平成29年度 社労士試験 問71 次の文中の[ A ]の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
次の文中の[ A ]の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 最高裁判所は、労働者が長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合に対する、使用者の時季変更権の行使が問題となった事件において、次のように判示した。 「 労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合においては、それが長期のものであればあるほど、使用者において代替勤務者を確保することの困難さが増大するなど[ A ]に支障を来す蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を図る必要が生ずるのが通常である。[…( 略 )… ] 労働者が、右の調整を経ることなく、その有する年次有給休暇の日数の範囲内で始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、これに対する使用者の時季変更権の行使については、[…( 略 )… ]使用者にある程度の[ B ]の余地を認めざるを得ない。もとより、使用者の時季変更権の行使に関する右[ B ]は、労働者の年次有給休暇の権利を保障している労働基準法39条の趣旨に沿う、合理的なものでなければならないのであって、右[ B ]が、同条の趣旨に反し、使用者が労働者に休暇を取得させるための状況に応じた配慮を欠くなど不合理であると認められるときは、同条3項[ 現5項 ]ただし書所定の時季変更権行使の要件を欠くものとして、その行使を違法と判断すべきである。」 2 産前産後の就業について定める労働基準法第65条にいう「 出産 」については、その範囲を妊娠[ C ]以上( 1か月は28日として計算する。)の分娩とし、生産のみならず死産も含むものとされている。 3 労働安全衛生法第28条の2では、いわゆるリスクアセスメントの実施について、「 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する[ D ]( 第57条第1項の政令で定める物及び第57条の2第1項に規定する通知対象物による[ D ]を除く。)を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。」と定めている。 4 労働安全衛生法第65条の3は、いわゆる労働衛生の3管理の一つである作業管理について、「 事業者は、労働者の[ E ]に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。」と定めている。
語群
- 1. 4か月
- 2. 5か月
- 3. 6か月
- 4. 7か月
- 5. 一方的
- 6. 危害を防止するための法基準の遵守状況
- 7. 危険性又は有害性等
- 8. 健康
- 9. 合理的変更
- 10. 災害事例における原因
- 11. 災害に関する統計情報
- 12. 作業能力
- 13. 作業に関する要望
- 14. 裁量的判断
- 15. 事業の正常な運営
- 16. 専権的判断
- 17. 体格
- 18. 繁忙期の人員の配置
- 19. 労働時間の適切な管理
- 20. 労働者の安全配慮義務
空欄の正解
- A15. 事業の正常な運営
労働基準法第39条第5項ただし書の「事業の正常な運営を妨げる場合」が時季変更権の要件であり、最高裁(時事通信社事件平4.6.23)の判示でも長期休暇により代替勤務者確保が困難になり「事業の正常な運営」に支障を来す旨が述べられている。
- B14. 裁量的判断
同最高裁判例は、長期かつ連続の年休については労使の事前調整が不可欠であり、調整を経ない時季指定に対しては使用者に一定の「裁量的判断」の余地を認めるとした。「専権的」「一方的」では使用者の判断が無限定となり判旨に反する。
- C1. 4か月
労働基準法上の「出産」は妊娠4か月以上(1か月=28日換算、すなわち85日以上)の分娩をいい、死産・流産も含む(昭23.12.23基発1885号)。産前6週間休業等の起算もこの定義を前提とする。
- D7. 危険性又は有害性等
安衛法第28条の2第1項はリスクアセスメントの対象を「危険性又は有害性等」と規定する。第57条・第57条の2の通知対象物等によるものは別途同法第57条の3で義務化されており本条の調査努力義務からは除外される。
- E8. 健康
安衛法第65条の3は作業管理について「労働者の健康に配慮して」作業を適切に管理する努力義務を定める。同章は健康管理を目的とした規定群であり「体格」「作業能力」では趣旨に合わない。
解説
本問は労働基準法・労働安全衛生法に横断する5空欄問題です。AとBは年次有給休暇の長期一括取得と時季変更権を扱う時事通信社事件(最判平4.6.23)からの引用で、長期休暇は事前調整がないと「事業の正常な運営」を阻害しやすく、調整を欠いた時季指定に対する時季変更権行使には使用者の「裁量的判断」の余地が認められるとした判旨を覚えておきます。Cは労基法第65条の「出産」が妊娠4か月(=85日)以上の分娩であるという通達知識、Dは安衛法第28条の2のリスクアセスメント対象が「危険性又は有害性等」であること、Eは同法第65条の3の作業管理の目的が「健康」配慮であることをそれぞれ条文どおりに押さえる必要があります。判例引用と条文引用が混在する典型的な選択式問題です。
ここがポイント
労基法上の「出産」は妊娠4か月以上の分娩、安衛法第28条の2は「危険性又は有害性等」の調査、第65条の3は「健康」配慮の作業管理という条文キーワードを正確に暗記しましょう。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する平成29年度(2017年度)社会保険労務士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。