「ITパスポートは初心者で180時間」。ITパスポートの勉強時間を調べると、多くのサイトがこの数字を挙げています。ところが、その180時間をどうやって出したのかを書いているサイトは見当たりませんでした。「と言われています」という伝聞の形で書いているサイトも多くあります。一方で、講座の受講者に実際の勉強時間を聞いた調査では、初心者の合格者の7割が100時間未満でした。

この記事では、学習サイトの目安を「どんな受験者を想定しているか」でそろえて読み直し、そこに合格者の実測データと、試験を実施する情報処理推進機構(IPA)の公式統計を重ねます。IPAは、受験者が社会人か学生か、どの業界で働いているか、何歳かといった属性別に合格率を公表しています。「誰が受けて、誰が受かっているか」を見ながら、自分には何時間が必要か、1日何時間やれば何週間で届くか、どこに時間を配るか、そして2026年12月の試験休止と2027年度の新制度にどう備えるかまでを整理します。

この記事の要点

  • 学習サイトの目安は、ITの知識がない初学者で100〜180時間(TAC・ユーキャン・アガルート・スタディングの4社は約180時間)、ITの基礎知識がある人で80〜150時間(アガルートは別のページで最短の例として20時間も示しているが、同じページ内で基礎知識がある人の目安とも初心者の目安とも書いている)。180時間をどう算出したかを示したサイトは見当たらない
  • 人数と調査方法が分かる実測は少ない。講座受講者のうちIT初心者の合格者48人では、70.8%が100時間未満で合格し、最も多かったのは50〜80時間未満だった。個人のブログが受験者50人に聞いた調査でも、合格者の平均は78時間だった
  • 2025年度は27万1,352人が受験し、合格率は48.6%。社会人は50.9%だが、高校生は24.9%、専門学校生は23.8%と、社会人の半分ほどにとどまる
  • 社会人の応募者の約3割(当サイト算出)は金融・保険業、不動産業。IPAの分類では、非IT系企業の応募者がIT系企業の4倍以上(当サイト算出)いる
  • 合格基準は総合評価点600点以上かつ3分野それぞれ300点以上で、点数で公表されている。2026年8月の受験者では、総合評価点が基準の600点まであと1〜50点足りない人(550〜599点)が14.6%(当サイト算出)いた
  • IPAは試験を2026年12月28日以降に一時休止する予定で、休止前に選べる試験日は12月27日まで。2027年度から新しい試験制度に移る予定で、出題分野も組み替わる
  • 2009年の開始から2026年8月までの合格者は、延べ約123万6千人(当サイト算出)。登録制度や独占業務はない

結論:条件をそろえると、目安は2つの帯に分かれる

先に結論をまとめます。学習サイトの目安を、各社が書いている「想定する受験者」の条件で並べ直すと、次のようになります。

想定する受験者目安そう示している学習サイト
ITの知識がない初学者(学習方法は限定しない)100〜180時間TAC(約180時間)、ユーキャン(約180時間)、アガルート(約180時間。最短プランのページでは100〜180時間)、スタディング(約180時間)、キャリカレ(130〜180時間)、フォーサイト(100時間程度。集中して質のいい勉強をした場合)
社会人が仕事と両立する場合100〜150時間ユーキャン(本文では計100〜150時間、1日1.5時間を約3か月。冒頭の要約では約150時間)
ITの基礎知識がある人80〜150時間TAC(100〜150時間)、ユーキャン(約100時間)、アガルート(100〜150時間。別ページの最短の目安は20時間で、同ページ内で対象が基礎知識がある人と初心者に割れている)、スタディング(100〜150時間)、キャリカレ(100〜130時間)、フォーサイト(80時間程度。大学・専門学校でITを学んだ人、IT関連の仕事をしている人)
すでにITエンジニアとして働く人数字の提示なしTAC(さらに減らせるとする)

フォーサイトの100時間には、ある程度集中して質の高い勉強をした場合という条件がついています。同社は、ITの勉強をしてこなかった人のほか、社会人経験のない大学生も初学者に含めています。

