「簿記3級は100時間、2級は250時間」。簿記の勉強時間を調べると、よくこの組み合わせを目にします。ところが学習サイトを1つずつ読むと、3級の目安は50〜150時間、2級は100〜500時間と大きく割れています。同じ会社の中でも、ページによって2級の数字が違うことがありました。そして、この記事で比べた学校・講座のサイトでは、その数字をどうやって出したのか、調査の人数や方法まで示したものは見当たりませんでした。

ただ、各サイトが想定している受験者の条件、つまり「3級の知識があるか」と「独学か講座か」をそろえて読み直すと、ずれの大半は説明がつきます。この記事では、その読み直しに、試験を実施する日本商工会議所の公式データと、合格者の勉強時間を聞いた数少ないアンケートを重ねて、自分に必要な時間を見積もれるようにします。簿記の3級・2級のネット試験は、年3回に決まった試験日がなく、各会場が設定する日に受けられるので、「何月から始めるか」ではなく「1日何時間なら何週間で届くか」の形で計画を示します。1級にも最後に触れます。

この記事の要点

  • 学習サイトの目安を条件でそろえると、3級は簿記がはじめての人で90〜150時間(講座利用は50〜120時間)、2級は3級の知識がある人で100〜350時間、3級を受けずにいきなり2級なら250〜500時間
  • 試験を実施する日本商工会議所は、合格に必要な学習時間を公表していない。この記事で比べた学校・講座のサイトの目安にも、調査の人数や方法を示したものは見当たらない
  • 2級取得者100人のアンケート(アビタス、2022年2月)では、100〜200時間が32%で最多。当サイトが累計すると200時間未満が46%、300時間未満が72%で、中央値は200〜300時間の区間にある
  • 2025年度の合格率は、3級がネット試験40.8%・統一試験37.0%、2級がネット試験32.9%・統一試験20.3%(統一試験は3回合算で当サイト算出)。公式には両方式の難易度は同じとされている
  • 当サイトの試算では、平日1時間・休日3時間(週11時間)なら、3級100時間は10週、3級合格後の2級250時間は23週で届く
  • 2027年4月以降の試験から、出題区分表が改定され、3級は配点も変わる。年度をまたいで学ぶ人は教材の版に注意が必要

結論:条件をそろえると、目安のずれは小さくなる

先に結論をまとめます。学習サイトの目安を、各サイトが書いている想定受験者の条件で並べ直すと、次のようになります。数字は各社の原文どおりで、括弧内はそのサイトが付けている条件です。

3級(簿記がはじめての人)

想定する受験者目安そう示している学習サイト
独学で学ぶ100〜150時間TAC(独学120〜140時間)、スタディング(独学100〜150時間)、ユーキャン(独学で100時間程度)
学習方法を限定しない一般的な目安90〜120時間LEC(約90時間)、大原(約100時間といわれるとする)、CPAラーニング(知識のない人で約100時間)、ヒューマンアカデミー(予備知識がない人で100時間程度)、クレアール(100〜120時間)
講座を使う50〜120時間TAC(予備校利用80〜100時間。講義時間を含む)、スタディング(講座利用50〜100時間)、フォーサイト(自社講座100〜120時間)、CPAラーニング(自社講座で80時間程度)

2級

想定する受験者目安そう示している学習サイト
3級の知識があり、独学150〜350時間TAC(250〜350時間)、ユーキャン(250〜350時間)、フォーサイト(3級合格者250〜350時間)、スタディング(150〜250時間)
3級の知識があり、講座を使う100〜250時間TAC(予備校利用200〜250時間。講義時間を含む)、ユーキャン(150〜250時間)、スタディング(100〜200時間)、CPAラーニング(講義利用150〜250時間)
3級の知識がある前提で、学習方法を限定しない200〜300時間LEC(約250時間)、CPAラーニング(200時間程度)、キャリカレ(簿記経験者200〜250時間)、クレアール(250〜300時間。2級講座は3級までの知識がある方を前提とするとしている)
簿記がはじめてで、3級を受けずに2級から250〜500時間TAC(独学300〜350時間、別のページでは400〜500時間)、フォーサイト(独学400〜500時間)、ユーキャン(350〜500時間)、キャリカレ(3級相当の学習を含めて300〜350時間)、CPAラーニング(講義利用250〜350時間)

