令和7年度 行政書士試験 問45 権限外の行為の表見代理(民法110条)の類推適用
Aの配偶者であるBは、Aから法律行為に関する代理権を授与されていないにもかかわらず、Aが所有する高級腕時計甲につき、自身の海外旅行費用に充てるために、Aの代理人と称してCに売却する旨の売買契約(以下「本件契約」という。)を締結した。このような場合におけるCのAに対する本件契約の履行請求の可否につき、判例は、民法110条(権限外の行為の表見代理)の趣旨を類推して相手方保護を図る旨を示した。判例は、Cにおいて、どのような場合に上記の類推適用を認めているかについて、40字程度で記述しなさい。
模範解答
BにAを代理する権限があるとCが信ずべき正当な理由がある場合に類推適用を認めている。
採点のポイント
- Bに代理権(Aを代理して当該行為をする権限)があるとCが信じたこと。
- そう信じたことにつき『正当な理由』があること(過失なく信じたこと)。
- このような場合に民法110条の趣旨を類推適用して相手方Cを保護する、という結論。
解説
本問は、夫婦の一方が日常家事の範囲を超えて他方名義の財産を処分した事案で、民法110条の表見代理を類推適用できるかが問われています。判例(最判昭和44年12月18日)は、夫婦には民法761条により日常家事に関する法律行為についての相互の代理権があるとしたうえで、当該行為が日常家事の範囲を超える場合には、夫婦の財産的独立を損なわないよう110条をそのまま適用すべきではないとしました。そして、第三者においてその行為が当該夫婦の日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当な理由のあるときに限り、110条の趣旨を類推適用して第三者を保護するとしています。本問の解答としては、BにAを代理する権限があるとCが信ずべき正当な理由がある場合に類推適用が認められる、という点を示すことが求められます。日常家事代理権を基本代理権として、相手方の正当な理由を要件に保護を図る枠組みを理解しているかが問われています。
ここがポイント
夫婦の一方が日常家事の範囲を超えて他方の財産を処分した場合、判例(最判昭44・12・18)は、第三者が当該行為を日常家事の範囲内と信ずべき正当な理由があるときに限り、民法110条の趣旨を類推適用して相手方を保護する。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和7年度(2025年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。