「司法書士は3,000時間」。司法書士の勉強時間を調べると、ほぼ必ずこの数字に行き当たります。学習サイトを1つずつ読んでも、目安はほとんどが約3,000時間で、幅をつける学校でも2,000〜3,000時間です。ところが、この3,000時間を何人を対象にどう調べて出したのかまで示しているサイトは見当たりませんでした。スタディングは「資格取得エクスプレスのアンケート」を根拠に挙げていますが、人数は書かれていません。伊藤塾は、通説の3,000時間には明確な根拠がないと自ら書いています。

一方で、自社講座を使った合格者に聞いた総勉強時間の分布を公開している学校が2つあります。そこでは、3,000時間未満で合格した人は3割強(当サイトの読み取り・算出)で、TACでは5,000時間以上という人が3割を超えました。この記事では、各社の目安の中身を読み直し、試験を実施する法務省の公表データと合わせて、「自分には何時間必要なのか」を見積もれるようにします。あわせて、いつから始めればいいのか、1日に何時間やればいいのか、科目にどう配分するのか、勉強場所にいくらかかるのか、合格した先にどんな数字があるのかまでを整理します。

この記事の要点

  • 学習サイトの目安は、ほぼ「約3,000時間」にそろっている。幅をつける学校でも2,000〜3,000時間。今回確認した学校の解説ページに、法学部出身や行政書士合格者など経歴別の時間数を示したところはなかった
  • 時間帯別の分布を公開している講座受講者の合格者アンケート2件(TACの2024年度合格者、アガルートの令和7年度合格者22人)では、3,000時間未満で合格した人は3割強(当サイトの読み取り・算出)。同じく当サイトの読み取りでは、中央値はTACで3,500〜4,000時間の区分にあり、アガルートでは中央の2人が3,000〜3,500時間と3,500〜4,000時間の区分にまたがる。TACでは5,000時間以上が最も多く、3割を超えた。どちらも自己申告で、TACは受験回数を重ねるほど総勉強時間が増えると説明している。アガルートは回答に許諾した一部の合格者のみが対象
  • 令和7年度は受験者14,418人のうち751人が合格し、合格率は5.2%。合格者の平均年齢は42.05歳(2025年11月4日現在)で、当サイトの集計では40代が最も多い
  • 合否は3つの基準点(足切り)と総合点で決まる。令和8年度の筆記試験では、午前の択一で基準点の84点に届いた人は27.5%、午後の択一で75点に届いた人は20.6%で、3つの基準点をすべて満たした人は受験者の8.7%だった(当サイト算出)
  • 記述式は350点中140点で、配点の4割を占める。令和6年度から配点が倍になった
  • 週20時間のペースでは、3,000時間に届くまで約2年11か月かかる(当サイト試算)。2028年7月の試験に3,000時間を積むには、12か月前の2027年7月に始める場合、週57.5時間が必要(当サイト試算、0.5時間単位で切り上げ)
  • 日本司法書士会連合会の会員(登録している司法書士)は23,505人(2026年4月1日現在)。司法書士だけを対象にした公的な賃金統計はない

結論:目安は3,000時間にそろうが、合格者の自己申告は広く散らばる

先に結論をまとめます。資格によっては、学校が「独学の初学者なら何時間、経験者なら何時間」と受験者の条件別に目安を示します(例として宅建の勉強時間)。司法書士は事情が違い、今回確認した学習サイトの目安は、経歴別ではなく一般論としての約3,000時間が中心です。各社が書いている前提ごとに並べると次のとおりです。

前提目安そう示している学習サイト
経歴や学習方法を限定しない一般論約3,000時間TAC、アガルート(実際はそれ以上かかる人が圧倒的に多いとする)、スタディング(学習期間は2〜3年)、フォーサイト(インプットと問題演習の合計)
同じく一般論で、幅をつけたもの2,000〜3,000時間TAC よくある質問(1〜3年)、伊藤塾(2,000時間程度での合格も十分可能とする)
独学約3,000時間か、それ以上TAC(約3,000時間は最短で合格した場合の想定で、より多くかかる場合もあるとする)、スタディング(独学では効率が落ち、さらに長くかかる可能性があるとする)
短期で受かった人の例約1,000〜1,500時間LEC(早い人で約1,500時間。一発合格した人の平均は1年で1,536時間)、伊藤塾(約1,000時間で初回合格した社会人の事例。学習期間は約1年6か月)