フォーサイトは、自社講座を使う場合の2級を150〜250時間としています。ただし、この時間が3級の知識を前提にしているかは書かれておらず、簿記を初めて学ぶ人には3級から始めることを勧めているため、この表には入れていません。

この表から言えるのは次のことです。

  • 3級は、簿記がはじめてでも100時間前後を見込めば、多くのサイトの目安に収まります。独学なら少し多めに120〜150時間を見ておくと安心です。
  • 2級の数字が100時間から500時間まで割れて見えるのは、主に「3級の知識を前提にしているか」の違いです。3級を終えてから2級に進むなら250時間前後、簿記がはじめてでいきなり2級を目指すなら400時間前後を見込むのが無難です。
  • 3級を飛ばして2級を受けても、3級の範囲を学ぶ時間がなくなるわけではありません。キャリカレは2級の目安に「3級相当の基礎学習を含めて」と書いています。3級100時間+2級250時間で合計350時間という計算は、いきなり2級の目安(250〜500時間)とほぼ重なります。

ただし、この記事で確認した範囲では、どの数字にも調査の人数や方法は書かれていません。キャリカレは、日本商工会議所が定めた標準学習時間ではないと明記しています。表の数字は相場観として受け止め、以下の実測データと公式データで自分の位置を確かめてください。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、勉強時間の目安は本当かで学習科学の研究をもとに検証しています。

それでも数字がずれる理由

条件をそろえても残るずれには、確認できた範囲で3つの理由があります。

1つめは、「勉強時間」に講義を見る時間を含めているかどうかです。TACはよくある質問のページで、受講した場合の目安は講義時間と復習時間を含めた時間だと書いています。講義の長さを示しているサイトもあり、クレアールの2級講座は講義が60時間程度、ヒューマンアカデミーの2級講座は講義DVDが計84時間です。講座の目安が短く見えても、その中の相当な部分は講義の視聴で、自分で問題を解く時間は別に要ります。

2つめは、講座を売る立場からの見せ方です。TAC、ユーキャン、スタディングは「独学なら長く、講座なら短い」という形で目安を示しています。講座には教材選びや計画づくりの手間を省ける利点がありますが、独学と講座で実際にかかった時間を比べたデータは示されていません。

3つめは、同じ会社の中でも数字がそろっていないことです。TACは、簿記がはじめてで2級を独学する場合を、あるページでは300〜350時間、別のページでは400〜500時間としています。スタディングも、2級独学の目安が同じページの冒頭と本文で150〜200時間と150〜250時間に分かれていました。CPAラーニングは、2級を3級の知識がある前提で200時間程度とするページ、初学者が講義を使う場合を250〜350時間とするページのほかに、条件を書かずに350〜500時間とするページもあります。目安の数字に、細かな精度を求めすぎないほうがよいということです。

合格者は実際に何時間勉強していたか

総勉強時間を合格者に聞いた調査は、いくつか公開されています。この記事では、調査期間・回答数・対象が明記された2つを中心に使います。区間ごとの割合が本文で読めるのは、このうち2級の調査だけです。どちらも、米国公認会計士の予備校アビタスが実施したアンケートです。そのほかの調査の扱いは、この節の最後にまとめました。

2級取得者100人の勉強時間

アビタスが簿記2級の取得者100人に聞いた調査です(調査期間は2022年2月3日〜2月17日、回答100件)。

2級の勉強時間回答の割合
100時間未満14%
100〜200時間32%
200〜300時間26%
300〜400時間17%
400〜500時間3%
500時間以上8%

最も多いのは100〜200時間(32%)で、200〜300時間(26%)が続きます。当サイトが累計すると、300時間未満が72%、200時間未満が46%なので、ちょうど真ん中の人(中央値)は200〜300時間の間にいます。学習サイトが示す「3級の知識がある人で250時間前後」とおおむね一致する結果です。

ただし、注意点が3つあります。回答者がいつ合格したかは示されていないので、2016〜2018年度に2級の範囲が広がる前の合格者が含まれている可能性があります。3級を先に学んだかどうかも分かりません。また、調査方法は「アンケート調査」とだけ書かれていて、回答者の集め方は示されていません。

