「保育士試験は100〜150時間」。保育士試験の勉強時間を調べると、よくこの数字に行き当たります。ところが学習サイトを1つずつ読むと、目安は60時間から180時間まで割れています。その数字をどうやって出したのか、調査の人数や方法まで示しているサイトは見当たりませんでした。

保育士試験には、ほかの資格試験と違う点が2つあります。1つは、筆記9科目のそれぞれで満点の6割を取れば合格する「絶対評価」で、合格した科目は3年間持ち越せること。もう1つは、試験が前期・後期の年2回あることです。この記事では、各サイトの目安を前提ごとに並べ直したうえで、こども家庭庁と試験を実施する全国保育士養成協議会の公式データ、2027年の試験日から逆算した1日の時間、科目への配分、勉強場所の費用、合格した先の数字までを整理します。

この記事の要点

  • 学習サイトが示す保育士試験の勉強時間は60〜180時間と割れているが、独学をテーマにしたページでは100〜150時間が多く、時間数で目安を示したページはどれも100〜150時間の範囲と重なる。上限まで見込むなら180時間
  • 試験を実施する全国保育士養成協議会は、合格に必要な学習時間を公表していない。調査の人数や方法まで示した学習サイトも見当たらない
  • 令和7年度は、前期と後期の申請者数の合計が54,807人、合格者数の合計が10,621人。同じ人が両方の回に申請することがあるので、実人数ではなく延べの人数。申請者に対する合格者の割合は当サイト算出で19.4%(前期21.1%、後期17.8%)。公表されているのは申請者数で、実際に受験した人数ではない
  • 合否は科目ごとに満点の6割。合格した科目は合格した年を含めて3年間免除されるので、9科目を2回以上に分けて受ける計画も立てられる
  • 2027年は前期筆記が4月17・18日、後期筆記が10月23・24日。150時間なら、前期に向けて12月1日に始めれば週8時間ほど(当サイト試算)
  • 保育士の登録者は累計約199万人。保育士の有効求人倍率は2026年7月で2.80倍と、全職種の1.15倍を上回る

結論:時間数で示された目安は、どれも100〜150時間に重なる

先に結論をまとめます。保育士試験の勉強時間の目安を、各サイトがどんな受験者・どんな前提で書いているかで並べ直すと、次のようになります。

前提目安そう示している学習サイト
独学で学ぶ(独学がテーマのページ)100〜180時間アガルート(100〜150時間。同じページで合格までに60〜180時間程度とも記載)、スタディング(100〜150時間)、アルク(100〜150時間)、保育士バンク(100〜180時間)
学習方法を限定しない一般論60〜180時間アガルート(90〜150時間)、スタディング(130〜150時間)、ユーキャン(100〜180時間)、資格Times(60〜180時間。合格者の平均は90時間ほどとする)
短大の授業の単位数から算定筆記で100時間程度ユーキャン
自社講座の標準8か月、1日45分〜1時間程度(当サイト試算で約180〜240時間)四谷学院(全科目を受ける場合。休日は少し多めとする)

この表から言えるのは次のことです。

  • 独学をテーマにしたページでは4社中3社が100〜150時間で、時間数で目安を示したほかのページも、すべて100〜150時間の範囲と重なっています。一方、四谷学院の講座の標準学習期間を時間に直すと、8か月(約243日)×1日45分〜1時間で約180〜240時間になり、休日に多めに勉強するぶんさらに増えます(当サイト試算)。講座のカリキュラムどおりに進める場合は、180時間を超えることも見込んでおいたほうが安全です。確認できた範囲では、初学者に限った目安を裏付けつきで示したページは見当たりません。そのため、この記事の逆算表では、100時間・150時間・180時間の3通りを並べています。
  • 60時間や90時間といった短い目安もありますが、資格Timesの「合格者の平均90時間ほど」は、どんな調査の平均なのかが示されていません。
  • 今回確認したページには、初学者と経験者で目安を分けて示したものはありませんでした。幼稚園教諭免許状(臨時免許状を除く)や社会福祉士などの資格を持つ人は一部の科目が免除されるので(後述)、そのぶん必要な時間は短くなります。

