「税理士試験は3,000時間」。そう書かれたページもあれば、「約2,000時間」とするページも、「4,000〜6,000時間」とするページもあります。税理士試験の勉強時間を調べると、学校やメディアの目安は5科目合計で約1,500〜6,000時間まで、4倍の幅で割れています(最小値はアカナビの1,500〜2,500時間です)。数字の出し方まで見ると、自社講座の講義時間をもとにしたと書いている学校はありますが、受験者や合格者を何人調べたのかまで示したページは見当たりませんでした。
税理士試験は、5科目を1科目ずつ積み上げていく科目合格制の試験です。そのため「何時間か」と同じくらい、「1年に何科目を受け、何年で5科目をそろえるか」が問題になります。この記事では、各社の目安を「どの科目の、どんな条件の時間か」でそろえて読み直し、国税庁が公表している受験者・合格者の年齢や学歴のデータと重ねて、自分に必要な時間と年数を見積もれるようにします。いつから始めれば週に何時間必要か、簿記の資格はどれだけ効くか、勉強場所にいくらかかるか、合格した先にどんな数字があるかまでを整理します。
この記事の要点
- 5科目合計の目安は学校やメディアによって約1,500〜6,000時間と割れている。条件がはっきりしているのは、TACとLECの自社講座の標準学習時間で、よく選ばれる簿記論・財務諸表論・法人税法・相続税法・消費税法の組み合わせなら合計2,250〜2,300時間(当サイト算出)
- ただしTACとLECの時間は講義時間を含み、理論の暗記時間を含まない。当サイトは、計画の仮置きとして、暗記と再受験の分を700〜750時間ほど上乗せした3,000時間前後を使うことを提案する(当サイト試算。上乗せ分は調査に基づく値ではない)
- 科目別では、法人税法・所得税法が最も重く各600時間、簿記論・財務諸表論・相続税法が各450時間(TAC)。試験を実施する国税審議会・国税庁は勉強時間を公表していない
- 令和7年度の受験者36,320人のうち、5科目に到達したのは527人(1.5%、当サイト算出)。受験者1人あたりの受験科目数は平均1.44科目(当サイト算出)で、多くの人が1年に1〜2科目ずつ積み上げている
- 受験者の32.0%は41歳以上で、5科目到達者527人のうち180人も41歳以上だった(いずれも当サイト算出)。国税庁は受験者の職業を公表していないが、受験者の年齢層は幅広い
- 税理士登録者は82,682人(2026年9月末)。2026年3月末の登録者のうち、最後の科目を試験合格で終えた人と、大学院や国税職員としての経験などによる免除で終えた人は、それぞれ約4割ずつ(41.7%と41.5%、当サイト算出)
結論:科目ごと・条件ごとに読むと、ずれの理由が見える
まず、科目ごとの目安です。数字と条件を自社の解説ページで確認できた3社を並べました。
| 科目 | TAC | LEC | スタディング |
|---|---|---|---|
| 簿記論 | 450時間 | 450時間 | 450時間 |
| 財務諸表論 | 450時間 | 450時間 | 450時間 |
| 法人税法 | 600時間 | 600時間 | 600時間 |
| 所得税法 | 600時間 | 600時間 | 600時間 |
| 相続税法 | 450時間 | 450時間 | 450時間 |
| 消費税法 | 350時間 | 300時間 | 300時間 |
| 固定資産税 | 250時間 | 200時間 | 250時間 |
| 事業税 | 200時間 | 200時間 | 200時間 |
| 住民税 | 200時間 | 200時間 | 200時間 |
| 酒税法 | 150時間 | 200時間 | 150時間 |
| 国税徴収法 | 150時間 | 110時間 | 150時間 |
TACは自社の講義時間を含み、LECは講義時間と復習時間を含む一方、どちらも理論の暗記にかかる時間は個人差があるため含めない、と明記しています。スタディングは時間の前提を書いていません。資格Timesやfreeeなどのメディアも、法人税法・所得税法を600〜700時間、簿記論・財務諸表論を450〜500時間とする近い数字を挙げています。TAC・LEC・スタディング・資格Times・freeeでは、科目ごとの目安は近い水準です。一方、学校法人名古屋大原学園は、簿記論・財務諸表論を各800〜1,000時間、所得税法・法人税法を各1,000〜1,500時間、消費税法などの選択科目を600〜1,000時間としていて、科目別の数字そのものがTACの約2倍です。簿記論・財務諸表論・法人税法と選択科目2つの組み合わせで科目別の数字を足すと、約3,800〜5,500時間になり(当サイト算出)、同学園の5科目合計4,000〜6,000時間と近い水準です。
