「土地家屋調査士は1,000時間」。土地家屋調査士の勉強時間を調べると、確認した学習サイトはどれもこの数字を目安に含めています。ところが、その1,000時間に何が含まれているのかはページによって違います。測量士補の勉強や午前の部の時間を含むのか、講義を見る時間を含むのか。そこが書かれていないと、同じ1,000時間でも中身はまったく別物になります。

この記事では、学習サイトの目安を「想定している受験者」ごとに並べ直し、そこに合格者の総勉強時間を調べた数少ない実測データと、試験を実施する法務省の公式統計を重ねます。そのうえで、いつ始めれば間に合うのか、1日に何時間必要なのか、午後の部の択一と書式にどう時間を配分するのか、勉強場所にいくらかかるのか、そして合格した先にどんな数字があるのかまでを整理します。

この記事の要点

  • 学習サイトの目安は、測量士補などで午前の部を免除される人が午後の部に備える場合で約1,000時間、免除の資格がない人で約1,200時間(午前の部の対策または免除資格の取得に約200時間、午後の部に1,000時間)、独学全般で1,000〜1,500時間。試験を実施する法務省は学習時間を公表していない
  • 講座を使って令和7年度に合格した150人のアンケート(アガルート)では、800〜1,000時間未満が19.3%で最多。ただし当サイトが区分を合計すると、1,000時間以上が61.3%、1,400時間以上が32.7%いた
  • 令和7年度の受験者(筆記試験)は4,824人、口述試験まで終えた最終合格者は489人で、最終合格者を受験者で割った合格率は当サイト算出で10.1%。受験者の約96%(当サイト算出で95.96%以上)は午前の部を免除されて午後の部だけを受けていた
  • 午後の部の合格点は、令和3〜7年度で100点満点中72.0〜79.5点。択一と書式(記述式)のそれぞれに基準点(足切り)があり、書式が配点の半分を占める
  • 1年前の10月に始めて1,000時間を積むには、週18.5時間が必要(当サイト試算)。2年計画なら週9.5時間
  • 土地家屋調査士会の会員は2026年4月1日現在で15,224人。令和5年4月1日時点では約半数(当サイト算出で49.8%)が60歳以上で、合格者の平均年齢39.20歳とは大きく離れている
  • 年収は、賃金構造基本統計調査で土地家屋調査士が弁護士・司法書士・弁理士と同じ「法務従事者」の職種にまとめられ、土地家屋調査士だけの値が取れないため、この記事では数字を示していない

結論:条件をそろえると、目安は1,000〜1,500時間に収まる

先に結論をまとめます。学習サイトが示す土地家屋調査士の勉強時間を、各サイトが書いている「想定する受験者」の条件で並べ直すと、次のようになります。

想定する受験者目安そう示している学習サイト
午前の部を免除される人が、午後の部に備える約1,000時間アガルート(1,000時間は午前の部の免除を受けた場合の話と明記)、東京法経学院(独学で午後の部におよそ1,000時間)
午前の部の免除資格がない人約1,200時間(午前の部の対策か免除資格の取得に約200+午後の部1,000)アガルート(午前の部の試験突破に約200時間、午後の部に1,000時間で合計1,200時間)、東京法経学院(午前の部の免除に必要な測量士補の取得に約200時間、午後の部に1,000時間)
独学(条件の細分なし)1,000〜1,500時間東京法経学院(独学で合格するための目安として約1,000〜1,200時間)、資格Times(1,000〜1,500時間。講座を使う場合は、このうち120〜170時間が講義の視聴)
条件を示さない一般論約1,000時間東京法経学院(別のコラムで「一般的には」1,000時間程度)、アガルートキャリア(約1,000時間。初学者や苦手科目がある人は1,000時間以上の可能性)

この表から言えるのは次のことです。

  • 「1,000時間」は、前提を明記しているサイトでは「午前の部を免除されて、午後の部だけを受ける」場合の数字です。測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士といった免除の資格を持っていない人は、午前の部の対策(アガルート)や免除資格の測量士補の取得(東京法経学院)に、約200時間を上乗せして考えます。
  • 午前の部の免除資格がない人は、アガルートと東京法経学院の内訳では約1,200時間です。ただし、上乗せする約200時間の中身は、アガルートが午前の部の試験対策、東京法経学院が測量士補の取得と異なります。独学全般の目安は、東京法経学院が約1,000〜1,200時間、資格Timesが1,000〜1,500時間と、サイトによって幅があります。
  • 宅建の相場(300〜400時間)と比べると、当サイトの計算で2.5〜5倍にあたります。数か月で仕上げる試験ではなく、1年から2年をかける試験だと考えて計画を立ててください。