1級合格者60人の勉強時間

同じくアビタスが、簿記1級の合格者60人に聞いた調査です(調査期間は2025年2月6日〜2月17日、インターネット調査、男性38人・女性22人)。合計の勉強時間は100〜3,000時間と幅が広く、最も多い回答は1,000時間、中央値は750時間でした。100時間という回答には、公認会計士試験と並行して勉強し、簿記の過去問に取り組んだ時間だけを数えた人も含まれます。平均の受験回数は2.45回で、1回で受かった人は60人中16人です。

そのほかの調査の扱い

確認したほかの調査と、この記事での扱いは次のとおりです。

  • アビタスの別ページでは、2級取得者50人に独自アンケートを行い、勉強時間の平均は264.5時間、最短は50時間程度だったとしています。調査期間と、勉強時間の設問に何人が答えたかは書かれていないため、参考値にとどめます。
  • 個人のブログ(LmoBlog)が、2019年以降の合格者を対象に、3級250名(2022年10月15日〜22日)と2級185名(2022年10月10日〜17日)の調査を公表しています。最も多い回答は3級で60〜100時間、2級で100〜200時間で、3級は94%が200時間以内でした。ただし回答者の集め方は書かれておらず、分布の詳細は画像でしか示されていないため、本文の数字は扱いません。
  • noteの記事に、2024年11月に2級合格者150名に聞いたという調査(平均216時間)があります。回答者の集め方や調査方法が書かれていないため、使いませんでした。

いずれの調査でも、2級は100〜300時間の回答が多いという点はおおむね共通しています。大手の学習サイトが自社の合格者から勉強時間を集計して公表した例は、確認できた範囲ではありません。

ネット試験と統一試験:受け方で合格率は違うのか

日商簿記の3級・2級には、受け方が3つあります。年3回の決まった日に会場で受ける統一試験(ペーパー試験)、各会場が設定する日にテストセンターのパソコンで受けるネット試験、企業や学校が日を決めて行う団体試験です。日本商工会議所は、3つの方式の出題範囲と問題の難易度は同じだとしています。1級は統一試験だけで、年2回です。

いまの受験者の中心はネット試験です。2025年度(2025年4月〜2026年3月)の実受験者数で見ると、2級はネット試験14万1,072人と統一試験(第170〜172回)1万7,753人の合計15万8,825人のうち89%、3級はネット試験27万6,477人と統一試験5万2,723人の合計32万9,200人のうち84%がネット試験でした(合計と割合は当サイト算出)。団体試験は集計の基準が示されていないため、この割合には含めていません。東京商工会議所の23区内では、統一試験は1級だけが行われています。

2級のネット試験の受験者は、2021年度の10万6,833人から2025年度の14万1,072人まで増えました。

日商簿記2級 ネット試験の受験者数と合格率の推移(2021〜2025年度)

  • 受験者数(CBT)
  • 合格率(%)
050,000100,000150,00001020304020212022202320242025
出典: 日本商工会議所「簿記 受験者データ(ネット試験)」

方式別の合格率を2025年度で比べると、次のとおりです。

日商簿記 2025年度の合格率 — 級と受け方(ネット試験・統一試験)で比べる

3級 ネット試験40.8%

受験者276,477人・合格者112,797人

3級 統一試験37%

実受験者52,723人・合格者19,524人

2級 ネット試験32.9%

受験者141,072人・合格者46,351人

2級 統一試験20.3%

実受験者17,753人・合格者3,596人

1級 統一試験14.6%

実受験者20,134人・合格者2,947人

2025年度=2025年4月〜2026年3月。統一試験の合格率は当サイト算出です(3級・2級は3回、1級は2回の合算)。統一試験は第170回(2025年6月8日)・第171回(2025年11月16日)・第172回(2026年2月22日、2〜3級のみ)の実受験者数と合格者数を合算し、当サイトが合格率を算出しました。日本商工会議所は、ネット試験と統一試験の出題範囲・難易度は同じとしています。合格率の差には、受験者の構成の違いなども含まれます。団体試験は合格者数が公表されていないため含めていません。出典: 日本商工会議所「簿記 受験者データ」(統一試験・ネット試験)