宅建などの資格と違い、ITパスポートでは「独学なら何時間、講座なら何時間」と学習方法で目安を分けているサイトは、確認した範囲ではありませんでした。分かれ目はほぼ「ITの知識があるかどうか」だけです。

この表から言えるのは次のことです。

  • ITの知識がない人が計画を立てるなら、180時間を上限の目安として置き、100時間前後で過去問の得点を測り直すのが現実的です。後で見るとおり、実測では初心者でも100時間未満で受かった人が多く、180時間は長めの見積もりになっている可能性があります。
  • ITの基礎知識がある人は、TAC・アガルート・スタディングが100〜150時間、ユーキャンが約100時間、キャリカレが100〜130時間、フォーサイトが80時間程度を挙げています。アガルートは別のページで最短を20時間としていますが、同じページの表では基礎知識がある人の目安、本文では初心者の最短として書いていて、対象が食い違っています。同じページで、20時間で確実に合格できるとは限らないとも書いています。また、ここでいう「基礎知識」がITの技術の話なのか、経営や法律も含むのかは、サイトによって違います(次の節で説明します)。

試験を実施するIPAは、合格に必要な学習時間を示していません。キャリカレも、IPAが公式の標準学習時間を定めているわけではないと明記しています。表の数字は「相場観」として受け止め、以下の実測データと公式統計で自分の位置を確かめてください。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、勉強時間の目安は本当かで学習科学の研究をもとに検証しています。

それでも数字がずれる理由

180時間の出どころが示されていない

約180時間という数字は多くのサイトに共通していますが、当サイトが確認した各社のページはいずれも、何人をどう調べて出した数字なのかを示していません。TACとスタディングは「と言われています」、ユーキャンは「一般的な目安とされています」と、伝聞の形で書いています。同じ数字が複数のサイトに出てくることは、その数字が確かめられていることを意味しません。

「ITの基礎知識がある」の中身が違う

ITパスポートは、ITの技術だけを問う試験ではありません。経営戦略、マーケティング、財務、法務、プロジェクトマネジメントも出題されます。TACは、基礎知識がある人の例として、学校で情報処理の科目を履修した社会人と、ストラテジ系・マネジメント系の分野に慣れている社会人を挙げています。そのうえで、学生には経営寄りの分野が、社会人には技術寄りの分野が馴染みにくいかもしれないとしています。ITの仕事をしている人でも、経営や法務の分野では初学者に近いことがあり、その逆もあります。自分がどちらの「基礎知識」を持っているかで、必要な時間は変わります。

講座を売る立場からの見せ方

数字を示しているのは、ほとんどが講座を販売する会社です。「180時間かかるが、講座を使えば効率よく学べる」という見せ方と、「自社の受講者は180時間よりずっと短く受かっている」という見せ方は、方向は逆でもどちらも講座の案内につながっています。どちらかが誤りというより、数字を読むときに、誰がどんな目的で示しているかを意識しておく必要がある、ということです。

合格者は実際に何時間勉強していたか

総勉強時間を、人数と調査方法を明らかにして聞いた公開データは、確認できた範囲で2つでした。

講座受講者のうち、IT初心者の合格者48人

1つめは、スタディング(KIYOラーニング)が、自社のITパスポート講座を受講して合格した人に行ったアンケートです。調査期間は2026年2月1日〜6月20日で、「全くの初心者」と「初心者(PCは仕事や趣味で使うが専門用語は不慣れ)」と答えた48人の回答を集計しています。

総学習時間人数割合
150時間以上5人10.4%
100〜150時間未満9人18.8%
80〜100時間未満11人22.9%
50〜80時間未満12人25.0%
30〜50時間未満10人20.8%
30時間未満1人2.1%

100時間未満で合格した人は34人(70.8%)でした。最も多かったのは50〜80時間未満(25.0%)です。48人を時間の短い順に並べると、真ん中の24番目と25番目の人は「80〜100時間未満」に入ります(当サイト算出)。一方、150時間以上かかった人も1割いました。

