「乙4は40〜60時間」。危険物取扱者乙種第4類(乙4)の勉強時間を調べると、多くのサイトにこの数字が出てきます。ところが、多くは「とされています」「と言われています」という書き方で、どの数字にも、調査の人数や方法までは示されていませんでした。受験者の条件を付けて書いているサイトを並べると、目安は20時間から100時間まで開きます。
この記事では、各サイトが想定している受験者の条件で目安を並べ直し、試験を実施する消防試験研究センターの公式統計を重ねて、「自分には何時間必要なのか」を見積もれるようにします。乙4は都道府県ごとに年に何度も試験がある資格なので、「◯月に始める」ではなく「1週間に何時間なら何週間かかるか」で計画を立てます。あわせて、合格率が低い理由として何が分かっているのか、科目にどう配分するのか、勉強場所にいくらかかるのか、合格した先にどんな数字があるのかまでを整理します。
この記事の要点
- 学習サイトの目安は、条件を付けない一般論で最も多いのが40〜60時間(6社)。条件を付けたものをそろえると、理系科目が得意な人や化学系の仕事・学習の経験がある人で20〜40時間前後、初学者で40〜60時間。化学の知識がほとんどない初学者には、1社が60〜100時間を示している
- 消防試験研究センターは学習時間を公表していない。調査の人数や方法まで示した目安は見当たらなかった
- 令和7年度の乙4は受験者222,545人、合格者71,059人、合格率31.9%。ほかの乙種(62〜68%)より低いが、ほかの類は乙種の免状があれば2科目が免除される
- 乙4の受験者の18.4%は高校生(当サイト算出)で、その合格率は19.0%。20代未満を除くと合格率は35.4%(当サイト算出)
- 合格基準は3科目それぞれ60%以上。法令は15問中9問、物理化学と性質消火は10問中6問の正解が必要
- 令和8年度の乙4の試験日は、都道府県ごとに3〜40日(中央値6日)。申込みの受付締切は試験日の45日前が中央値(いずれも当サイト集計)
- 平日1時間・休日2時間(週9時間)なら、60時間に届くのは7週後(当サイト算出、週数は切り上げ)
結論:条件をそろえると、目安は3つの帯に分かれる
乙4の勉強時間の目安を、各サイトが書いている「想定する受験者」の条件で並べ直すと、次のようになります。数字と条件は各サイトの記述どおりです。
| 想定する受験者 | 目安 | そう示しているサイト |
|---|---|---|
| 条件を付けない一般論 | 40〜60時間 | ユーキャン、フォーサイト(個人差があるとしたうえで)、SAT、スタディング、資格転職、セーフティオイルトランスポート |
| 条件を付けない一般論 | 50時間程度 | オンスク.JP、資格Times |
| 条件を付けない一般論 | 40〜120時間 | スタディング(上の行とは別のページ) |
| 独学 | 40〜60時間 | アルク(独学に必要な勉強時間として) |
| 初学者 | 40〜60時間 | ビズアップ総研 |
| 初学者 | 60時間程度 | スタディング |
| 0から目指す初学者 | 50〜60時間(理想) | 資格転職(合格者の平均は60〜80時間という声が多いとも) |
| 化学の知識がほとんどない初学者 | 60〜100時間 | 資格転職(化学が苦手な人や初学者は80時間以上とも) |
| 化学の基礎知識がある人 | 30時間程度、40〜60時間 | 資格転職(同じページに2通りの記述) |
| 理系科目が得意な人、理系出身者 | 20〜30時間、20時間程度 | SAT(20〜30時間)、ビズアップ総研(20時間程度) |
| 化学系の仕事や学習の経験がある人 | 20〜40時間 | 資格転職 |
| 頻出問題に絞った教材を使う | 20時間(1日7時間なら最短3日) | SAT(自社講座は知識ゼロから最短3日間とする) |
期間で示しているサイトもあります。ユーキャンは独学なら「3カ月から半年程度」が必要と言われているとし、自社講座は「5ヵ月のカリキュラム」としています。フォーサイトは自社講座で「最短2か月」としています。
この表から言えるのは次のことです。
- 化学をしばらく勉強していない初学者なら、60時間を見込んでおくのが無難です。一般論の40〜60時間の上限で、初学者を想定したスタディングの数字とも重なります。
- 化学や物理に苦手意識が強い人は、80〜100時間を見込んでおくと、途中で時間が足りなくなりにくくなります。ただし、この帯を示しているのは確認できた範囲では1社です。
