実質判断するとした。目的が異なる場合や地方の実情に応じた別規制を容認する趣旨なら抵触しない。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和7年度(2025年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。