表から言えることは次のとおりです。

  • 何の前提もなく計画を立てるなら、3,000時間を置くのが各社の共通認識です。ただし、それを合格者の自己申告で裏づけたと言えるのは、次の節で見る講座受講者のアンケートだけです。
  • 「短期で受かった人の例」は、あくまで事例です。LECの1,536時間は合格者に聞いた平均とされていますが、何人に聞いたかは書かれていません。伊藤塾の約1,000時間の事例も1人の社会人のもので、学習期間は約1年6か月、行政書士試験を経て受験した人です。
  • 法学部出身や行政書士合格者といった経歴で何時間短くなるかは、確認できた範囲では、数字で示している学校はありませんでした。

「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、学習科学の研究をもとに勉強時間の目安は本当かで検証しています。

合格者は実際に何時間勉強していたか

総勉強時間の分布(時間帯別の人数や割合)を公開した合格者アンケートは、確認できた範囲では2件あります。どちらも自社の講座を使って合格した人が対象で、数字は自己申告です。なお、LECは一発合格した人に聞いた1年間の時間の平均(1,536時間)を公開していますが、分布は示していないので、この表には含めていません。

1つめはTACの2024年度合格者アンケートです。回答者数は書かれていません。2つめはアガルートの令和7年度合格者アンケートで、調査期間は2025年11月4日〜25日、有効回答は22人です。

これまでの総勉強時間TAC(2024年度)アガルート(令和7年度・22人)
1,500時間未満0%0%(区分なし)
1,500〜2,000時間約3%9.1%
2,000〜2,500時間約8%18.2%
2,500〜3,000時間約22%4.5%
3,000〜3,500時間約14%18.2%
3,500〜4,000時間約8%9.1%
4,000〜4,500時間約6%13.6%
4,500〜5,000時間約3%18.2%
5,000時間以上約36%9.1%(6,000時間以上)

TACの値は、TACが公開しているグラフから当サイトが読み取った概数です。TACは、受験回数を重ねるにつれて総勉強時間は自然と増えると説明しています。アガルートの表の見出しは「これまでの合計」で、不合格の年を含むかどうかは書かれていません。アガルートは、アンケートへの回答に許諾した一部の合格者のみを対象にしたと注記しています。TACは本文で、5,000時間以上が3割以上、2,500〜3,000時間が2割以上と説明しています。アガルートの表には1,500時間未満と5,000〜6,000時間の区分がありませんが、割合の合計が100%になるので、該当者はいなかったとみられます。

2つの調査を並べると、次のことが言えます。

  • 3,000時間未満で合格した人は、TACで約33%(読み取った概数の合計)、アガルートで31.8%(当サイト算出)でした。どちらも3人に2人ほどは3,000時間以上と答えています。
  • 当サイトの読み取りでは、中央値(ちょうど真ん中の人)はTACで3,500〜4,000時間の区分にあります。アガルートは22人のうち中央の2人(11番目と12番目)が3,000〜3,500時間と3,500〜4,000時間の区分にまたがっていて、中央値の時間数までは確定できません。
  • 2,000時間未満で合格した人は、どちらも1割に届きません。

