平成29年度 行政書士試験 問41 表現の自由(多肢選択式)
次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
その保障の根拠に照らして考えるならば、表現の自由といつても、そこにやはり一定の限界があることを否定し難い。[ ア ]が真実に反する場合、そのすべての言論を保護する必要性・有益性のないこともまた認めざるをえないのである。特に、その[ ア ]が真実に反するものであつて、他人の[ イ ]としての名誉を侵害・毀損する場合においては、[ イ ]の保護の観点からも、この点の考慮が要請されるわけである。私は、その限界は以下のところにあると考える。すなわち、表現の事前規制は、事後規制の場合に比して格段の慎重さが求められるのであり、名誉の侵害・毀損の被害者が公務員、公選による公職の候補者等の[ ウ ]人物であつて、その[ ア ]が[ ウ ]問題に関する場合には、表現にかかる事実が真実に反していてもたやすく規制の対象とすべきではない。しかし、その表現行為がいわゆる[ エ ]をもつてされた場合、換言すれば、表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながらその行為に及んだとき又は虚偽であるか否かを無謀にも無視して表現行為に踏み切つた場合には、表現の自由の優越的保障は後退し、その保護を主張しえないものと考える。
語群
- 1. 差別的表現
- 2. 不公正な論評
- 3. 私的領域
- 4. 相当な誤信
- 5. 公益的
- 6. 社会的
- 7. 人物評価
- 8. 自己決定権
- 9. 公的
- 10. 誹謗中傷
- 11. 表現手段
- 12. ダブル・スタンダード
- 13. 公的領域
- 14. 公知の
- 15. 自己実現
- 16. 明白かつ現在の危険
- 17. 人格権
- 18. 論争的
- 19. 現実の悪意
- 20. 表現内容
空欄の正解
- ア20. 表現内容
名誉を侵害・毀損する対象となり、真実か否かが問われているのは、表現された事実の中身すなわち「表現内容」であるため、ここに入ります。
- イ17. 人格権
名誉は個人の人格的価値に関わる利益であり、その「保護の観点」が問題とされていることから、名誉の基礎にある「人格権」が入ります。
- ウ9. 公的
被害者が公務員・公職の候補者等であり、その事項が公共の利害に関わる場合を指すため、私的な事柄と対比される「公的」が文脈に合致します。
- エ19. 現実の悪意
虚偽であることを知りながら、または真偽を無謀に無視して表現した場合を指す概念であり、アメリカ判例由来の「現実の悪意(actual malice)」が入ります。
解説
正解はア=20(表現内容)、イ=17(人格権)、ウ=9(公的)、エ=19(現実の悪意)です。本文は、表現の自由にも限界があり、虚偽の表現内容が他人の人格権としての名誉を毀損する場合には保護が後退しうるという論理を述べています。被害者が公務員や公職の候補者など公的な人物で、その事実が公的問題に関わるときは、真実に反しても安易に規制すべきでないとしつつ、表現者が虚偽を知りながら、または真偽を無視して表現に及んだ「現実の悪意」のケースでは優越的保障が後退すると説きます。これはアメリカ憲法判例のニューヨーク・タイムズ対サリヴァン事件で確立された「現実の悪意」の法理を踏まえた叙述です。空欄前後の「虚偽であることを知りながら」「無謀にも無視して」という記述がエの決め手になります。
ここがポイント
公的人物の公的問題に関する表現は真実に反しても安易に規制すべきでないが、「現実の悪意」(虚偽の認識または真偽の無謀な無視)をもってされた表現は保護されない、というニューヨーク・タイムズ対サリヴァン事件由来の法理を読み取る。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。