「衛生管理者は第一種100時間、第二種60時間」。衛生管理者の勉強時間を調べると、この2つの数字がよく出てきます。ところが、学習サイトを1つずつ読むと、第一種は40時間から200時間まで、第二種は30時間から100時間まで割れています。しかも、その数字をどうやって出したのか、調査の人数や方法まで示しているサイトは見当たりませんでした。

衛生管理者の試験には、勉強時間の見積もりに関わる特徴が3つあります。受験するのに労働衛生の実務経験が要ること、全国各地で毎月試験が行われること、そして科目ごとの足切りがあることです。この記事では、各サイトが「どんな受験者を想定しているか」をそろえて目安を読み直し、試験を実施している安全衛生技術試験協会(以下、協会)の公式統計と法令を重ねて、「自分には何時間必要か」「いつの試験日を申し込めばいいか」を自分で決められるようにします。あわせて、第一種と第二種のどちらを受けるべきか、特例第一種とは何か、科目にどう時間を配るか、勉強場所にいくらかかるかまで整理します。

この記事の要点

  • 学習サイトが示す勉強時間は、第一種40〜200時間、第二種30〜100時間と割れている。想定する受験者をそろえると、一般的な目安は第一種約100時間・第二種約60時間、独学を前提にすると第一種100〜200時間・第二種60〜100時間(アルク)、第一種100〜150時間・第二種60〜80時間(CIC)、関連業務の経験者は第一種50〜80時間と整理できる
  • 協会は合格に必要な学習時間を公表していない。調査の人数や方法を示したサイトも、合格者の勉強時間を大人数で測った公開データも見当たらない
  • 2025年度(令和7年度)の合格率は第一種46.8%、第二種48.7%。受験者は合わせて約10万7,000人で、協会が行う免許試験の受験者の約6割を占める(当サイト算出)
  • 合格には、科目(第一種は範囲)ごとに40%以上、合計で60%以上が必要。1科目でも40%を下回れば、合計点が足りていても不合格になる
  • 試験は全国各地で毎月行われる(会場によって回数は異なる)。当サイトの試算では、平日1時間・休日3時間(週11時間)なら第二種60時間は約6週、第一種100時間は約10週で届く
  • 第一種が必要か第二種でよいかは、勤め先の業種で法令上決まっている。常時50人以上の労働者を使う事業場には衛生管理者の選任義務がある

結論:条件をそろえると、目安のずれは小さくなる

先に結論をまとめます。衛生管理者の勉強時間の目安は、サイトごとにばらばらに見えますが、各サイトが書いている「想定する受験者」の条件で並べ直すと、次のように整理できます。

想定する受験者第一種第二種そう示しているサイト
独学で学ぶ100〜200時間60〜100時間アルク(独学の解説ページ)
独学で学ぶ100〜150時間60〜80時間CIC日本建設情報センター
予備校・通信講座を使う80〜120時間40〜60時間CIC日本建設情報センター
知識ゼロから始める約100時間時間の記載なし(期間3〜5か月)ユーキャン
学習方法を限定しない一般論約100時間約60時間アガルート、キャリカレ、シカクト(マイナビ)
学習方法を限定しない一般論(短めの見積もり)40〜60時間30〜40時間オンスク.JP
関連業務の経験がある50〜80時間記載なしアガルート
第二種を持つ人の特例第一種50〜80時間―アルク

時間ではなく期間で示しているサイトもあります。SATは、市販の本で独学する場合、1日1〜2時間の学習で第一種は4〜6か月、第二種は2〜4か月は必要としています(講座案内のページ)。同じSATの別の記事では、独学は1日1〜2時間で2〜6か月、参考書と問題集を使った独学で1〜2か月くらいとしていて、同じ会社でも記事によって幅があります。

自社講座のカリキュラムどおりに進めた場合の期間を示す学校もあります。SATは自社教材なら1日3時間の学習で最短7日間で合格レベルに達することも可能とし、TACの第1種対策講座は学習期間の目安を1か月(講義は2.5時間×5回)としています。ユーキャンの講座の標準学習期間は、第一種コースが6か月(1日30〜60分)、第二種コースが4か月です。

