平成30年度 行政書士試験 問29 対抗関係(物権変動)
Aが登記簿上の所有名義人である甲土地をBが買い受ける旨の契約をA・B間で締結した場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
アは誤り。真の所有者Cが自己の名義をAに無断で移転させたわけでなく、CがAの名義としていた以上、94条2項類推適用によりCは善意のBに対抗できず、BはCに引渡しを求めうる余地があります。ウも誤り(共有持分は他の共有者の同意なしに処分できず、Bが取得するのはAの持分のみ)。
- 2誤り
アは前述のとおり誤り。オは妥当(判例上、建物所有権登記名義を有する者は土地所有者に対し建物収去・土地明渡義務を負う=最判平成6年2月8日)。
- 3誤り
イ(無権代理人を本人が単独相続した場合の追認拒絶)は判例(最判昭和37年4月20日)により本人の追認拒絶が許されないとされ誤り。ウも前述のとおり誤り。
- 4誤り
イは前述のとおり誤り。エ(仮登記の対抗力)は妥当(不動産登記法106条により、仮登記は本登記をするまで第三者に対抗できない)。
- 5正しい
エ(仮登記は本登記をしない限り第三者に対抗できない、不動産登記法106条)とオ(建物登記名義人は譲渡後も土地所有者に対し収去・明渡義務を負う、最判平6・2・8)はいずれも妥当で、これが正解の組合せです。
解説
物権変動・対抗要件の総合問題です。正解はエ・オ。エは仮登記の対抗力に関する基本論点で、仮登記は順位を保全するに過ぎず、本登記をしない限り対抗力を有しません(不動産登記法106条)。オは建物収去・土地明渡訴訟の被告適格に関する判例(最判平成6年2月8日)で、登記名義を保有する者は譲渡後であっても土地所有者から建物収去・土地明渡を求められうるとした重要判例です。誤り肢のうち、無権代理人の単独相続(最判昭37・4・20)、共有持分の処分は頻出論点として整理しておきましょう。
ここがポイント
仮登記は本登記をしない限り第三者に対抗できない(不登法106条)。建物登記名義人は譲渡後も土地所有者に対し収去・明渡義務を負う(最判平6・2・8)。無権代理人が本人を単独相続した場合は追認拒絶不可(最判昭37・4・20)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成30年度(2018年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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