ただし、表の数字について、算出に使った調査の人数や方法を示したサイトは見当たりませんでした。試験を実施する法務省も、合格に必要な学習時間は公表していません。表は相場観として受け止め、次の実測データで自分の位置を確かめてください。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、学習科学の研究をもとに勉強時間の目安は本当かで検証しています。

合格者は実際に何時間勉強していたか

合格者の総勉強時間を人数つきで公表した調査は、確認できた範囲では1つだけでした。アガルートが、自社の講座を使って令和7年度の試験に合格した人を対象に行ったアンケートです(調査期間は2026年2月13日〜3月22日、有効回答150人。回答を許諾した一部の人のみ)。

合計の勉強時間割合
400時間未満3.3%
400〜600時間未満6.7%
600〜800時間未満9.3%
800〜1,000時間未満19.3%
1,000〜1,200時間未満15.3%
1,200〜1,400時間未満13.3%
1,400〜2,000時間未満16.7%
2,000時間以上16.0%

最も多いのは800〜1,000時間未満の19.3%です。ただ、ここで目を向けたいのは分布の広さです。当サイトが区分を合計すると、1,000時間未満は38.6%で、1,000時間以上が61.3%、1,400時間以上が32.7%、2,000時間以上だけでも16.0%いました。半分の人が収まる真ん中の位置(中央値)は、1,000〜1,200時間未満の区分に入ります。

つまり、この調査で見る限り、1,000時間は「これだけやれば受かる」時間ではなく、合格者の多くがそれ以上を費やしている時間です。1,000時間を下限に置き、1,000〜1,500時間で計画を立てておくと、途中で時間が足りなくなる心配が減ります。

この調査には注意点が4つあります。対象は講座の受講者だけなので、独学の人より教材や計画が整っていた可能性があります。また、調査の対象が資料の中で一致していません。公表文の調査概要は「アガルートの講座を利用して令和7年度試験に合格したユーザー」ですが、結果の説明文には「1回目で合格したユーザー」とあり、再受験で合格した人を含むのかどうかは分かりません。「合計の勉強時間」に測量士補や午前の部の勉強が含まれるかどうかは示されていません。また、学習を始めた時期はこの調査からは分かりません。なお、回答者の年代は30代が44.0%、40代が31.3%でした。

1日あたりの勉強時間は、アガルートが令和5年度の合格者を対象にした別のアンケートで公表しています(調査期間は2024年2月16日〜3月10日、回答185人。回答を許諾した一部の人のみ。2024年9月20日に公表)。平日の平均勉強時間は2時間が24.5%で最も多く、次いで3時間が21.6%、1時間が14.7%でした。休日は6時間以上が26.5%で最も多く、3時間が16.7%、5時間が15.7%、4時間が14.7%と続きます。対象は講座の受講者で、総勉強時間のアンケートとは年度が違います。もう1つの参考として、資格TimesはSNSでの独自調査として、大半の受験生が平日に2〜3時間、土日に4〜6時間勉強しているとしています。こちらは人数や時期が示されていません。

それでも数字がずれる要因と、読むときの注意

条件をそろえても数字が割れる要因は、確認できた範囲で2つあります。そのほかに、数字の出どころとして知っておきたい点が1つあります。

1つめは、午前の部や測量士補の時間を含むかどうかです。アガルートは「1,000時間は午前の部を免除された場合」と書き、免除資格がない人には約200時間を上乗せしています。東京法経学院の独学ガイドも、測量士補に約200時間、午後の部におよそ1,000時間と分けて示しています。この区別を書かずに1,000時間とだけ示すページを読むときは、どちらの前提かを確かめる必要があります。

2つめは、講義を見る時間を含むかどうかです。資格Timesは、講座を使う場合は1,000〜1,500時間のうち120〜170時間が講義の視聴になるとしています。講座を使っても、講義とは別に自分で問題を解く時間が必要だということです。

