令和6年度 社労士試験 問71 最低年齢・労働時間・全額払・定期自主検査・労災報告
次の文中の【 】の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 年少者の労働に関し、最低年齢を設けている労働基準法第 56 条第 1 項は、「使用者は、【A】、これを使用してはならない。」と定めている。 2 最高裁判所は、労働者が始業時刻前及び終業時刻後の作業服及び保護具等の着脱等並びに始業時刻前の副資材等の受出し及び散水に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当するかが問題となった事件において、次のように判示した。「労働基準法(昭和 62 年法律第 99 号による改正前のもの)32 条の労働時間(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の【B】に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の【B】に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして、労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の【B】に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解される。」 3 最高裁判所は、賃金に当たる退職金債権放棄の効力が問題となった事件において、次のように判示した。本件事実関係によれば、本件退職金の「支払については、同法〔労働基準法〕24 条 1 項本文の定めるいわゆる全額払の原則が適用されるものと解するのが相当である。しかし、右全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もつて労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものというべきであるから、本件のように、労働者たる上告人が退職に際しみずから賃金に該当する本件退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、右全額払の原則が右意思表示の効力を否定する趣旨のものであるとまで解することはできない。もつとも、右全額払の原則の趣旨とするところなどに鑑みれば、右意思表示の効力を肯定するには、それが上告人の【C】ものであることが明確でなければならないものと解すべきである」。 4 労働安全衛生法第 45 条により定期自主検査を行わなければならない機械等には、同法第 37 条第 1 項に定める特定機械等のほか【D】が含まれる。 5 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその付属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業(休業の日数が 4 日以上の場合に限る。)したときは、【E】、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
語群
- 1. 7 日以内に
- 2. 14 日以内に
- 3. 30 日以内に
- 4. 管理監督下
- 5. 空気調和設備
- 6. 研削盤
- 7. 権利濫用に該当しない
- 8. 構内運搬車
- 9. 指揮命令下
- 10. 児童が満 15 歳に達した日以後の最初の 3 月 31 日が終了するまで
- 11. 児童が満 18 歳に達した日以後の最初の 3 月 31 日が終了するまで
- 12. 支配管理下
- 13. 自由な意思に基づく
- 14. 従属関係下
- 15. 退職金債権放棄同意書への署名押印により行われた
- 16. 退職に接着した時期においてされた
- 17. 遅滞なく
- 18. フォークリフト
- 19. 満 15 歳に満たない者については
- 20. 満 18 歳に満たない者については
空欄の正解
- A10. 児童が満 15 歳に達した日以後の最初の 3 月 31 日が終了するまで
労基法56条1項は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで(中学卒業まで)使用してはならないと定めており、最低年齢の起点をこの基準日で区切ります。
- B9. 指揮命令下
三菱重工長崎造船所事件の判例理論で、労基法上の労働時間とは労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいうとされ、客観的に判断されます。
- C13. 自由な意思に基づく
シンガー・ソーイング・メシーン事件の判例で、賃金債権放棄の意思表示の効力を認めるには、それが労働者の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならないとされています。
- D18. フォークリフト
安衛法45条の定期自主検査対象には、特定機械等のほかフォークリフトが政令で定められており、年次・月例の自主検査が義務付けられています。
- E17. 遅滞なく
労働者死傷病報告(安衛則97条)は、死亡又は休業4日以上の場合は遅滞なく所轄労働基準監督署長に提出しなければならないとされています。
解説
労基法と安衛法の頻出論点を横断する空欄補充問題です。Aは最低年齢の基準日(満15歳到達後最初の3月31日まで)を問い、中学卒業を境とする規定を確認させます。BとCはいずれも最高裁判例で、労働時間の定義(指揮命令下)と賃金債権放棄の有効要件(自由な意思)という重要判例を押さえる必要があります。Dの定期自主検査対象(フォークリフト)、Eの労働者死傷病報告の提出時期(遅滞なく)は条文知識の正確さが問われます。判例由来のキーワードを正確に記憶しているかが合否を分けます。
ここがポイント
労働時間=使用者の指揮命令下、賃金債権放棄=自由な意思に基づくことが明確、という2つの最高裁判例のキーワードを正確に押さえる。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する令和6年度(2024年度)社会保険労務士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。