「社会福祉士は300時間」。社会福祉士の勉強時間を調べると、ほぼどのページにもこの数字が書かれています。ところが、その300時間がどこから来たのか、調査の人数や方法まで示しているページは見当たりませんでした。社会福祉士の養成校でつくる団体の事務局が公開したnoteでさえ、この数字をインターネットで調べたと書いています。

この記事では、その「300時間」を、合格者に実際の勉強時間を聞いた数少ない調査と、試験を実施する社会福祉振興・試験センターと厚生労働省の公式統計で検証します。そのうえで、自分には何時間必要なのか、いつから始めれば間に合うのか、1日に何時間やればいいのか、19科目にどう配分するのか、勉強場所にいくらかかるのか、そして合格した先にどんな数字が待っているのかまでを整理します。

この記事の要点

  • 確認した8つの学習サイトの目安は、すべて300時間程度か200〜300時間。どれも「といわれています」「とされています」という書き方で、数字を出した調査の人数や方法は示していない
  • 講座受講者の合格者27人の自己申告(アガルート、第38回)では、300時間以上が15人と半数を超えた一方、300時間未満も12人いた。27人中18人は450時間未満で、450時間以上は9人(当サイト算出)
  • 第38回(2026年2月実施)の合格率は60.7%。ただし新卒は79.2%、既卒は40.9%と大きく違う(当サイト算出)
  • 第37回から出題基準が変わり、129問・6科目群になった。合格点は第37回が62点、第38回が50点で、満点の4〜5割ほど。1つでも0点の科目群があると不合格
  • 受験資格は独学では得られない。福祉系大学等か養成施設などのルートを通る必要がある
  • 社会福祉士の登録者は33万6,630人(2026年8月末)。試験センターの調査では、回答者の77.4%が福祉・介護・医療の分野で働いていた

結論:目安はほぼ「300時間」でそろっている。ただし根拠は示されていない

先に結論をまとめます。社会福祉士の勉強時間の目安を、各サイトが書いている「想定する受験者」の条件で並べると、次のようになります。

想定する受験者目安そう示している学習サイト
独学で受ける人300時間程度東京福祉専門学校、日本福祉教育専門学校、アルク(約300時間)
学習方法を限定しない一般論300時間程度ユーキャン、マイナビ介護職、アガルート(約300時間)
受験資格を得るまでの学習を除いた一般論300時間程度(資格Timesは少なくとも300時間)資格Times
受験資格を取得した後の勉強(一般論)200〜300時間程度大原(試験情報のページ。同社の社会福祉士講座の解説ページでは約300時間)

たとえば宅建では、学習サイトの目安が200時間から600時間以上まで割れています(宅建の勉強時間)。社会福祉士では、ほとんどのサイトが同じ300時間を示しています。講座を使う人、経験者、福祉系大学の学生といった条件で目安を分けているサイトは、確認した範囲では見当たりませんでした。

この表から言えるのは次のことです。

  • 300時間は、確認した8サイトのうち7サイトが示す「相場観」です(大原は200〜300時間とも約300時間とも書いています)。ただし、そろっていることは、その数字が確かめられていることを意味しません(理由は次の節で説明します)。
  • 合格者に実際の勉強時間を聞いた調査(講座受講者27人の自己申告)では、300時間以上が15人で半数を超えましたが、300時間未満も12人いました。300時間は「これだけやれば受かる時間」でも「これ以下では受からない時間」でもなく、合格者の中央付近の値と見るのが妥当です。
  • 余裕を見るなら450時間です。同じ調査で27人中18人(66.7%)が450時間未満だったので、450時間は合格者の3人に2人を上回る水準になります。
  • 資格Timesと大原は、受験資格を得るまでの学校・養成施設での学習時間を含めない数字だと書いています。ほかのサイトは含むかどうかを書いていません。養成施設などで学ぶ時間は、この目安とは別に必要になります。

試験を実施する社会福祉振興・試験センターも、合格に必要な学習時間は公表していません。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、学習科学の研究をもとに勉強時間の目安は本当かで詳しく検証しています。