3つめは、数字の出どころが講座の販売元であることです。この記事で取り上げた学習サイトのうち、アガルートと東京法経学院は土地家屋調査士の講座を販売しています。先ほどのアンケートも自社講座の受講者だけを対象にしたもので、独学の合格者と比べたデータは示されていません。これが数字の差の原因だと確認できたわけではありませんが、読むときの前提として知っておくと役に立ちます。

合格者・受験者の実像:受験者の約96%が午後の部だけを受けている

ここからは、法務省が公表している試験結果を見ていきます。

土地家屋調査士試験 合格率の推移(2020〜2025年度)

  • 合格率(%)
051015202020212022202320242025
合格率はおおむね9.6〜11.0%で推移(2021〜2025年度、最終合格者数÷受験者数で算出)。最終合格者数は404〜505人の範囲だが、法務省は合格者数や合格点の決め方を公表していない。2024年度の11.0%は近年でもっとも高い水準。出典: 法務省「土地家屋調査士試験」各年
年度受験者最終合格者合格率午後の部の合格点午前の部の受験者
令和3年度3,859人404人10.5%73.5点355人
令和4年度4,404人424人9.6%79.5点156人
令和5年度4,429人428人9.7%72.0点197人
令和6年度4,589人505人11.0%78.0点231人
令和7年度4,824人489人10.1%76.0点195人

受験者は、午前の部を免除されて午後の部を受けた人と、午前・午後の両方を受けた人の合計です(法務省の定義)。最終合格者は口述試験を経た合格者で、合格率は最終合格者数を受験者数で割って当サイトが算出しました。午前の部の受験者は、法務省の多肢択一式問題の得点別員数表にある午前の部の人数です。

この表で最も目を引くのは、右端の列です。令和7年度に午前の部を受けたのは195人で、受験者4,824人の4%にすぎません。当サイトが算出すると、受験者の約96%(95.96%以上)は午前の部を免除され、午後の部だけを受けていました。同じ計算で令和4〜7年度は約95〜96%(令和4年度96.46%以上、令和5年度95.55%以上、令和6年度94.97%以上、令和7年度95.96%以上)、令和3年度は90.80%以上です。

午前の部は測量の試験で、測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士となる資格がある人は、申請すれば免除されます(土地家屋調査士法6条、令和8年度受験案内)。受験者のほとんどがこの免除を使っているので、「土地家屋調査士の勉強時間」を考えるときは、測量士補など免除の資格を取る時間も含めて見積もる必要があります。

測量士補試験は国土地理院が例年5月に行っています。令和8年は5月17日に実施され、受験者12,269人のうち5,447人が合格し、合格率は44.4%でした。合格率は年によって大きく振れ、令和4年が44.1%、令和5年が32.2%、令和6年が31.4%、令和7年が51.2%です。28問の択一式で、700点満点中450点以上が合格です。東京法経学院は測量士補の勉強時間を約200時間としています。

令和7年度の合格者489人の平均年齢は39.20歳で、最年少は20歳、最年長は65歳でした。女性は59人で12.1%です。令和8年度の出願者は6,076人で、令和3年度から6年続けて増えています。

制度面で知っておきたいことが2つあります。筆記試験に合格した人は、口述試験で不合格になっても、申請すれば翌年の筆記試験が免除されます。また、午前の部を受けて一定の点(令和7年度は100点中70.0点)を取った人は、法務大臣の認定を受けて次年度以降の午前の部が免除されます。

合格ラインの仕組み:書式が配点の半分、それぞれに足切りがある

土地家屋調査士の筆記試験は、午前の部と午後の部に分かれています。

区分内容問題と配点試験時間
午前の部土地・家屋の調査と測量択一10問で60点、記述1問で40点2時間
午後の部民法、登記の申請手続、筆界など択一20問で50点、記述2問で50点2時間30分

午後の部の記述式は、受験生のあいだで「書式」と呼ばれる問題です。令和7年度は、第21問が土地(座標値の計算と地積測量図の作成、登記申請書)、第22問が建物(各階平面図の作成と登記申請書)でした。三角定規、コンパス、三角スケール、電卓を使って図面を描きます。配点は択一と書式で50点ずつなので、作図と申請書の作成が午後の部の半分を占めます。