- 理系科目が得意な人や、化学系の仕事・学習の経験がある人は、20〜40時間前後まで短くできる可能性があります。
どの数字も、調査の人数や時期、方法までは示されていません。スタディングは「合格者へのアンケート調査」による時間の分布を載せていますが、実施者、回答者数、実施時期は書かれていませんでした。試験を実施する消防試験研究センターは、学習方法の案内はしていないとしていて、学習時間も公表していません。表の数字は相場観として受け止め、以下の公式統計で自分の位置を確かめてください。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、勉強時間の目安は本当かで学習科学の研究をもとに検証しています。
それでも数字がずれる理由
条件をそろえても残るずれには、確認できた範囲で3つの理由があります。
1つめは、物理・化学の前提知識です。ユーキャンは化学・物理を理系でなかった人には難易度が高い分野とし、オンスク.JPは乙4を難しいと感じる人は文系出身者に多いとしています。ビズアップ総研は、理系出身者は物理・化学をスキップできるため20時間程度で済むこともある一方、文系の人や化学から長く離れていた社会人はここで多くの時間を使いがちだとしています。表で理系向けの目安と、化学の知識がない人向けの目安が大きく離れているのは、こうした見方を反映したものです。
2つめは、講座を売る立場からの見せ方です。SATは自社講座を使えば知識ゼロから「最短3日間」で合格ラインに届くとし、フォーサイトは「最短2か月」としています。一方、ユーキャンは自社講座の期間を5か月としています。期間の長さは、講座が想定する1日の学習時間によって変わるので、講座の期間と総時間を同じものとして比べることはできません。
3つめは、同じ会社の中でも記事やページの中で数字が違うことです。スタディングは一般的な目安をあるページでは40〜60時間、別のページでは40〜120時間としています。資格転職は1つのページの中で、初学者について「理想は50〜60時間」「化学の知識がほとんどない初学者は60〜100時間」「化学が苦手な人や初学者は80時間以上」と3通りに書き、合格者の平均は60〜80時間という声が多いともしています。ユーキャンも、40〜60時間を「1日1時間なら約2か月」とする一方、独学では3か月から半年と言われているとしています。数字を1つだけ拾うより、条件と幅で受け止めるほうが安全です。
合格者・受験者の実像:乙4だけ合格率が低い
消防試験研究センターの広報誌「Voice.」(vol.416、2026年7月号)によると、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の乙4は、受験申請者256,468人、受験者222,545人、合格者71,059人で、合格率は31.9%でした。危険物取扱者試験の受験者全体(311,230人)のうち、7割を乙4が占めています。
危険物取扱者 乙種第4類 受験者数と合格率の推移(2012〜2025年度)
- 受験者数
- 合格率(%)
受験者数は2012年度の約29万人から減り、ここ4年は22万人台で横ばいです。合格率は過去14年間で28.9%(2016年度)から39.0%(2018年度)の間を動き、ここ4年は32%前後で推移しています。令和8年度に入ってからの4〜7月の乙4は、受験者75,829人、合格者25,540人、合格率33.7%でした。
ほかの乙種は合格率6割台。ただし科目免除がある
同じ乙種でも、乙4以外の類の合格率は6割台です。
危険物取扱者試験 2025年度(令和7年度)の種類別合格率
受験者222,545人・合格者71,059人
受験者20,296人・合格者6,900人
受験者19,969人・合格者9,593人
受験者7,931人・合格者5,213人
受験者8,840人・合格者5,830人
受験者10,275人・合格者6,694人
受験者10,972人・合格者6,815人
受験者10,402人・合格者7,032人
この差を読むときに知っておきたいのが、科目免除の制度です。乙種の免状を1つでも持っている人がほかの類を受けると、「危険物に関する法令」と「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の2科目が免除され、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の10問・35分だけの試験になります。乙4は危険物取扱者の最初の1つとして受ける人が多いので、35問すべてを解く受験者の割合が高いと考えられます。ただし、免除を受けた受験者の数は公表されていないため、合格率の差のうちどこまでが免除によるものかは分かりません。
