「行政書士は800時間」。行政書士の勉強時間を調べると、まずこの数字に出会います。ところが、学習サイトを1つずつ読むと、目安は300時間から1,000時間以上まで割れています。しかも、確認した7社の解説ページでは、目安をどうやって出したのか、調査の人数や方法まで示しているものは見当たりませんでした。合格者に総勉強時間を聞いたアンケートを人数と時期つきで載せていたのも、確認した7社ではアガルートだけです。
ただ、各サイトが「どんな受験者を想定しているか」をそろえて読み直すと、数字のずれのかなりの部分は説明がつきます。この記事では、その読み直しに、試験を実施している行政書士試験研究センターの公式統計と、合格者の総勉強時間を聞いた数少ない実測データを重ねて、「自分には何時間必要なのか」を自分で見積もれるようにします。あわせて、宅建合格者や法学部出身者はどれだけ短くできるのか、いつから始めれば間に合うのか、科目にどう配分するのか、勉強場所にいくらかかるのか、そして合格した先の数字までを整理します。
この記事の要点
- 学習サイトが示す行政書士の勉強時間は300〜1,000時間以上と割れている。想定する受験者をそろえると、法律初学者の独学で800〜1,000時間以上、法律の学習経験者で500〜800時間と整理できる。講座を使う場合の目安だけは300〜800時間と、各社で大きく割れたまま
- 試験を実施する行政書士試験研究センターは、合格に必要な学習時間を公表していない
- 講座受講者の合格者335人に聞いた調査(アガルート、令和7年度)では、総勉強時間は800〜1,000時間未満の区分が最多で、1,000時間以上が47.2%、600時間未満は20.6%(割合の合計は当サイト算出)。講座を使った合格者でも、講座利用者向けの目安(500〜600時間)より長い人が多い
- 合格基準は、法令等が満点の50%以上、基礎知識が40%以上、全体が60%以上の3つをすべて満たすこと。定員のない絶対評価なので、合格率は過去10年で9.95〜15.72%と動いた
- 令和7年度の受験者は50,163人で、40代以上が6割を占める。合格率は30代の19.4%が最も高く、60代以上は7.0%(年代別の合格率は当サイト算出)
- 宅建合格者が有利なのは主に民法(300点中76点)。最も配点の大きい行政法(112点)と記述式は新しく学ぶ必要がある(配点は公式の問題別配点から当サイトが算出)
- 登録している行政書士(日本行政書士会連合会の個人会員)は54,186人(2026年4月1日現在)
結論:条件をそろえると、目安は3つの層に分かれる
先に結論をまとめます。行政書士の勉強時間の目安は、学習サイトごとにばらばらに見えますが、各サイトが書いている「想定する受験者」の条件で並べ直すと、次のように整理できます。
| 想定する受験者 | 目安 | そう示している学習サイト |
|---|---|---|
| 法律を学んだことがない人が独学 | 800〜1,000時間以上 | アガルート(800〜1,000時間以上)、TAC(800〜1,000時間)、ユーキャン(800〜1,000時間)、フォーサイト(1,000時間程度)、スタディング(初学者は800〜1,000時間寄りで見積もる) |
| 独学(法律の学習経験は限定しない) | 800〜1,000時間 | 伊藤塾(独学で800〜1,000時間) |
| 講座を使う(法律の学習経験は限定しない) | 300〜800時間 | 伊藤塾(受験指導校で300〜500時間)、ユーキャン(通学・通信講座で500時間)、フォーサイト(予備校・通信講座で500〜600時間)、アガルート(予備校・講座の利用者や学習経験者で500〜600時間)、TAC(法律の知識があまりない人が予備校を使う場合に約800時間) |
| 法学部出身者や法律系資格の学習経験者 | 500〜800時間 | アガルート(500〜600時間)、ユーキャン(予備知識があれば500〜600時間)、スタディング(法学部・宅建など学習経験者で500〜600時間)、TAC(予備校で500〜700時間、独学で600〜700時間)、フォーサイト(独学で800時間程度) |
| 学習方法を限定しない一般論 | 500〜1,000時間 | アガルート(500〜1,000時間、中間の800時間ほど)、スタディング(500〜1,000時間)、LEC(独学向けの解説ページで800〜1,000時間。初学者はもう少し必要な可能性があるとし、予備校か独学かを問わず理解度が目安だとも述べている)、ユーキャン(800時間) |