合否の中心は午後の部の合計点です。午前の部を免除された人は午後の部で100点中76.0点以上、午前の部を受けた人は午前の部で70.0点以上かつ午後の部で76.0点以上が必要です(令和7年度)。ただし、択一と書式のそれぞれに基準点(これを下回るとそれだけで不合格になる点)があります。令和7年度は次のとおりでした。

  • 午後の部の合格点:100点中76.0点以上
  • 午後の部の択一の基準点:50点中37.5点
  • 午後の部の書式の基準点:50点中32.5点
  • 午前の部を受けた人は、別に午前の部で100点中70.0点以上(択一60点中30.0点、記述40点中32.0点の基準点つき)

択一は20問で50点なので、1問2.5点です(当サイト算出)。基準点の37.5点は15問の正解にあたります。令和7年度に午後の部の択一で37.5点以上を取った人は、法務省の得点別員数表で45.9%でした。半分以上の受験者は、書式の採点結果にかかわらず択一の時点で不合格になっています。

法務省は合格者数や合格点の決め方を公表していません。ただ、令和3〜7年度の最終合格者数は404〜505人の範囲に収まる一方で、午後の部の合格点は72.0点から79.5点まで動いています。79.5点が必要な年もあれば、72.0点で受かる年もあるということです。何時間勉強したかではなく、本番で択一と書式の両方の基準点を越え、合計で合格点に届くかどうかで決まります。

いつから始める? 開始月別の「1週・1日あたりの時間」

土地家屋調査士の筆記試験は、例年10月の第3日曜に行われます。2026年度(令和8年度)は10月18日(日)で、午前の部が9時30分〜11時30分、午後の部が13時〜15時30分です。2027年度以降の日程は、受験案内の公表を待つ必要があります。

10月中旬の試験から逆算して、始める月ごとに必要な時間を計算すると次のようになります。各月の1日に始め、試験日を10月15日と置きました(実際の試験日は例年10月第3日曜なので、表の値はやや多めに出ます)。必要な時間数に届くように、週あたりの時間は正確な週数から計算して0.5時間単位に切り上げ、平日の時間は10分単位に切り上げています(平日の時間は、切り上げる前の週あたり時間から計算しています)。表に出す週数だけは四捨五入です。「平日1日」の列は、休日に4時間ずつ(週8時間)勉強した場合に、残りを平日5日で割った1日あたりの時間です。

始める月試験まで1,000時間:週1,000時間:平日1日1,500時間:週1,500時間:平日1日
2年前の10月約106週9.5時間20分14.5時間1時間20分
前年10月約54週18.5時間2時間10分28時間4時間
前年12月約45週22.5時間2時間50分33.5時間5時間10分
1月約41週24.5時間3時間20分37時間5時間50分
3月約33週31時間4時間40分46.5時間7時間40分
4月約28週36時間5時間40分53.5時間9時間10分

1年前の10月に始めて1,000時間なら、平日に2時間強と休日に4時間ずつで届きます。同じ時期から1,500時間を目指すと、平日は毎日4時間が必要です。年が明けてから始めると、1,000時間でも平日に毎日3時間以上が必要になり、働きながらではかなり厳しい計画になります。

測量士補から始める人は、測量士補試験(例年5月)を挟んだ計画になります。当サイトの試算では、10月に始めて5月中旬の測量士補試験までの約33週で200時間なら週6.5時間で済みます。ところが、そこから同じ年の10月の調査士試験までは約22週しかなく、午後の部の1,000時間を積むには週46.5時間が必要です。同じ年に両方を受けるなら、測量士補の勉強と午後の部の勉強を最初から並行させ、合計1,200時間を約54週で積む(週22.5時間、平日は1日2時間50分)形になります。測量士補に合格した翌年の10月を目標にするなら、6月1日に始めて約72週あるので、1,000時間でも週14時間で足ります。

試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。

科目別の配分:択一と書式に時間をどう割るか

令和7年度の午後の部の択一20問を当サイトが分野別に数えると、民法が3問(第1〜3問)、不動産登記法とその関連(筆界特定、審査請求、登録免許税などを含む)が16問(第4〜19問)、土地家屋調査士法が1問(第20問)でした。これは法務省の分類ではなく、当サイトが問題の内容から分けたものです。書式は土地と建物が1問ずつです。

