令和元年度 社労士試験 問5 賃金(通貨払・退職金債権放棄・一定期日払)
労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
通貨以外のもので賃金を支払うことができるのは「法令に別段の定めがある場合」または「労働協約に別段の定めがある場合」です(労基法24条1項ただし書)。労使協定ではなく労働協約が要件であり、本肢は誤りです。
- 2正しい
退職金債権の放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在すれば有効とするのが最高裁の判例(シンガー・ソーイング・メシーン事件)です。本肢が正しい記述です。
- 3誤り
「一定の期日」は周期的に到来する特定日を指す必要があり、月7回前後変動する『毎月第2土曜日』のような定めは月により日が大きく変動し許されません。暦日指定は必須ではないものの本肢の例は不適切で、誤りです。
- 4誤り
非常時払(労基法25条)の「疾病」は業務上・業務外を問わず、私傷病も含まれます。私傷病を除外する本肢は誤りです。
- 5誤り
休業手当は労基法上の賃金であり、その支払には24条(通貨払・直接払・全額払・毎月1回以上・一定期日払)の規定が適用されます。適用されないとする本肢は誤りです。
解説
正解は肢2です。最高裁判例(シンガー・ソーイング・メシーン事件)は、賃金(退職金)債権の放棄の意思表示について、全額払の原則の趣旨に照らしつつも、それが労働者の自由な意思に基づくものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは有効と判断しました。通貨以外での支払は労働協約による定めが要件(肢1誤り)、一定期日は変動の大きい定め方は許されない(肢3誤り)、非常時払の疾病は私傷病も含む(肢4誤り)、休業手当も賃金として24条が適用される(肢5誤り)点が押さえどころです。
ここがポイント
退職金債権の放棄は『自由な意思に基づく合理的理由が客観的に存在』すれば有効(判例)。現物給与は労働協約が要件。休業手当も賃金として24条が適用。
本ページに掲載する試験問題(問題文・選択肢)は、令和元年度(2019年度)社会保険労務士試験のうち、公開されている過去問資料を参照して収録しています。正解は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する正答に基づきます。社会保険労務士試験は試験センターが試験問題用紙を一般公開していないため、問題文・選択肢の収録は公開過去問資料を参照したものです。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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