ただし、注意点が4つあります。TACが書いているとおり、受験回数を重ねるほど総勉強時間は増えるので、複数年かけた人ほど長くなりえます。アガルートは不合格の年を含むかどうかが書かれていないので、分かりません。また、対象は講座の受講者だけで、独学の人の分布は分かりません。さらに、アガルートは回答に許諾した一部の合格者のみが対象で、回答しなかった人は含まれません。そして、回答者はアガルートが22人と少なく、TACは人数を公表していません。アガルートの中央値は、3,000〜3,500時間の区分の11番目と3,500〜4,000時間の区分の12番目の人の間にあり、区分の中の実際の時間が分からないので3,500時間より上か下かは決められません。ただ、どちらの調査でも「3,000時間」は中央値より下にあり、合格者の真ん中よりやや短い位置にあります。ただし、講座合格者の自己申告で、人数も限られているので、受験者全体にとって3,000時間が長いか短いかは判定できません。なお、スタディングが示す「資格取得エクスプレスのアンケート」は、勉強期間と1日の勉強時間を聞いたもので、人数が書かれておらず、総勉強時間の分布は読み取れません。LECは受験回数(132名)と出身学部(137名)を自社アンケートで示していますが、勉強時間そのものの調査ではありません。

数字がずれる理由

学校ごとの目安が「3,000時間」と「1,500時間」で倍も違って見えるのには、確認できた範囲で3つの理由があります。

1つめは、何を数えているかの違いです。合格者アンケートの総勉強時間は、学習を始めてから合格するまでの累計です。TACは受験回数を重ねるほど増えると説明しています。一方、LECの1,536時間は、一発合格した人に聞いた1年間の時間の平均です。一発合格した人だけの平均なので、複数年かけた人を含む累計とは数えているものが違い、受験生全体の目安とは性質が違います。

2つめは、3,000時間という数字の位置づけです。伊藤塾は、3,000時間は試験範囲の広さから推測された数字で、スケジュールを組むための目安にすぎないとしています。TACやスタディングは、2年なら1日約4時間、1年なら1日約8時間というように、3,000時間を学習期間で割った計画の形で示しています。

3つめは、見せ方の違いです。アガルートは実際には3,000時間以上かかる人が圧倒的に多いと長めに書いています。一方、LECは一発合格した人に限れば3,000時間も必要ないとし、伊藤塾は3,000時間よりはるかに短い時間で合格した事例を紹介しています。いずれも講座を販売している立場からの説明で、独学と講座の時間の差を実際に比べたデータは示されていません。

合格者・受験者の実像:平均年齢42歳、合格率5.2%

令和7年度(2025年7月6日に筆記試験)の司法書士試験は、出願者17,365人、受験者14,418人、合格者751人でした。合格率は受験者に対して5.2%、出願者に対しては4.3%です(いずれも当サイト算出)。受験者数は、午前の部と午後の部の両方を受けた人の数です。

司法書士試験 受験者数と合格率の推移(2006〜2025)

  • 実受験者数
  • 合格率(%・対受験者)
010,00020,00030,000024620062007200820092010201120122013201420152016201720182019202020212022202320242025
出典: 法務省「司法書士試験」結果 各年

受験者数は2020年の11,494人を底に増えています。令和8年度の出願者は17,862人で、前年より497人増えました。合格率(対受験者)は2020年以降、5.1〜5.3%の範囲で推移しています。

法務省は、合格者の生年別の人数と平均年齢を公表しています。令和7年度の合格者の平均年齢は42.05歳(2025年11月4日現在)で、令和5年度の41.14歳、令和6年度の41.50歳から少しずつ上がっています。最年少は17歳、最年長は74歳でした。生年別の人数から、2025年中に迎える年齢で当サイトが区切ると次のようになります。

年代合格者構成比
20代以下120人16.0%
30代198人26.4%
40代229人30.5%
50代148人19.7%
60代以上56人7.5%

合格者の半数以上が30代と40代で、女性は223人で、合格者の29.7%(当サイト算出)でした。法務省は合格者の職業や受験回数は公表していないので、社会人と学生の割合や、何回目で受かったかは公式の数字では分かりません。平均年齢だけでは、働きながら勉強した人の割合までは分かりません。