科目別の勉強時間の配分を時間数で示している学習サイトは、確認した範囲では見当たりませんでした。アガルートは、11月に始めて月約80時間で1年1,000時間を積む計画例として、最初にテキストを読み込み、その後に択一の過去問演習と書式の過去問演習を進める流れを示しています。資格Timesは、本番の2時間30分を択一40分、書式の建物50分、土地50分、見直し10分に配分する例を挙げています。

他人の配分をまねるより、合格点から逆算して自分で決める方法をおすすめします。手順は3つです。

  1. 目標点を、過去5年の合格点の最高(79.5点)に近いところに置く。
  2. 目標点を択一と書式に割り振る。たとえば択一42.5点(17問正解)と書式37点で79.5点、という具合です。択一の基準点は14〜15問(令和5年度は35.0点で14問、令和4・6・7年度は37.5点で15問)、書式の基準点は29.0〜34.0点(令和4〜7年度)だったので、どちらにも余裕を持たせます。
  3. 択一は分野別に、書式は土地と建物を本番と同じ時間で解き、目標との差が大きいほうに時間を寄せる。1〜2週間ごとに測り直して配分を変えます。

書式は、計算と作図を時間内に終える技術が問われます。テキストを読むだけでは身につかないので、早い段階から本番と同じ時間で解く練習を入れると、配分の判断に使える材料が増えます。択一は当サイトの土地家屋調査士 過去問解説で年度別に解けます(書式は収録していません)。過去問を何周すればよいかは過去問は何周すればいいのかで扱っています。

2026年度の試験を受ける人へ

2026年度の筆記試験は10月18日(日)です。2026年10月の試験までは、新しいテキストに手を広げるより、択一の過去問で間違えた問題を繰り返すことと、書式を本番と同じ時間で解く練習に充てるほうが、得点に結びつきやすいと考えられます。思い出す練習を繰り返すほうが読み直すより記憶に残ることは、学習科学の実験で繰り返し確かめられています(勉強時間の目安は本当かを参照)。

試験後の日程は次のとおりです。択一の正解と基準点は11月20日(金)午後4時に法務省のホームページに掲載されます。筆記試験の合格発表は2027年1月6日(水)午後4時、口述試験は1月21日(木)、最終合格の発表は2月15日(月)午後4時です。

筆記試験の成績は、希望者に通知されます。試験場で配られる成績通知用の封筒に住所と氏名を書いておくと、筆記試験の合格発表日の翌日に法務省から郵送されます。2026年度に合格点に届かなかった場合も、択一と書式のどちらで点を落としたかが分かれば、2027年度に向けた配分を決める一番確かな材料になります。

勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか

1,000〜1,500時間を積むうえで最も大きな壁は、1年以上にわたって毎日の時間を確保し続けることです。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。

当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。

集計の範囲金額
第1四分位(安い方から4分の1の位置)月5,800円
中央値月7,800円
第3四分位(高い方から4分の1の位置)月11,000円

324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。

前年10月に始める1年計画なら、試験までは約12か月半で、月単位で契約すると13か月分です。中央値の月7,800円なら自習室代は10万1,400円、第1四分位なら7万5,400円、第3四分位なら14万3,000円になります(当サイト試算)。2年計画なら25か月分で、中央値で19万5,000円です。これに土地家屋調査士試験の受験手数料8,300円(令和8年度)が加わり、測量士補試験も受けるならその手数料(令和8年は書面申請2,850円、電子申請2,800円)も必要です。

書式の練習では、答案用紙を広げて三角定規やコンパス、電卓を使います。申し込む前に、机の広さが作図に足りるかも確かめておくと安心です。公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。

受かった後の数字:土地家屋調査士はどれだけいて、仕事はどれだけあるか

最後に、1,000時間以上をかけて取る資格の「その先」を、公的な統計と業界団体の公表値で見ておきます。仕事の中身そのものは土地家屋調査士とは何をする人かで詳しく紹介しています。

