令和5年度 宅建試験 問3 請負契約の契約不適合責任(通知期間・消滅時効)
Aを注文者、Bを請負人として、A所有の建物に対して独立性を有さずその構成部分となる増築部分の工事請負契約を締結し、Bは3か月間で増築工事を終了させた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「契約不適合」とは品質に関して契約の内容に適合しないことをいい、当該請負契約には契約不適合責任に関する特約は定められていなかったものとする。
肢ごとの解説
- 1正しい
本件増築部分は独立性を有さず既存建物の構成部分となるため、付合により当然に建物所有者Aに帰属します(民法242条)。代金未払でも所有権はAに帰属するため、本肢は正しい記述です。
- 2誤り
請負の契約不適合の通知期間は、注文者が不適合を『知った時から1年以内』です(民法637条1項)。『工事が終了した日から1年以内』ではないため、起算点を誤った本肢は誤りです(本問の正解)。
- 3正しい
請負人が不適合を知りながら告げなかったときは、637条の期間制限(知った時から1年)は適用されません(民法637条2項)。この場合は一般の消滅時効(不適合を知った時から5年等)が完成するまで修補を請求でき、本肢は正しい記述です。
- 4正しい
注文者の供した材料の性質によって不適合が生じたときは、請負人は担保責任を負いません(民法636条本文)。Bが材料の不適当を知らなかった本肢では免責され、Aは修補を請求できないため、正しい記述です。
解説
正解は肢2です。請負の契約不適合責任における通知の期間制限は、注文者が不適合を『知った時から1年以内』に通知しなければならないとするものであり(民法637条1項)、引渡し・工事終了時から起算するわけではありません。肢1は独立性のない増築部分が付合により建物所有者に帰属する点(242条)、肢3は請負人が不適合を知って告げなかった場合に期間制限が外れ消滅時効まで請求できる点(637条2項)、肢4は注文者提供材料に起因する不適合は原則免責される点(636条)でそれぞれ正しい記述です。
ここがポイント
請負の不適合通知は『知った時から1年』が起算点(引渡し時ではない)。請負人が悪意・重過失で告げなかった場合はこの期間制限が外れる(637条2項)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)が公表する令和5年度(2023年度)宅地建物取引士資格試験の試験問題からの引用です。正解番号はRETIO公表の正解番号表に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-06)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。