「宅建は300時間」。宅建の勉強時間を調べると、ほぼ必ずこの数字に行き当たります。ところが、学習サイトを1つずつ読むと、目安は200時間から600時間以上まで割れています。しかも、総勉強時間の数字をどうやって出したのか、調査の人数や方法まで示しているサイトは見当たりませんでした。

ただ、各サイトが「どんな受験者を想定しているか」をそろえて読み直すと、数字のずれの大半は説明がつきます。この記事では、その読み直しに、試験を実施している不動産適正取引推進機構(RETIO)の公式統計と、合格者の勉強時間に関する数少ない実測データを重ねて、「自分には何時間必要なのか」を自分で見積もれるようにします。あわせて、いつから始めれば間に合うのか、1日に何時間やればいいのか、科目にどう配分するのか、勉強場所にいくらかかるのか、そして合格した先にどんな数字が待っているのかまでを整理します。

この記事の要点

  • 学習サイトが示す宅建の勉強時間は200〜600時間以上と割れている。ただし想定する受験者をそろえると、知識ゼロからの独学で300〜600時間以上(最も慎重な3社は500時間以上)、初学者の一般的な目安で300〜400時間、経験者で200〜350時間と整理できる
  • 試験を実施するRETIOは、合格に必要な学習時間を公表していない。確認した8社のページでは、総勉強時間の算出根拠となる調査の人数や方法は示されていない
  • 数少ない実測データ(講座受講者の合格者129人)では、平日1日2時間・休日3時間が最多。当サイトの試算では平均して週およそ17時間のペース
  • 令和7年度の合格者の33.2%は不動産業。業界で働く人だけが受けられる登録講習の修了者(5問免除)の合格率は24.2%で、一般受験者(当サイト算出で17.2%)より約7ポイント高い
  • 合格点は過去10年で33〜38点と動く。宅建は合格率がほぼ一定の試験で、時間を満たせば受かるわけではない
  • 宅建士の資格登録者は124万人いるが、宅建士証の交付を受けて宅建業に従事している就業者は36.5万人。その平均年齢は50.0歳で、60歳以上が4分の1を占める

結論:条件をそろえると、目安のずれは小さくなる

先に結論をまとめます。宅建の勉強時間の目安は、学習サイトごとにばらばらに見えますが、各サイトが書いている「想定する受験者」の条件で並べ直すと、次のように整理できます。

想定する受験者目安そう示している学習サイト
法律や不動産の知識がない人が、独学で学ぶ300〜600時間以上TAC(法律初学者の独学で600時間以上)、ユーキャン(知識がまったくない人で500時間ほど)、伊藤塾(独学300〜500時間。法律初学者は500時間で計算)、LEC(独学・ゼロから始めて300時間程度)
初学者の一般的な目安(学習方法を限定しない)300〜400時間アガルート(初めて受ける人で300〜400時間。独学ではさらに増える可能性があるとする)、日建学院(300〜400時間)
初学者が講座を使う300〜400時間TAC(予備校に通う場合400時間)、ユーキャン(講座を使う場合300〜400時間)、フォーサイト(自社の通信講座の受講生データで、完全初学者300〜400時間)
学習方法を限定しない一般論200〜300時間スタディング
自社講座のカリキュラムどおりに進めた場合約200時間伊藤塾(受験指導校を使う場合)
法律系資格の経験者や、不動産業で働く人200〜350時間フォーサイト(自社の通信講座の受講生データで、業界経験者200〜250時間、法律系資格保有者250〜300時間)、ユーキャン(300〜350時間)

この表から言えるのは次のことです。

  • 法律を学んだことがなく、不動産業の経験もない人が独学するなら、500時間前後を見込んでおくのが無難です。独学の初学者の目安は300〜600時間以上と幅がありますが、最も慎重なTAC・ユーキャン・伊藤塾の3社は500時間以上を示しています。短めに見積もって途中で時間が足りなくなるより、長めに見積もって早く仕上がるほうが、計画の立て直しが楽です。
  • 講座を使う初学者、あるいは教材と計画がしっかりしている人なら、300〜400時間が相場観です。
  • 法律系の資格を勉強したことがある人や、不動産業で働いている人は、200〜350時間まで短くできる可能性があります。