2級では、ネット試験の32.9%に対して、統一試験は3回合わせて20.3%でした。統一試験の合格率は回ごとの振れも大きく、2級の直近10回(第164回〜第173回)は11.9%から28.8%の間で動いています。3級の統一試験は同じ10回で28.7%から42.4%でした。

公式には難易度が同じなのに合格率が違う理由は、公表されていません。ネット試験は、受験者が自分の仕上がりに合わせて受験日を選べます。どんな人がどちらの方式を選んでいるかも公表されていないので、この差には受験者の構成の違いが混ざっている可能性があります。そのため、この数字だけで「ネット試験のほうが易しい」とは言い切れません。

合格ラインの仕組み:70%以上で合格

日本商工会議所が示している試験の構成は次のとおりです。

級科目試験時間合格基準受験料(税込)
3級商業簿記(3題以内)60分70%以上3,300円
2級商業簿記・工業簿記(5題以内)90分70%以上5,500円
1級商業簿記・会計学、工業簿記・原価計算90分+90分70%以上(1科目ごとに40%以上)8,800円

ネット試験をインターネットで申し込む場合は、受験料のほかに事務手数料550円がかかります。会場に問い合わせて申し込む方式では、事務手数料は0円からで、会場によって異なります。

合格基準は得点の70%以上と公式に示されています。1級だけは、4科目それぞれで40%以上という条件も加わります。それでも統一試験の合格率は回ごとに大きく動くので、70点を取れる力がついたかどうかを、過去問や模擬試験の得点で確かめながら進めることが大切です。

日本商工会議所は、出題範囲から標準的な問題をランダムに出題するとし、ヤマを張った学習では対応できないと注意しています。また、仕訳を速く確実に行うことを重視するとしています。時間の量よりも、範囲全体を一通り押さえたうえで、仕訳を時間内に正確に解ける練習を積めているかが合否に効きます。

2027年4月から変わること

2027年4月1日以降に行う試験には、改定された出題区分表が適用されます。紙の手形・小切手の廃止と、リースに関する新しい会計基準の適用に合わせた改定です。3級は配点も変わり、第1問45点・第2問25点・第3問30点になります(合格基準は70点以上のまま)。2027年3月31日までの受験には、従来の区分表と配点が適用されます。年度をまたいで勉強する人は、受験する年度に合った版のテキストを選んでください。テキスト選びは日商簿記のおすすめ参考書ガイドで整理しています。

1日何時間なら何週間? 週あたりの勉強時間から逆算する

ネット試験は、施行休止期間を除き、各会場が設定する日に受けられます(日本商工会議所によると、毎週・毎月など定期的に実施する会場と、受験者の希望に応じて実施する会場があります)。そのため、試験日から逆算するより、「週に何時間取れるか」から合格の時期を見積もるほうが現実的です。次の表は、勉強時間の目標に届くまでの期間を、週の勉強時間のパターンごとに当サイトが試算したものです。週数は、目標の時間を週の合計時間で割り、届くよう小数点以下を切り上げています。か月は、切り上げ前の正確な値(目標の時間÷週の合計時間)を1か月約4.35週(365.25日÷12÷7)で割り、小数第1位に四捨五入して表示しています。切り上げた週数から換算していないので、週数を4.35で割った値とは一致しません。

1日の勉強時間週の合計3級 100時間2級 250時間(3級合格後)2級 400時間(いきなり2級)
毎日1時間7時間15週(3.3か月)36週(8.2か月)58週(13.1か月)
平日1時間・休日3時間11時間10週(2.1か月)23週(5.2か月)37週(8.4か月)
平日2時間・休日4時間18時間6週(1.3か月)14週(3.2か月)23週(5.1か月)
毎日3時間21時間5週(1.1か月)12週(2.7か月)20週(4.4か月)
毎日5時間35時間3週(0.7か月)8週(1.6か月)12週(2.6か月)

1か月・2か月で受かるには

検索でよく調べられている「1か月」「2か月」で考えると、必要なペースは次のようになります(当サイト試算)。

  • 3級を1か月(約4.35週)で100時間:毎日約3時間20分
  • 3級を2か月で100時間:毎日約1時間40分
  • 2級(3級合格後)を2か月で250時間:毎日約4時間10分
  • 2級(3級合格後)を3か月で250時間:毎日約2時間45分
  • 2級(3級合格後)を1か月で250時間:毎日約8時間15分

