平成29年度 行政書士試験 問43 国家賠償・公定力(多肢選択式)
次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
行政救済制度としては、違法な行政行為の効力を争いその取消し等を求めるものとして行政上の不服申立手続及び抗告訴訟があり、違法な公権力の行使の結果生じた損害をてん補するものとして・・・[ ア ]請求がある。 違法な行政処分により被った損害について[ ア ]請求をするに際しては、あらかじめ当該行政処分についての取消し又は[ イ ]確認の判決を得なければならないものではないというべきである。 固定資産税等の賦課決定のような行政処分については、過納金相当額を損害とする[ ア ]請求を許容すると、実質的に[ ウ ]の取消訴訟と同一の効果を生じさせることとなって、[ ウ ]の[ エ ]をも否定することになる。
語群
- 1. 不当
- 2. 損失補償
- 3. 授益処分
- 4. 撤回
- 5. 住民監査
- 6. 無効
- 7. 執行力
- 8. 強制徴収
- 9. 既判力
- 10. 課税処分
- 11. 国家賠償
- 12. 不存在
- 13. 取立
- 14. 形成力
- 15. 差止
- 16. 支払
- 17. 不作為
- 18. 不可変更力
- 19. 通知
- 20. 公定力
空欄の正解
- ア11. 国家賠償
違法な公権力の行使により生じた損害をてん補する制度であり、取消し等を求める争訟手続と対比される金銭的救済として「国家賠償」が入ります。
- イ6. 無効
あらかじめ得る必要がないとされるのは「取消し」と並列される判決であり、瑕疵が重大明白な処分について争う「無効」確認の判決が入ります。
- ウ10. 課税処分
固定資産税等の賦課決定を指し、過納金相当額の賠償が実質的に取消訴訟と同一効果を生む対象として「課税処分」が入ります。
- エ20. 公定力
取消訴訟と同一の効果を生じさせることで否定されてしまう処分の効力であり、取消しまでは有効として扱う行政処分の「公定力」が入ります。
解説
正解はア=11(国家賠償)、イ=6(無効)、ウ=10(課税処分)、エ=20(公定力)です。第2段落は、違法な行政処分による損害の国家賠償請求をするのに、あらかじめ当該処分の取消しや無効確認の判決を得る必要はないという確立した判例法理を述べています(最判昭和36年4月21日参照)。これは、国家賠償請求は処分の効力を直接争うものではなく、公定力に抵触しないと考えられているからです。もっとも第3段落は、固定資産税等の課税処分について過納金相当額そのものを損害とする賠償を認めると、税額を取り消すのと実質的に同じ結果となり、取消訴訟を経ずに処分の効力を覆すことになって、行政処分の公定力を否定してしまうという問題を指摘しています。アの「国家賠償」とエの「公定力」の関係を正確に理解しているかが問われます。
ここがポイント
国家賠償請求は処分の取消し・無効確認を前置せずに提起できる(公定力に抵触しない)。ただし過納金相当額を損害とする賠償は実質的に取消訴訟と同一効果を生み、課税処分の公定力を否定することになる点が問題となる。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。