令和4年度 社労士試験 問71 解雇予告・転勤命令・安全衛生教育・事業者の責務
次の文中の【A】から【E】の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 労働基準法第20条により、いわゆる解雇予告手当を支払うことなく9月30日の終了をもって労働者を解雇しようとする使用者は、その解雇の予告は、少なくとも【A】までに行わなければならない。 2 最高裁判所は、全国的規模の会社の神戸営業所勤務の大学卒営業担当従業員に対する名古屋営業所への転勤命令が権利の濫用に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であつても、当該転勤命令が【B】なされたものであるとき若しくは労働者に対し通常【C】とき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。」 3 労働安全衛生法第59条において、事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならないが、この教育は、【D】についても行わなければならないとされている。 4 労働安全衛生法第3条において、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、【E】と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」と規定されている。
語群
- 1. 8月30日
- 2. 8月31日
- 3. 9月1日
- 4. 9月16日
- 5. 行うべき転居先の環境の整備をすることなくなされたものである
- 6. 快適な職場環境の実現
- 7. 甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである
- 8. 現在の業務に就いてから十分な期間をおくことなく
- 9. 他の不当な動機・目的をもつて
- 10. 当該転勤先への異動を希望する他の労働者がいるにもかかわらず
- 11. 配慮すべき労働条件に関する措置が講じられていない
- 12. 予想し得ない転勤命令がなされたものである
- 13. より高度な基準の自主設定
- 14. 労働災害の絶滅に向けた活動
- 15. 労働災害の防止に関する新たな情報の活用
- 16. 労働者が90日以上欠勤等により業務を休み、その業務に復帰したとき
- 17. 労働者が再教育を希望したとき
- 18. 労働者が労働災害により30日以上休業し、元の業務に復帰したとき
- 19. 労働者に対する事前の説明を経ることなく
- 20. 労働者の作業内容を変更したとき
空欄の正解
- A2. 8月31日
労働基準法第20条は解雇の少なくとも30日前の予告を要求します。9月30日終了の解雇では9月30日を含めず遡って30日前である8月31日までに予告する必要があり、これを欠くと30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。
- B9. 他の不当な動機・目的をもつて
東亜ペイント事件(最判昭61.7.14)は、業務上の必要性があっても転勤命令が「他の不当な動機・目的をもって」なされたとき等は権利濫用になり得ると判示しました。動機面の濫用要件として頻出のキーワードです。
- C7. 甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである
同判例は労働者側の事情として、転勤命令が労働者に対し通常「甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる」とき等は権利濫用となり得るとしました。生活上の不利益の限度を示す典型判旨です。
- D20. 労働者の作業内容を変更したとき
労働安全衛生法第59条第2項は、雇入れ時のみならず「労働者の作業内容を変更したとき」にも安全衛生教育を行うべきことを規定しています。配置転換時の労災防止のための定型的な事業者義務です。
- E6. 快適な職場環境の実現
労働安全衛生法第3条第1項は、事業者の責務として最低基準の遵守にとどまらず「快適な職場環境の実現」と労働条件の改善を通じた安全と健康の確保を求めています。安衛法の目的規定と連動する基本理念です。
解説
労働基準法と労働安全衛生法を横断する選択式の典型問題です。Aは解雇予告の30日カウントで、9月30日終了の解雇は8月31日までに予告すれば足ります。BとCは東亜ペイント事件(最判昭61.7.14)からの引用で、転勤命令の権利濫用要件として「他の不当な動機・目的」と「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」という二つのキーワードを押さえます。Dは安衛法第59条第2項の作業内容変更時の教育、Eは同法第3条の事業者の責務として「快適な職場環境の実現」が問われており、いずれも条文どおりの暗記が決め手となります。判例の濫用三要件と安衛法の基本条文をセットで覚えておきましょう。
ここがポイント
解雇予告は30日前カウント(9月30日終了→8月31日まで)、東亜ペイント事件の濫用要件は「不当な動機・目的」と「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」、安衛法は第59条第2項の作業内容変更時教育と第3条「快適な職場環境の実現」をセットで覚えます。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する令和4年度(2022年度)社会保険労務士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。