乙4の受験者は誰か:高校生が2割弱
同じ号には、職業別・年代別の受験状況も載っています。乙4について、受験者の多い順に7つの区分を並べると次のとおりです(合格率は公表値)。
| 職業 | 受験者 | 合格率 |
|---|---|---|
| その他 | 57,765人 | 40.3% |
| 危険物を扱うその他の事業 | 50,922人 | 31.0% |
| 高校生 | 40,885人 | 19.0% |
| ガソリンスタンド | 14,530人 | 21.2% |
| 化学工業 | 13,603人 | 28.3% |
| 公務員 | 13,482人 | 46.6% |
| 高校以外の学生、教育・研究機関 | 12,896人 | 41.5% |
高校生は乙4の受験者の18.4%(当サイト算出)を占め、合格率は19.0%です。年代別に見ても、20代未満の合格率は21.3%と低く、20代は35.3%、30代は35.0%、40代は33.0%、50代は36.0%、60代は45.6%でした。20代未満を除いて当サイトが計算すると、乙4の合格率は35.4%になります。
高校生の合格率が低い理由は、公表資料では説明されていません。また、ガソリンスタンドで働く人の合格率も21.2%で、職場で危険物に触れている人の合格率が高いとは限らないことも分かります。社会人が自分の位置を見積もるときは、全体の31.9%に加えて、20代以上の年代別の合格率(33.0〜45.6%)も参考になります。
「1週間で受かった」をどう読むか
インターネットの体験談には「1週間で受かった」「一夜漬けで受かった」というものもあります。こうした体験談を書いた人が、理系の出身なのか、化学系の仕事をしているのかは、体験談からは分からないことがほとんどです。各サイトの目安を見ても、受験者の条件として20〜30時間台を示しているのは、理系科目が得意な人や化学の知識がある人を想定したものと、特定の教材や講座を使う前提のものでした。化学系出身でない人が20〜40時間で合格した例に触れる監修者のコメントもありますが、これも個別の実績の紹介です。
1週間で目安の時間を積むには、40時間でも毎日5時間45分、60時間なら毎日8時間35分が必要です(当サイト算出)。乙4の合格率は31.9%で、受験者の3人に2人は不合格になっています。短期合格の体験談を、初学者がそのまま自分に当てはめるのは危険です。
合格ラインの仕組み:3科目それぞれ6割以上
乙4の試験は、マークシートの五肢択一式で、試験時間は2時間です。科目と問題数は次のとおりです。
| 科目 | 問題数 | 必要な正解数 |
|---|---|---|
| 危険物に関する法令(法令) | 15問 | 9問以上 |
| 基礎的な物理学及び基礎的な化学(物化) | 10問 | 6問以上 |
| 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) | 10問 | 6問以上 |
合格基準は、科目ごとの成績がそれぞれ60%以上であることです。合計点ではなく科目ごとに判定するので、法令で満点を取っても、物化が5問しか正解できなければ不合格になります。決まった割合の正解で合格できる仕組みで、受験者の上位何割かを合格にする試験ではありません。
受験者全員に、合否と正答率を記載した試験結果通知書が届きます。不合格だったときは、どの科目が60%に足りなかったかを確かめて、次の試験までの配分を決める材料にできます。
1日何時間なら何週間? 1週間のペースから逆算する
乙4の試験は、都道府県ごとに年に何度も行われます。令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の試験日程(2026年10月1日時点)を当サイトが集計すると、乙4の試験日は都道府県ごとに3〜40日で、中央値は6日でした。最も多いのは東京都の40日です。居住地に関係なく、希望する都道府県で受験できます。
一方で、申込みの受付は試験日のかなり前に締め切られます。同じ日程から、乙4の試験日(都道府県ごとに数えて計381日)について、電子申請の受付締切から試験日までの日数を当サイトが集計すると、25〜88日で、中央値は45日でした。合格発表の予定日は試験日の9〜36日後で、中央値は18日後です。たとえば東京都の2026年12月13日(日)の試験は、受付が10月19日〜10月30日、合格発表の予定日が12月23日です。