次に、5科目合計の目安を、各社が書いている条件ごとに並べると次のようになります。
| 条件 | 5科目合計 | そう示している学校・メディア |
|---|---|---|
| 自社講座の標準(講義時間を含み、理論暗記を除く) | 2,250〜2,300時間 | TAC・LECの科目別の時間を、簿記論・財務諸表論・法人税法・相続税法・消費税法で合計(当サイト算出) |
| 学習方法を限定しない一般論 | 約2,000〜6,000時間 | スタディング2,000前後またはそれ以上、freee 2,000とも3,000とも、アガルート約2,000〜4,000、資格Times約3,000、名古屋大原学園4,000〜6,000 |
| 通信講座を使う場合と、独学も含めた場合 | 約2,000時間/3,000〜5,000時間 | アルク(通信講座の約2,000時間はスタディングを出典にしている) |
この表から言えるのは次のことです。
- TAC・LEC・スタディング・資格Times・freeeでは、科目ごとの目安は近い水準です。名古屋大原学園は、科目別の数字そのものがTACの約2倍で、5科目合計の最大の差(TACとLECの2,300時間前後に対し名古屋大原学園は4,000〜6,000時間)は、この科目別の数字の差とほぼ重なります。科目別の差の理由は、同学園のページには書かれていません。
- 講座の標準学習時間で数えると、5科目で2,300時間前後です。ただしこれは講義を受けながら1回で合格した場合の時間で、理論の暗記時間は入っていません。
- 学習方法を限定しない一般論の数字は、根拠の示し方がまちまちです。名古屋大原学園は4,000〜6,000時間を「多くの合格者の学習実績から見た」範囲で、公的な発表ではないとしていますが、何人の実績かは書いていません。他の一般論の数字は、調査の人数や方法まで書いたものを確認できませんでした。
- 資格の大原 社会人講座のブログは、日商簿記1級に900時間、簿記論・財務諸表論・国税徴収法の3科目に5,041時間かかった税理士の例(マイナビの紹介)を挙げ、まとめで日商簿記1級を経由した場合は6,000時間ほどとしています。これは1人の事例で、5科目合計の目安ではないため、上の表には入れていません。
- 会計事務所向け求人サイトのアカナビは1,500〜2,500時間とし、国税徴収法と酒税法を選べば約1,500時間で対応できるとしています。ただし、同じページの科目別の時間(簿記論・財務諸表論が各約450時間、法人税法600時間、国税徴収法・酒税法が各150時間程度)で合計すると1,800時間になり、数字が合いません(当サイト算出)。そのため上の表には含めていません。ただし、5科目合計の最小値として挙がっているのはこのアカナビの1,500時間です。
当サイトは、初めて取り組む人が計画を立てるときの仮置きとして、3,000時間前後を使うことを提案します。講座の標準の2,250〜2,300時間に、含まれていない理論暗記の時間と、再受験の時間を合わせて700〜750時間ほど上乗せした値です(当サイト試算)。この上乗せ分は、調査や実績から求めたものではなく、当サイトの仮置きです。再受験を見込む理由は、後で見るように科目ごとの合格率が令和6〜7年度で8.0〜31.9%にとどまることです。5科目合計の目安のうち、調査の人数・対象・方法まで公開して根拠を示したものは、確認できた範囲ではありませんでした。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、勉強時間の目安は本当かで学習科学の研究をもとに検証しています。
それでも数字がずれる理由
条件をそろえても残るずれには、次の3つがあります。なお、名古屋大原学園の科目別の数字がTACの約2倍である理由は、同学園のページからは分かりません。
