平成29年度 行政書士試験 問20 国家賠償法1条
国家賠償法1条に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
判例は、法律の解釈を誤った通達に従った取扱いがあっても、それが直ちに国家賠償法上違法となるわけではなく、当該公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしたかによって判断するとしています。「当然に違法」とする本肢は判例に反し誤りです。
- 2正しい
判例(最判昭和53年10月20日等)は、刑事事件で無罪が確定しても、それだけで起訴・勾留が国家賠償法上当然に違法となるわけではなく、検察官が起訴時に合理的な嫌疑(証拠の評価において経験則・論理則に違反する不合理がない判断)に基づいていれば違法とならないとしています。本肢が妥当です。
- 3誤り
判例(最判昭和57年3月12日)は、裁判官の裁判も例外的に国家賠償法上違法となり得るとし、裁判官が違法・不当な目的をもって裁判をしたなど特別の事情がある場合には違法と判断され得ます。「違法と判断されることはない」とする本肢は誤りです。
- 4誤り
国会議員の立法行為も国家賠償法1条の「公権力の行使」に該当し、立法の内容が憲法上保障された権利を違法に侵害することが明白であるなど例外的場合には国家賠償法上違法となり得ます(在外邦人選挙権訴訟・最大判平成17年9月14日等)。「公権力の行使に該当しない」「違法の評価を受けることはない」とする本肢は誤りです。
- 5誤り
政府の政策的判断の誤りや措置の不適切が、それだけで当然に国家賠償法上違法となるわけではありません。「当然に違法の評価を受ける」とする本肢は妥当でありません。
解説
正解は肢2です。判例は、刑事事件で無罪判決が確定しても、そのことから直ちに起訴や勾留が国家賠償法上違法となるわけではなく、検察官が起訴時に有していた証拠資料に照らし合理的な嫌疑があったと認められれば違法とはならないとしています。肢1は通達に従った取扱いが当然に違法とはならない点、肢3は裁判官の裁判も例外的に違法となり得る点(最判昭和57年)、肢4は国会議員の立法行為も「公権力の行使」に当たり例外的に違法となり得る点(在外邦人選挙権訴訟)で、いずれも判例に反します。肢5は政策判断の誤りが当然に違法とならない点で妥当でありません。
ここがポイント
無罪確定でも起訴は当然には違法とならない(合理的嫌疑があれば適法)。裁判官の裁判・国会議員の立法行為も『公権力の行使』に当たり例外的に違法となり得る(最判昭和57年・在外邦人選挙権訴訟)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。