合格しただけでは名乗れない。会員は15,224人

土地家屋調査士として仕事をするには、試験に合格したあと、日本土地家屋調査士会連合会(日調連)の土地家屋調査士名簿に登録を受ける必要があります(土地家屋調査士法8条)。登録の申請と同時に各地の土地家屋調査士会に入会する手続をとり(同法52条)、調査士会に入会していない人は、原則として、表示に関する登記の調査・測量や申請の代理などを業として行えません(同法68条。弁護士など一部の例外があります)。このため、調査士会の会員数が、実際に土地家屋調査士として登録している人の数にあたります。

日調連によると、2026年4月1日現在の会員は15,224人、土地家屋調査士法人は735法人です。会員数は平成14年度の18,741人が最も多く、その後は減り続けています。土地家屋調査士白書2024によると、各年4月1日現在の会員数は平成25年が17,216人、令和5年が15,650人でした。

減っている理由は、入ってくる人より出ていく人が多いことです。平成25〜令和4年度の10年間で、新たに登録した人は3,542人、廃業や死亡などで登録を取り消した人は5,262人でした。令和4年度だけを見ると、登録352人に対して取消576人です。合格者は令和3〜7年度で404〜505人です。登録者数と合格者数は年度の区切りが異なります。

会員の約半数が60歳以上

土地家屋調査士会の会員の年代構成(2023年4月1日現在)

20代0.4%

67人

30代4.8%

753人

40代20.2%

3,168人

50代24.8%

3,877人

60代23%

3,595人

70代22.2%

3,482人

80代以上4.6%

720人

60歳以上は合計49.8%(白書の年代別割合を当サイトが合計)。白書の会員数は15,650人だが、年代別の人数の合計は15,662人で一致しない。令和7年度試験の合格者の平均年齢は39.20歳(法務省)。会員数は2026年4月1日現在で15,224人(日調連「概要」)。出典: 日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士白書2024」第5章(令和5年4月1日現在)

令和5年4月1日現在の会員の年代構成は、50代が24.8%で最も多く、60代が23.0%、70代が22.2%、40代が20.2%、80代以上が4.6%でした。当サイトが合計すると、60歳以上が49.8%と約半数を占めます。一方で20代は0.4%(67人)、30代は4.8%(753人)にとどまります。

合格者の平均年齢は39.20歳(令和7年度)で、令和4年度に新たに登録した352人も、40代が38.0%、30代が28.7%、20代が10.2%でした。会員の年代構成と、これから入ってくる人の年代構成には大きな差があります。

需要の根拠は不動産登記法にある

土地家屋調査士の仕事を支えているのは、不動産登記法が定める申請の義務です。建物を新築した人は、所有権を取得した日から1か月以内に建物の表題登記を申請しなければなりません(不動産登記法47条)。新たに生じた土地や表題登記のない土地を取得したときも同じです(同法36条)。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります(同法164条)。表題登記は、土地や建物の所在、種類、構造、面積といった物理的な状況を登記記録に載せる手続で、その調査・測量と申請の代理を業として行えるのは、原則として土地家屋調査士です(土地家屋調査士法3条・68条)。ただし、所有者本人が自分で申請することはできるので、すべての表題登記が土地家屋調査士の仕事になるわけではありません。

仕事の量の目安として、法務省の登記統計で表示に関する登記の件数を見ると、令和7年は次のとおりでした。

登記の種類令和7年平成28年
建物の表題45万693件52万715件
区分建物(マンションなど)の表題10万4,041件11万6,546件
建物の滅失28万2,394件26万9,186件
分筆(土地を分ける)25万8,565件38万5,106件
筆界特定(新たな申請)1,826件2,619件

建物の表題登記は、この10年で最も多かった平成29年の52万8,691件から、令和7年には約15%減っています(当サイト算出)。分筆の登記は、平成28年の38万5,106件に対して令和7年は25万8,565件で、67.1%になっています(当サイト算出)。住宅の着工や土地の取引が減れば、この件数も減ります。

つまり、土地家屋調査士の担い手は減っており、仕事の目安となる登記のうち建物の表題や分筆の件数も減っています。一方で建物の滅失登記は、平成28年の26万9,186件から令和7年は28万2,394件へ約4.9%増えています(当サイト算出)。登記の件数がすべて減っているわけではありません。ただし、会員数も登記の件数も指標にすぎません。表題登記は所有者本人が申請することもあり、業務の中身や地域によっても事情が違うので、1人あたりの仕事量が将来どうなるかは、公的な統計から算出できません。どちらが速く減るかを示す公的な見通しも見当たらないので、「高齢化が進んでいるから将来は安泰」とも「件数が減っているから先細り」とも言い切れません。

