令和7年度 社労士試験 問4 賃金等
労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
賃金を前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と相殺することは、前借金相殺の禁止(第17条)により絶対に禁止されており、労使協定があっても許されません。協定があれば相殺できるとする本肢は誤りです。
- 2誤り
賃金の直接払の原則(第24条第1項)は、労働者本人以外への支払を禁止し、賃金債権を譲り受けた者や委任・代理により受領権限を与えられた者への支払も禁止する趣旨です。委任・代理が有効として第三者に支払えるとする本肢は誤りです(最判昭和43年3月12日参照)。
- 3誤り
前払いした賃金のうち、ストライキにより労務提供がなされなかった期間に対応する部分は、そもそも賃金請求権が発生していないため、翌月の支払で控除しても全額払原則(第24条第1項)に違反しません。違反するとする本肢は誤りです。
- 4誤り
非常時払(第25条)は、使用者が『既往の労働に対する賃金』を支払期日前に支払う制度であり、未だ労務の提供のない期間に対する賃金まで支払う義務を負うものではありません。本肢は誤りです。
- 5正しい
休業手当(第26条)は、労働義務のある日について使用者の責めに帰すべき事由で休業させた場合に支払うものです。労働協約・就業規則・労働契約により休日と定められた日は、もともと労働義務がないため休業手当の支払義務は生じません。正しい記述です。
解説
正解は肢5です。休業手当(第26条)は労働義務のある日を使用者の責めで休業させた場合に発生するため、もともと労働義務のない休日には支払義務が生じません。肢1は前借金相殺の禁止(第17条)が労使協定でも解除できない点、肢2は直接払の原則が受領権限の委任・代理にも及ぶ点、肢3はストライキ期間分は賃金請求権が発生せず控除しても全額払原則に反しない点、肢4は非常時払が『既往の労働』に対するものである点で、いずれも誤りです。賃金五原則は『例外がどこまで認められるか』を条文に即して正確に押さえることが重要です。
ここがポイント
前借金相殺の禁止(第17条)は労使協定でも解除不可。直接払の原則は受領権限の委任・代理にも及ぶ。非常時払は『既往の労働』に対するもの。休業手当は労働義務のある日に限る。
本ページに掲載する試験問題(問題文・選択肢)は、令和7年度(2025年度)社会保険労務士試験のうち、公開されている過去問資料を参照して収録しています。正解は、全国社会保険労務士会連合会 試験センターが公表する正答に基づきます。社会保険労務士試験は試験センターが試験問題用紙を一般公開していないため、問題文・選択肢の収録は公開過去問資料を参照したものです。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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