この表から言えるのは次のことです。

  • 第一種なら約100時間、第二種なら約60時間が、最も多くのサイトに共通する目安です。
  • 化学物質や医学の知識がなく、独学で進めるなら、第一種は150時間前後まで見込んでおくと安全です。独学を前提にしたアルクの目安は100〜200時間、CICの目安は100〜150時間で、SATの「1日1〜2時間で4〜6か月」も、毎日続ければ100時間を超える長さです。
  • 健康診断の取りまとめなど、衛生管理の仕事にすでに関わっている人は、第一種でも50〜80時間まで短くできる可能性があります。

ただし、確認した学習サイトでは、目安の根拠となる調査の人数や方法まで示したものは見当たりませんでした。協会も、合格に必要な学習時間は公表していません。表の数字は「相場観」として受け止めてください。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、学習科学の研究をもとに勉強時間の目安は本当かで詳しく検証しています。

それでも数字がずれる理由

条件をそろえても残るずれには、確認できた範囲で3つの理由があります。

1つめは、期間と時間の対応があいまいなことです。アガルートは第一種を約100時間としたうえで、知識がまったくない場合は4〜6か月の継続学習を勧め、別の箇所では1日1時間なら約3か月としています。1日1時間で4〜6か月続ければ120〜180時間ほどになる計算(当サイト計算)で、時間の目安と期間の目安が同じ数字から出ているとは限りません。期間で示された目安を読むときは、1日に何時間を想定しているかを確かめる必要があります。

2つめは、講座を売る立場からの見せ方です。SATの「最短7日間」やTACの「1か月」は、いずれも自社の教材と講義を使う前提の数字です。講義を見る時間を勉強時間に含めているかどうかは、各社のページに明記がなく、確認できませんでした。含め方が違えば総時間の見え方が変わる可能性はあります。独学との差を実際に比べたデータは示されていません。

3つめは、出典の書き方です。アルクの難易度の解説ページには、100〜200時間を協会関連の公表値とする記述がありますが、当サイトが協会のサイト(資格紹介、よくある質問、統計、事業報告書)を確認した範囲では、学習時間を示した記載は見当たりませんでした。数字の出どころが確認できない目安は、ほかの目安と同じく「相場観」として扱うのが安全です。

合格者・受験者の実像:協会の免許試験の受験者の6割は衛生管理者

総勉強時間を合格者に聞いて、人数や時期とともに公表した調査は、確認できた範囲ではありません。代わりに、協会の公式統計から受験者の姿を見ておきます。

2025年度(令和7年度。2025年4月〜2026年3月)の結果は次のとおりです。

区分受験者数合格者数合格率
第一種66,401人31,046人46.8%
第二種40,653人19,796人48.7%

2つを合わせた受験者は10万7,054人で、協会がボイラー技士やクレーン運転士なども含めて行っている免許試験の受験者17万5,624人の約6割を占めます(当サイト算出)。協会の統計には、特例第一種を分けた数字や、受験者の年齢・職業は見当たりませんでした。

合格率の推移は、協会の統計ページ(過去の年度はウェブアーカイブに保存された協会のページ)で確認できた年度だけを並べると、次のとおりです。

年度第一種第二種
2013年度(平成25年度)54.7%67.3%
2017年度(平成29年度)45.0%54.9%
2021年度(令和3年度)42.7%49.7%
2023年度(令和5年度)46.0%49.6%
2024年度(令和6年度)46.3%49.8%
2025年度(令和7年度)46.8%48.7%

第二種の合格率は、2013年度の67.3%から、近年は50%を下回る水準になっています。出題の難しさの変化なのか、受験者の構成の変化なのかを示す公式の説明はありません。少なくとも、「第二種は簡単」という古い印象のまま短い時間で臨むのは避けたほうがよさそうです。

