令和7年度 宅建試験 問1 物権変動・対抗要件(解除・取消しと第三者)
所有者AがBに甲土地を売却し、その後にBがCに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、Cは背信的悪意者ではないものとする。
肢ごとの解説
- 1誤り
BはAから甲土地を買い受けた以上、転売後もAに対し自己への移転登記請求権を失いません。登記名義はA→B→Cと順次経由して移転させる必要があり、Bの登記請求権は中間者として存続するため、本肢は誤りです。
- 2誤り
A→B→Cと順次譲渡された場合、CはBの地位を承継した『前主』Aとの関係に立つにすぎず、AとCは対抗関係(二重譲渡の当事者)ではありません。前主Aは無権利者となるため、Cは登記なくしてAに所有権を主張でき、本肢は誤りです。
- 3正しい
解除前の第三者Cは登記を備えれば保護され(民法545条1項ただし書・判例)、解除後の第三者CはAとの対抗関係に立ち登記の先後で決まります(判例)。いずれの場合もCは登記を備えればAに所有権を主張でき、本肢が正しい記述です。
- 4誤り
強迫による取消しは詐欺と異なり、取消し前の善意無過失の第三者にも対抗できます(民法96条3項は詐欺のみで強迫を含まない)。取消し前のCは保護されないため、『いずれの場合であっても』とする本肢は誤りです。
解説
正解は肢3です。解除と第三者の関係では、解除前の第三者は民法545条1項ただし書により登記を備えれば保護され、解除後の第三者は解除者Aと対抗関係に立ち登記の先後で優劣が決まります(判例)。したがって、解除が前でも後でも、Cは登記を備えればAに所有権を主張できます。一方、強迫取消しの第三者保護(肢4)は、取消し前については詐欺と異なり善意無過失でも保護されない点が誤りです。物権変動と第三者保護は『前か後か』『詐欺か強迫か』の組合せで結論が変わる典型論点です。
ここがポイント
詐欺取消しは取消し前の善意無過失の第三者を保護するが、強迫取消しは取消し前の第三者を一切保護しない(96条3項は詐欺限定)。解除は前も後も第三者は登記で勝負。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)が公表する令和7年度(2025年度)宅地建物取引士資格試験の試験問題からの引用です。正解番号はRETIO公表の正解番号表に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-06)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。