「300時間」はどこから来たのか

確認した8つのサイトは、すべて300時間(大原は200〜300時間)を、「といわれています」「とされています」という伝聞の形で書いていました。この数字をどんな調査から出したのか、人数や方法を示したページはありませんでした。アガルートは同じページに自社講座の合格者アンケートを載せていますが、300時間という目安をその調査から出したとは書いていません。

出どころの手がかりになるのが、社会福祉士の養成校でつくる日本ソーシャルワーク教育学校連盟の事務局が、noteで公開している記事(2025年9月2日)です。受験生向けに勉強計画を立てる記事のなかで、300時間について「ネットで調べた数字」だと断り、複数のサイトに載っていたので暫定的に使った、と書いています。参照先の1つとして挙げているのはユーキャンのページです。なお、このnoteの筆者のアカウントには、内容は連盟の意見・見解ではないという断り書きがあります。少なくともこの記事からは、300時間が独自の調査で確かめられた数字ではないことが分かります。

もう1つ注意したいのは、試験の中身が変わっても、目安の数字は変わっていない点です。社会福祉士の試験は、第37回(2025年2月実施)から新しい出題基準になり、出題数が150問から129問に減り、合格に必要な科目群の数も18から6に変わりました。それでも、新しい試験に合わせて目安を見直したと説明しているサイトは見当たりませんでした。確認したページの中には、第36回までの旧試験の「18科目群」のまま説明しているものもありました。

合格者は実際に何時間勉強していたか

総勉強時間を大人数で調べた公開データは、確認できた範囲ではありません。代わりに、アガルートが自社の講座を使った合格者に聞いた調査が2つあります。どちらも人数が少なく、講座受講者に限った調査なので、目安の1つとして読んでください。

合計の勉強時間:300時間以上が半数を超えた

1つめは、第38回(令和7年度、2026年2月実施)の合格者に、合計の勉強時間を聞いた調査です(調査期間は2026年3月3日〜4月19日、有効回答27人。回答は自己申告で、アガルートの講座を使った人のうち回答の許諾を得た一部の人です)。回答者の66.7%は会社員でした。

合計の勉強時間割合
150時間未満7.4%
150〜300時間未満37.0%
300〜450時間未満22.2%
450〜600時間未満22.2%
600〜750時間未満0.0%
750時間以上11.1%

最も多いのは150〜300時間未満の37.0%です。ただし、300時間以上をまとめると27人中15人で55.6%になり、半数を超えます。一方で、300時間未満も12人(44.4%)いて、うち150時間未満は2人でした。450時間未満は18人(66.7%)、450時間以上は9人(33.3%)です(人数は割合から当サイトが算出)。回答を短い順に並べると、真ん中の人は300〜450時間の区分に入ります。

1日の勉強時間:平日も休日も2時間が最多

2つめは、第37回(令和6年度、2025年2月実施)の合格者に、1日の勉強時間を聞いた調査です(調査期間は2025年3月4日〜25日、有効回答38人。講座を使った人のうち回答の許諾を得た一部の人の自己申告です)。

1日の勉強時間平日休日
30分13.2%5.3%
1時間21.1%0.0%
1時間30分21.1%5.3%
2時間34.2%36.8%
2時間30分2.6%5.3%
3時間0.0%5.3%
3時間30分0.0%5.3%
4時間0.0%10.5%
4時間30分2.6%5.3%
5時間0.0%10.5%
6時間以上5.3%10.5%

平日・休日とも、最も多いのは2時間でした。この分布から当サイトが平均を試算すると、平日は1日約1.8時間、休日は1日約3.1時間で、平日5日と休日2日を合わせると週およそ15時間になります(「6時間以上」は6時間として計算しました)。このペースなら、300時間に届くのは約20週(4か月半)、450時間なら約30週(7か月ほど)です。この週15時間は第37回合格者38人の調査から、前の項の総時間は第38回合格者27人の調査から出したもので、同じ人たちのデータではありません。

この2つの調査は対象も年度も違うので、組み合わせた結論は出せません。また、どちらも講座の受講者だけが対象で、独学の人より教材や計画が整っていた可能性があります。それでも、300時間以上が半数を超える一方で300時間未満も4割を超えていたという結果は、300時間を「最低線」ではなく合格者の中央付近の値として見る手がかりになります。