合格ラインの仕組み:3つの基準点と総合点

司法書士試験の筆記試験は、7月の1日で午前と午後に分けて行われます。法務省の受験案内による構成は次のとおりです。

区分時間科目問題と配点
午前の部9時30分〜11時30分憲法、民法、商法(会社法を含む)、刑法択一式35問・105点
午後の部13時〜16時不動産登記・商業登記、供託、民事訴訟・民事執行・民事保全、司法書士法択一式35問・105点、記述式2問・140点

択一式は1問3点です。記述式は、事例を読んで登記の申請書を作成する問題です。

合否は2段階で決まります。まず、午前の択一、午後の択一、記述式の3つにそれぞれ基準点があり、どれか1つでも下回ると、それだけで不合格になります。そのうえで、合計点が合格点以上の人が筆記試験の合格者です。筆記試験の合格者は10月の口述試験を経て、最終合格となります。

年度午前の択一午後の択一記述式合格点
令和6年度78点72点83.0点267.0点
令和7年度78点72点70.0点255.0点
令和8年度84点75点70.0点258.0点

満点は午前・午後の択一が各105点、記述式が140点、合計350点です。基準点と合格点は毎年変わります。法務省は、基準点と合格点の決め方を公表していません。公表されている数字では、午前の択一の基準点は令和6年度の78点から令和8年度の84点へ、記述式は83.0点から70.0点へと動いています。決まった点数を取れば受かる試験とは考えず、毎年の基準点を確認しておくのが安全です。

基準点がどれだけ厳しいかは、法務省が公表している得点分布から分かります。令和8年度(2026年7月5日に筆記試験)の結果を、当サイトが割合にまとめました。

令和8年度 司法書士試験 筆記の基準点に届いた人の割合(受験者に占める割合)

① 午前の択一 84点以上27.5%

4,225人/午前の部の受験者15,342人

② 午後の択一 75点以上20.6%

3,088人/受験者14,960人

③ 午前・午後の択一とも基準点以上(記述式の採点対象)16.7%

2,502人/受験者14,960人

④ 3つの基準点をすべて満たした(③のうち記述式70.0点以上)8.7%

1,295人/受験者14,960人

①②はそれぞれ単独の基準点に届いた人の割合。記述式は午前・午後の択一でともに基準点を越えた人だけが採点されるため、③は①と②の両方を満たした人、④はさらに記述式の基準点も満たした人(3つの基準点をすべて満たした人)。受験者は午前の部と午後の部の両方を受けた人で、①だけは午前の部を受けた人(午後の欠席者382人を含む)が分母。筆記試験の合格点は350点中258.0点。令和8年度の最終合格発表は2026年11月5日の予定。割合は当サイト算出。出典: 法務省「令和8年度司法書士試験筆記試験(多肢択一式問題)得点順位別員数累計表」「同(記述式問題)得点別員数表」「同 筆記試験の合格点等について」

グラフの①と②は、午前の択一と午後の択一それぞれ単独の基準点に届いた人の割合で、②は①の内訳ではありません。③と④が、基準点を順に満たした人の割合です。午前の択一で84点(35問中28問正解)に届いたのは、午前の部を受けた人の27.5%でした。午後の択一で75点(25問正解)に届いたのは、受験者の20.6%です。記述式が採点されるのは、午前と午後の択一でともに基準点に達した人だけで、令和8年度は2,502人(受験者の16.7%)でした。令和7年度も、記述式の採点対象2,673人は午後の択一の基準点に達した3,124人より少なく、この仕組みと整合します。この2,502人のうち、記述式でも基準点の70.0点に届き、3つの基準点をすべて満たしたのは1,295人で、受験者の8.7%にとどまりました(割合はいずれも当サイト算出)。令和8年度の最終合格発表は、2026年11月5日の予定です。

ここから言えるのは、「択一で基準点に達する力」と「記述式で点を取る力」の両方が必要だということです。択一だけを固めても、記述式で基準点に届かなければ受かりません。合格率や受験者数の20年分の推移は、司法書士試験はどう変わったかで詳しく扱っています。