1つめは、科目の選び方です。会計学の簿記論・財務諸表論は必須で、税法は所得税法・法人税法の少なくとも一方を含む3科目を選びます(両方を選ぶこともできます)。時間の少ない科目を選べば合計は小さくなります。アカナビは、国税徴収法と酒税法を選べば約1,500時間で対応できるとしています。TACの時間で計算すると、法人税法・相続税法・消費税法を選ぶ場合と、法人税法・国税徴収法・酒税法を選ぶ場合では、合計に500時間の差が出ます(当サイト算出)。
2つめは、何を勉強時間に含めるかです。TACとLECは講義時間を含め、理論暗記の時間を除いています。税法科目は、条文の内容を書かせる理論問題と、税額を求める計算問題で構成されることが多く、LECは、法人税法や相続税法の計算と理論の割合をそれぞれ5割としています。理論暗記を除いた時間は、実際にかかる時間より短く出ると考えられます。
3つめは、講座を売る立場からの見せ方です。講座を持つ学校は、自社のカリキュラムを基準に時間を示しています。LECは簿記論と財務諸表論を一緒に学ぶ講座で時間を減らせるとしていますが、削減できる時間はページによって「約180時間」「250時間」と異なっていました。独学と講座でどれだけ時間が違うかを実際に比べたデータは、確認した範囲では、学校のページに見当たりませんでした。
何年かかる? 学校の目安と、国税庁のデータから見えること
税理士試験は年に1回なので、勉強時間は「何年かかるか」に置き換えて考える必要があります。各社が示す年数の目安は次のとおりです。
| 学校・メディア | 年数の目安 |
|---|---|
| TAC | 学生や受験専念は2〜3年、仕事と両立する社会人は3〜5年 |
| スタディング | 最低2年、多くは3〜5年 |
| 資格Times | 平均の勉強期間は4〜5年 |
| freee | 3〜7年が多く、10年以上の例もある |
| 資格の大原 社会人講座のブログ | 3割以上が10年以上かけると言われている |
上の表の数字では、何人を調べたかまで示したものは確認できませんでした。スタディングは自社の合格者アンケートで「80%弱が5年未満の勉強で合格」と紹介していますが、回答者数や調査時期は書かれていません。人数と時期が分かる集計として確認できたのは、個人ブログ「Markの資格Hack」(2018年7月11日)が、情報公開請求で入手した国税庁の資料をもとに示した、平成29年度の官報合格者795人の分析です。この人数は、国税庁の平成29年度(第67回)の結果表にある合格者数と一致します。ブログによると、20年以内に合格した人だけで平均を取り直すと8.92年で、科目免除を受けた人を含みます。起点は勉強の開始ではなく、最初の科目合格とみられます。ただし、この集計は1年度分で、合格した人だけが対象です。合格に至らずに受験をやめた人は入っていないため、上の表の学校の目安と単純には比べられません。当サイトは、ブログの元になった国税庁の資料そのものは確認していません。
代わりに手がかりになるのが、国税庁の試験結果です。令和7年度(2025年8月実施)の試験の数字は次のとおりです。
| 項目 | 人数・割合 |
|---|---|
| 受験者(実人員) | 36,320人 |
| 延べ受験者(科目ごとの合計) | 52,236人 |
| 5科目に到達した人 | 527人 |
| 一部の科目に合格した人 | 7,320人 |
| 合格率(5科目到達+一部科目合格) | 21.6% |
延べ受験者を実際の受験者数で割ると、1人あたりの受験科目数は平均1.44科目です。令和8年度の受験申込者でも、実人員45,954人に対して延べ72,231人で、平均1.57科目でした(いずれも当サイト算出)。多くの受験者が、1年に1〜2科目ずつ受けていることになります。その年に5科目目に到達した人は527人で、受験者の1.5%です(当サイト算出)。
年数を自分で見積もるには、TACが示す「1週間に何時間なら1年に何科目」という目安が使えます。
| 1週間の勉強時間 | 1年で受けられる科目(TAC) | 5科目までの最短(当サイト試算) |
|---|---|---|
| 10〜15時間 | 1科目 | 5年 |
| 15〜20時間 | 2科目(うち1科目は時間の少ない税法科目) | 3年 |
| 20〜25時間 | 2科目 | 3年 |