試験を実施する全国保育士養成協議会も、合格に必要な学習時間は公表していません。表の数字は「相場観」として受け止め、以下の公式データで自分の位置を確かめてください。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、勉強時間の目安は本当かで学習科学の研究をもとに検証しています。

それでも数字がずれる理由

前提をそろえても残るずれには、確認できた範囲で3つの理由があります。

1つめは、数字の出し方です。今回確認したページで、計算の方法まで説明していたのはユーキャンで、厚生労働省が示す短大の講義の必要単位数から、筆記試験で100時間程度と算定したとしています。資格Timesは「合格者の勉強時間を平均すると90時間ほど」としていますが、何人の合格者をどう調べたのかは示していません。調査の人数や方法まで示したページは、ほかにもありませんでした。

2つめは、実技試験の練習を含むかどうかです。ユーキャンは筆記試験の時間として示しています。アルクも、実技の対策時間は人によって大きく異なり、初心者は筆記試験の対策に加えて十分な時間を確保するよう書いており、100〜150時間は筆記の目安と読めます。ほかのページでは、総時間に実技の練習が含まれるかどうかははっきりしません。音楽を選んでピアノの弾き歌いを一から練習する人は、筆記とは別に練習時間が必要になります。

3つめは、9科目を1回で受けるか、何回かに分けるかです。合格した科目は持ち越せるので、たとえば1回目に5科目、2回目に残り4科目を受けるといった計画も立てられます。総時間が同じでも、分けて受ければ1回あたりの負担は小さくなります。

合格者・受験者の実像:公表されているのは「申請者数」

こども家庭庁が公表している「保育士試験の実施状況」によると、令和7年度(2025年)の結果は次のとおりです。

区分申請者数合格者数合格者の割合
前期(4月筆記)26,654人5,620人21.1%
後期(10月筆記)28,153人5,001人17.8%
年間(前期と後期の合計)54,807人10,621人19.4%

合格者の割合は、合格者数を申請者数で割って当サイトが算出したものです。年間の欄は、前期と後期の数を足した合計です。前期と後期の両方に申請する人もいるので、年間の人数は実人数ではなく延べの人数で、19.4%も延べの申請者数に対する延べの合格者数の割合です。ここで注意したいのは、公表されているのが「受験申請者数」で、実際に試験を受けた人数ではないことです。申し込んだのに欠席した人も分母に入っているので、実際に受けた人に対する合格率は、この値より高くなります。実際の受験者数は、この資料には示されていません。

保育士試験 申請者に対する合格者の割合(令和6年度・令和7年度)

令和6年度 年間(延べ)26.3%

申請者58,767人・合格者15,475人

令和7年度 前期21.1%

申請者26,654人・合格者5,620人

令和7年度 後期17.8%

申請者28,153人・合格者5,001人

令和7年度 年間(延べ)19.4%

申請者54,807人・合格者10,621人

割合は合格者数÷受験申請者数で当サイトが算出しました。公表値は申請者数で、欠席者も含みます。合格者は、その回の試験で保育士試験の合格者となった人で、前の回までの合格科目を持ち越した人や実技試験を免除された人も含まれると考えられます。幼稚園教諭免許状所有者で筆記・実技が全科目免除となった合格者(令和6年度2,145人、令和7年度1,996人)は含みません。令和6年度の年間の値には、神奈川県・大阪府・沖縄県が独自に実施した地域限定保育士試験(申請者3,001人・合格者629人)が含まれます。令和7年度は、国家戦略特別区域限定保育士試験の結果が前期・後期の通常試験に合算されています。出典: こども家庭庁「保育士試験の実施状況」(令和6年度・令和7年度)

前年の令和6年度は、1回目と2回目などの合計で、申請者58,767人に対して合格者15,475人(いずれも延べ)で、合格者の割合は当サイト算出で26.3%でした。この令和6年度の人数には、神奈川県・大阪府・沖縄県が独自に行った地域限定保育士試験(申請者3,001人・合格者629人)が含まれます。1年で約7ポイント下がっていますが、その理由は公式には説明されていません。

また、この合格者数は、その回の試験で保育士試験の合格者となった人の数です。合格科目の持ち越しや免除の制度があるので、1回の試験で9科目すべてと実技試験に合格した人だけでなく、前の回までの合格科目を持ち越した人や、実技試験を免除された人も含まれると考えられます。1回の試験で全科目に合格した人の割合ではないので、「5人に1人しか受からない」と読むのは正確ではありません。幼稚園教諭の免許を持ち、筆記・実技がすべて免除されて合格した人(令和7年度は1,996人)は、上の表とは別に集計されています。

