平成29年度 社労士試験 問6 労働基準法賃金
労働基準法に定める賃金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
通貨払い原則の例外である労働協約による現物給与は、当該労働協約の適用を受ける労働者に限られます(労基法24条1項ただし書、昭63.3.14基発150号)。記述どおり正しい肢です。
- 2誤り
労基法25条の非常時払は、労働者本人のみならず労働者の収入により生計を維持する者の出産・疾病・災害も対象とされます(労基則9条)。記述どおり正しい肢です。
- 3誤り
1か月の賃金支払額に生じる100円未満の端数を四捨五入する事務処理は、労基法24条違反として取り扱わない旨の通達があります(昭63.3.14基発150号)。記述どおり正しい肢です。
- 4正しい
福島県教組事件(最判昭44.12.18)は、賃金過払の調整的相殺について「その額が多額にわたらず、過払のあった時期と合理的に接着した時期に、あらかじめ予告される等労働者の経済生活の安定を害するおそれのない方法・金額・時期である」ことを要件としています。本肢は「合理的に接着した時期においてされていなくても」と要件を緩めているため誤りです。
- 5誤り
労基法26条の休業手当は労働義務のある日に支給義務が生じるものであり、もともと休日と定められている日は支給義務が生じません(昭24.3.22基収4077号)。記述どおり正しい肢です。
解説
賃金過払の調整的相殺については、最高裁福島県教組事件判決(最判昭44.12.18)が労基法24条1項の全額払原則との関係で要件を明示しています。判旨は、(1)過払時期と合理的に接着した時期に行われること、(2)予告がされること、(3)金額が多額にわたらないこと、を満たして初めて全額払原則に違反しないとしており、「合理的に接着した時期」要件を欠く相殺は許されません。通貨払いの例外、非常時払の対象、端数処理、休業手当の対象日など、賃金支払五原則の関連論点も整理しておきましょう。
ここがポイント
賃金過払の調整的相殺は、過払時期と合理的に接着した時期に予告して行うことが判例上の要件です。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する平成29年度(2017年度)社会保険労務士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。