3級の1か月合格は、毎日3時間強を確保できれば目安の時間に届く計算です。2級を1か月で仕上げるのは、仕事や授業のある人には相当に厳しいペースで、スタディングも2級は1か月では厳しいとしています。短期間で受かったという体験談を見かけたら、その人が3級をいつ学んだか、経理の実務経験があるかを確かめてから自分に当てはめるのが安全です。

大学生と社会人では

日本商工会議所の現在の全国集計では、受験者や合格者の年齢・職業別のデータは確認できませんでした。過去には、札幌・東京・横浜・大阪・神戸・福岡の6商工会議所の平成24年度(2012年度)の受験者について、2級・3級の年齢別の割合が資格ガイド誌に載った例がありますが、全国の最新の値ではありません。そのため、大学生と社会人で合格までの時間がどう違うかを示す公式データは見当たりません。予備知識や実務経験による差もありますが、この記事では週に確保できる時間の違いに絞って試算します。授業期間に平日1時間・休日3時間を続ければ3級は10週(約2.1か月)、長期休みに毎日5時間取れれば3級は3週間ほどで100時間に届きます。働きながら平日1時間・休日3時間なら、3級合格後の2級は23週(約5.2か月)が目安になります。

ネット試験には、統一試験の前後に施行を休む期間があります。2026年度の施行休止期間は、2026年4月1日〜4月13日、6月8日〜6月17日、11月9日〜11月18日と、2027年2月22日〜3月3日です。統一試験は、2026年11月15日(日)に1〜3級、2027年2月28日(日)に2・3級が行われます。1級は例年6月と11月の年2回です。各資格の試験日は資格試験スケジュールにまとめています。覚えた内容の復習日を決めたいときは、復習スケジューラが使えます。

科目別の配分:商業簿記と工業簿記をどう分けるか

3級は商業簿記だけなので、配分で迷うのは2級からです。2級は商業簿記と工業簿記の2科目で、5題以内が出題されます。日本商工会議所は2級の大問ごとの配点を公式には示していませんが、学習サイトでは、商業簿記3問・工業簿記2問で各20点(ユーキャン)、商業簿記60点・工業簿記40点(クレアール)と説明されています。ユーキャンは、工業簿記で満点に近い得点を確保したいとしています。

工業簿記は、製造業で製品の原価を計算するための簿記で、3級では学びません。3級を終えてから2級に進む人にとっては、商業簿記は3級の延長、工業簿記はまったく新しい科目です。キャリカレの5か月の計画例は、1〜2か月目を商業簿記、3〜4か月目を工業簿記、5か月目を総復習に充てています。

他人の配分をそのまままねるより、次の手順で自分の配分を決める方法をおすすめします。

  1. 合格に必要な70点に少し余裕を持たせ、80点前後を目標にする
  2. 目標点を科目ごとに割り振る。たとえば商業簿記45点、工業簿記35点という具合です
  3. 予想問題やネット試験形式の模擬試験を本番と同じ90分で解き、科目別の得点を測る。目標との差が大きい科目に時間を寄せ、1〜2週間ごとに測り直す

日本商工会議所は範囲からランダムに出題するとしているので、得意な論点に偏らず、出題区分表の範囲を一通り終えることが前提です。

1級は2級の後に、さらに数百時間

1級は、2級の知識があることを前提に、学習サイトの目安が400〜800時間程度に集まっています。TACは独学500〜700時間・予備校利用500〜600時間、スタディングは独学500〜700時間・講座利用400〜600時間、LECは約550時間、クレアールは750〜800時間です。ユーキャンは、独学なら1,000〜2,000時間、講座を使っても500〜800時間としています。先に紹介した1級合格者60人のアンケートでは、中央値が750時間でした。

1級の合格率は、直近10回(第159回〜第173回)で10.1%から21.2%です。合格すると税理士試験の受験資格が得られます。1級から先の会計資格については、税理士試験の歴史と現在地で扱っています。

勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか

簿記の勉強は、電卓をたたきながら仕訳や計算を繰り返す作業が中心です。机に問題と計算用紙を広げて、本番と同じ60分・90分を計って解く練習もしたいところです。家で集中しにくい人にとっては、こうした時間を確保できる場所を持つことが、勉強時間の確保そのものになります。

当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。

集計の範囲金額
第1四分位(安い方から4分の1の位置)月5,800円
中央値月7,800円
第3四分位(高い方から4分の1の位置)月11,000円

324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。

平日1時間・休日3時間(週11時間)のペースで当サイトが試算すると、3級の100時間は10週(約2.1か月)なので、月単位で契約すると3か月分です。中央値の月7,800円なら自習室代は2万3,400円で、これに受験料3,300円が加わります。3級合格後の2級250時間は23週(約5.2か月)なので6か月分、自習室代は4万6,800円で、受験料は5,500円です。ネット試験をインターネットで申し込む場合は、それぞれ事務手数料550円が加わります。

公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、電卓の音が気になったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかも、事前に確かめておくと安心です。

受かった後の数字:合格者はどれだけいるか

最後に、100〜350時間をかけて取る資格の「その先」を、公式データで見ておきます。

合格者は1年で3級13万人、2級5万人

簿記検定には、合格者を登録する制度がありません。そのため「簿記を持っている人が何人いるか」を示す公的な数字はなく、言えるのは合格者の数です。日本商工会議所は、1954年の開始から第173回(2026年6月)までに2,900万人以上が受験したとしていますが、合格者の累計は公表していません。

2025年度の合格者数を、統一試験とネット試験の公表値から当サイトが合計すると、3級は13万2,321人、2級は4万9,947人、1級は2,947人でした。団体試験の合格者数は公表されていないため含めていません。ネット試験だけで見ても、2020年12月の開始から2026年6月までに、2級で23万6,685人、3級で52万1,767人が合格しています(当サイト算出)。

独占業務はないが、経理の仕事の土台になる

簿記検定は国家資格ではなく、合格者だけができる独占業務や、事業所に置かなければならないという必置の定めもありません。日本商工会議所は、3級を業種・職種を問わない基本知識、2級を企業から最も求められる資格の一つと位置づけています。1級は税理士試験の受験資格になります。

年収は「職種の値」で見るしかない

簿記の合格者だけを対象にした公的な賃金統計はありません。参考として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)で、職種が会計事務従事者の人の年収を「所定内給与×12か月+年間賞与」で算出すると、約487万円(平均年齢44.0歳、勤続12.8年)になります。会計事務従事者の64.6%は女性でした(いずれも当サイト算出)。

ただし、この値は会計事務の仕事に就く人全体の平均で、簿記の資格を持つ人だけの値ではありません。また、資格を取れば年収がこの水準になることや、年収が上がることを示すものでもありません。

よくある質問

簿記3級の勉強時間は何時間必要ですか?

簿記がはじめての人で、おおむね100時間前後が目安です。学習サイトの目安をそろえると、独学で100〜150時間、学習方法を限定しない一般的な目安で90〜120時間、講座を使う場合で50〜120時間でした。試験を実施する日本商工会議所は、合格に必要な学習時間を公表していません。

簿記2級の勉強時間は何時間必要ですか? 3級からと、いきなり2級では違いますか?

大きく違います。3級の知識がある人の目安は、独学で150〜350時間、講座を使う場合で100〜250時間です。簿記がはじめてで、3級を受けずに2級を目指す場合は250〜500時間と、さらに長くなります。2級取得者100人へのアンケート(アビタス、2022年2月)では、100〜200時間が32%で最も多く、200時間未満が46%、300時間未満が72%でした(当サイト算出)。真ん中の人(中央値)は200〜300時間の区間にいます。

簿記は1日何時間勉強すれば、何か月で合格できますか?

当サイトの試算では、平日1時間・休日3時間(週11時間)のペースなら、3級の100時間は10週(約2.1か月)、3級合格後の2級250時間は23週(約5.2か月)で届きます。1か月で3級の100時間を積むには毎日約3時間20分、2か月で2級の250時間を積むには毎日約4時間10分が必要です。ネット試験は、施行休止期間を除き、各会場が設定する日に受けられます。試験日が年3回に決まっている統一試験と違い、試験日から逆算するより、自分のペースで仕上がった時点で受ける計画が立てやすくなっています。

簿記のネット試験と統一試験は、どちらが受かりやすいですか?