いつから始める? 開始月別の「1週・1日あたりの時間」

司法書士試験の筆記試験は、例年7月上旬の日曜日に行われます。令和5〜8年度は、いずれも7月の第1日曜日でした。2026年度(令和8年度)は7月5日(日)に筆記試験が行われ、10月13日(火)に口述試験が行われる予定です。最終合格発表は2026年11月5日の予定です。2027年度(令和9年度)の日程は、2026年10月1日時点ではまだ公表されていません。令和7・8年度とも、受験案内は4月1日に公表され、受験申請は5月に受け付けられました。

7月の試験日から逆算して、始める時期ごとに必要な時間を計算すると次のようになります。計算は、試験日を2028年7月2日(7月の第1日曜日)と仮に置き、各月の1日に始めた場合で行いました。週あたりの時間は、正確な日数から出した週数(104.6、91.4、78.3、65.4、52.4、39.3週)で目標時間を割り、0.5時間単位で切り上げています(四捨五入ではなく切り上げなので、目標の時間に届きます)。表の週数は表示用に四捨五入したものです。「平日1日」の列は、休日に6時間ずつ(週12時間)勉強した場合に、丸める前の週あたり時間と週12時間の差を平日5日で割り、10分単位で切り上げています(表に載せた週あたり時間からは再計算せず、正確な週数から直接計算しています)。いずれも当サイト算出です。

始める時期試験までの週数2,000時間:週2,000時間:平日1日3,000時間:週3,000時間:平日1日
24か月前(7月)約105週19.5時間1時間30分29時間3時間30分
21か月前(10月)約91週22時間2時間33時間4時間10分
18か月前(1月)約78週26時間2時間50分38.5時間5時間20分
15か月前(4月)約65週31時間3時間50分46時間6時間50分
12か月前(7月)約52週38.5時間5時間20分57.5時間9時間10分
9か月前(10月)約39週51時間7時間50分76.5時間13時間

たとえば2026年10月に始める場合、2028年7月の試験までは21か月前の行、2027年7月の試験までは9か月前の行にあたります。

働きながら現実的に確保できる時間を、伊藤塾はフルタイム勤務で週20時間前後、時短勤務で週27時間程度としています。週20時間を物差しにすると、2,000時間を目指すなら24か月前に始めてようやく間に合い、3,000時間を目指すなら2年では足りません。週20時間で3,000時間に届くのは約150週、つまり約2年11か月後です(当サイト試算)。なお、TACは2年で合格を目指す計画を1日約4時間(週28時間ほど)で組み、目標年の前々年の4〜7月に始めるのが目安としています。週20時間より多い前提なので、働きながらでこのペースを保てるかは、自分の生活に当てはめて確かめておく必要があります。

1年以内の合格を目指す場合、2,000時間以上を見込むなら、平日も1日5時間以上を確保できる人でなければ計画が成り立ちません(表の12か月前の行)。3,000時間を1年で積むなら毎日8時間強が必要です(当サイト試算)。TACは1年での合格を専業や短期集中型の人向けの計画とし、スタディングは社会人には非常に厳しいとしています。一方で、LECは一発合格した人の平均を1年で1,536時間としており、伊藤塾も社会人で1年〜1年半の合格は射程圏内としています。ただし、LECの1,536時間は人数が書かれていない平均値で、上限を示すものではありません。1年以内に合格する人がどれくらいいるかを示す人数や割合も、公表されていません。

試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。

行政書士・法学部の経験はどれだけ効くか

「司法書士 勉強時間」と一緒によく調べられているのが、行政書士の合格者や法学部の学生・卒業生の場合です。結論から言うと、経歴によって何時間短くなるかを調べた公開データは、確認できた範囲ではありませんでした。

確認できたのは、次のような断片的な情報です。

  • TACは、10か月で合格を目指す計画(1日約10時間)を、専業の人や、宅建・行政書士など法律資格の経験がある人向けとしています。
  • アガルートは、司法試験の受験経験者など、出発点の知識が違う人はより短期間での合格も目指せるとしています。
  • 伊藤塾が紹介する初回合格の事例のうち、約1,000時間で合格した社会人(学習期間は約1年6か月)と、勉強期間約8か月で合格した消防士(時間数の記載なし)は、どちらも行政書士試験を経てから受験した人でした。

