平成29年度 社労士労働者災害補償保険法難易度 難

平成29年度 社労士試験 問16 労災保険給付と損害賠償の関係

問題(引用)出典: 全国社会保険労務士会連合会 試験センター「平成29年度 社会保険労務士試験 試験問題」問16(原文のまま・無改変)

労災保険給付と損害賠償の関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    最判昭62.7.10(青木鉛鉄事件)は、労災保険給付と損害賠償が「同一の事由」の関係にあるのは消極損害(逸失利益)に限り、超過分を積極損害・精神的損害から控除することは許されないとしました。記述どおり正しい肢です。

  • 2誤り

    最大判平27.3.4は、遺族補償年金が支給確定時点ではなく不法行為時に填補されたものと法的に評価して損益相殺的調整を行うことが相当であるとしました。記述どおり正しい肢です。

  • 3誤り

    最判平元.4.11は、過失相殺と労災保険給付の控除の順序について、まず過失割合による減額をし、その後に保険給付を控除する方法(控除前過失相殺方式)が相当であるとしました。記述どおり正しい肢です。

  • 4誤り

    最判平8.2.23は、特別支給金は損害填補の性質を有しないため、損害賠償額から控除すべきではないとしました。記述どおり正しい肢です。

  • 5正しい

    最判昭38.6.4は、被災労働者が示談により第三者の損害賠償債務を免除した場合、政府は労災保険給付を行ったとしても、当該示談により免除された限度で第三者への求償権を取得できないとしました。本肢は「損害賠償を請求することができる」とする点で判例の趣旨と反し、誤りです。

解説

労災保険給付と損害賠償の調整は、最高裁判所が複数の判例で精緻な枠組みを示しています。第三者行為災害において被災労働者が示談で賠償債務を免除した場合、政府は労災法12条の4に基づく求償権を取得できず、示談の効力により求償権が消滅すると解されています(最判昭38.6.4)。控除対象の同一性(消極損害に限定)、控除前過失相殺方式、遺族補償年金の不法行為時調整、特別支給金の非控除など、出題頻度の高い重要判例群を体系的に整理しておきましょう。

ここがポイント

被災労働者が示談で第三者の賠償債務を免除すると、政府は当該第三者への求償権を行使できません。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する平成29年度(2017年度)社会保険労務士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。