ただし、確認した8社のページでは、総時間の算出根拠となる調査の人数や方法は示されていませんでした。試験実施機関のRETIOも、合格に必要な学習時間は公表していません。表の数字は「相場観」として受け止め、以下の実測データと公式統計で自分の位置を確かめてください。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、学習科学の研究をもとに勉強時間の目安は本当かで詳しく検証しています。

それでも数字がずれる理由

条件をそろえても残るずれには、2つの理由があります。

1つめは、「勉強時間」に何を含めているかです。講座の目安には、講義を視聴する時間が含まれていることがあります。TACは予備校の場合を「講義150時間程度+自習250時間程度」で400時間、伊藤塾は「講義66時間+復習132時間」で約200時間と、計算の中身を示しています。逆に言えば、講座を使っても、講義を見る時間とは別に、自分で問題を解く時間が必要だということです。

2つめは、独学と講座で目安が分かれていることです。TAC、伊藤塾、ユーキャンは「独学なら長く、講座を使えば短い」という形で目安を示しています。講座には教材選びや計画づくりの手間を省ける利点がありますが、独学との時間の差を実際に比べたデータは、確認した範囲では見当たりませんでした。

合格者は実際に1日何時間勉強していたか

総勉強時間を大人数で調べた公開データは、確認できた範囲ではありません。代わりに、1日あたりの勉強時間を合格者に聞いた調査が1つあります。アガルートが、自社の講座を使って令和6年度の試験に合格した人を対象に行ったアンケートです(調査期間は2024年11月26日〜2025年1月5日、有効回答129人)。

1日の勉強時間平日休日
30分10.1%0.8%
1時間17.8%6.2%
1時間30分20.2%5.4%
2時間29.5%13.2%
2時間30分4.7%3.9%
3時間10.1%20.2%
3時間30分0.0%2.3%
4時間3.9%19.4%
4時間30分0.0%0.8%
5時間1.6%10.1%
6時間以上2.3%17.8%

平日で最も多いのは2時間(29.5%)、休日で最も多いのは3時間(20.2%)で、4時間(19.4%)が僅差で続きます。平日に2時間以上勉強していた人は52.1%、休日に3時間以上勉強していた人は70.6%でした。

この分布から当サイトが平均を試算すると、平日は1日約1.9時間、休日は1日約3.6時間になります(「6時間以上」は6時間として計算したので、休日の値は少し低めに出ています)。平日5日と休日2日で合計すると、週およそ17時間です。このペースなら、300時間に届くのは約18週(4か月強)、400時間なら約24週(5か月半)です。

ただし、この調査には注意点が3つあります。対象はアガルートの講座で合格した人のうち回答した人だけで、独学の人や回答しなかった人は含まれません。そのため、独学の人と同じペースとは限りません。また、総勉強時間や学習を始めた時期は聞かれていないので、「何か月続けたか」はこの調査からは分かりません。さらに、1日の勉強時間は回答者の自己申告です。

短期合格の体験談をどう読むか:合格者の3人に1人は不動産業

「100時間で受かった」「2か月で受かった」という体験談もよく目にします。自分に当てはめる前に知っておきたいのが、RETIOが公表している合格者の内訳です。

令和7年度(2025年10月実施)の試験では、受験者245,462人のうち45,821人が合格し、合格率は18.7%でした。合格者を職業別に見ると、次のとおりです。

合格者の職業構成比
不動産業33.2%
他業種27.9%
その他(主婦を含む)11.3%
学生10.9%
建設業8.7%
金融業8.1%

合格者の3人に1人は不動産業で働いている人です。不動産業で働く人のなかには、重要事項の説明や契約書面に関わる実務を通じて、試験範囲の一部を仕事で身につけている人もいると考えられます。

さらに、不動産業で働く人には登録講習という制度があります。宅建業に従事していることを示す従業者証明書を持つ人だけが受けられる講習で、修了すると本試験50問のうち5問が免除されます。免除されるのは、土地・建物の形質や、不動産の需給・実務に関する分野です。令和7年度の登録講習修了者の合格率は、一般受験者と大きく違いました。

