平成30年度 行政書士試験 問30 抵当権
抵当権の効力に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
判例(最判昭和44年3月28日)は、抵当権の効力は抵当権設定当時に存在した従物にも及び、抵当権の登記の効力により第三者に対抗できるとし、従物に独立した対抗要件は不要としています。
- 2誤り
判例(最判昭和40年5月4日)は、借地上の建物に抵当権が設定された場合、その効力は従たる権利である借地権にも及ぶとしており、本肢は誤りです。
- 3正しい
判例(最判平成11年11月30日)は、買戻特約付売買の買主が設定した抵当権につき、買戻権行使により買主が取得する買戻代金債権は売買目的物の価値変形物と認められ、抵当権者は物上代位権を行使できるとしています。本肢は妥当です。
- 4誤り
判例(最決平成12年4月14日)は、原則として転貸賃料債権への物上代位は認められないとし、抵当不動産の所有者と賃借人を同視できるなどの特段の事情がある場合に限り認められるとしています。「原則として可能」とする本肢は誤りです。
- 5誤り
民法375条1項は、利息・遅延損害金の優先弁済は最後の2年分に限ると規定しています。全額について優先弁済を受けられるとする本肢は誤りです。
解説
抵当権の効力に関する重要判例を問う問題です。正解の肢3は、買戻特約付売買と物上代位(最判平11・11・30)の判例で、買戻権行使により買主が得る買戻代金債権は売買目的物の価値変形物として物上代位の対象となります。誤り肢のうち、従物への抵当権の効力(最判昭44)、借地権への抵当権の効力(最判昭40)、転貸賃料への物上代位の原則否定(最決平12)、利息・遅延損害金の優先弁済は最後の2年分(民法375条)は基本論点です。
ここがポイント
抵当権者は買戻特約付売買の買戻代金債権に物上代位できる(最判平11・11・30)。従物・借地権への抵当権の効力は及び、独立対抗要件不要(最判昭44/40)。転貸賃料への物上代位は原則不可(最決平12)。利息等の優先弁済は最後の2年分(375条)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成30年度(2018年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。