報酬の目安は公表されている

日調連は3年に1度、会員に報酬のアンケートを行い、結果を公表しています。令和7年度版の報酬ガイドによると、全国平均(税抜)は、木造2階建ての住宅の建物表題登記が9万1,740円、土地を2つに分ける分筆登記が48万2,028円、土地の面積を正す地積更正登記が44万1,391円でした。いずれも、ガイドが示した条件(隣接地の数、現場までの距離など)での平均です。

ただし、これは1件あたりの報酬で、収入とは違います。測量機器や事務所、補助者の人件費などの経費がかかり、1年に何件受けられるかは地域や事務所によって大きく変わります。

年収は公的統計では分からない

この記事では、土地家屋調査士の年収を示していません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査の職種には、土地家屋調査士だけを取り出した区分がありません。同省の「業種別主な職種早見表」では、土地家屋調査士は弁護士、弁理士、司法書士と並んで「法務従事者」に分類されています。この区分の賃金は、弁護士や司法書士などを含む全体の値で、土地家屋調査士の賃金を表す値とは言えません。産業別に見ても、土地家屋調査士事務所は法律事務所、司法書士事務所、税理士事務所などと同じ「専門サービス業」(産業中分類72)に含まれており、この産業の賃金は土地家屋調査士事務所だけの値ではありません。また、この調査は事業所に雇われて働く人の賃金を調べるもので、自分で事務所を開いている人は対象に入りません。

「年収◯百万円」「1,000万円も狙える」といった数字を見かけたときは、どの統計の、どんな人を対象にした数字なのかを確かめてください。

よくある質問

土地家屋調査士の勉強時間は何時間必要ですか?

学習サイトの目安は、測量士補などで午前の部を免除される人が午後の部に備える場合で約1,000時間、免除の資格がない人で約1,200時間(午前の部の対策または免除資格の取得に約200時間、午後の部に1,000時間)、独学全般で1,000〜1,500時間です。講座を使って令和7年度に合格した150人のアンケート(アガルート)では、800〜1,000時間未満が19.3%で最も多い一方、当サイトが区分を合計すると1,000時間以上が61.3%、1,400時間以上が32.7%でした。1,000時間は下限に近い目安と考え、1,000〜1,500時間で計画を立てておくのが無難です。試験を実施する法務省は、合格に必要な学習時間を公表していません。

土地家屋調査士の試験に向けて1日何時間勉強すればいいですか?

始める時期と目標の時間によって変わります。試験日を10月15日と置いた当サイトの試算では、1年前の10月に始めて1,000時間を積むには週18.5時間で、休日に4時間ずつ勉強するなら平日は1日2時間10分ほどが必要です。1,500時間なら週28時間で、平日は1日4時間になります(週あたりの時間は0.5時間単位の切り上げ)。2年前の10月に始める2年計画なら、1,000時間でも週9.5時間、平日は1日20分ほどで足ります。1日の勉強時間は、アガルートの講座を使って令和5年度に合格した185人のアンケート(2024年2月〜3月実施)で、平日は2時間(24.5%)、休日は6時間以上(26.5%)という回答が最も多くなっています。

午前の部の免除(午後の部のみ受験)はどれくらいの人が使っていますか?

受験者のほとんどが使っています。令和7年度は筆記試験の受験者4,824人のうち、午前の部の多肢択一式を受けたのは195人で、当サイトが算出すると受験者の約96%(95.96%以上)は午前の部を免除されて午後の部だけを受けていました。午前の部は、測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士となる資格がある人などが申請すれば免除されます。測量士補試験は例年5月に行われ、合格率は令和6年が31.4%、令和8年が44.4%と年によって振れます。東京法経学院は測量士補の勉強時間を約200時間としています。

土地家屋調査士になるには、試験に合格した後に何が必要ですか?

筆記試験と口述試験の両方に合格したあと、日本土地家屋調査士会連合会の土地家屋調査士名簿に登録を受ける必要があります(土地家屋調査士法8条)。登録の申請と同時に、事務所を置く地域の土地家屋調査士会に入会する手続をとります(同法52条)。原則として、調査士会に入会している土地家屋調査士や土地家屋調査士法人でなければ、表示に関する登記の調査・測量や申請の代理などを業として行うことはできません(同法68条。弁護士など一部の例外があります)。

土地家屋調査士は将来性がありますか? 年収はどれくらいですか?

