令和5年度 社労士試験 問74
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 最高裁判所は、会社から採用内定を受けていた大学卒業予定者に対し、会社が行った採用内定取消は解約権の濫用に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。 大学卒業予定者(被上告人)が、企業(上告人)の求人募集に応募し、その入社試験に合格して採用内定の通知(以下「本件採用内定通知」という。)を受け、企業からの求めに応じて、大学卒業のうえは間違いなく入社する旨及び一定の取消事由があるときは採用内定を取り消されても異存がない旨を記載した誓約書(以下「本件誓約書」という。)を提出し、その後、企業から会社の近況報告その他のパンフレットの送付を受けたり、企業からの指示により近況報告書を送付したなどのことがあり、他方、企業において、「【A】ことを考慮するとき、上告人からの募集(申込みの誘引)に対し、被上告人が応募したのは、労働契約の申込みであり、これに対する上告人からの採用内定通知は、右申込みに対する承諾であつて、被上告人の本件誓約書の提出とあいまつて、これにより、被上告人と上告人との間に、被上告人の就労の始期を昭和44年大学卒業直後とし、それまでの間、本件誓約書記載の5項目の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するのを相当とした原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。」企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の「採用内定の取消事由は、採用内定当時【B】、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当である。」 2 労働者派遣法第35条の3は、「派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、【C】年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。」と定めている。 3 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度である。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされる。したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはならない。また、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合については、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められており、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わない場合については、【D】の罰則(30万円以下の罰金)が科せられる。 なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるため、精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者、試の使用期間中の者等については、使用者が【E】の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められている。
語群
- 1. 1
- 2. 2
- 3. 3
- 4. 5
- 5. 厚生労働省労働基準局長
- 6. 厚生労働大臣
- 7. 知ることができず、また事業の円滑な運営の観点から看過できないような事実であつて
- 8. 知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて
- 9. 知ることができたが、調査の結果を待つていた事実であつて
- 10. 知ることができたが、被上告人が自ら申告しなかつた事実であつて
- 11. 賃金の支払の確保等に関する法律
- 12. 都道府県労働局長
- 13. パートタイム・有期雇用労働法
- 14. 本件採用内定通知に上告人の就業規則を同封していた
- 15. 本件採用内定通知により労働契約が成立したとはいえない旨を記載していなかつた
- 16. 本件採用内定通知の記載に基づいて採用内定式を開催し、制服の採寸及び職務で使用する物品の支給を行つていた
- 17. 本件採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかつた
- 18. 労働契約法
- 19. 労働基準監督署長
- 20. 労働基準法
空欄の正解
- A17. 本件採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかつた
大日本印刷事件の最高裁判決は、採用内定通知のほかに労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかった点を重視して始期付・解約権留保付労働契約の成立を認めており、空欄Aには選択肢17が入ります。
- B8. 知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて
同判決は、解約権を行使しうる取消事由を『採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実』に限定しており、空欄Bには選択肢8が入ります。
- C3. 3
労働者派遣法第35条の3の個人単位の期間制限は、同一の組織単位の業務について同一の派遣労働者を3年を超えて継続して派遣してはならないとするものであり、空欄Cには『3』が入ります。
- D20. 労働基準法
地域別最低賃金違反は最低賃金法の罰則(50万円以下)ですが、特定(産業別)最低賃金違反は労働基準法第24条(全額払)違反として同法の罰則(30万円以下)が科されるため、空欄Dには『労働基準法』が入ります。
- E12. 都道府県労働局長
最低賃金の減額特例(最低賃金法第7条)の許可権者は都道府県労働局長であり、空欄Eには『都道府県労働局長』が入ります。
解説
1は採用内定の法的性質に関する大日本印刷事件の最高裁判決で、Aの『特段の意思表示が予定されていなかった』点から始期付・解約権留保付労働契約の成立を認め、取消事由をBの『採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実』に限定した点が重要です。2は派遣の個人単位の期間制限でCの3年、3は最低賃金制度で、特定最低賃金違反はDの労働基準法(24条全額払)の罰則による点が地域別最低賃金(最賃法の罰則)との対比で問われ、減額特例の許可はEの都道府県労働局長が行います。判例の文言と各法の罰則・権限主体を正確に区別することが得点の鍵です。
ここがポイント
採用内定は大日本印刷事件で始期付・解約権留保付労働契約と解され、取消事由は『内定当時知り得ず期待もできない事実』に限定。派遣の個人単位期間制限は3年。特定最低賃金違反は労基法24条の罰則、減額特例の許可は都道府県労働局長。
本ページに掲載する試験問題(問題文・選択肢)は、令和5年度(2023年度)社会保険労務士試験のうち、公開されている過去問資料を参照して収録しています。正解は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する正答に基づきます。社会保険労務士試験は試験センターが試験問題用紙を一般公開していないため、問題文・選択肢の収録は公開過去問資料を参照したものです。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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