令和7年度 宅建試験の合格率 — 登録講習修了者(5問免除)と一般受験者

登録講習修了者(5問免除)24.2%

受験者50,920人・合格者12,316人

全体18.7%

受験者245,462人・合格者45,821人

一般受験者(当サイト算出)17.2%

受験者194,542人・合格者33,505人

一般受験者の合格率はRETIOが単独では公表していないため、全体から登録講習修了者を差し引いて当サイトが算出しました。登録講習は宅建業に従事している人だけが受けられるため、この差には5問免除の効果だけでなく、実務経験の有無や受験率の違い(修了者89.5%、全体80.2%)も含まれます。出典: 不動産適正取引推進機構(RETIO)「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(2025年11月26日)

一般受験者の合格率17.2%は、RETIOが単独では公表していないため、全体の数字から登録講習修了者を差し引いて当サイトが算出したものです。登録講習修了者のほうが約7ポイント高くなっていますが、この差には5問免除の効果だけでなく、宅建業に従事しているかどうか(登録講習の受講資格)の違いや、申し込んだ人のうち実際に受験した人の割合(修了者89.5%、全体80.2%)の違いも含まれています。

短期で受かった人がどんな経歴だったかを直接示すデータはありません。参考までに、合格者のうち不動産業は約1万5,200人(45,821人×33.2%、当サイト算出)で、登録講習修了者の合格者は1万2,316人です。ただし、不動産業の合格者のうち何人が登録講習を修了していたかは公表されていません(試験時点の職業区分と登録講習修了者との正確な重複人数は公表されていません)。そのため、不動産業の合格者の何割が5問免除を受けていたのかは、この統計からは言えません。分かるのは、合格者の3人に1人が不動産業で働く人であること、そして5問免除を受けた人の合格率が一般受験者より高いことです。インターネットで見かける短期合格の体験談に、こうした人のものが含まれている可能性があります。伊藤塾も、300時間以下で受かる人の例として、行政書士など法律系資格の合格者、法学部で民法を学んだ人、不動産業界の実務経験者を挙げています。経験のない初学者が、その時間をそのまま自分に当てはめるのは危険です。

合格点は33〜38点。時間では合格ラインは決まらない

宅建の合格基準点は、年度ごとに変わります。RETIOは合格基準点の決め方や、合格者の割合の事前の基準を公表していません。公表された結果を見ると、10月試験の合格率はおおむね15〜19%の帯に収まる一方で、合格点は年によって大きく動いています。次のグラフは2006〜2025年度の20年分で、各年度の10月試験を描いています。

宅建試験 合格基準点と合格率の推移(2006〜2025年度)

  • 合格基準点(左軸・点)
  • 合格率(右軸・%)
283032343638401214161820343533333636333332313535373538343636373320062007200820092010201120122013201420152016201720182019202020212022202320242025
出典: 不動産適正取引推進機構(RETIO)試験結果概要。合格基準点は変動を見やすくするため縦軸を28〜40点に拡大。2020・2021年度は10月実施分

2020年度と2021年度は、10月試験に加えて12月にも試験が実施されました。グラフにはどちらも10月試験の値だけが入っています。12月試験は、2020年度が受験者35,261人・合格者4,610人・合格率13.1%・合格点36点、2021年度が受験者24,965人・合格者3,892人・合格率15.6%・合格点34点でした(RETIO「試験実施概況」)。

直近10年(2016〜2025年度)に限ると、合格点は33点から38点でした。38点が必要な年もあれば、33点で受かる年もあります。2025年度は、合格率が過去10年で最も高い18.7%だった一方で、合格点は33点まで下がりました。正解の個数を答える「個数問題」が大幅に増えた年です。この年の中身は2025年(令和7年度)宅建試験 徹底解説で1問ずつ読み解いています。

ここから言えるのは、「何時間やったか」ではなく、「本番で何点取れるか」で合否が決まるということです。300時間を満たしても、合格点に届く得点力がつかなければ受かりません。時間の量よりも、過去問を繰り返して本番で確実に取れる問題を増やせているかどうかが効きます。合格点がなぜ動くのか、宅建が「昔より難しくなった」と言われる理由は宅建試験 難化の歴史で扱っています。

いつから始める? 開始月別の「1週・1日あたりの時間」

宅建の本試験は、例年10月の第3日曜に行われます。2026年度(令和8年度)の試験は10月18日(日)の13時〜15時(登録講習修了者は13時10分〜15時)で、合格発表は11月25日です。2027年度の試験日は、例年どおりなら2027年6月上旬の官報公告で発表されます。