合格者の年齢・職業・受験回数を毎年まとめた公式統計は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。参考になるのは、全国保育士養成協議会が厚生労働省の委託で行った「保育士試験合格者の就職状況等に関する調査研究」です。平成30年度後期の実技試験の会場で受験者全員に質問紙を配り、合格した人にだけ返送を求めました。合格者4,384人のうち1,081人が回答しています(回収率24.7%)。古い1回きりの調査ですが、次のような結果でした。

  • 年齢は40歳代が31.8%で最も多く、30歳代30.4%、50歳代17.3%、20歳代15.3%の順
  • 合格までの受験回数は、初めての受験で合格した人が15.0%、2回目が32.9%、3回目が22.1%で、6回以上も10.1%
  • 短大・大学・専門学校などで学んだ人のうち、子どもに関係のない専攻だった人が74.8%
  • 保育の現場で働いた経験がある人は48%

多くの合格者が2回以上受けて合格していたことは、科目合格を使って何回かに分けて受ける計画が珍しくないことを示しています。ただし、この調査は勉強時間を聞いていません。合格者に勉強時間を聞いた調査で、人数や時期が分かるものは見当たりませんでした。

受験資格と免除

保育士試験は、大学に2年以上在学して62単位以上を修得した人、短大や修業年限2年以上の専門学校を卒業した人などが受験できます。学歴の条件を満たさない人も、児童福祉施設で一定期間・一定時間以上働いた経験があれば受験できます。細かい条件は、全国保育士養成協議会の「受験資格詳細」で確かめてください。

免除制度は勉強時間に直接効きます。

  • 幼稚園教諭免許状を持つ人(臨時免許状を除く):保育の心理学、教育原理、実技試験が免除。1種・2種・専修の区分による違いはありません
  • 社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格を持つ人:社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉が免除
  • 幼稚園教諭免許状の特例制度(対象は臨時免許状を除く免許状所有者):免許の取得後に、対象施設で3年以上かつ4,320時間以上、児童の保護や幼児の教育(保育)に直接従事した実務経験があると、上の3つに加えて保育実習理論も免除されます。さらに、指定保育士養成施設で特例の4教科(8単位)を修得すると、対応する社会福祉・子ども家庭福祉・子どもの保健・子どもの食と栄養・保育原理・社会的養護の6科目も免除を申請できます(修得した教科によって免除される科目が変わります)。実務経験と養成施設での学びの順番は問われません。

合格ラインの仕組み:科目ごとに6割、3年間持ち越せる

保育士試験の筆記試験は9科目で、マークシート方式です。合格基準は公式に決まっていて、各科目で満点の6割以上を取れば、その科目は合格です。受験者の中で上位何割かを合格にする相対評価ではないので、合格点が年によって動くことはありません。

ただし例外が1つあります。教育原理と社会的養護(どちらも50点満点)は、同じ回の試験で両方とも6割以上を取らないと、どちらも合格になりません。片方だけ6割以上でも合格扱いになりません。

筆記試験の全科目に合格すると、実技試験に進みます。実技試験は音楽・造形・言語の3分野から2分野を選び、選んだ2分野とも満点(各50点)の6割以上で合格です。

合格した筆記科目は、合格した年を含めて3年間免除されます。全国保育士養成協議会は例として、令和7年後期に合格した科目は令和9年後期まで、令和8年前期に合格した科目は令和10年後期まで免除と示しています。さらに、保育所などの対象施設で一定期間・一定時間以上働くと、この期間を最長5年まで延ばせる制度もあります。

この仕組みからは、2つのことが言えます。

  • 1回で全科目に合格しなくても、合格した科目は無駄になりません。働きながらの人は、2回か3回に分けて受ける計画が現実的な選択肢になります。
  • 一方で、時間を満たしても6割に届かない科目が1つでも残れば、その回では保育士試験の合格者にはなれません。仕上がりは「何時間やったか」ではなく、過去問で全科目6割を安定して超えられるかで確かめます。