第一種・第二種の受験には、労働衛生の実務経験が要る

衛生管理者の試験は、誰でも受けられるわけではありません。受験には学歴に応じた労働衛生の実務経験が必要です。大学・短大・高専を卒業した人は卒業後1年以上、高校を卒業した人は3年以上、学歴を問わない場合は10年以上の経験が求められ、勤め先が発行する事業者証明書を添えて申し込みます。

協会のよくある質問では、労働衛生の実務の例として、健康診断結果の取りまとめ、疾病統計の作成、衛生管理者の補助業務などを挙げています。デスク周りの清掃や電球の交換のような作業は該当しません。

つまり、第一種・第二種の受験者は、職場の衛生管理に何らかの形で関わってきた社会人が中心です(第二種の免許を持つ人が受ける特例第一種は、受験資格の証明が不要です)。とはいえ、実務の中身は人によって大きく違います。健康診断の事務だけを担当してきた人にとって、有害物質や作業環境の測定は初めて学ぶ分野です。自分の実務が試験範囲のどこに重なるかで、必要な時間は変わります。

合格ラインの仕組み:科目ごとに40%、合計60%

衛生管理者の試験は、決まった得点を取れば合格する仕組みです。協会の合格基準は、科目ごと(第一種の科目のうち範囲が分かれているものは範囲ごと)の得点が40%以上で、かつ合計が60%以上であることです。合計が60%に届いていても、1つの科目が40%を下回れば不合格になります。

試験の構成と、足切りを避けるのに必要な正解数は次のとおりです。正解数は、配点から当サイトが計算しました。

種類科目・範囲問題数配点40%に必要な正解数
第一種関係法令(有害業務)10問80点4問
第一種関係法令(有害業務以外)7問70点3問
第一種労働衛生(有害業務)10問80点4問
第一種労働衛生(有害業務以外)7問70点3問
第一種労働生理10問100点4問
第二種関係法令10問100点4問
第二種労働衛生10問100点4問
第二種労働生理10問100点4問

第一種は44問・400点満点で、合格には240点以上が必要です。試験時間は3時間(13時30分〜16時30分)です。第二種は30問・300点満点で、180点以上、つまり18問以上の正解が必要です。試験時間は第一種と同じ3時間です。

科目の免除は、船員法による衛生管理者適任証書の交付を受け、その後1年以上労働衛生の実務に従事した人の労働生理だけで、免除を受けると試験時間は2時間15分になります。協会の案内には、一部の科目だけ合格した扱いを次回に持ち越す制度の記載はありません。毎回、全科目を一度に受けて基準を満たす必要があります。

ここから言えるのは、得意な科目で稼いで苦手な科目を捨てる作戦が取れないということです。第一種で有害業務の範囲を捨てると、その範囲が40%に届かず、ほかで満点を取っても不合格になります。勉強時間の配分を考えるときは、まず全範囲で40%を確実に超え、そのうえで合計60%に届かせる、という順番で考えるのが基本です。

特例第一種:第二種を持つ人の2科目試験

第二種の免許を持つ人が第一種を受ける場合は、「特例第一種衛生管理者免許試験」として、次の2科目だけを受けます。

科目問題数配点
労働衛生(有害業務に係るものに限る)10問80点
関係法令(有害業務に係るものに限る)10問80点

試験時間は2時間(13時30分〜15時30分)です。合格基準は同じで、各科目40%以上(4問以上)、合計60%以上(160点満点中96点、12問以上)が必要です(正解数は当サイト計算)。受験資格を証明する書類は不要で、第二種の免許証の写しを添えて申し込みます。

試験範囲は、第一種のうち第二種に上乗せされる有害業務の分野そのものです。勉強時間の目安を示したサイトは少なく、確認できたのはアルクの50〜80時間だけでした。第二種の60時間に特例の50〜80時間を足すと、合計は110〜140時間です(当サイト計算)。最初から第一種を受ける場合の一般的な目安約100時間より多くなるので、第二種を経由する進め方は、まず早く免許を取りたい人向きと言えます。有機溶剤や特定化学物質、騒音、放射線などの専門用語が多い範囲なので、こうした物質を扱う職場の経験がない人は長めに見ておくと安心です。