| 自社講座のカリキュラム | 400〜600時間 | 伊藤塾(速修コースは講義・復習込みで400〜500時間)、フォーサイト(自社講座で500〜600時間を想定) |
この表から言えるのは次のことです。
- 法律を学んだことがなく、独学で進めるなら、1,000時間を見込んでおくのが無難です。独学の目安は、初学者を想定する5社も、学習経験を限定しない伊藤塾も、下限が800時間以上です。
- 講座を使う場合の目安は、伊藤塾の300時間からTACの800時間まで、2倍以上の開きがあります。ただし、条件を法律の初学者に限っているのはTACだけで、ほかの4社は講座の利用者全般(アガルートは学習経験者も含む)についての目安です。どの社の数字を信じるかで計画が大きく変わるので、後で紹介する合格者の実測データとあわせて判断してください。
- 法学部出身者や、宅建など法律系の資格を勉強したことがある人は、500〜800時間まで短くできる可能性があります。ただし、行政書士試験で最も配点の大きい行政法は宅建の試験範囲になく、法学部でも手薄なことが多いと指摘されています(詳しくは後の節で)。
なお、TACのページは、法律の予備知識がある人が予備校を使う場合の目安を、本文では500〜700時間、末尾のまとめでは600〜700時間としています。表には本文の値を採りました。
ただし、確認した7社のページでは、目安そのものの根拠として調査の人数や方法を示したものは見当たりませんでした。試験実施機関の行政書士試験研究センターも、合格に必要な学習時間は公表していません。表の数字は「相場観」として受け止め、以下の実測データと公式統計で自分の位置を確かめてください。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、学習科学の研究をもとに勉強時間の目安は本当かで詳しく検証しています。
それでも数字がずれる理由
条件をそろえても残るずれには、確認できた範囲で3つの理由があります。
1つめは、「勉強時間」に講義を視聴する時間を含めるかどうかです。TACは、法律に詳しくない人が予備校で学ぶ場合の800時間を「講義200〜300時間+復習500〜600時間」と説明しています。伊藤塾の速修コースの400〜500時間も、講義と復習をすべて含めた数字です。同じ講座でも講義の量は大きく違い、LECの講座一覧では、スマホで学ぶ講座の講義が約60時間、パーフェクトコースが約200時間です。講座を使う場合の目安を比べるときは、講義の時間が含まれているかどうかを確かめる必要があります。
2つめは、何年分の勉強を数えるかです。行政書士は年1回の試験で、1回で受かる人ばかりではありません。伊藤塾が2024年度の合格者235人に行ったアンケートでは、1回目の受験で合格した人は約41.3%で、平均の受験回数は2.3回でした。合格者の総勉強時間を聞くと、不合格だった年の時間まで含めて答える人がいる可能性があります。学習サイトの「独学なら1,000時間以上」という目安にも、こうした複数年の積み上げが混ざっているかもしれません。
3つめは、講座を売る立場からの見せ方です。伊藤塾、フォーサイト、アガルートなどは「独学なら長く、講座を使えば短い」という形で目安を示しています。講座には教材選びや学習範囲の絞り込みの手間を省ける利点がありますが、独学との時間の差を実際に比べたデータは示されていません。次の節で見るとおり、講座を使った合格者に聞いた調査でも、講座利用者向けの目安より長く勉強した人が多数派でした。
合格者は実際に何時間勉強していたか
総勉強時間を合格者に聞いた調査で、人数と時期が分かるものを1つ確認できました。アガルートが、自社の行政書士講座を使って令和7年度の試験に合格した人を対象に行ったアンケートです(調査期間は2026年1月28日〜3月18日、有効回答335人)。
| 総勉強時間 | 割合 |
|---|---|
| 200時間未満 | 2.1% |
| 200〜400時間未満 | 7.2% |
| 400〜600時間未満 | 11.3% |
| 600〜800時間未満 | 15.8% |
| 800〜1,000時間未満 | 16.4% |
| 1,000〜1,200時間未満 | 15.8% |