そこで、「1週間に何時間積めるか」から、目標の時間に届くまでの週数を当サイトで計算しました。週数は、目標の時間に届く最小の週数に切り上げています。
| 1週間のペース | 40時間 | 60時間 | 80時間 | 100時間 |
|---|---|---|---|---|
| 平日30分+休日1時間(週4.5時間) | 9週 | 14週 | 18週 | 23週 |
| 平日1時間+休日2時間(週9時間) | 5週 | 7週 | 9週 | 12週 |
| 平日1時間30分+休日3時間(週13.5時間) | 3週 | 5週 | 6週 | 8週 |
| 平日2時間+休日4時間(週18時間) | 3週 | 4週 | 5週 | 6週 |
申込みの締切の日に申し込んで勉強を始めると、試験までは45日前後です。平日1時間・休日2時間のペースなら、その間におよそ58時間を積めます(当サイト試算)。初学者の目安の60時間にほぼ届くので、申込みと同時に始める計画は、このペースが1つの基準になります。化学が苦手で80〜100時間を見込む人は、申し込む前から始めるか、1つ先の試験日を選ぶほうが無理がありません。
試験日まで短い期間しかないときに、毎日どれだけ必要かも計算しました。5分単位に切り上げています。
| 試験までの期間 | 40時間 | 60時間 | 100時間 |
|---|---|---|---|
| 1週間(7日) | 毎日5時間45分 | 毎日8時間35分 | 毎日14時間20分 |
| 2週間(14日) | 毎日2時間55分 | 毎日4時間20分 | 毎日7時間10分 |
| 1か月(30日) | 毎日1時間20分 | 毎日2時間 | 毎日3時間20分 |
働きながらなら、2週間で40時間でも毎日3時間近くが必要です。1か月あれば、60時間でも毎日2時間で届きます。乙4は年に何度も受けられる試験です。不合格だった場合は、受け直す前に結果通知書の正答率を見て、60%に足りなかった科目に時間を寄せてください。
試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。
科目別の配分:60%に遠い科目へ寄せる
科目ごとの時間配分や学習の順番は、サイトによって答えが割れています。
- 科目ごとの時間を示しているのは、確認できた範囲では2つでした。ビズアップ総研は総時間約50時間を想定して、法令30%(約15時間)・物化40%(約20時間)・性消30%(約15時間)としています。タンクローリー輸送のセーフティオイルトランスポートは、法令・物化・性消に20時間ずつとしています。
- 順番は、物化から始めて法令を最後にする派(ユーキャンの一部の記事、SAT、資格Times)と、法令を早めに、または優先して進める派(ユーキャンの別の記事、アルク、資格転職の監修者)に分かれます。ユーキャンは記事によって逆のことを勧めています。
どの配分が合格に有利かを比べたデータはありません。そこで、乙4の合格基準の形から考えます。3科目のどれか1つでも60%に届かなければ不合格なので、得意な科目を伸ばすより、60%に最も遠い科目を引き上げるほうが合否に直結します。手順は3つです。
- 3科目を均等に1周して、それぞれの過去問の正答率を測る。消防試験研究センターも、過去に出題された問題の一部を公開しています。
- 60%との差が最も大きい科目に、次の1〜2週間の時間を多めに寄せる。物化に苦手意識がある人は、ここが物化になるかもしれません。
- 1〜2週間ごとに測り直して、配分を変える。法令は15問中6問まで、物化と性消は10問中4問まで間違えられるので、本番では科目ごとに余裕を残せているかを確かめます。
過去問を何周すればよいのかは「過去問は3周」は本当かで、時間を積んでも落ちる人と受かる人の勉強の違いは資格試験の合格率と学習科学が教える、受かる人の戦略で詳しく扱っています。
勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか
40〜100時間は、たとえば宅建の勉強時間の相場(300〜400時間)に比べれば短い時間です。それでも、家では集中できない人にとって、毎日の時間を確保できる場所があるかどうかは計画の成否に関わります。
当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。
| 集計の範囲 | 金額 |
|---|---|
