令和7年度 行政書士試験 問46 事務管理(消火活動・費用償還)
Aは、Bの所有する隣家の火災(以下「本件火災」という。本件火災は、A及びBの故意・過失によるものではない。)を見つけ、消防署に通報した。本件火災は、ボヤ(小火)であったので、これを消し止めることができると思い、Aは、Aの家に備え付けてあったA所有の消火器を用いて消火活動を開始した。この場合に、どのような法的根拠に基づき消火活動を継続しなければならないか。また、Aは、消火器を使ったため新たな消火器を購入する必要が生じたが、そのための費用を、どのような法的性質を有するものとしてBに対して償還を請求することができるか。民法の規定に照らして、40字程度で記述しなさい。
模範解答
事務管理に基づき継続義務を負い、有益費としてBに費用償還を請求できる。
採点のポイント
- Aは事務管理(民法697条)に基づいて消火活動を継続する義務を負うこと(管理継続義務、民法700条)。
- 消火器購入費用は、本人Bのために支出した『有益な費用』(有益費)に当たること(民法702条1項)。
- その有益費としてBに対し償還を請求できること。
解説
Aは、義務がないのに隣家Bのために火災を消し止めようとして消火活動を始めており、これは他人の事務を管理する『事務管理』(民法697条)に当たります。事務管理を始めた管理者は、本人または相続人等が管理をすることができるようになるまで、原則として事務管理を継続しなければなりません(民法700条本文・管理継続義務)。したがってAは、事務管理に基づき消火活動を継続する義務を負います。また、管理者が本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対しその償還を請求できます(民法702条1項)。消火活動のため消火器を使用し、新たに購入する必要が生じた費用は、本人Bの利益のために支出された有益費に当たるため、Aは有益費としてBに償還を請求できます。義務なく他人のために行動した者の継続義務と費用償還を、事務管理の規定から正確に導けるかが問われています。
ここがポイント
義務なく隣家の消火を始めた行為は事務管理(民法697条)に当たり、管理者は管理継続義務(民法700条)を負う。消火器購入費は本人のための有益費(有益費)として、民法702条1項に基づき本人に償還請求できる。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和7年度(2025年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。