| 1,200〜1,400時間未満 | 8.4% |
| 1,400〜1,600時間未満 | 5.1% |
| 1,600〜1,800時間未満 | 3.6% |
| 1,800〜2,000時間未満 | 1.5% |
| 2,000時間以上 | 12.8% |
最も多いのは800〜1,000時間未満(16.4%)です。当サイトが区分ごとの割合を足し上げると、600時間未満は20.6%、600〜1,000時間未満は32.2%、1,000時間以上は47.2%でした。回答者を時間の短い順に並べたときの真ん中(中央値)は、800〜1,000時間未満の区分に入ります。
ここから言えるのは、講座を使って合格した人でも、半数近くは1,000時間以上を費やしていたということです。アガルート自身は、予備校や講座を使う人の目安を500〜600時間としていますが、この調査で600時間未満だった人は約2割にとどまります。
ただし、この調査には注意点が4つあります。対象は講座の受講者で、回答に同意した人だけです。総勉強時間に前年以前の受験の分を含めたかどうかは示されていません。回答は本人の申告です。また、同じページに載っている回答者の年代別の人数は合計258人で、有効回答の335人と一致しておらず、その理由は示されていません。それでも、回答者335人のうち600時間以上だった人は79.4%(当サイト算出)で、「講座を使えば500時間」という目安より長く勉強した人が多数派だったことは読み取れます。自己選択された合格者だけの調査で、複数年分の勉強時間を含むかどうかも示されていないため、500時間で足りなくなる確率までは推定できません。
学習期間については、同じページに、アガルートの講座受講生の学習期間が平均約8.6か月だったという調査結果も載っています。こちらは調査の時期と人数が示されていないため、参考程度にとどめてください。独学の人を対象に、人数と方法を示して総勉強時間を調べた調査は見当たりませんでした。
宅建合格者・法学部出身者はどれだけ短くできるか
「行政書士 勉強時間」と検索すると、「宅建合格者」「法学部」という言葉が一緒に候補に出てきます。法律の学習経験がある人の目安は、学習サイトの整理では500〜800時間です。ただし、どこまで短くなるかは、前の勉強が行政書士試験のどこと重なるかで決まります。
行政書士試験の法令等は、例年おおむね次のように出題されています。科目ごとの区分は試験実施機関の公表ではなく、大手スクールが過去の出題から整理した分類で、年によって1問程度入れ替わることがあります。配点は公式の合否判定基準(5肢択一式は1問4点、多肢選択式は1問8点、記述式は1問20点)から計算しました。
| 科目 | 例年の出題 | 配点 |
|---|---|---|
| 行政法 | 択一19問・多肢2問・記述1問 | 112点 |
| 民法 | 択一9問・記述2問 | 76点 |
| 憲法 | 択一5問・多肢1問 | 28点 |
| 商法・会社法 | 択一5問 | 20点 |
| 基礎法学 | 択一2問 | 8点 |
| 基礎知識 | 択一14問 | 56点 |
宅建の試験で行政書士と重なるのは、主に権利関係の民法です。民法は300点中76点を占めるので、宅建で民法を固めた人の利点は小さくありません。一方で、最も配点の大きい行政法(112点)、憲法、商法・会社法は宅建の試験範囲にありません。宅建の「法令上の制限」で扱う都市計画法や建築基準法は、行政書士試験の行政法(行政手続法や行政事件訴訟法など)とは別の分野です。40字程度で書く記述式の練習も、宅建にはありません。
法学部出身者も同じで、憲法と民法は大学のカリキュラムと重なりますが、アガルートは、試験で最も配点の大きい行政法は法学部でも手薄なことが多いと指摘しています。伊藤塾も、法学部出身だからといって勉強時間が短くなるとは限らないとしています。
宅建合格者や法学部出身者が自分の位置を確かめるには、まず行政書士の過去問を1年分、科目別に解いてみるのが確実です。民法の正答率が高く、行政法がほぼ解けないなら、短縮できるのは民法の分だけ、という見当がつきます。過去問は当サイトの行政書士 過去問解説で年度別・科目別に解けます。宅建の勉強時間の目安は宅建の勉強時間で整理しています。
受験者・合格者の実像:40代以上が6割、合格率は30代が最も高い