「5科目までの最短」は、受けた科目にすべて一度で合格した場合の年数で、2科目ずつなら2科目・2科目・1科目の3年としています。実際には、後で見るように科目ごとの合格率は令和6〜7年度で8.0〜31.9%なので、不合格の科目を翌年に受け直す分だけ年数は延びます。社会人で週10〜15時間なら、5年より長くなる可能性を見込んでおくのが現実的です。
簿記1級・簿記2級を持っている人は
簿記の資格は、税理士試験の会計科目(簿記論・財務諸表論)と範囲が重なります。
- TACは、日商簿記3級で簿記論の学習範囲の20%、2級で50%、1級で90%を学習済みだとしています。時間には換算していません。
- アガルートは、簿記1級を持っている人が簿記論に合格するまでにかかる時間を300〜400時間程度としています。簿記論全体の目安は500〜1,000時間です。
- LECは、簿記論・財務諸表論・法人税法を学ぶ前提として簿記2級レベル、所得税法・消費税法・事業税は簿記3級レベルの知識を挙げています。相続税法・国税徴収法・酒税法・住民税は簿記の知識を前提にしていません。
また、日商簿記1級(または全経簿記上級)に合格すると、それだけで税法科目の受験資格を満たします。各社が示しているのは学習範囲の重なりや前提知識、簿記1級保有者の時間といった個別の数字で、簿記の級ごとに必要時間がどれだけ変わるかを調べたデータは確認できませんでした。日商簿記そのものの勉強時間は簿記の勉強時間で整理しています。
社会人と大学生:受験者の年齢と学歴
国税庁は、受験者と合格者の数を年齢別・学歴別に公表しています。令和7年度の年齢別の数字は次のとおりです。
| 年齢 | 受験者 | 受験者に占める割合 | 5科目到達者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 20歳以下 | 1,742人 | 4.8% | 2人 | 35.4% |
| 21〜25歳 | 6,752人 | 18.6% | 66人 | 29.4% |
| 26〜30歳 | 6,420人 | 17.7% | 101人 | 25.5% |
| 31〜35歳 | 5,100人 | 14.0% | 82人 | 24.8% |
| 36〜40歳 | 4,674人 | 12.9% | 96人 | 21.4% |
| 41歳以上 | 11,632人 | 32.0% | 180人 | 11.5% |
合格率は、5科目到達者と一部科目合格者を合わせた人数を受験者数で割った国税庁の値です。受験者に占める割合は当サイト算出です。
受験者の3人に1人は41歳以上で、5科目到達者527人のうち180人(34.2%、当サイト算出)も41歳以上でした。31〜40歳を合わせると、5科目到達者の67.9%(358人)が31歳以上です(当サイト算出)。一方、合格率は若い区分ほど高く、41歳以上は11.5%でした。この差には、受験に使える時間、受ける科目の組み合わせ、すでに何科目合格しているかといった違いが混ざっており、年齢そのものの影響とは言えません。
学歴別では、大学在学中の受験者が2,811人(受験者の7.7%、当サイト算出)で、合格率は31.9%でした。5科目到達者は9人です。
受験者数の推移は次のグラフのとおりです。2020年の26,673人を底に増え、2025年は36,320人でした。
税理士試験 受験者数と合格率の推移(2015〜2025)
- 実受験者数
- 合格率(%)
受験資格と科目免除:2023年度からの緩和と、大学院・国税職員のルート
税理士試験は、勉強を始められる時期と、受けなければならない科目数が人によって違います。
会計科目は誰でも受けられる
2023年度(第73回)の試験から、簿記論と財務諸表論は受験資格の制限がなくなり、誰でも受験できるようになりました。年齢や国籍の制限もありません。税法科目は、次のいずれか1つを満たす必要があります。
- 学識: 大学・短大などを卒業し、社会科学に属する科目を1科目以上履修した人。大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した人。司法試験合格者など
- 資格: 日商簿記検定1級、全経簿記検定上級の合格者
- 職歴: 会社や個人事業の会計事務、銀行などの貸付・運用の事務、税理士・弁護士・公認会計士などの補助事務に、通算2年以上従事した人
「社会科学に属する科目」には、法律学や経済学のほか、社会学、心理学、統計学なども含まれ、教養科目として履修したものでも対象になると国税庁は説明しています。