学習期間は、1か月未満が16.7%、2か月未満が39.6%、3か月未満が62.5%(いずれも累計)でした。平日の学習時間が2時間未満だった人は68.8%で、最も多かった学習のしかたは「通勤時間に動画を見る」でした。

ただし、この調査には注意点が4つあります。

  • 対象は講座の受講者だけです。教材と学習の順番が用意されていた人たちなので、独学の人より短く済んでいる可能性があります。
  • 対象は合格した人だけです。同じ講座で勉強して不合格だった人の時間は含まれていません。
  • 「初心者」かどうかは本人の申告です。
  • 48人という人数は多くなく、調査したのは講座を販売している会社です。

受験者50人(不合格者を含む)

2つめは、個人ブログ「たけゆうラボ」が、クラウドソーシングで募った受験者50人に聞いたアンケートです(2023年3月公開)。不合格者を含んでいる点と、特定の講座の受講者に限らない点が、1つめと違います。

回答者人数平均勉強時間
合格者32人78時間
不合格者18人59時間
IT経験者(仕事でITに深く関わる)9人52時間
IT未経験者41人75時間

合格者・不合格者の人数は、公表された合格者の割合(64%)から当サイトが算出しました。IT経験者の合格率は89%、IT未経験者は59%でした。ただし、調査の時期や勉強時間の数え方は示されておらず、人数も少ないので、傾向を見る参考にとどめてください。

2つの調査は対象も方法も違いますが、どちらも合格者の勉強時間の中心は100時間を下回っていました。条件と人数が分かる実測として、「初心者は180時間」という定説を相対化する材料にはなります。180時間を確保しないと受からない、と考える必要はありません。逆に、100時間で必ず受かるという保証もありません。

合格者・受験者の実像:誰が受けて、誰が受かっているか

IPAは、受験申込時のアンケートをもとに、受験者の属性別の結果を毎月公表しています。ここでは2025年度(2025年4月〜2026年3月)の1年分を見ます。

年間27万人が受験し、合格率は5割前後

2025年度の応募者は30万7,266人、受験者は27万1,352人、合格者は13万2,012人で、合格率は48.6%でした。応募者は2年続けて30万人を超えています。CBT方式(会場のパソコンで受験する方式)だけで実施されるようになった2012年度以降、合格率は41.0〜58.8%の間で推移しています。

ITパスポート試験 受験者数と合格率の推移(2012〜2025年度)

  • 受験者数
  • 合格者数
  • 合格率(%)
0100,000200,000300,000020406020122013201420152016201720182019202020212022202320242025
出典: 情報処理推進機構(IPA)「ITパスポート試験 統計資料」推移表(令和8年4月21日現在)

社会人と学生で、合格率に差がある

応募者の77.4%が社会人、22.6%が学生でした(当サイト算出)。合格率は、社会人が50.9%、学生全体が41.0%です。学生を学校別に見ると、差はさらに大きくなります。

ITパスポート試験 2025年度の合格率 — 社会人と学生(在学中の学校別)

社会人50.9%

受験者209,165人・合格者106,539人

大学院生68.1%

受験者2,940人・合格者2,002人

大学生48%

受験者36,646人・合格者17,590人

高専生36.9%

受験者1,106人・合格者408人

高校生24.9%

受験者13,878人・合格者3,461人

専門学校生23.8%

受験者5,527人・合格者1,318人

2025年度=2025年4月〜2026年3月。社会人・学生の区分と在学中の学校は、受験申込時のアンケートへの回答による。大学院生の値はIPAの勤務先別一覧表の「大学院」の行による。短大(受験者593人・18.5%)、小・中学校(483人・33.5%)、その他は省略。出典: 情報処理推進機構(IPA)「ITパスポート試験 統計資料 令和8年3月度」勤務先別一覧表(社会人・学生の各行)。大学・高専・高校・専門学校の値は、在学中の学校等一覧表の細目の合計と一致する

大学生の合格率は48.0%で社会人と大きく変わりませんが、高校生は24.9%、専門学校生は23.8%と、社会人の半分ほどです。高校生は1万3,878人が受験しており、学生の受験者の2割強を占めます。