令和7年度(2025年11月9日実施)の試験では、申込者63,845人のうち50,163人が受験し、7,292人が合格しました。合格率は14.54%、合格者の平均点は300点満点中197点です。受験率(申込者のうち実際に受験した人の割合)は78.57%でした。
年代別に見ると、次のとおりです。合格率と構成比は、センターが公表した人数から当サイトが算出しました。
| 年代 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 10代以下 | 723人 | 66人 | 9.1% |
| 20代 | 8,294人 | 1,517人 | 18.3% |
| 30代 | 9,907人 | 1,923人 | 19.4% |
| 40代 | 12,161人 | 1,867人 | 15.4% |
| 50代 | 12,330人 | 1,445人 | 11.7% |
| 60代以上 | 6,748人 | 474人 | 7.0% |
受験者の62.3%は40代以上です。合格率は30代の19.4%、20代の18.3%が高く、50代は11.7%、60代以上は7.0%と、年代が上がるほど下がっています。この差には、勉強に使える時間、法律の学習経験、受験の動機など、さまざまな要因が混ざっていると考えられ、この統計だけでは理由を特定できません。男女別では、男性の合格率が15.3%、女性が13.0%でした(当サイト算出)。
宅建の試験実施機関は合格者の職業構成を公表していますが、行政書士試験研究センターは、確認した範囲では受験者の職業や学歴、受験回数を公表していません。「法学部出身者や公務員の合格者がどれくらいいるか」を公式統計で確かめることはできない、ということです。
なお、令和7年度の最年長合格者は77歳、最年少合格者は13歳でした。受験資格に年齢・学歴・国籍の制限はありません。
合格ラインの仕組み:足切りのある絶対評価
行政書士試験は、受験者の上位何割かを合格にする相対評価ではなく、決められた点数を取れば何人でも合格できる絶対評価の試験です。試験案内によると、合格するには次の3つをすべて満たす必要があります。
- 法令等科目の得点が、満点の50%以上
- 基礎知識科目の得点が、満点の40%以上
- 試験全体の得点が、満点の60%以上
令和7年度の合否判定基準では、法令等が244点満点で122点以上、基礎知識が56点満点で24点以上、全体が300点満点で180点以上でした。基礎知識は14問中6問以上を正解しないと、法令等でどれだけ点を取っても不合格になります。いわゆる「足切り」です。また、択一式の採点が終わった段階で基準に届かないと分かった人は、記述式を採点しないことがあるとされています。
センターは合格基準について、問題の難易度を評価して「補正的措置を加えることがある」としています。受験者の正答率などから、その年の問題の難易度が過去と比べて著しく変動したと認められた場合に、合格基準点を見直す措置だと説明しています。
定員がないため、合格率は問題の難易度によって動きます。次のグラフは2006〜2025年度の20年分です。
行政書士試験 受験者数・合格者数と合格率の推移(2006〜2025)
- 受験者数
- 合格者数
- 合格率(%)
直近10年(2016〜2025年度)に限ると、合格率は9.95%から15.72%の間で動きました。絶対評価なので、合否は受験者の順位では決まりません(難易度による基準点の補正はありえます)。その一方で、180点を取れる力がつかなければ、何時間勉強しても受かりません。勉強時間は「合格点に届く力をつけるための見込み」であって、時間を満たせば受かるわけではない点に注意が必要です。合格率が年ごとに大きく変わる背景や試験制度の移り変わりは、行政書士試験はどう変わったかで詳しく扱っています。
いつから始める? 開始月別の「1週・1日あたりの時間」
行政書士試験は、毎年1回、11月の第2日曜日の午後1時から4時まで行われます。2026年度(令和8年度)の試験は11月8日(日)で、合格発表は2027年1月27日(水)です。2027年度の試験日はまだ公表されていません。
11月の試験日から逆算して、始める月ごとに必要な時間を計算すると次のようになります(当サイト試算)。各月の1日に始め、試験日を11月8日と置いて計算しました。11月の第2日曜日は8日から14日のいずれかなので、8日と置くと表の値はやや多めに出ます。週あたりの時間は、正確な週数(日数÷7)から必要な時間を割り、0.5時間単位に切り上げて示しています。切り上げなので、表の時間を毎週続ければ目標の時間に届きます。週数は四捨五入して表示しているため、表示の週数に表の時間を掛けた値とは少しずれることがあります。「前年12月」は、試験の前の年の12月に始める場合です。
