平成30年度 行政書士行政法難易度 やや難

平成30年度 行政書士試験 問26 保育所廃止条例の制定行為

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「平成30年度 行政書士試験 試験問題」問26(原文のまま・無改変)

ある市立保育所の廃止に関する以下の会話を受けてCが論点を整理した次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    行政事件訴訟法25条2項は、執行停止の申立ては取消訴訟提起と同時または提起後にすることを前提とし、本案訴訟の提起なしに執行停止のみを申し立てることはできません。

  • 2誤り

    住民訴訟(地方自治法242条の2)の対象は財務会計上の行為であり、条例制定行為そのものを差し止める訴訟は予定されていません。条例制定行為は住民訴訟の対象になりません。

  • 3誤り

    条例制定行為は一般的・抽象的な立法行為であり、原則として処分性を有しません。横浜市保育所廃止条例事件(最判平成21年11月26日)は、特定の保育所の利用関係を一方的に廃止するという例外的な場合にのみ処分性を認めたものであり、一般原則ではありません。

  • 4誤り

    地方自治法上の直接請求として条例の制定改廃請求(74条)はありますが、議会が現に審議している議決を「阻止」するための直接請求制度はありません。

  • 5正しい

    横浜市保育所廃止条例事件判決は、処分取消判決・執行停止決定の第三者効(行訴法32条)により、紛争を画一的に解決できる点を抗告訴訟で争う合理性の一つとして挙げています。本肢は妥当です。

解説

横浜市保育所廃止条例事件(最判平成21年11月26日)の理解を問う問題です。本判決は、特定の保育所を名指しで廃止する条例制定行為が、現に保育を受けている児童・保護者の具体的な権利義務に直接影響を及ぼす点をとらえ、例外的に処分性を肯定しました。判決の論拠の一つが、肢5にいう「第三者効を有する取消判決・執行停止により紛争を一回的・画一的に解決できる」点です。条例制定行為は原則として立法行為であり処分性を欠くこと、住民訴訟は財務会計行為が対象であることといった基本論点もあわせて押さえておきましょう。

ここがポイント

横浜市保育所廃止条例事件(最判平21・11・26)は、特定の保育所利用関係を一方的に廃止する条例制定行為に例外的に処分性を肯定。論拠の一つは取消判決等の第三者効(行訴法32条)による紛争の画一的解決。条例制定行為は原則として処分性なし。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成30年度(2018年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。