1日何時間なら何週間? 週あたりの勉強時間から逆算する

衛生管理者の試験は、全国7つの安全衛生技術センター(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州)と、東京試験場・大阪試験場で行われます。会場ごとに実施日の数は違い、月に1回ほどの会場もあれば、実施日がない月がある会場もあります。2025年度は第一種が年429回(うち出張試験49回)、第二種が年423回(うち出張試験47回)実施されました。出張試験は、センターから遠い地域に会場を設けて行う試験です。2026年度の日程は2027年3月分まで公表されていて、東京試験場では月に5〜11回の試験日があります。

全国では毎月どこかで試験があるので、試験日から逆算するより、「週に何時間取れるか」から受験の時期を決めるほうが現実的です。次の表は、勉強時間の目標に届くまでの期間を、週の勉強時間のパターンごとに当サイトが試算したものです。週数は目標の時間に届くよう切り上げて整数で、か月は1か月を約4.35週として、正確な週数から計算した値を小数第2位で切り上げ、小数第1位で表示しています。休日は週2日として計算しました。

1日の勉強時間週の合計第二種 60時間第一種 100時間第一種 150時間
毎日30分3.5時間18週(4.0か月)29週(6.6か月)43週(9.9か月)
毎日1時間7時間9週(2.0か月)15週(3.3か月)22週(5.0か月)
平日1時間・休日3時間11時間6週(1.3か月)10週(2.1か月)14週(3.2か月)
平日2時間・休日4時間18時間4週(0.8か月)6週(1.3か月)9週(2.0か月)
毎日3時間21時間3週(0.7か月)5週(1.1か月)8週(1.7か月)

第一種150時間の列は、知識がなく独学で進める人が長めに見積もる場合の目安です。

1か月・2か月・最短で受かるには

検索でよく調べられている「1か月」「2か月」で考えると、必要なペースは次のようになります(当サイト試算。毎日勉強する場合)。

  • 第二種60時間を1か月で:毎日約2時間
  • 第二種60時間を2か月で:毎日約1時間
  • 第一種100時間を1か月で:毎日約3時間20分
  • 第一種100時間を2か月で:毎日約1時間40分
  • 第一種100時間を3か月で:毎日約1時間10分
  • 第一種150時間を1か月で:毎日約5時間

第二種の1か月合格は、毎日2時間を確保できれば一般的な目安に届く計算です。第一種を1か月で仕上げるには毎日3時間以上が必要で、仕事をしながらでは相当に厳しいペースです。「最短7日間」のような講座の数字は自社教材を使う前提で、独学の初学者がそのまま当てはめられるものではありません。

申込の締切から逆算して試験日を選ぶ

試験日を選ぶときに気をつけたいのが申込の期限です。オンライン申請と郵送の受付は試験日の2か月前から14日前まで、センターの窓口に持参する場合は2日前(休業日を除く)までです。出張試験は申込先と受付期間が地区ごとに異なるので、協会の出張試験の案内で確認してください。受付期間中でも、定員に達すると受付は終了します。受験票が発行された後は、試験日の変更も試験手数料の返還もできません。

そこで、勉強を始めた時点で表から仕上がりの時期を見積もり、その時期の試験日をいったん申し込むのが確実です。たとえば平日1時間・休日3時間で第一種100時間なら約10週なので、開始から10〜11週後の試験日を選びます。オンライン申請の受付は試験日の2か月前(約8.7週前)に始まるので、開始後およそ2〜3週目に受付が始まります。始まったら早めに申し込む、という段取りになります。申込の締切が仕上がりより先に来るので、締切の時点で過去問の正答率を測り、進み具合を確かめてから申し込むのも一つの方法です。各資格の試験日程は資格試験スケジュールに、覚えた内容の復習日を決めるには復習スケジューラが使えます。