| 始める月 | 試験までの週数 | 600時間 | 800時間 | 1,000時間 |
|---|---|---|---|---|
| 前年12月 | 約49週 | 週12.5時間 | 週16.5時間 | 週20.5時間 |
| 1月 | 約44週 | 週14時間 | 週18.5時間 | 週23時間 |
| 2月 | 約40週 | 週15時間 | 週20時間 | 週25時間 |
| 3月 | 約36週 | 週17時間 | 週22.5時間 | 週28時間 |
| 4月 | 約32週 | 週19.5時間 | 週25.5時間 | 週32時間 |
| 5月 | 約27週 | 週22時間 | 週29.5時間 | 週37時間 |
| 6月 | 約23週 | 週26.5時間 | 週35時間 | 週44時間 |
| 7月 | 約19週 | 週32.5時間 | 週43.5時間 | 週54時間 |
働きながら勉強する人向けに、休日に4時間ずつ(週8時間)勉強した場合に、平日に1日あたり必要な時間に直したのが次の表です。正確な週あたりの時間から休日の8時間を引いて5で割り、10分単位に切り上げています。
| 始める月 | 600時間 | 800時間 | 1,000時間 |
|---|---|---|---|
| 前年12月 | 1時間 | 1時間50分 | 2時間30分 |
| 1月 | 1時間10分 | 2時間10分 | 3時間 |
| 2月 | 1時間30分 | 2時間30分 | 3時間30分 |
| 3月 | 1時間50分 | 3時間 | 4時間 |
| 4月 | 2時間20分 | 3時間30分 | 4時間50分 |
| 5月 | 2時間50分 | 4時間20分 | 5時間50分 |
| 6月 | 3時間40分 | 5時間30分 | 7時間10分 |
| 7月 | 5時間 | 7時間10分 | 9時間20分 |
独学の初学者として1,000時間を見込むなら、前年12月か1月に始めても、平日に毎日2時間30分〜3時間が必要です。4月以降に始めて1,000時間を積むには、平日に4時間以上が必要になり、働きながらでは相当に厳しい計画です。LECが独学の人に、翌年の試験を目指すなら前年の11月には勉強を始めたほうがよいとしているのも、この計算と合っています。
「半年」「1年」で考えたい人は、次の目安が使えます(当サイト試算)。1年(約52週)なら、800時間で週15.5時間、1,000時間で週19.5時間です。半年(約26週)なら、800時間で週31時間、1,000時間で週38.5時間になります(いずれも0.5時間単位に切り上げ)。半年で合格を目指す計画は、法律の学習経験があって600時間程度で足りる見込みの人か、平日も長い時間を確保できる人でないと成り立ちにくいでしょう。
試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。
2026年度の試験(11月8日)を受ける人へ
2026年度の試験の受験申込は、インターネットが2026年8月24日(月)午後5時、郵送が8月17日(月)の消印までで、すでに締め切られています。以下は、すでに申し込んでいる人向けの内容です。
試験の直前期に、勉強時間が足りないと感じている人へ、先に正直なことをお伝えします。直前の数週間で、新しい範囲を一から積み上げて合格点に届かせることは難しいと考えてください。
そのうえで、絶対評価のこの試験では、基準点を確実に越えることがすべてです。まず基礎知識の24点(14問中6問)を割らないことを確かめ、次に配点の大きい行政法と民法の過去問を、間違えた問題を中心に繰り返すのが、得点に結びつきやすい方法です。新しいことを読んで覚えるより、思い出す練習を繰り返すほうが記憶に残ることは、学習科学の実験で繰り返し確かめられています(詳しくは資格試験の合格率と学習科学が教える、受かる人の戦略を参照)。
2026年度の試験に間に合わなかった場合も、受験は無駄になりません。センターは合格発表の際、受験者全員(欠席者を除く)に、配点・合格基準点・得点が記載された合否通知書を送ります。基準点との差が分かれば、翌年の配分を決める一番確かな材料になります。