10月中旬の試験日から逆算して、始める月ごとに必要な時間を計算すると次のようになります。各月の1日に始め、試験日を10月15日と置いて計算しました(実際の試験日は例年10月第3日曜なので、表の値はやや多めに出ます)。表の値はすべて当サイトの算出です。週あたりの時間は正確な週数で割って0.5時間単位に切り上げ、週数は四捨五入して表示しています。「平日1日」の列は、休日に4時間ずつ(週8時間)勉強した場合に、表の週あたりの時間に届くよう平日に1日あたり必要な時間を、10分単位に切り上げたものです。

始める月試験までの週数300時間:週300時間:平日1日400時間:週400時間:平日1日
前年11月約50週6.5時間休日だけで足りる8.5時間10分
1月約41週7.5時間休日だけで足りる10時間30分
3月約33週9.5時間20分12.5時間1時間
4月約28週11時間40分14.5時間1時間20分
5月約24週13時間1時間17時間1時間50分
6月約19週15.5時間1時間30分21時間2時間40分
7月約15週20時間2時間30分26.5時間3時間50分
8月約11週28時間4時間37.5時間6時間

独学の初学者として500時間を見込むなら、表の400時間の列よりさらに25%多い時間が必要です。たとえば4月開始で500時間なら週およそ18時間になります(当サイト算出)。

先ほどの合格者アンケートから試算した「週およそ17時間」を物差しにすると、300時間を目指すなら6月開始、400時間を目指すなら5月開始が、合格者の平均的なペースで間に合う最後のラインです。7月以降に始めると、休日に4時間ずつ勉強しても平日に毎日2時間以上が必要になり、働きながらでは相当に厳しい計画になります。

試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。

科目別の時間配分:各社の答えがバラバラな理由と、自分で決める方法

宅建の50問は、例年おおむね次のように出題されています。これは試験実施機関の公表ではなく、大手スクールが過去の出題から整理した分類です。

分野例年の出題数範囲
宅建業法20問宅地建物取引業法と関連法令
権利関係14問民法、借地借家法、区分所有法、不動産登記法など
法令上の制限8問都市計画法、建築基準法、農地法など
税・その他8問不動産の税、価格の評定、5問免除の対象分野

科目ごとに何時間かけるべきかについては、学習サイトの答えがはっきり割れています。TACは民法等に全体の4割(160時間)、宅建業法に3割(120時間)を充てる一方、スタディングは宅建業法に4割(120時間)、権利関係に3割(90時間)としています。宅建業法と権利関係を同じくらいにしているサイトもあります。どちらの派も、全体の7割前後をこの2分野に充てる点は共通しています。ただ、どの配分が合格に有利かを比べたデータはありません。

そこで、他人の配分をまねるより、自分の目標点から逆算する方法をおすすめします。手順は3つです。

  1. 合格点の上限に近い点を目標にする。過去10年の最高は38点です。
  2. 目標点を分野ごとに割り振る。たとえば、宅建業法18点、権利関係8点、法令上の制限6点、税・その他6点で合計38点、という具合です。宅建業法は出題数が最も多く、範囲がほぼ宅建業法とその関連法令に限られるため、高い目標を置く人が多い分野です。権利関係は民法を中心に範囲が広く、満点を狙いにくい分野です。
  3. 分野別に過去問を解いて正答率を測り、目標点との差が最も大きい分野に時間を寄せる。1〜2週間ごとに測り直して配分を変えます。

この方法なら、法律の経験がある人は権利関係の時間を減らし、苦手な分野に時間を回すといった調整が自然にできます。過去問は当サイトの宅建 過去問解説で年度別に解けます。どの本を使うかは宅建のおすすめ参考書ガイドで整理しています。

2026年10月18日の試験を受ける人へ

2026年度の試験は10月18日(日)で、インターネット申込は7月31日まででした。2026年度の試験を申し込み済みで、残りの勉強時間が100時間前後の人には、先に正直な数字をお伝えします。100時間は、確認した学習サイトのどの目安も下回っています。受かる保証はありません。

そのうえで、この時期に点数を最も増やしやすいのは、出題数が最も多い宅建業法の過去問を繰り返すことです。新しいテキストや論点に手を広げるより、すでに学んだ範囲の過去問を、間違えた問題を中心に2周、3周と回すほうが本番の得点に結びつきます。新しいことを読んで覚えるより、思い出す練習を繰り返すほうが記憶に残ることは、学習科学の実験で繰り返し確かめられています(詳しくは勉強時間の目安は本当かを参照)。