科目別の配分:足切りを避けてから、合計点を伸ばす

科目にどう時間を配るかについて、学習サイトの答えはまちまちです。インプットとアウトプットの比率でさえ、アガルートは「知識の習得7割、過去問3割」、SATは「インプット1に対してアウトプット3」と、ほぼ逆の配分を勧めています。どちらが合格に有利かを比べたデータはありません。

そこで、他人の配分をまねるより、配点と足切りから自分で決める方法をおすすめします。手順は3つです。

  1. 配点を確認する。第一種は労働生理が100点、関係法令と労働衛生がそれぞれ150点(有害業務80点+有害業務以外70点)です。第二種は3科目が100点ずつです。
  2. 全範囲で40%を確実に超える目標を置き、そのうえで合計60%を上回る目標点を割り振る。たとえば第一種なら、各範囲を6割強、得意な範囲を8割とし、合計で260〜280点を狙う、という具合です。
  3. 範囲ごとに過去問を解いて正答率を測り、40%に最も近い範囲、つまり足切りの危険が大きい範囲に先に時間を寄せる。1〜2週間ごとに測り直して配分を変えます。

第一種の場合、有害業務の2範囲だけで400点中160点を占めます。化学物質や作業環境の測定などに初めて触れる人にとっては、ここが最も時間のかかる範囲になりやすく、足切りの危険も大きくなります。労働生理は人体の仕組みに関する分野で、法令とは別の知識が求められます。

過去問は、協会が年2回(4月と10月)、直近の試験問題を公表しています。2026年10月に掲載されたのは、2026年1月から6月までに実施された試験の問題です。協会は、公表問題が2026年1月1日以降に施行された法令に対応していない点に注意を促しています。古い年度の問題で関係法令を覚えるときは、現行の法令と食い違っていないか確かめてください。過去問を何回繰り返せばよいかは「過去問は3周」は本当かで、合格率と学習科学から見た試験対策は「3,000時間」積んでも落ちる人がいるのはなぜかで扱っています。

第一種か第二種か:勤め先の業種で決まる

どちらを受けるかは、好みではなく勤め先の業種でほぼ決まります。労働安全衛生規則7条は、衛生管理者に選べる免許を業種ごとに定めています。

業種選任できる免許
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業第一種(または衛生工学衛生管理者)
その他の業種(情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など)第一種・第二種(または衛生工学衛生管理者)

医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなども衛生管理者になれます(同規則10条)。

第一種は、すべての業種で衛生管理者になれる免許です。製造業や医療業などで選任されるなら、第一種が必要です。事務系の業種で早く取りたいなら第二種で足ります。業種がはっきりしない場合や、転職で業種が変わる可能性がある場合は、最初から第一種を受けるか、第二種を取った後に特例第一種で上乗せするかを選ぶことになります。

勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか

衛生管理者は受験資格に実務経験が要る試験なので、仕事を続けながら、平日の夜や休日に時間を積み上げる人が多いと考えられます。家では集中しにくい人にとって、勉強する場所を確保することは、勉強時間の確保そのものになります。

当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。

集計の範囲金額
第1四分位(安い方から4分の1の位置)月5,800円
中央値月7,800円
第3四分位(高い方から4分の1の位置)月11,000円

324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。

平日1時間・休日3時間(週11時間)のペースで当サイトが試算すると、第一種の100時間は約2.1か月なので、月単位で契約すると3か月分です。中央値の月7,800円なら自習室代は2万3,400円で、これに試験手数料8,800円が加わり、合計3万2,200円です。第二種の60時間は約1.3か月なので2か月分、自習室代は1万5,600円で、試験手数料を合わせて2万4,400円です。試験手数料8,800円は、第一種・第二種・特例第一種のどれでも同じです。