科目別の時間配分:配点から自分で決める方法
科目ごとの時間配分を具体的な数字で示している学習サイトは多くありません。確認できた範囲では、スタディングが1,000時間を学習する場合の配分として、行政法350〜400時間、民法250〜300時間、憲法・基礎法学100〜120時間、商法・会社法50〜80時間、基礎知識80〜120時間、記述式対策・模試・総復習100〜150時間を示しています。配点の約6割を占める行政法と民法に、学習時間の6〜7割を充てる考え方です。
ただ、この配分が合格に最も有利だと比べたデータはありません。そこで、他人の配分をまねるより、自分の目標点から逆算する方法をおすすめします。手順は3つです。
- 合格点より少し上を目標にする。令和7年度の合格者の平均点は197点でした。
- 目標点を科目ごとに割り振る。たとえば、行政法84点、民法48点、憲法18点、商法・会社法8点、基礎法学4点で法令等162点、基礎知識36点(14問中9問)で合計198点、という具合です。法令等の122点と基礎知識の24点という2つの足切りを、それぞれ余裕をもって越えているかも確かめます。
- 科目別に過去問を解いて得点率を測り、目標との差が最も大きい科目に時間を寄せる。1〜2週間ごとに測り直して配分を変えます。
行政法は出題数が最も多い科目で、試験の概要でも、行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を中心に出題すると明示されています。商法・会社法は5問20点に対して範囲が広く、スタディングは時間をかけすぎないよう注意を促しています。記述式は1問20点と大きいので、民法と行政法の理解が進んだ段階で練習を始めます。
過去問は当サイトの行政書士 過去問解説で年度別・科目別に解けます。どの本を使うかは行政書士のおすすめ参考書ガイドで整理しています。過去問を何周すればいいかは「過去問は3周」は本当かを参考にしてください。
勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか
800〜1,000時間を積むうえで最も大きな壁は、毎日の時間を1年近く確保し続けることです。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。
当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。
| 集計の範囲 | 金額 |
|---|---|
| 第1四分位(安い方から4分の1の位置) | 月5,800円 |
| 中央値 | 月7,800円 |
| 第3四分位(高い方から4分の1の位置) | 月11,000円 |
324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。
1月に始めて11月の試験まで勉強する場合、月単位で契約すると11か月分です。中央値の月7,800円なら自習室代の合計は8万5,800円で、第1四分位なら6万3,800円、第3四分位なら12万1,000円です(当サイト試算)。4月に始める場合は8か月分で、中央値なら6万2,400円です。これに受験手数料10,400円が加わります。インターネットで申し込む場合は、別にシステム手数料370円がかかります。
公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。
受かった後の数字:行政書士はどれだけいて、何を根拠に仕事をしているか
最後に、800〜1,000時間をかけて取る資格の「その先」を、公表されている数字で見ておきます。
登録している行政書士は54,186人
試験に合格しても、すぐに行政書士として仕事ができるわけではありません。日本行政書士会連合会の名簿に登録を受ける必要があり、登録には、事務所を置く都道府県の行政書士会への入会が伴います。
日本行政書士会連合会が公表している各都道府県の行政書士会の会員数を合計すると、2026年4月1日現在で個人会員は54,186人、行政書士法人は1,719法人です。個人会員の数は、登録している行政書士の数にあたります。最も多いのは東京都の8,573人で、大阪府の4,028人、愛知県の3,447人が続きます。