合格者・受験者の実像:新卒79%、既卒41%

社会福祉士の試験は、ここ数年で姿が大きく変わりました。厚生労働省の公表資料から、第18回(2006年)以降の推移を見てみます。

社会福祉士国家試験 受験者数・合格者数と合格率の推移(第18〜38回、2006〜2026年実施)

  • 受験者数
  • 合格者数
  • 合格率(%)
010,00020,00030,00040,00050,000020406080200620072008200920102011201220132014201520162017201820192020202120222023202420252026
出典: 厚生労働省「社会福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移」(2026年3月3日)

第34回(2022年2月実施)までは、第25回の18.8%を除いて、合格率は26〜31%前後で推移していました。それが第35回で44.2%、第36回で58.1%に上がり、第38回(2026年2月1日実施)は60.7%でした。一方で受験者は減っていて、第38回の受験者は2万5,430人、合格者は1万5,438人です。

ただし、60.7%という数字を自分に当てはめる前に、受験者の内訳を見る必要があります。試験センターは、受験資格のルートごとに、新卒と既卒を分けて合格率を公表しています。資料には新卒・既卒の定義が書かれていません。当サイトは、新卒を受験資格を得る課程(大学等や養成施設)をその年度に卒業・修了する見込みで受ける人、既卒をそれ以外の人と読んでいます(当サイトの解釈)。

第38回社会福祉士国家試験の合格率 — 受験資格のルート別・新卒と既卒

福祉系大学等 新卒78.4%

受験者7,590人・合格者5,950人

一般養成施設等 新卒81.7%

受験者4,790人・合格者3,915人

短期養成施設等 新卒70.8%

受験者770人・合格者545人

福祉系大学等 既卒42.2%

受験者6,389人・合格者2,693人

福祉系短大等+実務 既卒38.8%

受験者1,040人・合格者404人

一般養成施設等 既卒40%

受験者3,954人・合格者1,581人

短期養成施設等 既卒39%

受験者897人・合格者350人

新卒は合計で受験者13,150人・合格者10,410人・合格率79.2%、既卒は合計で受験者12,280人・合格者5,028人・合格率40.9%(合計は当サイト算出)。福祉系短大等+実務経験のルートには新卒の区分がない。試験センターの資料には新卒・既卒の定義と既卒の内訳(再受験か初受験か)が書かれていない。出典: 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験の合格発表について」(2026年3月3日)

新卒の合格率は、どのルートでも70〜80%台です。既卒はどのルートでも40%前後にとどまります。全体で見ると、新卒は79.2%、既卒は40.9%でした(当サイト算出)。受験者のほぼ半分(51.7%)は新卒です。

この差の理由を、試験センターは説明していません。既卒の内訳(前年までに不合格だった人か、卒業から時間がたって初めて受ける人か)も公表されていません。当サイトの推測ですが、課程で19科目を学んだ直後に受ける新卒と、学んでから時間がたった既卒とでは、勉強の前提が違うと考えられます。既卒の人は、新卒の合格率ではなく既卒の約4割という数字を基準に、勉強時間を多めに見込んでおくほうが安全です。

合格者の年齢を見ると、30歳以下が47.1%で最も多い一方、31歳以上も合計で52.9%(8,165人)を占めます(当サイト算出)。41〜50歳だけでも20.1%(3,098人)です。合格者の41.4%は、養成施設を卒業・修了した人でした。社会人になってから資格を目指す人も、決して少数派ではありません。

受験資格:試験の勉強は独学でも、受験資格は独学では得られない

「社会福祉士 独学」と検索する人が多いのですが、先に確認しておきたいことがあります。社会福祉士の国家試験は、誰でも受けられるわけではありません。社会福祉士及び介護福祉士法7条が定める、次のようなルートのいずれかを通る必要があります。

