平成29年度 行政書士試験 問28 錯誤
錯誤等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
判例は、表意者自身が錯誤を認め、債権保全の必要がある場合には、第三者である債権者も錯誤無効を主張できるとしています(最判昭45.3.26)。妥当な記述です。
- 2正しい
判例は、売買契約が偽装である場合、その売買契約の成否は立替金返還債務を主債務とする保証契約の重要な内容であり、保証人の錯誤は要素の錯誤に当たるとしています。妥当な記述です。
- 3誤り
婚姻・縁組などの身分行為では、人違い等により当事者間に婚姻・縁組をする意思がないときは無効となります(民法742条1号等)。『やむを得ない事由がない限り無効とならない』とする本肢は妥当でなく、これが正解です。
- 4正しい
他に連帯保証人がいるか否かは通常は動機にすぎず、その存在を契約内容としたことの主張立証がなければ要素の錯誤に当たりません(判例)。妥当な記述です。
- 5正しい
判例は、財産分与で課税負担に関する動機が黙示的に表示され重視されていた場合に要素の錯誤を認めています(最判平元.9.14)。妥当な記述です。
解説
妥当でないものを選ぶ問題で、正解は肢3です。婚姻や養子縁組などの身分行為については、人違いその他の事由により当事者間に婚姻・縁組をする意思がないときは無効とされており(民法742条1号等)、『やむを得ない事由がない限り無効とならない』という本肢の説明は誤りです。他の肢は、債権者による錯誤無効の主張(肢1)、偽装売買と保証契約の要素の錯誤(肢2)、他に連帯保証人がいるとの誤信は通常は動機(肢4)、財産分与の課税負担に関する動機の黙示的表示と要素の錯誤(肢5)といずれも判例に沿った妥当な記述です。
ここがポイント
身分行為(婚姻・縁組)は当事者に婚姻・縁組の意思がなければ無効。動機の錯誤は原則として表示されて初めて要素の錯誤となり、課税負担の前提が黙示表示された財産分与の判例が典型。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。