平成29年度 行政書士試験 問7 憲法の概念
憲法の概念に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
硬性憲法・軟性憲法の区別は改正手続が法律より困難か否かで決まるのであり、改正の頻度では決まりません。改正が法律より困難であれば、頻繁に改正されても硬性憲法に分類されるため、本肢は誤りです。
- 2正しい
憲法には、成文憲法典という法形式に着目した形式的意味の憲法と、国家統治の基本形態という規定内容に着目した実質的意味の憲法があります。実質的意味の憲法は不文の形式でも存在し得ます。学説の説明として妥当です。
- 3誤り
憲法尊重擁護義務を負うのは天皇・摂政・国務大臣・国会議員・裁判官その他の公務員であり(憲法99条)、国民は明文上その対象に含まれていません。「国民もまた義務を負うと明文で規定されている」とする点が誤りです。
- 4誤り
条約と憲法の効力関係については憲法優位説が通説であり、条約が憲法より強い効力を有するとする判例はありません。砂川事件も統治行為論により条約の違憲審査に踏み込まず、条約優位を判示してはいないため、誤りです。
- 5誤り
日本国憲法前文の法規範性は一般に認められています(裁判規範性は否定する説が有力だが法規範性自体は肯定)。「政治的宣言にすぎず法規範性を有しない」とするのは一般的見解と異なり、誤りです。
解説
正解は肢2です。憲法は、成文憲法典という法形式に着目する形式的意味の憲法と、国家統治の基本にかかわる規定内容に着目する実質的意味の憲法とに分けられ、後者は憲法典以外の不文の形式でも存在し得ます。肢1は硬性・軟性の区別を改正頻度で論じる誤り、肢3は憲法尊重擁護義務(99条)に国民が含まれないこと、肢4は条約に対する憲法優位が通説であること、肢5は前文の法規範性が一般に肯定されることから、それぞれ妥当でありません。
ここがポイント
硬性・軟性憲法の区別は改正手続の難易(頻度ではない)。実質的意味の憲法は不文でもよい。憲法99条の尊重擁護義務に国民は含まれない。条約と憲法は憲法優位説が通説。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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