令和4年度 社労士試験 問20 労働保険徴収(賃金総額)
労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
業務執行権を有しない取締役で実態が労働者と認められる者については、機関報酬部分を除き労働者と同一条件で支払われる賃金部分のみを賃金総額に含めて算定するという行政解釈どおりで、正しい記述です。
- 2正しい
造林の事業の請負による賃金総額算定は「素材1立方メートルあたりの労務費」ではなく、賃金総額を正確に算定することが困難な造林事業は労働保険徴収法施行規則12条等により「所轄都道府県労働局長が定める平均賃金相当額に労務者の使用日数等を乗じて算定」する方式が用いられ、立方メートル単価方式は立木伐採等の素材生産事業に適用されるものです。本肢は造林と素材生産の方式を取り違えており誤りです。
- 3誤り
請負による建設の事業の賃金総額は、請負金額に労務費率を乗じて算定し、その請負金額からは消費税等相当額を除くとされており、正しい記述です。
- 4誤り
健保法上の傷病手当金に付加して事業主が任意に支給する金額は、恩恵的給付と認められる場合は賃金性が否定され、賃金総額には算入しません。正しい記述です。
- 5誤り
業務外傷病手当金は、労働協約・就業規則で権利として定められていれば賃金として総額に算入、恩恵的見舞金にとどまるものは算入しないとする行政解釈どおりで、正しい記述です。
解説
労働保険料の賃金総額は原則として現実に支払われる賃金の合計ですが、請負による建設の事業や立木伐採等の素材生産事業のように賃金把握が困難な事業については、請負金額×労務費率や素材生産量×単価などの特例で算定します。造林の事業は素材生産事業とは別の取扱いで、立方メートル単価方式によらず労務費の額に労務者の使用見込日数等を乗じる方式(規則12条)が定められています。肢2は造林の事業に立木伐採(素材生産)の方式を当てはめている点で誤りです。肢1の役員賃金、肢3の消費税抜き請負金額、肢4・肢5の傷病手当金付加給付・業務外手当金の取扱いはいずれも通達等のとおりで正しく、誤りは肢2のみです。
ここがポイント
造林事業は素材生産(立方メートル単価方式)と別。賃金把握困難な事業の特例は事業種類ごとに方式が異なる。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する令和4年度(2022年度)社会保険労務士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。