2026年度の試験で思うような結果が出なかった場合も、受験は無駄になりません。令和8年度から、インターネットで申し込んだ受験者は、2026年11月26日から(予定)自分の得点を確認できるようになります。郵送で申し込んだ人は対象外です。どの分野で点を落としたかが分かれば、2027年度の配分を決める一番確かな材料になります。

勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか

300〜500時間を積むうえで、最も大きな壁は「毎日の時間を確保し続けること」です。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。

当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。

集計の範囲金額
第1四分位(安い方から4分の1の位置)月5,800円
中央値月7,800円
第3四分位(高い方から4分の1の位置)月11,000円

324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。

週17時間のペースで300〜400時間を積むと、期間は4か月強から5か月半です。月単位で契約すると5〜6か月分になり、中央値の月7,800円なら自習室代の合計は3万9,000円〜4万6,800円です(当サイト試算)。これに受験手数料8,200円が加わります。

公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。

受かった後の数字:宅建士はどれだけいて、どう働いているか

最後に、300〜500時間をかけて取る資格の「その先」を、公式統計で見ておきます。

資格登録者は124万人、業界で働いているのは36.5万人

RETIOの統計によると、2026年3月末時点で宅建士の資格登録者は124万3,738人です。このうち宅建士証の交付を受けている人は59万86人で、登録者の47.4%です(当サイト算出)。さらに、宅建士証の交付を受けていて、かつ宅建業に従事している人(RETIOの定義する就業者)は36万5,008人で、登録者の29.3%です(当サイト算出)。RETIOは、登録者のうち交付を受けていない人や宅建業に従事していない人の内訳や理由を公表していないため、この差の理由はこの統計からは分かりません。

業界で働く宅建士の平均年齢は50.0歳

合格者の平均年齢は36.2歳ですが、宅建業で働く宅建士の平均年齢は50.0歳、資格登録者全体では61.2歳です。

宅建業で働く宅建士(就業者)36.5万人の年代構成(2026年3月末)

29歳以下8.5%

31,178人

30〜39歳17.2%

62,645人

40〜49歳23.6%

86,188人

50〜59歳25.6%

93,262人

60〜69歳14.7%

53,743人

70歳以上10.4%

37,992人

就業者=宅建士証の交付を受け、宅建業に従事している人。平均年齢は50.0歳。資格登録者(124万3,738人)の平均年齢は61.2歳。出典: 不動産適正取引推進機構(RETIO)「宅建業者と宅地建物取引士の統計概要」令和7年度末

就業者のうち60歳以上は25.1%で、4人に1人にあたります。一方、29歳以下は8.5%です。女性の比率は27.3%で、32年間で9.9ポイント上がっています。

需要の根拠は法律にある

宅建士の需要を支えているのは法律です。宅建業法は、宅建業者に対し、契約が成立するまでに宅建士に重要事項説明書を交付させ、説明させることを義務づけています(35条)。重要事項説明書と、契約内容を記した書面(37条書面)への記名も、宅建士が行います。

さらに、宅建業者は事務所ごとに、業務に従事する人5人に1人以上の割合で、成年者である専任の宅建士を置かなければなりません(宅建業法31条の3、同法施行規則15条の5の3)。宅建業者の数は2026年3月末で13万3,727業者で、前年度から1.2%増え、12年連続で増えています。宅建業に従事する宅建士(就業者)も平成16年度末から22年連続で増えており、令和7年度末の伸びは約2.1%(当サイト算出)でした。

年収は「業界の値」で見るしかない

宅建士だけを対象にした公的な賃金統計はありません。参考として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)から、不動産取引業に勤める人の年収を「所定内給与×12か月+年間賞与」で算出すると、約667万円(平均年齢40.4歳)になります。全産業の約510万円(平均44.4歳)を上回ります。

ただし、この値は事務職なども含めた不動産取引業全体の平均で、宅建士の資格を持つ人だけの値ではありません。また、資格を取れば年収がこの水準になることを示すものでもありません。

資格手当については、公的な統計が見当たりませんでした。民間の資格情報サイトが公開求人100社を集計した例(2022年3月30日更新の記事)では、月2万円が最も多く(46社)、次いで月3万円(27社)でした。ただし、どの求人媒体をいつ集計したかは示されていません。

よくある質問

宅建の勉強時間は何時間必要ですか?