この54,186人は、試験の合格者だけではありません。行政書士法では、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を持つ人や、公務員として行政事務を通算20年以上(高校卒業者などは17年以上)担当した人も、行政書士となる資格を持ちます。また、合格しても登録しない人もいます。センターの公表では令和7年度だけで7,292人が合格していますが、合格者の累計と登録者の数は別のものとして見る必要があります。
需要の根拠は法律にある
行政書士の仕事は、他人の依頼を受け、報酬を得て、官公署に提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類を作ることです。日本行政書士会連合会は、これらの書類の作成に加え、その提出の代理や相談も業務として挙げています。ただし、他の法律で制限されている業務(登記や税務の書類など)は扱えません。
行政書士法19条1項は、行政書士や行政書士法人でない者が、業としてこれらの書類を作ることを禁じています。2025年6月13日に公布され、2026年1月1日に施行された改正法(令和7年法律第65号)で、この条文に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という句が加わりました。日本行政書士会連合会の会長談話によると、この改正は、コロナ禍で行政書士でない者が給付金などの代理申請で多額の報酬を受け取る事例が散見されたことを受けたものです。会費、手数料、コンサルタント料、商品代金など、どんな名目で対価を受け取っても違反になることが明確になったと説明しています。談話は、こうした行為は改正前の法律でも違反であることに変わりはないとしています。
年収は公的統計からは示せない
行政書士の年収について、当サイトは数字を示しません。理由は2つあります。1つは、公的な賃金統計である厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)の職種の区分では、行政書士が速記者などとともに「他に分類されない専門的職業従事者」に含まれ、行政書士だけの値を取り出せないことです。もう1つは、この調査の対象が、民営事業所では5人以上の常用労働者を雇用する事業所(5〜9人の事業所は企業規模が5〜9人のものに限る)、公営事業所では10人以上の常用労働者を雇用する事業所とされていることです。少人数や個人で開業している事務所は、対象に入らないことが多いと考えられます。行政書士の開業と勤務の内訳も、確認した範囲では公表されていません。
よくある質問
行政書士の勉強時間は何時間必要ですか?
想定する受験者によって変わります。条件を明示している学習サイトの目安をそろえると、法律を学んだことのない人の独学で800〜1,000時間以上、講座を使う場合(学習経験は限定しない)で300〜800時間(各社で大きく割れます)、法学部出身者や他の法律系資格の学習経験者で500〜800時間です。講座受講者の合格者335人に聞いたアガルートの調査では、総勉強時間は800〜1,000時間未満の区分が最も多く、1,000時間以上の人も47.2%いました(47.2%は当サイト算出)。試験実施機関の行政書士試験研究センターは、合格に必要な学習時間を公表していません。
行政書士に合格するには1日何時間勉強すればいいですか?
始める時期によって変わります。11月の試験から逆算して800時間を積む場合、1月開始なら週18.5時間で、休日に4時間ずつ勉強すれば平日は1日2時間10分、4月開始なら週25.5時間で、平日は1日3時間30分が必要です(いずれも切り上げ、当サイト試算)。1,000時間を見込むなら、1月開始でも週23時間、平日1日3時間になります。
行政書士は半年や3か月で合格できますか?
半年(約26週)で800時間を積むには週31時間、1,000時間なら週38.5時間が必要です(当サイト試算)。3か月(約13週)で600時間でも週46.5時間になり、働きながらでは相当に厳しい計画です。講座受講者の合格者アンケート(アガルート、335人)でも、総勉強時間が600時間未満だった人は20.6%でした(当サイト算出)。短期合格の体験談には、法律の学習経験がある人や、前年までの受験で学習を積んでいた人のものが含まれている可能性があります。
宅建合格者や法学部出身者は勉強時間を短くできますか?