いつから始める? 開始月別の「1週・1日あたりの時間」

2027年の保育士試験の日程は公表されています。

回筆記試験実技試験
2027年 前期4月17日(土)・18日(日)6月27日(日)
2027年 後期10月23日(土)・24日(日)12月12日(日)

前期の受験申請の詳細は2026年12月下旬ごろ、後期は2027年6月下旬ごろに掲載される予定です。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにもまとめています。

この筆記試験の初日から逆算して、始める月ごとに必要な時間を計算すると次のようになります。各月の1日に始め、筆記試験の初日(前期は4月17日、後期は10月23日)までの日数を7で割った正確な週数で計算しました(当サイト試算)。表示の週数は四捨五入ですが、時間の計算には四捨五入前の正確な週数を使っています。週あたりの時間は、目標の時間に届くよう0.5時間単位で切り上げ、平日1日の時間は10分単位で切り上げて表示しています。「平日1日」の列は、休日に2時間ずつ(週4時間)勉強した場合に、平日に1日あたり必要な時間(正確な週あたり時間から計算)です。9科目すべてを1回で受ける前提です。

始める月週数150時間:週150時間:平日1日180時間:週180時間:平日1日
2026年10月(前期へ)約28週5.5時間20分6.5時間30分
2026年11月(前期へ)約24週6.5時間30分8時間50分
2026年12月(前期へ)約20週8時間50分9.5時間1時間10分
2027年1月(前期へ)約15週10時間1時間20分12時間1時間40分
2027年2月(前期へ)約11週14時間2時間17時間2時間40分
2027年3月(前期へ)約7週22.5時間3時間50分27時間4時間40分
2027年5月(後期へ)約25週6時間30分7.5時間40分
2027年6月(後期へ)約21週7.5時間40分9時間1時間
2027年7月(後期へ)約16週9.5時間1時間10分11.5時間1時間30分
2027年8月(後期へ)約12週13時間1時間50分15.5時間2時間20分
2027年9月(後期へ)約7週20.5時間3時間20分24.5時間4時間10分

100時間で足りる見込みの人は、150時間の列の3分の2が目安です。毎日同じ時間を取る形で考えたい人は、1日1時間(週7時間)なら100時間に15週(3か月強)、150時間に22週(約5か月)、180時間に26週(6か月弱)かかります(当サイト試算。週数は切り上げ)。

前期・後期とも、筆記試験の1か月半前を切ってから全科目を150時間で仕上げようとすると、平日に毎日3時間以上が必要になります。その時期に始める場合は、受ける科目を絞って次の回と合わせて合格を目指すほうが、計画として無理がありません。試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。

実技試験の準備は、筆記の結果を待たずに

実技試験は、筆記試験の全科目に合格した人だけが受けます。注意したいのは、筆記の結果が出てから実技試験までの期間が短いことです。2026年の例では、前期は筆記試験の結果公開が6月2日、実技試験が6月28日で26日間、後期は結果公開が11月30日、実技試験が12月13日で13日間しかありません。

実技試験の内容は、音楽が課題曲2曲の弾き歌い(ピアノかギター)、造形が保育の一場面を絵で表す課題(試験時間45分)、言語が3歳児クラスの子どもに向けた「3分間のお話」です。音楽を選ぶ人で楽器に慣れていない人は、筆記の勉強と並行して練習を始めておかないと間に合わない可能性があります。課題曲や言語のお話の課題は、各回の実技試験概要で発表されます。

科目別の配分:各社の答えが割れる理由と、自分で決める方法

筆記試験の9科目と、満点・試験時間は次のとおりです(全国保育士養成協議会「試験日程・科目」)。右の2列は、学習サイトが示す科目別の時間配分です。

科目満点試験時間アガルート(計120時間)スタディング(計130時間)
保育の心理学100点60分13時間16時間
保育原理100点60分11時間20時間
子ども家庭福祉100点60分13時間13時間
社会福祉100点60分13時間10時間
教育原理50点30分11時間14時間
社会的養護50点30分13時間13時間
子どもの保健100点60分20時間16時間
子どもの食と栄養100点60分17時間16時間
保育実習理論100点60分9時間12時間