  • 福祉系の4年制大学等で指定科目を修めて卒業する
  • 福祉系の短大等(2年制・3年制)で指定科目を修めて卒業し、相談援助の実務を2年以上(3年制は1年以上)経験する
  • 福祉系大学等で基礎科目を修めた人(短大等は相談援助の実務経験も必要)や、社会福祉主事養成機関の修了後に相談援助の実務を2年以上経験した人などが、短期養成施設(6か月以上)を修了する
  • 一般の大学を卒業した人や、相談援助の実務を4年以上経験した人などが、一般養成施設(1年以上)を修了する

つまり「独学」とは、試験勉強を講座や予備校に頼らず自分で進めることを指していて、受験資格そのものは学校や養成施設で得るものです。一般の大学を卒業した社会人なら、一般養成施設を1年以上かけて修了するのが基本のルートになります。養成施設には通信課程のところもあります。

なお、第38回の一般養成施設等ルートの合格率は、新卒が81.7%、既卒が40.0%(3,954人中1,581人)でした。新卒は福祉系大学等ルートの新卒(78.4%)より高い値ですが、既卒は福祉系大学等ルートの既卒(42.2%)と同じ4割前後です。

合格ラインの仕組み:60%が基準でも、合格点は満点の4〜5割

社会福祉士の合格基準は、次の2つの条件をどちらも満たすことです。

  1. 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上を取る
  2. 6つの科目群すべてで得点がある(0点の科目群がない)

配点は1問1点で、129点満点です。「60%程度」は基準であって、実際の合格点は、問題の難易度に応じて毎回補正されます。新しい出題基準になってからの合格点は、満点の60%を大きく下回っています。

社会福祉士国家試験の合格点(満点に対する割合)— 新出題基準の前後

第36回(2024年2月)60%

150点満点中90点

第37回(2025年2月)48.1%

129点満点中62点

第38回(2026年2月)38.8%

129点満点中50点

割合は合格点÷満点で当サイトが算出。合格基準はいずれの回も「総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正」したもの。第37回から出題数が129問になり、6科目群すべてで得点することが条件になった(第36回までは18科目群)。出典: 社会福祉振興・試験センター「第36回・第37回・第38回社会福祉士国家試験の合格基準及び正答について」

第36回は150点満点中90点で、ちょうど60%でした。新しい出題基準になった第37回は129点満点中62点(48.1%)、第38回は50点(38.8%)です(割合は当サイト算出)。基準の説明どおりに読めば、合格点が低い年ほど、問題が難しかったとして補正されたことになります。合格点は毎回の試験後に決まるので、受験前に「何点取れば受かる」とは言えません。

もう1つの条件である「6科目群すべてで得点」は、勉強時間の配分に直接かかわります。総得点が合格点を超えていても、1つの科目群で0点なら不合格です。どの科目群も最低限は手をつけておく必要があり、ここが「得意な分野だけで点を稼ぐ」作戦が取れない理由です。

いつから始める? 試験までの週数別の「1週・1日あたりの時間」

社会福祉士の国家試験は、例年2月上旬の日曜に行われます。第39回の試験は2027年2月7日(日)で、午前(10時〜12時20分、84問)と午後(14時10分〜15時35分、45問)に分かれています。受験申し込みの受付期間は2026年9月3日(木)から10月2日(金)まででした。第39回を受けるには、この期間内に申し込みと受験手数料の支払いを済ませる必要がありました。次の機会は第40回で、例年2月上旬の実施です(日程は試験センターの公式情報で確認してください)。合格発表は2027年3月9日(火)に試験センターのホームページで行われます。

試験日までの週数ごとに必要な時間を計算すると、次のようになります。週あたりの時間は、目標の時間に届くよう小数第1位で切り上げています。「平日1日」の列は、休日に4時間ずつ(週8時間)勉強した場合に、平日に1日あたり必要な時間で、目標に届くよう10分単位で切り上げています(当サイト試算)。年末年始などの休みは考慮していません。

試験までの週数300時間:週300時間:平日1日450時間:週450時間:平日1日
40週7.5時間休日だけで足りる11.3時間40分
32週9.4時間20分14.1時間1時間20分
24週12.5時間1時間18.8時間2時間10分
20週15.0時間1時間30分22.5時間3時間
16週18.8時間2時間10分28.2時間4時間10分
12週25.0時間3時間30分37.5時間6時間
8週37.5時間6時間56.3時間9時間40分