大学院の修士論文で、科目の一部が免除される
大学院で税法や会計学の研究をして修士の学位を取ると、国税審議会の認定を受けて試験の一部が免除されます。条件は、その分野の試験科目のうち1科目に合格していることです。認定されると、税法なら残り2科目、会計学なら残り1科目に合格したものとみなされます。認定には修士論文の写しの提出が必要で、不認定になる例もあると国税審議会は説明しています。
国税職員としての勤務による免除
日本税理士会連合会によると、税務署などに10年または15年以上勤めた国税従事者は税法科目が、23年または28年以上勤めて指定の研修を修了した人は会計科目が免除されます。
国税庁の統計で、2026年3月末の税理士登録者82,513人を資格の種類で分けると、最後の科目を試験合格で終えた「試験合格者」が34,411人(41.7%)、最後の科目を免除で終えた「試験免除者」が34,261人(41.5%)、公認会計士が11,882人(14.4%)でした(割合は当サイト算出)。「試験免除者」には、大学院や国税職員の経験による免除で5科目をそろえた人が含まれます。5科目すべてを試験で合格する道だけが、税理士になる道ではありません。
合格ラインの仕組み:各科目60点、合格した科目は生涯有効
国税庁の説明では、合格基準点は各科目とも満点の60%です。令和8年度の「出題のポイント」によると、各科目の配点の合計は100点です。試験時間は、令和8年度の試験公告の時刻表で各科目2時間でした。会計科目2科目と、所得税法・法人税法の少なくとも一方を含む税法科目3科目の合計5科目に合格すると、試験の合格者になります。日本税理士会連合会は、合格した科目は生涯有効だとしています。
ただし、60点という基準は同じでも、科目ごとの合格率は年によって大きく動いています。
令和7年度(第75回)税理士試験 科目別の合格率
受験者18,466人・合格者2,058人(前年17.4%)
受験者15,629人・合格者4,980人(前年8.0%)
受験者1,120人・合格者146人(前年12.6%)
受験者3,606人・合格者488人(前年16.4%)
受験者2,413人・合格者333人(前年18.7%)
受験者7,064人・合格者712人(前年10.3%)
受験者590人・合格者72人(前年12.1%)
受験者1,671人・合格者231人(前年13.0%)
受験者439人・合格者78人(前年18.2%)
受験者310人・合格者38人(前年13.7%)
受験者928人・合格者144人(前年18.0%)
財務諸表論は、令和6年度の8.0%から令和7年度は31.9%に、簿記論は17.4%から11.1%に動きました。国税庁は合格率が動く理由を公表していません。1年の結果だけを見て科目の難易度を判断せず、何年か分の合格率を見ておくほうが安全です。
令和8年度(第76回)の試験からは、5科目に合格した人と一部の科目に合格した人にも、各科目の得点が通知されるようになりました。これまでは不合格の科目だけ得点が通知されていました。合格した科目の点数も分かるので、次の科目に向けて自分の得点力を確かめやすくなります。
いつから始める? 開始月別の「1週・1日あたりの時間」
税理士試験は、例年8月上旬に3日間で行われます。令和8年度(第76回)の試験は2026年8月4日(火)〜6日(木)に実施されました(熊本県を除く)。合格発表は2026年11月27日(金)の予定です。熊本県の会場は、令和8年熊本地震の影響で試験が延期され、2026年11月1日(日)〜3日(火)に再試験が予定されています(合格発表は12月25日の予定)。令和9年度の試験日程は、2026年10月1日時点で公告されていません。令和8年度の公告は2026年4月3日でした。
8月上旬の試験から逆算して、始める月ごとに必要な時間を計算すると次のようになります。各月の1日に始め、試験日を8月5日と置いて、始める日から試験日までの日数を7で割った正確な週数(前年9月なら338日で約48.3週)で計算しました。「週」の列は、目標の時間をその週数で割り、0.5時間単位に切り上げた値です。「平日1日」の列は、休日に4時間ずつ(週8時間)勉強した場合に、必要な週あたりの時間に届くよう平日1日あたりの時間を10分単位に切り上げた値です。切り上げているので、表のとおりに勉強すれば目標の時間に届きます。表示する週数だけは四捨五入です(当サイト算出)。