憲法・民法・商法(会社法)は、行政書士試験や大学の法学部と重なる科目です。ただし、司法書士試験の配点で最も大きいのは不動産登記法と商業登記法で、特に記述式の140点は登記の申請書を作る力を問います。行政書士試験の試験科目に登記法はなく、大学で登記法を履修できるかは学部や課程によるため、経験者でも記述式の時間は別に見込んでおく必要があります。行政書士試験の位置づけは行政書士試験の歴史と傾向、司法書士と弁護士の違いは司法書士は「弁護士の下位互換」なのかで扱っています。

科目別の時間配分:配点の4割を占める記述式から考える

司法書士試験は11科目あり、出題数に大きな差があります。例年の出題数は次のとおりです。法務省は科目ごとの出題数の一覧は示していませんが、公開されている問題冊子から数えられます(令和7年度の午前の部は、憲法3問、民法20問、刑法3問、商法・会社法9問)。次の表は大手スクールの整理による例年の数です。

科目例年の出題配点
民法択一20問60点
不動産登記法択一16問+記述1問48点+記述
商業登記法択一8問+記述1問24点+記述
会社法・商法択一9問27点
民事訴訟法択一5問15点
憲法、刑法、供託法各択一3問各9点
民事執行法、民事保全法、司法書士法各択一1問各3点

記述式2問の配点は合わせて140点で、350点満点の4割を占めます。記述式の配点は、令和5年度までの70点から、令和6年度に140点へ倍増しました(法務省、2023年12月4日のお知らせ)。午後の部の試験時間3時間は変わっていません。

各社の配分の例を見ると、アガルートは3,000時間のうち不動産登記法に約700時間、民法に約650時間、商業登記法に約450時間、会社法・商法に約350時間を充てています。アガルートはこの主要4科目で出題の約8割を占めると説明しており、配分例ではこの4科目が3,000時間の7割強(2,150時間、当サイト算出)になります。不動産登記法を最も多くしている理由は、択一の出題数の多さに加えて、記述式の練習にまとまった時間がかかるためだと説明しています。LECも、民法(20問)と憲法(3問)に同じ時間をかけるのは得策ではないとしています。ただ、どの配分が合格に有利かを比べたデータはありません。また、記述式の配点が倍になる前に作られた配分の例は、記述式の比重を小さく見積もっている可能性があります。

そこで、他人の配分をまねるより、3つの基準点から逆算する方法をおすすめします。

  1. 午前の択一、午後の択一、記述式の3つそれぞれに、直近の基準点より少し上の目標を置く。令和8年度の基準点は84点、75点、70.0点でした。
  2. 過去問や模試で、3つの区分ごとに今の得点を測る。
  3. 目標との差が最も大きい区分に時間を寄せる。1〜2か月ごとに測り直して配分を変える。

司法書士試験は、どれか1つでも基準点を下回ると不合格になるので、得意な区分をさらに伸ばすより、基準点から最も遠い区分を引き上げるほうが合格に近づきます。過去問は当サイトの司法書士 過去問解説で年度別・論点別に解けます。過去問を何周すればいいかは過去問は何周すればいいかで整理しています。

勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか

2,000〜3,000時間を積むには、週20時間なら約100〜150週(約1年11か月〜2年11か月)、週30時間なら約67〜100週(約1年3か月〜1年11か月)、毎週確保し続ける必要があります(当サイト試算)。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。

当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。

集計の範囲金額
第1四分位(安い方から4分の1の位置)月5,800円
中央値月7,800円
第3四分位(高い方から4分の1の位置)月11,000円

324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。

3,000時間を週20時間で積むと約150週、週30時間なら約100週かかります。月単位で契約すると、それぞれ35か月分と23か月分です。中央値の月7,800円で計算すると、自習室代は週20時間で27万3,000円、週30時間で17万9,400円になります(当サイト試算)。これに受験手数料8,000円(令和8年度)が受験のたびにかかります。