第39回(2027年2月7日)を受ける人(申し込み済みの人)が、始める日ごとに必要な時間は次のようになります。試験日までの週数は日数から正確に計算し、表示だけ整数に四捨五入しています。時間は上の表と同じ計算で、正確な週数(2026年10月1日なら約18.4週)から求めています。

始める日試験までの週数300時間:週300時間:平日1日450時間:週450時間:平日1日
2026年10月1日約18週16.3時間1時間40分24.5時間3時間20分
2026年11月1日14週21.5時間2時間50分32.2時間4時間50分
2026年12月1日約10週30.9時間4時間40分46.4時間7時間40分

先ほどの第37回合格者のアンケートから試算した「週およそ15時間」を物差しにすると、300時間なら試験の約20週前、450時間なら約30週前に始めるのが、合格者の平均的なペースで間に合う目安です(当サイト試算)。第39回は、2026年10月1日に始めると試験まで約18週で、同じペースで積める時間は約280時間になります。

学習サイトでは、ユーキャンが7月末ごろ、東京福祉専門学校が7〜8月、資格Timesが8月下旬ごろからの開始を挙げています。いずれも1日2時間を毎日続ける前提の計算です。働きながら毎日2時間を半年続けるのは簡単ではないので、自分が平日と休日に実際に使える時間で計算し直してください。

試験まで14週ほどになる11月1日以降に始める場合、休日に4時間ずつ勉強しても、300時間を積むには平日に毎日2時間50分以上が必要です。この時期から始めるなら、新しいことを広く読むより、過去問を繰り返して0点の科目群を作らないことを優先するのが現実的です。過去問の回し方は「過去問は3周」は本当かで、学習科学の研究をもとに整理しています。

試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。

科目別の配分:問題数から自分で決める方法

試験は19科目で、合格基準ではこれが6つの科目群にまとめられています。第37回と第38回の正答表から当サイトが数えた科目ごとの出題数は、次のとおりです(2回とも同じでした)。

科目群含まれる科目(出題数)問題数
1医学概論(6)、心理学と心理的支援(6)、社会学と社会システム(6)18問
2社会福祉の原理と政策(9)、社会保障(9)、権利擁護を支える法制度(6)24問
3地域福祉と包括的支援体制(9)、障害者福祉(6)、刑事司法と福祉(6)21問
4ソーシャルワークの基盤と専門職(6)、ソーシャルワークの理論と方法(9)、社会福祉調査の基礎(6)21問
5高齢者福祉(6)、児童・家庭福祉(6)、貧困に対する支援(6)、保健医療と福祉(6)24問
6ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)(6)、ソーシャルワークの理論と方法(専門)(9)、福祉サービスの組織と経営(6)21問

科目群1〜4(84問)は精神保健福祉士の試験と共通の科目で、科目群5と6(45問)が社会福祉士だけの専門科目です。

アガルートの勉強法のコラムは、19科目それぞれに「1日あたりの目安学習時間」を15分〜1時間の範囲で示していますが、その数字の根拠となる調査は書いていません。日本ソーシャルワーク教育学校連盟の事務局のnoteは、300時間を19科目で割って、1科目あたり15時間45分程度という計算を示しています。

ただ、科目によって出題数は6問と9問に分かれています。出題数に比例させると、300時間なら1問あたり約2.3時間で、9問の科目は約21時間、6問の科目は約14時間になります(当サイト試算)。これを出発点にして、次の手順で自分の配分を決める方法をおすすめします。

  1. 最初に全科目の過去問を1回分ずつ解き、科目群ごとの正答率を測る。
  2. 0点になりそうな科目群がないかを最優先で確認する。1つの科目群で0点なら、総得点が高くても不合格です。
  3. 目標点を決める。第37回・第38回の合格点は62点と50点でしたが、合格点は毎回変わるので、基準どおり総得点の60%(129点満点で約77点)を目標にしておくと安全側に立てます。
  4. 目標との差が大きい科目群に時間を寄せ、1〜2週間ごとに正答率を測り直して配分を変える。