| 第1四分位(安い方から4分の1の位置) | 月5,800円 |
| 中央値 | 月7,800円 |
| 第3四分位(高い方から4分の1の位置) | 月11,000円 |
324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。
週9時間のペースで60時間を積むと7週なので、月単位で契約すると2か月分です。中央値の月7,800円なら自習室代は1万5,600円で、受験手数料5,300円を加えると2万900円です。化学が苦手で100時間を見込む場合は12週で3か月分になり、自習室代は2万3,400円、受験手数料を加えると2万8,700円です(いずれも当サイト試算)。合格したあとには、免状の交付手数料として1種類につき2,900円がかかります。
公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。
受かった後の数字:乙4はどれだけ取られ、どこで求められているか
最後に、乙4という資格の「その先」を公的な統計で見ておきます。
乙4の免状は年に約6.8万件交付されている
令和7年度に新しく作成された危険物取扱者の免状は114,810件で、そのうち乙4は68,289件でした。試験に合格しても、免状の交付を受けなければ資格を取得したことにはなりません。消防白書によると、制度ができてから2025年3月31日までの危険物取扱者試験の合格者の累計は1,040万6,300人です。これは甲種・乙種・丙種のすべてを合わせた合格者の累計で、乙4だけの人数ではなく、いま資格を使って働いている人の数でもありません。
働いている人の目安は保安講習の受講者
危険物施設で危険物の取扱作業に従事する危険物取扱者は、原則として3年に1度、保安講習を受けなければなりません。令和6年度の受講者は184,998人で、受講者が持つ免状を種類別に数えると、乙4は162,796件でした(1人が複数の免状を持つ場合はそれぞれに数えられます)。毎年の受講者は従事者の一部なので、この数字は従事者の総数ではありません。
需要の根拠は消防法にある
乙4の需要を支えているのは消防法です。危険物施設(製造所、貯蔵所、取扱所)では、危険物取扱者以外の人は、甲種か乙種の危険物取扱者が立ち会わなければ危険物を取り扱えません(消防法13条3項)。また、政令で定める危険物施設の所有者などは、甲種か乙種の危険物取扱者で、6か月以上危険物取扱いの実務経験がある人の中から、危険物保安監督者を定めなければなりません(同条1項)。取り扱える危険物と立ち会える危険物の種類は、免状の種類に応じて総務省令で定められています(同法13条の2第2項)。乙4の対象は、ガソリン、灯油、軽油、重油、アルコール類などの引火性液体です。
消防白書によると、2025年3月31日時点の危険物施設は377,977施設で、そのうちガソリンスタンドなどの給油取扱所は54,843施設です。危険物施設の数は1987年の620,783施設が最も多く、2025年はそこから約4割少なくなっています(当サイト算出)。
また、乙種の免状の交付を受けたあと、危険物製造所等で危険物取扱いの実務経験を2年以上積むと、すべての類を扱える甲種の受験資格が得られます。
年収は書きません
確認できた範囲では、危険物取扱者だけを対象にした公的な賃金統計はありません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)の職種にも、危険物取扱者に対応するものはありません。乙4の受験者はガソリンスタンド、化学工業、運送業、ビル管理業、公務員など幅広い職業に分かれているため、特定の業種の平均年収を「乙4の年収」として示すことはしません。
よくある質問
危険物乙4の勉強時間は何時間必要ですか?
想定する受験者によって変わります。条件を付けない一般論として最も多い目安は40〜60時間ですが、条件を付けた目安をそろえると、理系科目が得意な人や化学系の仕事・学習の経験がある人で20〜40時間前後、初学者で40〜60時間(1社は0から目指す場合の理想を50〜60時間)です。化学の知識がほとんどない初学者については、1社が60〜100時間という目安を示しています。試験を実施する消防試験研究センターは学習時間を公表しておらず、調査の人数や方法まで示した目安も見当たりませんでした。化学から離れている人は60時間、苦手意識が強い人は80〜100時間を見込んでおくと計画を立て直しやすくなります。
危険物乙4に合格するには1日何時間勉強すればいいですか?