担い手は減っています。日本土地家屋調査士会連合会の会員数は2026年4月1日現在で15,224人で、平成14年度の18,741人から減り、令和5年4月1日時点では会員の約半数(当サイト算出で49.8%)が60歳以上でした。一方、仕事の目安になる登記のうち、建物の表題登記は令和7年に45万693件と、平成29年の52万8,691件から約15%減っています(当サイト算出)。ただし建物の滅失登記は、平成28年の26万9,186件から令和7年の28万2,394件へ約4.9%増えており(当サイト算出)、登記の種類によって動きは違います。年収は、賃金構造基本統計調査で土地家屋調査士が弁護士・司法書士・弁理士と同じ「法務従事者」の職種にまとめられ、土地家屋調査士だけの値が取れないため、当サイトでは数字を示していません。

調査方法・出典について

  • 受験者数・合格者数・合格点・基準点・合格者の平均年齢と男女別人数は、法務省の各年度「土地家屋調査士試験の最終結果について」と「筆記試験の合格点等について」によります。合格者数は口述試験を経た最終合格者の人数で、合格率はこれを受験者数(筆記試験)で割って当サイトが算出しました。
  • 午前の部の受験者数と、午後の部の択一で基準点以上だった人の割合は、法務省の各年度「多肢択一式問題 得点別員数表」によります。午後の部だけを受けた人の割合は、受験者数から午前の部の受験者数を差し引いて当サイトが算出しました。午前の部だけを受けて午後の部を受けなかった人は受験者数に含まれないため、実際の割合はこの値以上になります。
  • 試験の日程・時間・配点・受験手数料・成績通知・免除制度は、法務省「令和8年度土地家屋調査士試験受験案内書」と令和8年度の出願状況によります。
  • 午後の部の択一の分野別の問題数は、法務省が公表した令和7年度の試験問題を当サイトが読んで分類したものです。
  • 測量士補試験の令和8年の受験者数・合格者数・合格率と合格基準・手数料は、国土地理院の発表と令和8年の受験案内によります。令和4〜7年の合格率は、国土地理院「測量士・測量士補試験問題・解答例及び実施結果(受験者数・合格者数・合格率)」の値です。
  • 会員数と法人数は日調連「概要」(2026年4月1日現在)、会員数の推移・年代構成・新規登録者と登録取消者の数は日調連「土地家屋調査士白書2024」によります。60歳以上の割合は、白書の年代別の割合を当サイトが合計しました。報酬は日調連「土地家屋調査士報酬ガイド(令和7年度版)」によります。
  • 登記の件数は、法務省「登記統計」(e-Stat、2026年5月29日公開)の第6表・第7表によります。分筆の登記の平成28年に対する割合(67.1%)は、令和7年の25万8,565件を平成28年の38万5,106件で割って当サイトが算出しました。建物の滅失登記の増加率(約4.9%)は、令和7年の28万2,394件を平成28年の26万9,186件と比べて当サイトが算出しました。
  • 年収の節で触れた職種・産業の区分は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(e-Stat)の分類と、同省「業種別主な職種早見表」(令和8年調査版。土地家屋調査士の職種区分)で確認しました。土地家屋調査士事務所が属する産業は、総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」(e-Stat)の中分類72・細分類7222で確認しました(2026年10月2日)。
  • 不動産登記法と土地家屋調査士法の条文は、法務省の日本法令外国語訳データベース(日本語条文)で確認しました(2026年10月1日)。
  • 学習サイトの勉強時間の目安は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。合格者の総勉強時間は、アガルートが2026年4月8日に公表した令和7年度合格者アンケート(有効回答150人)によります。区分の合計と中央値の位置は当サイトが算出しました。1日の勉強時間は、アガルートが2024年9月20日に公表した令和5年度合格者アンケート(回答185人)の割合をそのまま載せています。
  • 開始月別の時間と自習室代は、本文に書いた前提で当サイトが試算しました。自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
  • 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず法務省の公式情報をご確認ください。