| 始める月 | 試験までの週数 | 450時間:週 | 450時間:平日1日 | 600時間:週 | 600時間:平日1日 | 900時間:週 | 900時間:平日1日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 前年9月 | 約48週 | 9.5時間 | 20分 | 12.5時間 | 1時間 | 19.0時間 | 2時間10分 |
| 前年11月 | 約40週 | 11.5時間 | 50分 | 15.5時間 | 1時間30分 | 23.0時間 | 3時間 |
| 1月 | 約31週 | 15.0時間 | 1時間20分 | 19.5時間 | 2時間20分 | 29.5時間 | 4時間20分 |
| 3月 | 約22週 | 20.5時間 | 2時間30分 | 27.0時間 | 3時間50分 | 40.5時間 | 6時間30分 |
| 5月 | 約14週 | 33.0時間 | 5時間 | 44.0時間 | 7時間10分 | 66.0時間 | 11時間40分 |
450時間は簿記論・財務諸表論・相続税法の1科目分(TACの目安)、600時間は法人税法・所得税法の1科目分(TACの目安)、900時間は、簿記論と財務諸表論を同じ年に受ける場合を想定し、TACの各450時間を足した値です(当サイト算出)。どれも講義時間を含み、理論暗記の時間を含みません。暗記の時間を見込むなら、表の値より多めに見積もってください。
この表から、1年に1科目を確実に進めるなら、試験の終わった9月ごろから始めて週10〜15時間を確保するのが、無理の少ない計画だと分かります。簿記論と財務諸表論を同時に受けるなら、9月開始でも週19.0時間、休日に4時間ずつ勉強しても平日に毎日2時間10分が必要です。TACも、簿記論と財務諸表論の同時学習は週20〜25時間を確保できる人にすすめています。年明け以降に始めて法人税法や所得税法を受けるのは、働きながらでは厳しい計画になります。
試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。
科目の選び方と時間の配分
税法科目は3科目を選び、所得税法・法人税法の少なくとも一方を含める必要があります(両方を選ぶこともできます)。消費税法と酒税法、住民税と事業税は、それぞれどちらか一方しか選べません。
どの科目が選ばれているかは、受験申込者数から分かります。令和8年度の科目別の申込者数は次のとおりです。
| 科目 | 申込者数 |
|---|---|
| 簿記論 | 26,001人 |
| 財務諸表論 | 20,428人 |
| 消費税法 | 9,715人 |
| 法人税法 | 4,824人 |
| 相続税法 | 3,248人 |
| 国税徴収法 | 2,696人 |
| 所得税法 | 1,574人 |
| 固定資産税 | 1,415人 |
| 酒税法 | 1,078人 |
| 住民税 | 739人 |
| 事業税 | 513人 |
税法科目では、消費税法が最も多く、法人税法、相続税法と続きます。TACは、科目を選ぶときの観点として、合格後の実務、学習の量、学習の効率の3つを挙げ、企業向けの仕事なら法人税法と消費税法、個人向けなら所得税法や相続税法を例に挙げています。
時間の配分については、次の3つの考え方が各社の説明から読み取れます。
- 最初の年は簿記論から始める。TACは初年度の受験科目として、週10〜15時間なら簿記論1科目、週15〜20時間なら簿記論と時間の少ない税法科目、週20〜25時間なら簿記論と財務諸表論、週30時間以上ならその2科目と時間の少ない税法科目をすすめています。TACは、2科目の関連性が高く、同時に学ぶと負担を軽くできることを理由に挙げています。
- 法人税法・所得税法は、簿記論・財務諸表論の知識が前提になります。TACは、会計科目を学習済みであることを法人税法・所得税法の前提に挙げています。
- 税法科目は理論の暗記に時間がかかります。TACとLECの時間にはこの暗記が含まれていないので、毎日少しずつ条文を思い出す練習を続ける時間を、別に確保しておく必要があります。