社会保障、地域福祉と包括的支援体制、ソーシャルワークの理論と方法のように9問出る科目は、配点が大きいぶん、時間をかける効果も大きくなります。一方で、6問しかない科目でも、同じ科目群のほかの科目と合わせて0点にならないよう、最低限の対策は欠かせません。

精神保健福祉士を持っている人の場合

精神保健福祉士として登録している人は、申請すれば科目群1〜4の共通科目(12科目、84問)が免除され、専門科目の45問だけを受験します。この場合の満点は45点で、合格点は第37回が22点、第38回が17点でした。問題数に比例させて単純計算すると、300時間の目安は約105時間に相当します(当サイト試算)。ただし、免除される人はすでに共通科目を学んでいる人なので、この計算は「専門科目だけを一から学ぶ場合」のおおまかな目安です。

社会福祉士と精神保健福祉士を同時に受験することもできます。この場合は2月6日(土)と7日(日)の2日間で、試験地は7か所に限られます。

勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか

300〜450時間を積むうえで、最も大きな壁は「毎日の時間を確保し続けること」です。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。

当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。

集計の範囲金額
第1四分位(安い方から4分の1の位置)月5,800円
中央値月7,800円
第3四分位(高い方から4分の1の位置)月11,000円

324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。

週15時間のペースで300〜450時間を積むと、期間は4か月半から7か月ほどです。月単位で契約すると5〜7か月分になり、中央値の月7,800円なら自習室代の合計は3万9,000円〜5万4,600円です(当サイト試算)。これに受験手数料2万4,300円(社会福祉士のみを受験する場合)が加わります。

公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。

受かった後の数字:社会福祉士はどれだけいて、どう働いているか

最後に、300〜450時間をかけて取る資格の「その先」を、公式統計で見ておきます。

登録者は33万6,630人

社会福祉士として登録している人は、2026年8月末時点で33万6,630人です。2025年度末(2026年3月末)の33万874人から、5か月で5,756人増えています(当サイト算出)。第1回から第38回までの合格者の累計は34万2,045人です。社会福祉士は、合格したあと登録しなければ名乗れない資格です。

回答者の77%が福祉・介護・医療の分野で働いていた

試験センターは、登録者を対象に就労状況を調べています。最新の調査は2020年11月の実施で、社会福祉士は、登録者から宛先不明で返送された人などを除いた18万8,096人を調査対象とし、10万281人が回答しました(回答率53.3%)。

回答者のうち、福祉・介護・医療の分野で働いている人は77.4%、福祉・介護・医療の資格者を養成する学校で働いている人は1.2%、それ以外の分野で働いている人は9.4%、仕事をしていない人は10.7%でした。福祉・介護・医療の分野で働く人の仕事は、相談員(13.3%)、介護支援専門員(11.4%)、医療ソーシャルワーカー(10.0%)、施設長・事務所管理者(9.9%)などに分かれています。雇用形態は81.6%が正規職員でした。

同じ調査で、福祉・介護・医療の分野で働く人に2019年の年収を聞いたところ、平均は403.1万円でした(無回答を除く。パートタイムなども含む)。資格手当がある職場は37.4%で、手当の金額を答えた人の平均は月1万827円でした。5年以上前の調査なので、現在の水準とは違う可能性があります。

需要の根拠:名称独占と、地域包括支援センターの配置基準

社会福祉士は、資格がなければその業務をしてはいけない「業務独占」の資格ではありません。資格がない人が社会福祉士と名乗ることを禁じる「名称独占」の資格です(社会福祉士及び介護福祉士法48条)。相談援助の仕事そのものは、資格がなくてもできます。

一方で、配置の基準に社会福祉士が書かれている職場があります。介護保険法施行規則140条の66は、地域包括支援センターに置く職員として、担当区域の65歳以上の高齢者(第1号被保険者)おおむね3,000人以上6,000人未満ごとに、原則として「社会福祉士その他これに準ずる者」1人を挙げています。市町村が条例で職員の基準を定めるときに従うべき基準です。