公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。長期戦になる試験なので、平日の夜や休日に確実に座れる場所を1つ決めておくと、計画が崩れにくくなります。長期戦の資格と勉強場所の関係は、司法試験・予備試験向けの自習室の選び方も参考になります。

受かった後の数字:司法書士はどれだけいて、何が仕事を支えているか

最後に、数年をかけて取る資格の「その先」を、公表されている数字で見ておきます。

登録している司法書士は23,505人

司法書士として仕事をするには、日本司法書士会連合会の名簿に登録し、各地の司法書士会に入会する必要があります。日本司法書士会連合会によると、2026年4月1日現在の会員数は23,505人です。このうち女性は4,816人で、会員の20.5%でした。簡易裁判所で訴訟代理などができる認定を受けた司法書士は18,698人で、会員の79.5%にあたります(女性と認定司法書士の割合は当サイト算出)。

近年の合格者は毎年700人前後なので、会員数の約3%(当サイト算出)にあたる人数が毎年新たに合格していることになります。ただし、合格しても登録しない人もいるので、合格者がそのまま会員数に加わるわけではありません。

需要の根拠は法律にある

司法書士の仕事を支えているのは法律です。司法書士法は、登記や供託の手続の代理、法務局や裁判所に提出する書類の作成、それらの相談を司法書士の業務と定め(3条1項1〜5号)、司法書士会に入会している司法書士か司法書士法人でない者(公共嘱託登記司法書士協会を除く)がこれらを行うことを禁じています(73条1項)。

さらに、2024年4月1日から相続登記が義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があり、2024年4月1日より前に相続したことを知った不動産で登記されていないものも、2027年3月31日までに登記する必要があります(法務省の相続登記の申請義務化に関するQ&A)。登記は本人でも申請できますが、他人の依頼を受けて登記の申請を代理することは、先に見た司法書士法73条により、他の法律に定めがある場合を除いて、司法書士会に入会している司法書士や司法書士法人などに限られます。

年収は公的統計からは出せない

司法書士だけを対象にした公的な賃金統計はありません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査の職種は、弁護士や弁理士なども含む「法務従事者」という区分までで、司法書士だけの値は取れません。また、この統計は事業所に雇われている人の賃金を調べるもので、開業している司法書士の収入は対象外です。そのため、この記事では年収の数字は載せていません。

よくある質問

司法書士の勉強時間は何時間必要ですか?

学習サイトの目安はほぼ「約3,000時間」にそろっており、幅をつけて示す学校でも2,000〜3,000時間です。ただし、この数字を何人を対象にどう調べて出したのかまで示した学校は見当たらず(スタディングは「資格取得エクスプレスのアンケート」を挙げていますが人数はありません)、伊藤塾は明確な根拠はないとしています。講座受講者の合格者アンケート(TACの2024年度合格者、アガルートの令和7年度合格者22人)では、3,000時間未満で合格した人はTACで約33%(当サイトがグラフから読み取った概数)、アガルートで31.8%(当サイト算出)でした。当サイトの読み取りでは、中央値はTACで3,500〜4,000時間の区分にあり、アガルートでは中央の2人が3,000〜3,500時間と3,500〜4,000時間の区分にまたがっていました。TACは、受験回数を重ねるほど総勉強時間が増えると説明しています。アガルートは「これまでの合計」としており、不合格の年を含むかどうかは書かれていません。どちらも自己申告で、アガルートは回答に許諾した一部の合格者のみが対象です。

社会人が働きながら司法書士に合格するには、1日何時間・何年かかりますか?

