令和5年度 社労士試験 問71
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 労働基準法の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から【A】間行わない場合においては、時効によって消滅することとされている。 2 最高裁判所は、労働者の指定した年次有給休暇の期間が開始し又は経過した後にされた使用者の時季変更権行使の効力が問題となった事件において、次のように判示した。 「労働者の年次有給休暇の請求(時季指定)に対する使用者の時季変更権の行使が、労働者の指定した休暇期間が開始し又は経過した後にされた場合であつても、労働者の休暇の請求自体がその指定した休暇期間の始期にきわめて接近してされたため使用者において時季変更権を行使するか否かを事前に判断する時間的余裕がなかつたようなときには、それが事前にされなかつたことのゆえに直ちに時季変更権の行使が不適法となるものではなく、客観的に右時季変更権を行使しうる事由が存し、かつ、その行使が【B】されたものである場合には、適法な時季変更権の行使があつたものとしてその効力を認めるのが相当である。」 3 最高裁判所は、マンションの住み込み管理員が所定労働時間の前後の一定の時間に断続的な業務に従事していた場合において、上記一定の時間が、管理員室の隣の居室に居て実作業に従事していない時間を含めて労働基準法上の労働時間に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。 「労働基準法32条の労働時間(以下「労基法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない時間(以下「不活動時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである[…(略)…]。そして、不活動時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。したがって、不活動時間であっても【C】が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、【C】が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である」。 4 労働安全衛生法第35条は、重量の表示について、「一の貨物で、重量が【D】以上のものを発送しようとする者は、見やすく、かつ、容易に消滅しない方法で、当該貨物にその重量を表示しなければならない。ただし、包装されていない貨物で、その重量が一見して明らかであるものを発送しようとするときは、この限りでない。」と定めている。 5 労働安全衛生法第68条は、「事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、【E】しなければならない。」と定めている。
語群
- 1. 2年
- 2. 3年
- 3. 5年
- 4. 10年
- 5. 100キログラム
- 6. 500キログラム
- 7. 1トン
- 8. 3トン
- 9. 役務の提供における諾否の自由
- 10. 企業運営上の必要性から
- 11. 休業を勧奨
- 12. 行政官庁の許可を受けて
- 13. 厚生労働省令で定めるところにより
- 14. 使用者の指揮命令下に置かれていない場所への移動
- 15. その就業を禁止
- 16. 遅滞なく
- 17. 当該時間の自由利用
- 18. 必要な療養を勧奨
- 19. 病状回復のために支援
- 20. 労働からの解放
空欄の正解
- A1. 2年
労働基準法第115条は、災害補償その他の請求権(賃金請求権を除く。)の消滅時効を2年と定めています。賃金請求権の5年(当分の間3年)とは区別する点が出題の狙いです。
- B16. 遅滞なく
此花電報電話局事件の最高裁判決では、事後の時季変更権行使も客観的事由が存し、かつ『遅滞なく』されたものであれば適法と判示しており、空欄Bには『遅滞なく』が入ります。
- C20. 労働からの解放
大星ビル管理事件の最高裁判決は、不活動時間でも『労働からの解放』が保障されていない場合は労基法上の労働時間に当たるとしており、自由利用ではなく労働からの解放が判旨の鍵です。
- D7. 1トン
労働安全衛生法第35条は、一の貨物で重量が1トン以上のものを発送する者に重量表示義務を課しており、空欄Dには『1トン』が入ります。
- E15. その就業を禁止
労働安全衛生法第68条は、伝染性の疾病その他厚生労働省令で定める疾病にかかった労働者について『その就業を禁止』しなければならないと定めており、就業禁止が正答です。
解説
本問は労働基準法・労働安全衛生法の条文知識と重要判例を横断する選択式です。Aは災害補償等の請求権の消滅時効で、賃金請求権の特則(5年・当分の間3年)と異なり原則どおり2年(法115条)です。Bの此花電報電話局事件とCの大星ビル管理事件はいずれも頻出判例で、時季変更権は『遅滞なく』行使すれば事後でも適法、不活動時間は『労働からの解放』が保障されていなければ労働時間に当たる、という結論を正確に押さえます。Dは重量表示義務の1トン、Eは就業禁止の条文知識です。条文の数値と判例のキーワードを正確に記憶していれば確実に得点できる構成です。
ここがポイント
災害補償等の請求権の時効は2年(賃金は5年・当分の間3年)。時季変更権は『遅滞なく』、不活動時間は『労働からの解放』の有無で労働時間性を判断する。安衛法は重量表示1トン・疾病者は就業禁止。
本ページに掲載する試験問題(問題文・選択肢)は、令和5年度(2023年度)社会保険労務士試験のうち、公開されている過去問資料を参照して収録しています。正解は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する正答に基づきます。社会保険労務士試験は試験センターが試験問題用紙を一般公開していないため、問題文・選択肢の収録は公開過去問資料を参照したものです。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。