配分は学習サイトによってはっきり割れています。アガルートは暗記が多いとして子どもの保健と子どもの食と栄養に多く割き、保育実習理論は9時間と最も少なくしています。スタディングは保育原理が20時間で最も多くなっています。一方、ユーキャンが短大の講義の単位数から算定した表では、保育実習理論が44時間と最も多く、社会福祉は4時間です。どの配分が合格に有利かを比べたデータはありません。

そこで、他人の配分をまねるより、合格基準から逆算する方法をおすすめします。保育士試験は科目ごとに6割で合否が決まるので、得意な科目で高得点を取っても、苦手な科目の不足は埋まりません。手順は3つです。

  1. 9科目それぞれの過去問を解き、正答率を測る。
  2. 6割に届いていない科目、6割を少し超えるだけで余裕が小さい科目に時間を寄せる。安定して7割以上取れる科目は、復習の頻度を下げる。
  3. 教育原理と社会的養護は、同じ回で両方6割以上が必要なので、必ずセットで仕上げる。

ここで独学の人が知っておきたいのは、全国保育士養成協議会が公開している過去の試験問題が、直近の回(2026年10月1日時点では令和8年前期と令和7年後期)の各1回分だけだということです。それより前の問題は、市販の過去問題集などで補う必要があります。過去問の回し方は「過去問は3周」は本当かで、合格率と学習科学から見た試験勉強の進め方は受かる人の戦略で扱っています。

2026年10月の後期試験を受ける人へ

2026年の後期筆記試験は10月24日(土)・25日(日)、実技試験は12月13日(日)です。筆記試験の結果は11月30日(月)10時に公開される予定です。

この時期に点数を伸ばしやすいのは、過去問で6割に届いていない科目、6割前後でぶれている科目に時間を集めることです。新しい教材に手を広げるより、すでに解いた問題を、間違えたものを中心に繰り返すほうが本番の得点に結びつきます。思い出す練習を繰り返すほうが記憶に残ることは、学習科学の実験で繰り返し確かめられています(詳しくは勉強時間の目安は本当かを参照)。

全科目に手が回らない場合でも、6割を取れた科目は合格した年を含めて3年間持ち越せます。全科目合格を目指す人は、上で見たとおり結果公開から実技試験まで13日間しかないので、実技の練習は筆記試験の前後から始めておくと安心です。

勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか

100〜150時間を積むうえで、最も大きな壁は「毎日の時間を確保し続けること」です。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。

当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。

集計の範囲金額
第1四分位(安い方から4分の1の位置)月5,800円
中央値月7,800円
第3四分位(高い方から4分の1の位置)月11,000円

324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。

1日1時間(週7時間)のペースで100〜150時間を積むと、期間は3か月強から5か月弱です。月単位で契約すると4〜5か月分になり、中央値の月7,800円なら自習室代の合計は3万1,200円〜3万9,000円です(当サイト試算)。これに受験手数料1万2,700円が加わります。オンラインで申し込む場合は、別に事務手数料(クレジットカード354円、コンビニ275円)がかかります。受験手数料は、受ける科目の数にかかわらず1回ごとにかかるので、2回に分けて受ける場合は2回分が必要です。

公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。

受かった後の数字:保育士はどれだけいて、どう働いているか

最後に、100〜150時間をかけて取る資格の「その先」を、公的な統計で見ておきます。

登録者は累計約199万人

保育士試験に合格しても、それだけでは保育士として働けません。都道府県の保育士登録を受ける必要があり、こども家庭庁も、保育士として働く前までに登録を済ませるよう案内しています。児童福祉法は、保育士を「登録を受け、保育士の名称を用いて」保育や保護者への指導を行う人と定義しています(18条の4)。

こども家庭庁の資料によると、保育士の登録者は2026年4月1日時点で累計198万9,966人です。このうち男性は10万5,933人です。1年前の194万7,690人から約4万2,000人増えました。ただし、これは過去に登録した人の累計で、いま保育士として働いている人の数ではありません。

働いている人の数を示す統計としては、厚生労働省の社会福祉施設等調査があります。2024年10月1日時点で、保育所等(保育所と保育所型認定こども園)で働く保育士は、常勤換算で35万3,943人でした。常勤換算とは、短時間勤務の人の勤務時間を常勤の人の勤務時間に換算して数える方法です。この数には、幼保連携型認定こども園で働く保育教諭や、児童養護施設などほかの施設で働く保育士は含まれていません。こども家庭庁も「保育士の登録者数と就労者数に差がある」として、資格を持ちながら保育の仕事に就いていない人の再就職支援を課題に挙げています。