年収:2つの参考値は比べられない

社会福祉士の資格の有無で年収を比べた公的な統計はありません。参考になる値は2つあります。

1つめは、前の項の試験センターの就労状況調査です。福祉・介護・医療の分野で働く登録者に2019年の年収を聞いた結果は、平均403.1万円でした(2020年の調査。アンケートの自己申告で、パートタイムなども含みます)。

2つめは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)です。保育士とケアマネジャーは別の職種として集計されていて、社会福祉の専門職をまとめた「その他の社会福祉専門職業従事者」という職種があります。この職種の年収を「所定内給与×12か月+年間賞与」で算出すると、約427万円(平均年齢46.0歳)になります(当サイト算出)。比べた全産業の約510万円(平均44.4歳)は、民営事業所の産業計の値です。職種の表には民営・公営の区別の表示が見当たらないため、単純な比較には注意が必要です。この職種には社会福祉の専門職が幅広く含まれると考えられますが、範囲の細部は職種解説では確認できておらず、社会福祉士の資格を持たない人も含まれます。

2つの値は、調査の年(2019年の収入と令和7年)も、集計の対象(資格者のアンケートと一般労働者の統計)も違います。403万円と427万円を並べて増減を論じることはできません。どちらも、資格を取れば年収がこの水準になることを示すものでもありません。

よくある質問

社会福祉士の勉強時間は何時間必要ですか?

学習サイトの目安は300時間程度でほぼそろっています(大原は200〜300時間とも)が、その数字を出した調査の人数や方法を示したページは見当たりませんでした。講座受講者の合格者27人の自己申告を集めたアガルートの調査(第38回)では、300時間以上が15人と半数を超えた一方、300時間未満も12人いました。27人中18人は450時間未満で、450時間以上は9人でした(当サイト算出)。余裕を持たせたい人は、合格者の3人に2人が収まっていた450時間を計画の上限の目安にすると、立て直しがしやすくなります。なお資格Timesと大原は、この時間に受験資格を得るための養成施設などでの学習を含めていません。

社会福祉士に合格するには1日何時間勉強すればいいですか?

始める時期によって変わります。2027年2月7日の第39回試験に向けて、休日に4時間ずつ勉強するとして300時間を積む場合、2026年10月1日に始めるなら平日は1日1時間40分、12月1日に始めるなら4時間40分ほどが必要です(当サイト試算)。1日の時間の実測は、講座受講者の合格者38人のアンケート(アガルート、第37回)にあり、平日・休日とも2時間という人が最も多く、当サイトがこの分布から試算した平均は週およそ15時間でした。これは前の質問の第38回27人の調査とは別のデータです。

社会福祉士の勉強はいつから始めればいいですか?

1週間に使える時間で決まります。第37回合格者38人の1日の勉強時間から当サイトが試算した週およそ15時間のペースなら、300時間に約20週(4か月半)、450時間に約30週(7か月ほど)かかります。つまり試験の約20週前、余裕を見るなら約30週前が始める目安です。第39回(2027年2月7日)では、2026年10月1日に始めると試験まで約18週で、同じペースで積める時間は約280時間です(当サイト試算)。ユーキャン・東京福祉専門学校・資格Timesは7〜8月ごろの開始を挙げていますが、いずれも1日2時間を毎日続ける前提の計算です。

社会福祉士は独学で取れますか?

試験の勉強は独学でもできますが、受験資格は独学では得られません。受験するには、福祉系大学等で指定科目を修めて卒業するか、短期養成施設(6か月以上)や一般養成施設(1年以上)を修了するなど、法律で決められたルートのいずれかを通る必要があります。一般の大学を卒業した人なら、一般養成施設を修了するのが基本のルートです。第38回の一般養成施設等ルートの合格率は、新卒が81.7%、既卒が40.0%(3,954人中1,581人)でした。新卒と既卒の定義は公表資料に書かれていないので、勉強時間は既卒の約4割も踏まえて多めに見込むと安全です。

精神保健福祉士の資格があると勉強時間は減りますか?

出題範囲が狭くなるぶん、減らせると考えられます。精神保健福祉士として登録している人は、申請すれば共通科目(医学概論から社会福祉調査の基礎までの12科目、84問)が免除され、専門科目の45問だけを受験します。問題数に比例させて当サイトが単純計算すると、300時間の目安は約105時間に相当します。ただし免除者にも合格点があり、第38回は45点満点中17点、第37回は22点でした。

社会福祉士に合格すると年収は上がりますか?