公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。

受かった後の数字:選任義務と合格者の数

最後に、60〜150時間をかけて取る資格の「その先」を、法令と公的統計で見ておきます。

需要の根拠は法律にある

衛生管理者の需要を支えているのは、労働安全衛生法です。同法12条は、政令で定める規模の事業場ごとに、事業者が衛生管理者を選任し、衛生に係る技術的事項を管理させることを義務づけています。その規模は、労働安全衛生法施行令4条で、常時50人以上の労働者を使用する事業場と定められています。

選任の細かいルールは、労働安全衛生規則7条にあります。選任すべき事由が生じた日から14日以内に選任すること、原則としてその事業場に専属の人を選任すること、そして労働者の数に応じて次の人数以上を選任することです。

常時使用する労働者数衛生管理者の数
50人以上200人以下1人
200人を超え500人以下2人
500人を超え1,000人以下3人
1,000人を超え2,000人以下4人
2,000人を超え3,000人以下5人
3,000人を超える6人

常時1,000人を超える労働者を使う事業場などでは、少なくとも1人を専任の衛生管理者にしなければなりません。選任された衛生管理者は、少なくとも毎週1回、作業場を巡視することになっています(同規則11条)。事業場ごとの専属が原則なので、事業場が増えたり、担当者が異動・退職したりするたびに、新たに免許を持つ人が必要になります。

規模の目安として、令和3年経済センサス‐活動調査によると、従業者50人以上の民営事業所は全国に17万1,014か所あります(従業者規模別の公表値から当サイト算出)。従業者には役員なども含まれ、公務の事業所は含まれないため、選任義務のある事業場の数とは一致しませんが、どれくらいの職場で衛生管理者が必要とされているかの目安になります。

合格者は年に約5万人。ただし免許の交付数は公表されていない

現在の衛生管理者の免許保有者の総数は、当サイトが確認した範囲では公表されていませんでした。厚生労働省の「国の法令に基づく申請等手続のオンライン化等の状況」には、試験合格に係る新規交付申請の年間件数として、平成26年度は第一種・第二種の合算で50,254件とあります。これは申請の件数であり、保有者の数ではありません。ここでは、協会が公表している合格者の数を見ます。2023〜2025年度の3年間の合格者は、第一種が延べ9万2,235人、第二種が延べ5万7,716人でした(各年度の公表値から当サイト算出)。

なお、試験に合格しただけでは衛生管理者にはなれません。合格後に東京労働局免許証発行センターへ免許を申請し、免許証の交付を受ける必要があります。この手続きをしないと免許証は交付されないため、合格者の数と免許を持つ人の数は一致しません。

年収は扱わない

厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、衛生管理者に対応する職種の区分がありません。衛生管理者はあらゆる業種の事業場で選任されるため、特定の産業の数字で代用することもできません。そのため、この記事では年収の数字は扱いません。

よくある質問

衛生管理者の勉強時間は何時間必要ですか?

学習サイトの目安をそろえると、学習方法を限定しない一般的な目安で第一種が約100時間、第二種が約60時間です。独学を前提に時間で示したのはアルクとCIC日本建設情報センターで、アルクは第一種100〜200時間・第二種60〜100時間、CICは第一種100〜150時間・第二種60〜80時間と長めです。SATは独学を期間で示し、同じ会社でも記事によって1日1〜2時間で2〜6か月、参考書での独学で1〜2か月くらいと幅があります。関連業務の経験がある人は第一種50〜80時間とする学校もあります。一方で第一種40〜60時間、第二種30〜40時間とする短めの見積もりもあります。試験を実施する安全衛生技術試験協会は、合格に必要な学習時間を公表していません。

衛生管理者は1日何時間勉強すれば、何週間で合格できますか?

当サイトの試算では、平日1時間・休日3時間(週11時間)のペースなら、第二種の60時間は約6週、第一種の100時間は約10週、長めに見た第一種150時間は約14週で届きます。毎日1時間なら、第二種は約9週、第一種100時間は約15週です。試験は全国各地で毎月行われますが、日程と回数は会場によって違います。申込の締切は会場と申請方法で異なり、オンライン申請は試験日の14日前までです。受験する会場の日程と締切を公式で確認して選んでください。

衛生管理者は1か月で合格できますか? 最短ではどれくらいですか?