日本商工会議所は、両方式の出題範囲と問題の難易度は同じとしています。ただ、2025年度の2級の合格率は、ネット試験の32.9%に対し、統一試験は3回合わせて20.3%(当サイト算出)でした。この差には受験者の構成の違いなども含まれるため、どちらが易しいとは言い切れません。日程を自分で選べて結果がその場で分かるネット試験は、勉強の仕上がりに合わせて受けやすい方式です。

簿記1級の勉強時間はどれくらいですか?

2級の知識があることを前提に、学習サイトの目安は400〜800時間が中心で、独学なら1,000〜2,000時間とするサイトもあります。1級合格者60人へのアンケート(アビタス、2025年2月)では、合計の勉強時間は100〜3,000時間と幅が広く、中央値は750時間、最も多い回答は1,000時間でした。合格率は第159回〜第173回の10回で10.1〜21.2%です。

簿記の資格を取ると年収は上がりますか?

簿記の合格者だけを対象にした公的な賃金統計はありません。参考として、賃金構造基本統計調査(令和7年)で職種が会計事務従事者の人の年収を所定内給与と賞与から当サイトが算出すると、約487万円(平均44.0歳)でした。ただしこれは簿記の資格を持つ人だけの値ではなく、資格を取れば年収が上がることを示すものでもありません。

調査方法・出典について

  • 受験者数・合格者数・合格率は、日本商工会議所「簿記 受験者データ」(統一試験は回ごと、ネット試験は年度ごと)と「全級データ(2020年度~2025年度)」によります。統一試験の年度の合格率と年度の合格者数の合計、ネット試験の割合(統一試験は実受験者数で計算)、ネット試験の累計合格者数は、公表値から当サイトが算出しました。統一試験の年度の合格率は、各回の実受験者数と合格者数を合算して計算しています。
  • 試験科目・試験時間・合格基準は日本商工会議所の各級「試験科目・注意事項」、受験料と2026年度の試験日・施行休止期間は「2026年度試験日程カレンダー」と「ネット試験について」、2027年度からの変更は「出題区分表」(2026年7月31日)と「2027年度以降の日商簿記3級試験問題の配点について」(2026年9月25日)によります。
  • 出題の考え方(範囲からのランダム出題、仕訳の速さと正確さの重視)は、日本商工会議所「新たな日商簿記検定試験のコンセプトなどについて」によります。
  • 東京23区内で統一試験が1級だけ行われていることは、東京商工会議所の「データ」のページによります。
  • 受験者の年齢別データは、現在の日本商工会議所の全国集計で確認できませんでした。過去の例として、資格ガイド誌『稼げる資格』平成25年下半期版に載った、6商工会議所の平成24年度の2級・3級受験者の年齢別割合(日本商工会議所の公式サイト上のPDF)を確認しています。
  • 年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種第1表(企業規模10人以上、男女計)の会計事務従事者の値から、所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額で当サイトが算出しました。
  • 学習サイトの勉強時間の目安と科目配分は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。数字と条件は各ページの原文によります。
  • 合格者・取得者の勉強時間は、アビタスが公表した2級取得者アンケート(2022年2月実施、回答100件)と1級合格者アンケート(2025年2月実施、回答60件)によります。2級の中央値の位置と累計の割合は、公表された分布から当サイトが算出しました。そのほかに確認した合格者調査(アビタスの2級取得者50人、LmoBlogの3級250名・2級185名、noteの2級150名)の扱いは本文に記しました。
  • 週あたりの時間から必要な期間を出す表と、1か月・2か月で必要な1日の時間は、当サイトの試算です。週数は目標に届くよう切り上げています。か月は、切り上げ前の正確な値を1か月約4.35週(365.25日÷12÷7)で割って小数第1位に四捨五入しており、切り上げた週数から換算していません。1か月・2か月で必要な1日の時間も、1か月を約4.35週として計算しています。
  • 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
  • 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず日本商工会議所と受験地の商工会議所の公式情報をご確認ください。