需要の根拠は法令にある

保育士の需要を支えているのは法令です。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第33条は、保育所に保育士を置くことを義務づけ、子どもの年齢ごとに人数の基準を定めています。0歳児はおおむね3人に1人以上、1・2歳児は6人に1人以上、3歳児は15人に1人以上、4歳以上児は25人に1人以上で、1つの保育所に2人以上が必要です。3歳児と4歳以上児の基準は2024年4月に改善されたもので、3歳児には2028年3月末まで、4歳以上児には当分の間、改正前の基準(20人に1人、30人に1人)によることを認める経過措置があります。

有効求人倍率は全職種を上回る

こども家庭庁がまとめた厚生労働省の職業安定業務統計によると、保育士の有効求人倍率は2026年7月で2.80倍でした。同じ月の全職種の1.15倍を大きく上回ります。2026年1月は3.88倍(全職種1.27倍)でした。都道府県で差も大きく、2026年7月は栃木県の7.85倍から岩手県の1.44倍まで開いています。

一方で、需要の伸び方は変わりつつあります。こども家庭庁の資料では、待機児童は2017年4月1日時点の2万6,081人から8年連続で減り、2025年4月1日時点では2,254人になりました。保育所の定員充足率は、2024年の過疎地域で76.2%にとどまっています。こども家庭庁は、待機児童対策を中心とした「保育の量の拡大」からの転換を打ち出しています。求人倍率が高いことは、どの地域でも同じように続くことを意味するわけではありません。

公立保育所で働くには

公立の保育所で働く保育士は、一般に、保育士資格(または取得見込み)を受験の条件として自治体が行う採用試験に合格して採用されます。試験の内容や時期は自治体ごとに異なるので、保育士試験とは別に、志望する自治体の募集要項で試験科目を確かめて対策する必要があります。採用試験の勉強時間を一律に示せる公的なデータは、確認できませんでした。

年収は「職種の値」で見るしかない

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)には、職種として「保育士」があります。企業規模10人以上の一般労働者(短時間労働者を除く)の保育士について、所定内給与額279.2千円と年間賞与その他特別給与額847.9千円から年収を「所定内給与×12か月+年間賞与」で算出すると、約420万円(平均年齢40.3歳、勤続9.1年)になります(当サイト算出)。この統計の対象になった保育士の95.6%は女性です。参考として、同じ統計の「幼稚園教員,保育教諭」は約436万円(平均39.1歳)でした。

ただし、この値は、企業規模10人以上の事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)の保育士の平均です。保育士全体の平均ではありません。また、資格を取れば年収がこの水準になることや、年収が上がることを示すものでもありません。

よくある質問

保育士試験の勉強時間は何時間必要ですか?

学習サイトの目安は60〜180時間と幅がありますが、独学をテーマにしたページでは100〜150時間が多く、時間数で目安を示したページはどれも100〜150時間の範囲と重なっています。上限まで見込むなら180時間です。なお、四谷学院の講座の標準(8か月、1日45分〜1時間程度)を時間に直すと、約180〜240時間になります(当サイト試算)。ただし、調査の人数や方法まで示したサイトは見当たらず、試験を実施する全国保育士養成協議会も学習時間は公表していません。保育士試験は各科目で満点の6割を取れば合格する試験なので、時間よりも、過去問で全科目6割を安定して超えられるかで仕上がりを確かめてください。

保育士試験に受かるには1日何時間勉強すればいいですか?

150時間を積む場合、1日1時間なら22週(約5か月)かかります。2027年4月17・18日の前期筆記試験から逆算すると、2026年12月1日に始めれば週8時間ほどで、休日に2時間ずつ勉強すれば平日は1日50分ほどです(当サイト試算。週あたりの時間は0.5時間単位、平日1日は10分単位の切り上げ)。2027年3月1日開始だと週22.5時間ほどになり、平日も1日3時間50分ほどが必要です。3か月(約13週)で150時間なら週12時間ほどが目安です。

保育士試験は独学でも受かりますか?

