平成30年度 行政書士民法難易度 難

平成30年度 行政書士試験 問31 弁済

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「平成30年度 行政書士試験 試験問題」問31(原文のまま・無改変)

弁済に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

正解1選択肢 1 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    民法489条1項は、元本・利息・費用を支払う場合の充当順位を「費用、利息、元本」の順と定めており、これは当事者の合意による別段の定めがなければ任意に変更できない法定充当の規定です。「債務者の指定がない限り」と限定を付し、債務者の指定で順位を変えられるかのような本肢の表現は誤りで、これが妥当でない肢として正解です。

  • 2正しい

    民法488条2項は、債務者が充当指定をしないときに債権者が受領時に指定でき、ただし債務者が直ちに異議を述べた場合は指定の効力が生じない旨を定めており、本肢は妥当です。

  • 3正しい

    判例(最判昭和40年4月30日)は、不動産の代物弁済による債務消滅の効果は、所有権移転登記が完了して初めて生じるとしており、本肢は妥当です。

  • 4正しい

    判例(最大判昭和32年6月5日)は、原則として口頭の提供が必要だが、債権者が契約自体の存在を否定するなど受領拒絶の意思が明確な場合には、口頭の提供すらしなくても債務不履行責任を免れるとしており、本肢は妥当です。

  • 5正しい

    民法494条は、弁済の提供をしても債権者が受領を拒んだ場合、弁済者は目的物を供託することで債務を免れる旨を定めており、口頭の提供を経た供託で債務を消滅させることができます。本肢は妥当です。

解説

弁済に関する基本論点を問う問題です。妥当でないものを選ぶ問題で正解は肢1。民法489条1項の充当順位「費用→利息→元本」は法定充当として強行的に定められており、債務者の指定で順位を逆転させることはできません(合意があれば別)。誤りの方向性が分かりにくい肢ですが、「債務者による充当の指定がない限り」という限定の付け方が条文の趣旨を歪めています。誤りでない肢の判例(不動産代物弁済の効果発生時期、債権者が契約存在を否定する場合の弁済提供不要、供託による債務消滅)はいずれも重要論点です。

ここがポイント

費用・利息・元本の充当順位は法定(民法489条1項)で、当事者の合意なく順位を変更できない。不動産代物弁済は登記完了で債務消滅(最判昭40)。債権者が契約存在を否定する場合は口頭の提供すら不要(最大判昭32)。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成30年度(2018年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。