大学生の内訳には、意外な数字もあります。情報系の学科に在籍する学生の合格率は、理工系で41.7%、文系で37.8%でした。情報系以外の学生(文系51.8%、理工系53.0%)より低い値です。統計は申込時のアンケートを集計したもので、なぜこうなるのかは統計からは分かりません。「情報系だから短い時間で受かる」とは言い切れない、ということだけは言えます。

これらは受験者の属性ごとの結果で、勉強時間の違いを調べたものではありません。属性別に勉強時間を比べた公的なデータは見当たりませんでした。

年代別では19歳以下の合格率が低い

年齢別の一覧表から、年代ごとに当サイトが集計すると次のとおりです。

年代受験者合格率応募者に占める割合
19歳以下26,668人28.4%9.3%
20代118,297人50.2%44.3%
30代51,667人55.1%19.2%
40代39,913人50.5%14.6%
50代30,901人46.1%11.2%
60歳以上3,906人56.2%1.4%

応募者の4割強が20代で、平均年齢は応募者が32.2歳、合格者が32.8歳でした(IPA公表値)。50代の合格率46.1%は全体より2.5ポイント(表示した割合どうしの差。当サイト算出)低いものの、2人に1人近くが受かっています。合格率が最も低いのは19歳以下の28.4%で、高校生の合格率が低いことと重なります。

社会人の3割は金融・保険業、不動産業

社会人の応募者を勤務先の業種別に見ると、最も多いのは「金融・保険業、不動産業」の7万445人で、社会人の応募者の約3割(29.6%、当サイト算出)を占めます。次の表は、応募者が1万人以上の業種です(「無職、その他無記入」を除く)。

勤務先の業種応募者合格率
金融・保険業、不動産業70,445人43.5%
製造業27,866人60.9%
情報処理・提供サービス業21,661人49.1%
サービス業19,148人48.8%
ソフトウェア業13,874人52.0%
建設業12,591人46.1%
卸売・小売業、飲食店12,498人51.6%
官公庁、公益団体10,712人69.0%

IPAの分類では、非IT系企業の応募者が17万9,995人で、IT系企業(ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、コンピュータ及び周辺機器製造又は販売業)の4万715人の4倍以上(4.42倍、当サイト算出)でした。ITパスポートは、IT業界の人より、ITを使う側の業界の人が多く受けている試験です。業務別に見ても、最も多いのは「営業・販売(非IT関連)」の4万5,781人(「その他・無記入」を除く)で、合格率は41.9%でした。

応募者が1万人以上の業種に限っても、合格率は官公庁、公益団体の69.0%から金融・保険業、不動産業の43.5%まで開いています。ただ、統計には受験の動機や勉強時間は含まれていないので、差の理由は分かりません。

合格ラインの仕組み:600点と、各分野300点

ITパスポートの合格基準は、IPAが点数で公表しています。宅建のように合格点が年ごとに動く試験とは違い、基準点は固定です。

  • 総合評価点が600点以上(1,000点満点)
  • かつ、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の分野別評価点が、それぞれ300点以上(各1,000点満点)

試験は120分で100問、すべて四肢択一です。このうち評価に使われるのは92問(ストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問)で、残りの8問は今後の出題を評価するために使われます。採点はIRT(項目応答理論)という方式で、問題ごとの難しさなどを踏まえて評価点を算出します。そのため「600点=92問中6割の正解」とは限りません。

実際の得点はどう分布しているのでしょうか。IPAが公表している2026年8月の受験者2万637人の総合評価点を、当サイトが4つの帯にまとめました。

総合評価点人数割合
700点以上3,265人15.8%
600〜699点6,441人31.2%
500〜599点5,651人27.4%
499点以下5,280人25.6%

最も人数が多い50点刻みの帯は600〜649点(3,692人)で、総合評価点600点以上の人の38.0%にあたります。その1つ下の550〜599点には3,018人(受験者の14.6%)がいて、不合格者1万934人の中で最も多い帯(27.6%)です(いずれも当サイト算出)。合格者も不合格者も、基準点の前後に最も多く集まっている分布です。