当サイトの試算では、1か月(約4.35週)で第二種の60時間を積むには毎日約2時間、第一種の100時間を積むには毎日約3時間20分が必要です。第一種を150時間と長めに見積もると毎日約5時間になります。講座の中には最短7日間(1日3時間)や学習期間1か月をうたうものもありますが、いずれも自社教材を使う前提で、調査の人数や方法は示されていません。初学者が独学で1か月を目指すなら、第二種のほうが現実的です。

特例第一種衛生管理者の勉強時間はどれくらいですか?

特例第一種は、第二種の免許を持つ人が第一種を受けるときの試験で、有害業務に関する労働衛生と関係法令の2科目(20問・160点・2時間)だけを受けます。勉強時間の目安を示したサイトは少なく、確認できたのはアルクの50〜80時間だけでした。範囲は第一種で第二種に上乗せされる有害業務の分野そのものなので、化学物質や騒音、放射線などになじみがない人は長めに見ておくと安心です。

第一種と第二種はどちらを受ければいいですか?

勤め先の業種で決まります。労働安全衛生規則7条により、製造業、建設業、運送業、医療業、清掃業などの事業場では第一種(または衛生工学衛生管理者)の免許が必要で、それ以外の業種なら第二種でも選任できます。第一種はすべての業種で衛生管理者になれます。業種が決まっていない場合や転職の可能性がある場合は第一種、事務系の業種で早く取りたい場合は第二種、という選び方ができます。

調査方法・出典について

  • 受験者数・合格者数・合格率は、安全衛生技術試験協会の「統計」(令和7年度)と「令和7年度 事業報告書」によります。実施回数と出張試験の回数も事業報告書の値です。2013年度・2017年度・2021年度・2023年度・2024年度の値は、協会の統計ページを Internet Archive に保存された版で確認しました。保存版が無い年度は表に入れていません。受験者の合計と、協会の免許試験全体に占める割合、3年間の合格者の合計は、公表値から当サイトが算出しました。
  • 試験科目・問題数・配点・試験時間・受験資格・合格基準・特例第一種は、協会の「第一種・第二種衛生管理者のご紹介」によります。足切りを避けるのに必要な正解数は、配点から当サイトが計算しました。試験日程は「第一種・第二種衛生管理者免許試験日」、試験手数料8,800円は「試験手数料」(令和5年6月1日現在)、申込の受付期間は「第一種・第二種衛生管理者のご紹介」、労働衛生の実務の例はよくある質問、公表試験問題の時期は「公表試験問題」によります。
  • 衛生管理者の選任義務は、労働安全衛生法12条、労働安全衛生法施行令4条、労働安全衛生規則7条・10条・11条の条文を、安全衛生情報センターと厚生労働省 法令等データベースで確認しました。
  • 従業者50人以上の民営事業所数は、令和3年経済センサス‐活動調査 産業横断的集計 結果の概要の表Ⅲ-5(従業者規模別事業所数)の「50〜99人」「100〜199人」「200〜299人」「300人以上」を当サイトが合計しました。
  • 学習サイトの勉強時間の目安は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました(CIC日本建設情報センターのページは2026年10月2日に再確認し、数値が同じであることを確かめました)。
  • 週あたりの勉強時間から期間を出す表、1か月・2か月で必要な1日の時間、自習室代は、当サイトの試算です。1か月は約4.35週として計算しました。
  • 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
  • 免許の新規交付申請件数は、厚生労働省「国の法令に基づく申請等手続のオンライン化等の状況」(表1。平成25〜27年度の年間申請件数)の値です。
  • 衛生管理者に対応する職種区分が賃金構造基本統計調査に無いため、年収は扱っていません。
  • 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず安全衛生技術試験協会の公式情報をご確認ください。