想定する受験者によって変わります。受験者の条件を明示している学習サイトの目安をそろえると、法律や不動産の知識がない人の独学で300〜600時間以上(最も慎重な3社は500時間以上)、初学者の一般的な目安や講座を使う場合で300〜400時間、法律系資格の経験者や不動産業で働く人で200〜350時間です。試験実施機関のRETIOは学習時間を公表していません。宅建は合格点が年によって33〜38点と動く試験なので、時間を満たせば受かるという性質のものではない点にも注意が必要です。

宅建に合格するには1日何時間勉強すればいいですか?

始める時期によって変わります。10月中旬の試験から逆算して300時間を積む場合、当サイトの計算では、4月開始なら週11時間で、休日に4時間ずつ勉強すれば平日は1日40分ほど、7月開始なら週20時間で、平日も1日2時間30分ほどが必要です。講座受講者の合格者アンケート(アガルート、令和6年度合格者129人)では、平日は1日2時間、休日は3時間という人が最も多く、当サイトがこの分布から試算すると平均は週およそ17時間でした。独学の人を対象にした同様の調査は見当たりません。

宅建は3か月や2か月、1か月で合格できますか?

300時間を積むには、1か月を30日として当サイトが計算すると、3か月(約12.9週)なら週23.5時間、2か月(約8.6週)なら週35時間が必要で、働きながらでは相当に厳しい計画です。1か月(約4.3週)で100時間を積む場合も週23.5時間になり、しかも100時間は確認した学習サイトのどの目安も下回ります。週あたりの時間は0.5時間単位に切り上げています。短期合格の体験談には、不動産業で働く人や、法律系資格の学習経験がある人のものが含まれている可能性があります。令和7年度の合格者の33.2%は不動産業でした。

宅建の科目別の勉強時間配分はどうすればいいですか?

学習サイトの配分は割れています。TACは民法等に4割・宅建業法に3割、スタディングは宅建業法に4割・権利関係に3割としており、統一された正解はありません。例年の出題は宅建業法20問・権利関係14問・法令上の制限8問・税その他8問です。目標点を分野別に割り振り、過去問の正答率が目標に最も届いていない分野に時間を寄せる、という方法なら自分の状況に合わせて配分を決められます。

宅建に合格すると年収は上がりますか?

宅建士だけを対象にした公的な賃金統計はありません。参考値として、賃金構造基本統計調査(令和7年)で不動産取引業に勤める人の年収を所定内給与と賞与から算出すると約667万円(平均40.4歳)で、全産業の約510万円(平均44.4歳)を上回ります。ただしこれは職種を問わない業界全体の値で、資格を取れば年収が上がることを示すものではありません。

調査方法・出典について

  • 受験者数・合格者数・合格率・合格点・合格者の平均年齢と職業別構成は、RETIO「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(2025年11月26日)と「試験実施概況(令和7年度以前10年間)」によります。一般受験者の合格率は、全体の値から登録講習修了者の値を差し引いて当サイトが算出しました。
  • 宅建士の登録者数・宅建士証交付者数・就業者数と年齢構成、宅建業者数は、RETIO「宅建業者と宅地建物取引士の統計概要」(令和7年度末=2026年3月31日現在)によります。
  • 試験の日程と得点の確認サービスは、RETIO「宅建試験のスケジュール」と令和8年度の試験案内によります。受験手数料8,200円は令和8年度の額です。
  • 宅建士の業務と専任宅建士の設置基準は、宅地建物取引業法(35条、37条、31条の3)と同法施行規則(15条の5の3)の条文を確認しました。
  • 年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の一般労働者(民営事業所、企業規模10人以上、男女計)の値から、所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額で当サイトが算出しました。産業中分類「不動産取引業」と産業計の値です。
  • 学習サイトの勉強時間の目安と科目配分は、2026年9月29〜30日に各社の解説ページで確認しました。
  • 合格者の1日の勉強時間は、アガルートが2025年2月6日に公表した令和6年度合格者アンケート(有効回答129人)によります。平均の時間と週あたりの時間は、公表された分布から当サイトが試算しました。
  • 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
  • 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ずRETIOの公式情報をご確認ください。