総合評価点が600点以上だった人は9,706人で、この月の合格者は9,703人でした。差の3人は、総合点が基準を超えても、どれかの分野が300点に届かなかった人と考えられます。分野別の基準で落ちる人は多くありませんが、どこかの分野を捨てる戦略はとれません。

受験が終わると、その場で結果を確認でき、試験結果レポートを1年間ダウンロードできます。新しい受験の申込みは、受験日の翌日からできます。不合格でも分野別の点数が分かるので、次の受験までの配分を決める材料になります。

1日何時間なら何週間? 週の勉強時間から逆算する

ITパスポートは全国の会場で通年、随時実施されているので、試験日から逆算するより、「週に何時間取れるか」から合格の時期を見積もるほうが現実的です。次の表は、目標の時間に届くまでの期間を、週の勉強時間のパターンごとに当サイトが試算したものです。100時間は実測で初心者の合格者の7割が収まった時間、180時間は学習サイトが挙げる初学者の上限です。週数は、目標の時間に届く最小の週数に切り上げた整数です。か月は、切り上げる前の正確な週数を1か月約4.35週で割り、小数第2位を切り上げて小数第1位で表示しています。

1日の勉強時間週の合計100時間180時間
毎日30分3.5時間29週(6.6か月)52週(11.9か月)
毎日1時間7時間15週(3.3か月)26週(6.0か月)
平日1時間・休日3時間11時間10週(2.1か月)17週(3.8か月)
平日2時間・休日4時間18時間6週(1.3か月)10週(2.3か月)
毎日3時間21時間5週(1.1か月)9週(2.0か月)
毎日5時間35時間3週(0.7か月)6週(1.2か月)

2026年12月28日以降は試験が一時休止の予定

時期を考えるうえで最も大きいのは、2026年12月28日以降の試験の休止です。IPAは、試験システムの入れ替え(リプレース)のため、CBT方式で行うITパスポート試験を2026年12月28日以降、一時休止する予定です。試験会場によって試験開催日が異なるため、会場によっては12月27日より前に休止になる場合があります。2026年9月28日以降に申し込む場合、選べる試験日は12月27日までです。2027年1月以降の実施についてはIPAが2026年秋頃に知らせるとしており、当サイトが確認した2026年10月1日時点では、まだ発表されていません。

たとえば2026年10月1日に始めて、12月27日に試験を実施している会場で受けるとすると、期間は約12.4週(87日)です。100時間なら週約8.1時間、180時間なら週約14.5時間が必要になります(当サイト試算。週あたりの時間は小数第2位を切り上げ)。会場ごとの試験日と空席は、IPAのITパスポート試験のサイトで確認できます。受けたい会場の日程は早めに確かめておくと安心です。

2027年度からは出題分野が変わる予定

IPAは、2027年度から情報処理技術者試験を新しい制度に移す予定です。ITパスポートでは、出題分野を現在の3分野から「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に整理し直し、DXで求められるマインド・スタンス(仕事への向き合い方や考え方)やデータマネジメントの基礎を新たに出題する方針です。2026年8月31日には新しいシラバスの案とサンプル問題が公開されましたが、IPAは内容が変わる可能性があるとしています。

2026年12月までに受けるなら、現行のシラバス(Ver.6.5)に沿って勉強します。2027年以降に受けるなら、IPAの発表を確かめてから教材を選ぶのが安全です。

1か月・1週間で受かるには

検索でよく調べられている「1か月」「1週間」で考えると、必要なペースは次のとおりです(当サイト試算)。

  • 1か月(30日)で100時間:毎日約3時間20分
  • 1か月(30日)で180時間:毎日6時間
  • 2か月(61日)で180時間:毎日約3時間
  • 1週間で50時間:毎日約7時間10分
  • 1週間で100時間:毎日約14時間20分