資格の有無で年収を比べた公的な統計はありません。参考値は2つあります。試験センターの就労状況調査(2020年実施、登録者へのアンケート)では、福祉・介護・医療の分野で働く回答者の2019年の年収は平均403.1万円でした(自己申告で、パートタイムなどを含む)。賃金構造基本統計調査(令和7年)で、社会福祉の専門職をまとめた「その他の社会福祉専門職業従事者」の年収を所定内給与と賞与から算出すると約427万円(平均46.0歳)で、全産業の約510万円(平均44.4歳)を下回ります(当サイト算出)。2つは調査の年も対象も違うので比べられません。前者は社会福祉士の登録者の値ですが、後者は資格を持たない人も含む職種の値です。どちらも、資格を取れば年収が変わることを示すものではありません。

調査方法・出典について

  • 受験者数・合格者数・合格率、新卒・既卒別の合格率、合格者の年齢と受験資格別の内訳は、社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験の合格発表について」(2026年3月3日)と第37回の同資料、厚生労働省「社会福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移」によります。新卒・既卒それぞれの合計の合格率と、31歳以上の合格者の割合は当サイトが算出しました。
  • 合格基準と合格点は、試験センター「社会福祉士国家試験合格基準」と、第36回・第37回・第38回の「合格基準及び正答について」によります。満点に対する割合と、科目ごとの出題数は、これらの資料から当サイトが算出しました。
  • 第39回の試験日程・試験時間・受験手数料・共通科目の免除・同時受験と、受験資格のルートは、試験センター「令和8年度 第39回社会福祉士国家試験」と「受験資格(資格取得ルート図)」によります。
  • 登録者数は、試験センター「都道府県別登録者数」(2026年8月末日現在)と「登録者数の資格種類別〈年度別の推移〉」によります。就労状況・年収・資格手当は、試験センター「令和2年度社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査結果」の報告書と集計データ(単純集計)によります。
  • 名称の使用制限は社会福祉士及び介護福祉士法48条(日本法令外国語訳データベース)、地域包括支援センターの職員の基準は介護保険法施行規則140条の66(厚生労働省 法令等データベース)の条文を確認しました。日本法令外国語訳データベースの社会福祉士及び介護福祉士法は、平成26年法律第83号までの改正を反映した版です。受験資格の7条は、試験センターのルート図と内容が一致することを確認しました。
  • 年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の一般労働者(企業規模10人以上、男女計)の値から、所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額で当サイトが算出しました。職種(小分類)第1表の「その他の社会福祉専門職業従事者」(職種表に民営・公営の区別の表示は見当たりませんでした)と、産業大分類 第1表の産業計(民営事業所)の値です。職種の細かな範囲は、公表されている職種解説では確認できませんでした。
  • 試験センターの就労状況調査の年収403.1万円は、報告書の集計データ(単純集計)の問9(福祉・介護・医療の分野で働く人、無回答を除く平均)によります。
  • 学習サイトの勉強時間の目安は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。大原は、試験情報のページ(200〜300時間)と社会福祉士講座の解説ページ(約300時間)で数字が異なります。日本ソーシャルワーク教育学校連盟事務局のnoteは、筆者のアカウントに、内容は連盟の意見・見解ではないという断り書きがあります。
  • 合格者の勉強時間は、アガルートが公表した第37回合格者のアンケート(2025年4月15日公表、有効回答38人)と、第38回合格者のアンケート(同社の解説ページ、有効回答27人)によります。どちらも講座を使った人のうち回答の許諾を得た一部の人の自己申告です。人数、平均の時間、週あたりの時間は、公表された分布から当サイトが算出・試算しました。週あたりの時間は第37回の調査、合計の勉強時間の分布は第38回の調査によるもので、別々のデータです。
  • 週数別・開始日別の時間と自習室代は、上の前提で当サイトが試算しました。自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
  • 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず社会福祉振興・試験センターの公式情報をご確認ください。