目標の時間と試験日までの期間で決まります。60時間を目指す場合、平日1時間・休日2時間(週9時間)なら7週、平日30分・休日1時間(週4.5時間)なら14週かかります(当サイト算出、週数は切り上げ)。申込みの受付締切は試験日の45日前が中央値なので(令和8年度の乙4の日程を当サイトが集計)、締切の日に申し込んで週9時間のペースで始めると、試験までにおよそ58時間を積めます(当サイト試算)。
危険物乙4は1週間や最短何日で合格できますか?
制度上の制限はありませんが、1週間で60時間を積むには毎日8時間35分、40時間でも毎日5時間45分が必要です(当サイト算出)。講座会社の中には自社教材を使えば最短3日とするところもありますが、その前提は1日7時間で計20時間です。受験者の条件として20〜30時間台を示している目安は、理系科目が得意な人、理系出身者、化学の基礎知識や化学系の経験がある人を想定したものでした。化学系出身でない人が20〜40時間で合格した例に触れる監修者のコメントもありますが、個別の実績の紹介で、目安として示されたものではありません。乙4の合格率は令和7年度で31.9%で、受験者の3人に2人は不合格になっている点も考えて計画してください。
文系や化学が苦手でも危険物乙4に合格できますか?
できます。合格基準は法令・物理化学・性質消火の3科目それぞれで60%以上なので、物理化学は10問中6問の正解で足ります。ただし、化学の知識がほとんどない初学者には60〜100時間を示すサイトもあり、知識がある人より長めに見込む必要があります。令和7年度の乙4の合格率は、20代未満が21.3%、20代が35.3%、60代が45.6%で、年代によって差がありました。文系・理系別の公式統計はありません。
危険物乙4の合格率が低いのはなぜですか?
令和7年度の乙4の合格率は31.9%で、ほかの乙種(62〜68%)より低くなっています。ほかの類は、乙種の免状をすでに持つ人なら法令と物理化学が免除され10問・35分で受けられるのに対し、乙4は最初の1つとして35問すべてを受ける人が多いと考えられます。また乙4の受験者の18.4%は高校生で、その合格率は19.0%でした(高校生の割合は当サイト算出)。科目免除を受けた人の数は公表されていないため、差のうちどこまでが免除によるものかは分かりません。
調査方法・出典について
- 令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の受験申請者数・受験者数・合格者数・合格率と、職業別・年代別の受験状況、新規免状の作成件数は、消防試験研究センターの広報誌「Voice.」vol.416(2026年7月号)によります。高校生が乙4の受験者に占める割合と、20代未満を除いた合格率は、同誌の表から当サイトが算出しました。
- 2012〜2025年度の乙4の受験者数・合格者数・合格率の推移は、同センター「試験実施状況」の年度別の公表値によります。令和8年度4〜7月の値は「試験実施状況」の累計値です。
- 試験科目・問題数・試験時間・試験手数料・合格基準・科目免除・受験地は、同センターの受験案内と「よくある質問」によります。受験手数料5,300円(非課税)と免状の交付手数料2,900円は、2026年10月1日時点の額です。
- 試験日の数、受付締切から試験日までの日数、試験日から合格発表予定日までの日数は、同センターの「令和8年度前期・後期 試験日程(危険物取扱者試験)」(2026年10月1日時点)のうち、乙種第4類を実施する日を当サイトが都道府県ごとに集計したものです。同じ日に複数の会場や時間帯がある場合は1日として数えました。日程は年度の途中で変わることがあります。
- 1週間のペース別の週数、短期間での1日あたりの時間、自習室代の試算は当サイトの計算です。週数は目標の時間に届く最小の週数に切り上げ、1日あたりの時間は5分単位に切り上げました。
- 合格者の累計、保安講習の受講者数、危険物施設数は、総務省消防庁「令和7年版 消防白書」と附属資料によります。危険物施設数のピークからの減少率は当サイト算出です。
- 消防法13条の条文は、総務省「危険物取扱者試験事務」に掲載された条文で確認しました。
- 年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職及び職種一覧表・職種別統計を確認し、危険物取扱者に対応する職種が無いため掲載していません。
- 学習サイトの勉強時間の目安、学習の順番、科目配分は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。
- 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
- 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず消防試験研究センターの公式情報をご確認ください。