1か月での合格は、毎日3時間以上を確保できれば、実測の多くの人が使った時間に届く計算です。1週間は、100時間どころか50時間でも毎日7時間以上が必要です。アガルートは別のページで、初心者の最短を約20時間とし、初心者が約15〜20時間で合格した事例を紹介しています。ただし同じページの表では20時間を基礎知識がある人の目安としていて、ページ内で食い違っています。また、同じページでITとまったく関わりのない初心者には通常約180時間の対策が必要と言われている、とも書いています。スタディングの実測でも、30時間未満で受かったのは48人中1人でした。1週間で受かったという体験談は、ITの仕事や学習の経験がある人のものかどうかを確かめてから参考にするのが安全です。

社会人・大学生・高校生・50代の場合

社会人の場合、実測でも平日の学習が2時間未満だった人が7割近くいました。平日1時間・休日3時間(週11時間)なら、100時間に届くまで10週、180時間に届くまで17週です。通勤時間を使えるかどうかで、平日の時間は大きく変わります。

大学生は、長期休みにまとまった時間を取れるのが強みです。毎日3時間なら、180時間でも9週で届きます。ただし、情報系の学生の合格率が情報系以外より低かったことを考えると、専攻だけで準備を短く見積もらないほうが安全です。

高校生と専門学校生は、合格率が社会人の半分ほどです。ITパスポートは、IPA自身が、ITを利活用する全ての社会人とこれから社会人となる学生が備えておくべき知識を問う試験と位置づけており、経営戦略や財務、法務など、働いた経験がないとなじみにくい分野が出題されます。ただし、IPAが公表しているのは属性別の合格率で、属性別の学習時間ではありません。学習時間を長めに見積もるなら、学習サイトの初学者の目安のうち最も長い180時間を、保守的な計画の例として置く方法があります。その場合も、ストラテジ系の過去問の得点を早めに測り、足りない分野に時間を寄せると安心です。

50代の合格率は46.1%で、全体の48.6%より2.5ポイント(表示した割合どうしの差。当サイト算出)低いものの、2人に1人近くが受かっています。年代別の勉強時間を示すデータはないので、ほかの年代と同じく、ITの知識があるかどうかで100時間と180時間のどちらを基準にするかを決めてください。

各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。覚えた内容の復習日を決めたいときは、復習スケジューラが使えます。

分野別の配分:テクノロジ系に寄せすぎない

ITパスポートの出題は、次の3分野です。

分野出題数評価に使う問題主な範囲
ストラテジ系35問程度32問企業活動、法務、経営戦略、システム戦略
マネジメント系20問程度18問開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント
テクノロジ系45問程度42問基礎理論、コンピュータシステム、技術要素(セキュリティ・ネットワークなど)

出題数が最も多いのはテクノロジ系ですが、合格には3分野それぞれ300点以上が必要です。ユーキャンも、出題比率が最も高いテクノロジ系だけに偏らないよう注意を促しています。分野ごとに何時間かけるべきかを、根拠とともに示した学習サイトは確認した範囲では見当たりませんでした。

そこで、他人の配分をまねるより、自分の得点から逆算する方法をおすすめします。

  1. 最初に、3分野それぞれの過去問を少量ずつ解き、正答率を測る。IPAは、出題した問題から毎年100問を公開しています(ITパスポート試験 過去問題)。
  2. 出題数の比(おおむね35:20:45)を出発点に時間を割り振る。
  3. 正答率が最も低い分野に時間を寄せる。1〜2週間ごとに測り直して配分を変える。

ITの仕事をしている人はストラテジ系に、営業や事務の仕事をしている人はテクノロジ系に時間を寄せる、といった調整がこの方法なら自然にできます。過去問を何周するかより、間違えた問題をどう解き直すかが効くことは、「過去問は3周」は本当かで詳しく扱っています。

勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか

100〜180時間を積むうえで最も大きな壁は、毎日の時間を確保し続けることです。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。