週20時間(平日2時間、休日5時間)のペースなら、2,000時間に届くのは約1年11か月、3,000時間なら約2年11か月です(当サイト試算)。7月の試験から逆算すると、21か月前の10月に始めて3,000時間を積むには、休日に6時間ずつ勉強したうえで平日も1日4時間10分ほどが必要になります(当サイト試算、10分単位で切り上げ)。法務省の公表では、令和7年度の合格者の平均年齢は42.05歳(2025年11月4日現在)で、40代が最も多い年齢層でした(当サイト集計)。

行政書士や法学部の経験があると、司法書士の勉強時間は短くなりますか?

短くなる可能性はありますが、何時間短くなるかを調べた公開データは確認できませんでした。今回確認した学校の解説ページにも、経歴別の時間数を示したところはありませんでした。TACは10か月で合格を目指す計画(1日約10時間)を、専業の人や宅建・行政書士など法律資格の経験がある人向けとしています。司法書士試験の配点の4割は記述式(登記申請書の作成)です。行政書士試験の試験科目に登記法はなく、大学で登記法を履修できるかは学部や課程によるため、経験者でも記述式の時間は別に見込む必要があります。

司法書士試験は1年で合格できますか?

3,000時間を1年で積むには毎日8時間強、2,000時間でも毎日5時間半ほどが必要です(当サイト試算)。TACは1年での合格を専業や短期集中型の人向けの計画とし、スタディングは社会人には非常に厳しいとしています。短期合格の事例として、LECは早い人で約1,500時間、伊藤塾は約1,000時間で初回合格した社会人の例を挙げていますが、いずれも人数や割合を示したデータではありません。講座受講者の合格者アンケートで2,000時間未満だった人は、1割に届きませんでした。

司法書士試験の科目別の勉強時間配分はどうすればいいですか?

配点から考えるのが確実です。筆記試験は350点満点で、記述式(2問)が140点と4割を占めます。記述式の配点は令和6年度から70点から140点に倍増しました。択一式は70問で各3点です。例年は民法が20問、不動産登記法が16問と多く出題されます。アガルートは3,000時間のうち不動産登記法に約700時間、民法に約650時間を充てる例を示していますが、どの配分が有利かを比べたデータはありません。3つの基準点のどれか1つでも下回ると不合格なので、模試や過去問で基準点から最も遠い分野に時間を寄せるのが基本です。

調査方法・出典について

  • 受験者数・合格者数・合格点・基準点・合格者の男女別人数・平均年齢・生年別人数は、法務省「令和7年度司法書士試験の最終結果について」(2025年11月4日)と、令和5・6年度の同資料によります。合格率と年代別の構成は、公表値から当サイトが算出しました。年代は「2025年−生年」で区切っているので、誕生日によっては実際の年齢と1歳ずれます。
  • 出願者数は、法務省「令和7年度・令和8年度司法書士試験の出願状況について」によります。
  • 令和8年度の合格点・基準点は法務省「令和8年度司法書士試験筆記試験の合格点等について」(2026年10月1日)、基準点に届いた人の割合は同年度の「多肢択一式問題 得点順位別員数累計表」と「記述式問題 得点別員数表」から当サイトが算出しました。
  • 試験の日程・時間割・科目・配点・受験手数料は、法務省「令和8年度司法書士試験受験案内書」(2026年4月1日)によります。記述式の配点変更は、法務省の2023年12月4日のお知らせによります。科目ごとの出題数は、法務省の問題冊子から数えられますが、表は大手スクールの整理によります(令和7年度午前の部は問題冊子で数えた数と一致)。
  • 開始時期別の時間と、自習室代の試算は当サイトによるもので、計算の前提と切り上げの方法は本文に記載しています。
  • 司法書士の会員数と認定司法書士の数は、日本司法書士会連合会「会員数データ」(2026年4月1日現在)によります。
  • 司法書士の業務と非司法書士の取締りは司法書士法(3条、73条)、相続登記の義務化は法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」で確認しました。
  • 学習サイトの勉強時間の目安と科目配分、合格者アンケートは、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。TACのアンケートの割合は、公開されているグラフから当サイトが読み取った概数です。
  • 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
  • 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず法務省の公式情報をご確認ください。