独学をテーマにした学習サイトのページは、100〜150時間(保育士バンクは100〜180時間)を目安に独学で合格を目指せるとしています。ただし、公式の統計は独学か講座利用かを分けておらず、独学の合格者がどれくらいいるかは分かりません。独学で注意したいのは、試験実施機関が公開している過去問が直近の前期・後期の各1回分だけであることと、実技試験(音楽・造形・言語から2分野)を自分で練習する必要があることです。

保育士試験の科目別の勉強時間配分はどうすればいいですか?

学習サイトの配分は割れています。たとえば保育実習理論は、アガルートの配分では120時間中9時間と最も少ない一方、ユーキャンが短大の単位数から算定した表では44時間と最も多くなっています。保育士試験は科目ごとに満点の6割で合否が決まり、教育原理と社会的養護は同じ回で両方6割以上が必要です。過去問を科目別に解き、6割に届いていない科目、余裕が小さい科目から時間を寄せると、自分の状況に合った配分になります。

公務員の保育士になるには、別に勉強が必要ですか?

公立の保育所で働く保育士は、一般に、保育士資格(または取得見込み)を受験の条件として自治体が行う採用試験に合格して採用されます。採用試験の内容や時期は自治体ごとに異なるので、保育士試験とは別に、志望する自治体の募集要項で試験科目を確かめて対策する必要があります。採用試験の勉強時間を一律に示せる公的なデータは確認できませんでした。

保育士の年収はどれくらいですか?

賃金構造基本統計調査(令和7年)で職種が保育士の人の年収を所定内給与と賞与から当サイトが算出すると、約420万円(平均40.3歳、勤続9.1年)でした。ただしこれは、企業規模10人以上の事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)の保育士の平均で、保育士全体の平均ではありません。資格を取れば年収がこの水準になることや、年収が上がることを示すものでもありません。

調査方法・出典について

  • 申請者数・合格者数は、こども家庭庁「保育士試験の実施状況」(令和7年度、令和6年度)によります。合格者の割合は、合格者数を申請者数で割って当サイトが算出しました。国家戦略特別区域限定保育士試験などの結果は、資料の注記どおり通常試験の結果に合算されています。
  • 試験の日程・科目・満点・試験時間・合格基準・結果公開日・実技試験の内容・過去問の公開範囲・受験手数料・免除制度(幼稚園教諭免許状所有者の免除・特例制度を含む)・受験資格は、全国保育士養成協議会の各ページ(2026年10月1日確認)によります。2027年の日程は、こども家庭庁「令和9年保育士試験について」とも照合しました。
  • 保育士の登録者数はこども家庭庁「保育士登録者数等(男女別)」、保育所等で働く保育士の数は厚生労働省「令和6年社会福祉施設等調査の概況」によります。
  • 職員配置基準は、こども家庭庁「保育政策関係資料集」(令和8年4月)に収録された児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第33条と改正府令の経過措置の条文によります。保育士の定義は、全国保育士養成協議会「保育士試験とは」に掲載された児童福祉法18条の4によります。
  • 有効求人倍率は、こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移」(令和8年1月、令和8年7月)によります。待機児童数はこども家庭庁「保育政策関係資料集」(令和8年4月)、定員充足率は同「保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について」によります。
  • 年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種(小分類)第1表(企業規模計(10人以上)、男女計)の保育士の値から、所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額で当サイトが算出しました。女性の割合も同じ表の労働者数から算出しています。
  • 学習サイトの勉強時間の目安と科目配分は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。数字と前提は各ページの原文によります。四谷学院の標準学習期間の時間換算は、8か月を約243日(365.25日÷12×8)とし、1日45分〜1時間を掛けた当サイトの試算です(休日に多めに勉強するぶんは含めていません)。
  • 合格者の年齢・受験回数・専攻・保育現場での就業経験は、全国保育士養成協議会「保育士試験合格者の就職状況等に関する調査研究」研究報告書(平成30年度、回答1,081人)によります。
  • 開始月別の表、1日1時間で必要な週数、自習室代は当サイトの試算です。1か月は約4.35週(365.25日÷12÷7)として計算しています。
  • 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
  • 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず全国保育士養成協議会の公式情報をご確認ください。