当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。

集計の範囲金額
第1四分位(安い方から4分の1の位置)月5,800円
中央値月7,800円
第3四分位(高い方から4分の1の位置)月11,000円

324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。

平日1時間・休日3時間(週11時間)のペースで当サイトが試算すると、100時間は約2.1か月なので、月単位で契約すると3か月分です。中央値の月7,800円なら自習室代は2万3,400円で、これに受験手数料7,500円(税込)を加えると3万900円になります。180時間なら約3.8か月で4か月分、自習室代は3万1,200円、受験手数料を加えて3万8,700円です。

公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。

受かった後の数字:合格者はどれだけいるか

最後に、100〜180時間をかけて取る資格の「その先」を、公式統計で見ておきます。

合格者は延べ約123万6千人

ITパスポートには、合格者を登録する制度がありません。そのため「資格を持っている人が何人いるか」を示す数字はなく、言えるのは合格者の累計です。

IPAの推移表から当サイトが合計すると、2009年度に紙の試験で始まってから2011年度の紙の試験の終了までの合格者が16万3,096人、2011年11月に始まったCBT方式の合格者が2026年8月までで107万2,475人、合わせて延べ約123万6千人です。合格した後にもう一度受験して合格した人がいれば、重複して数えられています。2025年度だけでも13万2,012人が合格しました。

独占業務はなく、使われ方は企業と学校が中心

ITパスポートは、情報処理の促進に関する法律に基づく国家試験で、経済産業大臣が合格者を決定します。ただし、合格者だけができる独占業務や、事業所に置かなければならないという必置の定めはありません。IPAは、企業での人材育成や、採用のエントリーシートへの記入、大学や高校での対策講座といった活用例を挙げています。応募者の58.6%(当サイト算出)を非IT系企業の社員が占めていることも、ITを使う側の基礎知識として受けられている試験であることを示しています。

年収の数字は出せない

ITパスポートの合格者だけを対象にした公的な賃金統計はありません。また、受験者の多くはIT以外の業界・職種で働いているため、賃金構造基本統計調査の特定の職種や産業の値を「ITパスポートの年収」として示すことはできません。そのため、この記事では年収の数字を載せていません。

ITの仕事に進みたい人にとっての次の段階は、基本情報技術者試験です。必要な時間の目安と統計は基本情報技術者試験の勉強時間で整理しています。

よくある質問

ITパスポートの勉強時間は何時間必要ですか?

想定する受験者によって変わります。学習サイトの目安は、ITの知識がない初学者で100〜180時間(TAC・ユーキャン・アガルート・スタディングは約180時間)、ITの基礎知識がある人で80〜150時間です(アガルートは別のページで、最短を20時間としています。同じページの表では基礎知識がある人の目安、本文では初心者の目安として書いていて、ページ内で食い違っています)。ただし、180時間をどう算出したかを示したサイトは見当たりません。講座の受講者を対象にした合格者アンケート(スタディング、IT初心者の合格者48人)では、70.8%が100時間未満で合格していました。試験を実施するIPAは、合格に必要な学習時間を示していません。

ITパスポートは1日何時間勉強すれば、何か月で合格できますか?

週に取れる時間で決まります。当サイトの試算では、平日1時間・休日3時間(週11時間)なら100時間に届くまで10週(2.1か月)、180時間に届くまで17週(3.8か月)かかります。毎日1時間(週7時間)なら100時間に15週、180時間に26週です。なお、IPAは試験を2026年12月28日以降に一時休止する予定で、休止前に選べる試験日は12月27日までです。2027年1月以降の実施はIPAが2026年秋頃に知らせるとしています。

ITパスポートは1か月や1週間で合格できますか?

1か月(30日)で100時間を積むには毎日約3時間20分、180時間なら毎日6時間が必要です(当サイト試算)。1週間では100時間でも1日14時間を超えるため、ITの知識がない人には現実的な計画ではありません。スタディングの合格者アンケート(IT初心者の合格者48人)では、学習期間が1か月未満だった人は16.7%、総学習時間が30時間未満だった人は1人でした。短期合格の体験談は、ITの仕事や学習の経験がある人のものかどうかを確かめてから参考にするのが安全です。

社会人・大学生・高校生で合格率は違いますか?