短くできる可能性はありますが、学習サイトの目安は500〜800時間です。アガルートは、法学部出身者や法律の学習経験者は初学者より2〜4割ほど短い時間で合格レベルに届く計算だとしています。宅建と重なるのは主に民法で、民法の配点は300点中76点です(大手スクールの出題区分と公式の配点から当サイトが算出)。最も配点の大きい行政法(112点)と憲法、40字程度で書く記述式は、宅建の試験範囲にありません。法学部出身者についても、行政法は大学で手薄なことが多いと指摘する学習サイトがあります。
行政書士の科目別の勉強時間配分はどうすればいいですか?
配点の大きい行政法と民法に多くの時間を充てるのが基本です。大手スクールの出題区分で数えると、行政法は112点、民法は76点で、合わせて300点の6割強を占めます(配点は公式の問題別配点から当サイトが算出)。スタディングは1,000時間のうち行政法に350〜400時間、民法に250〜300時間を充てる配分を示しています。ただし基礎知識は14問中6問(24点)に届かないとそれだけで不合格になるため、時間をゼロにはできません。
行政書士は何人いて、年収はどのくらいですか?
日本行政書士会連合会の公表では、2026年4月1日現在の個人会員は54,186人です。行政書士として仕事をするには名簿への登録と都道府県の行政書士会への入会が必要なので、これが登録している行政書士の数にあたります。年収については、厚生労働省の賃金構造基本統計調査では行政書士が速記者などとともに「他に分類されない専門的職業従事者」に含まれて単独の値が取れず、調査の対象も民営事業所では5人以上の常用労働者を雇うところに限られるため、当サイトでは示していません。
調査方法・出典について
- 受験申込者数・受験者数・合格者数・合格率・合格者の平均点・最年長と最年少の合格者は、行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験実施結果の概要」(2026年1月28日)によります。過去10年の合格率は同センター「試験結果の推移」、グラフの2006年度以降の値は同センターの公表値によります。
- 年代別・男女別の受験者数と合格者数は、同センター「最近3年間における行政書士試験の受験者・合格者の属性」によります。年代別・男女別の合格率と構成比は、公表された人数から当サイトが算出しました。
- 合格基準は、同センターの令和8年度試験案内と「よくある質問」、令和7年度の合否判定基準によります。配点は合否判定基準の問題別配点によります。科目別の出題数は、大手スクールが過去の出題から整理している分類を、令和7年度の試験問題で当サイトが確認したものです。科目別の配点はそこから当サイトが計算しました。
- 試験日程・受験手数料・システム手数料は、同センター「令和8年度行政書士試験のご案内」と令和8年度の試験案内によります。
- 行政書士の個人会員数・法人会員数は、日本行政書士会連合会「各都道府県の行政書士会所在地・会員数等」(令和8年4月1日現在)に掲載された都道府県別の値と合計によります。登録の仕組みと行政書士となる資格は、同連合会「行政書士登録について」に掲載された行政書士法の条文によります。
- 行政書士の業務は、行政書士試験研究センター「試験の概要」と日本行政書士会連合会「行政書士の業務」によります。2026年1月1日施行の行政書士法19条の改正は、衆議院が掲載している改正法(令和7年法律第65号)の条文と、日本行政書士会連合会の会長談話によります。
- 年収を示さない理由は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」の調査の範囲(事業所の条件)と、同省「業種別主な職種早見表」(令和8年調査版)の職種区分(行政書士は「他に分類されない専門的職業従事者」)で確認しました。
- 学習サイトの勉強時間の目安と科目配分は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。
- 合格者の総勉強時間は、アガルートが公表している令和7年度合格者アンケート(調査期間2026年1月28日〜3月18日、有効回答335人)によります。600時間未満・1,000時間以上などの割合と中央値の区分は、公表された区分ごとの割合から当サイトが算出しました。伊藤塾の受験回数は、同社が公表している2024年度合格者235人へのアンケートによります。
- 開始月別の週・平日1日あたりの時間は、各月1日に始めて試験日を11月8日と置き、当サイトが試算しました。
- 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
- 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず行政書士試験研究センターの公式情報をご確認ください。