IPAの統計では、2025年度の合格率は社会人50.9%、大学生48.0%、高校生24.9%、専門学校生23.8%でした。高校生と専門学校生は社会人の半分ほどです。ただし、これは受験者の属性ごとの結果で、勉強時間の違いを調べたものではありません。属性別に勉強時間を比べた公的なデータは見当たりません。社会人の応募者の約3割(当サイト算出)は、金融・保険業、不動産業に勤める人でした。

50代からでもITパスポートに合格できますか?

2025年度に受験した50代は30,901人で、合格率は46.1%でした(IPAの年齢別一覧表から当サイト算出)。全体の48.6%より2.5ポイント(表示した割合どうしの差)低いものの、2人に1人近くが合格しています。60歳以上の合格率は56.2%(受験者3,906人)でした。年代別の勉強時間を示すデータはありません。

ITパスポート試験は2027年から変わりますか?

IPAは2027年度から新しい試験制度に移行する予定です。ITパスポートでは、出題分野を現在のストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系から「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に整理し直し、DXで求められるマインド・スタンスやデータマネジメントの基礎を新たに出題する方針です。IPAは試験を2026年12月28日以降に一時休止する予定で、休止前に選べる試験日は12月27日までです。2027年1月以降の実施はIPAが2026年秋頃に知らせるとしています。

調査方法・出典について

  • 受験者数・合格者数・合格率の推移、社会人・学生の区分、勤務先別・業務別・在学中の学校別・年齢別の結果は、IPA「ITパスポート試験 統計資料 令和8年3月度」(令和8年4月21日現在)と、その元データの一覧表(Excel)によります。2025年度は2025年4月〜2026年3月です。社会人と大学院生の合格率は勤務先別一覧表、大学生・高校生・専門学校生など学校別の合格率は在学中の学校別一覧表の値です。年代別の受験者数・合格率、社会人・学生の構成比、金融・保険業、不動産業の構成比は、一覧表の値から当サイトが算出しました。
  • IT系企業・非IT系企業の応募者数は、IPA「令和7年度『iパス(ITパスポート試験)』の年間応募者数等について」(2026年4月21日公開)によります。
  • 評価点の分布は、IPA「評価点分布(総合)」の令和8年8月分(2026年9月28日公表。同じURLが毎月更新されるため、2026年10月1日に取得した版)と「試験結果(令和8年8月度)」によります。4つの帯への集計と割合は当サイトが算出しました。
  • 合格者の累計は、IPA「推移表(平成21年度春期以降)」のITパスポート試験の紙の試験6回分(平成21年度春期〜平成23年度秋期)と、「統計資料 令和8年8月度」の推移表にあるCBT方式の累計(2011年11月〜2026年8月)を当サイトが合計しました。
  • 試験の構成・合格基準・採点方式・受験手数料7,500円(税込)は、IPAのITパスポート試験「試験内容・出題範囲」と「受験要領」によります。試験の休止と申込みの扱いは、IPA「2026年5月以降の試験実施について」(2026年8月3日更新)によります。2027年度の新制度は、IPAの令和7年度年間応募者数のお知らせ、出題範囲等の改定案、ITパスポート試験のシラバス案Ver.0.1(2026年8月31日掲載)によります。
  • 学習サイトの勉強時間の目安は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。フォーサイトのページは画面に本文が表示されなかったため、ページに埋め込まれた記事データから本文を確認しました。
  • 合格者の総学習時間と学習期間は、スタディングが公表した合格者アンケート(調査期間2026年2月1日〜6月20日、IT初心者の属性の有効回答48件、自社によるオンライン調査)によります。中央値が入る階級は、公表された人数から当サイトが算出しました。受験者50人の調査は、たけゆうラボ(2023年3月22日公開、9月13日更新)によります。合格者・不合格者の人数は、公表された合格者の割合から当サイトが算出しました。
  • 1日・1週あたりの時間と到達までの週数、自習室代は、当サイトの試算です。
  • 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
  • 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ずIPAの公式情報をご確認ください。