覚えた理論を忘れないためには、思い出す練習を間隔を空けて繰り返すことが有効だと、学習科学の実験で確かめられています。過去問の使い方は過去問は何周すればいいか、試験勉強の進め方は試験勉強の学習科学で詳しく扱っています。
勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか
税理士試験は、数年にわたって毎週の時間を確保し続ける試験です。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。
当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。
| 集計の範囲 | 金額 |
|---|---|
| 第1四分位(安い方から4分の1の位置) | 月5,800円 |
| 中央値 | 月7,800円 |
| 第3四分位(高い方から4分の1の位置) | 月11,000円 |
324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。
1科目を9月から翌年8月の試験まで勉強すると、月単位の契約で12か月分になり、中央値の月7,800円なら自習室代は9万3,600円です。5科目を3年でそろえる計画なら36か月分で28万800円、5年なら60か月分で46万8,000円になります(いずれも当サイト試算)。これに受験手数料が加わります。受験手数料は申し込む科目数で決まり、1科目4,000円、2科目5,500円、3科目7,000円、4科目8,500円、5科目1万円です。1年に1科目ずつ5年で受けると合計2万円、2科目・2科目・1科目の3年なら1万5,000円です(当サイト試算)。
公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。電卓を使う計算問題の練習ができるかどうかも、事前に確かめておくと安心です。税理士試験の勉強に向いた自習室の選び方は、税理士・公認会計士試験向け おすすめ自習室の選び方でまとめています。
受かった後の数字:税理士はどれだけいて、どう働いているか
最後に、長い時間をかけて取る資格の「その先」を、公表されている数字で見ておきます。
税理士登録者は82,682人
日本税理士会連合会の公表では、2026年9月末の税理士登録者は82,682人です。税理士になる資格がある人は、日本税理士会連合会の税理士名簿に登録して初めて税理士として仕事ができるので、これが実際に税理士として登録している人の数にあたります。登録には、税理士試験の合格者と免除者の場合、租税や会計の事務に通算2年以上従事した実務経験が必要です。
実態調査に回答した税理士の半数以上が60歳以上
日本税理士会連合会は10年ごとに税理士の実態調査を行っています。2024年4月に行われた第7回調査の報告書は会員向けに公開されているため、ここでは報告書の数字を紹介した業界誌の記事から、要点だけを引用します。回答は38,607件(回答率44.8%)で、税理士法人の回答も含み、個人の回答者は36,657人です。
それによると、回答した税理士のうち60歳以上が53.6%を占め、20〜30歳代は6.6%でした。回答率が5割に満たない調査なので、登録者全体の構成と同じとは限りません。それでも、税理士試験の受験者の41.1%が30歳以下(当サイト算出)であるのと比べると、回答した税理士の年齢はかなり高いことが分かります。
需要の根拠は法律にある
税理士の仕事を支えているのは法律です。税理士法第52条は、税理士または税理士法人でない者は、法律に別段の定めがある場合を除いて税理士業務を行ってはならないと定めています。国税庁の説明では、税理士業務とは税務代理、税務書類の作成、税務相談で(同法第2条)、違反すると2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる場合があります。別段の定めには、国税局長に通知した弁護士などが税理士業務を行う場合や、行政書士が一部の地方税の書類を作成する場合があります。会社や個人事業主の税務申告を他人に代わって行う仕事は、こうした例外を除いて、税理士と税理士法人に限られるということです。
年収は「職種の値」で見るしかない
税理士だけを対象にした公的な賃金統計はありません。参考として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)で、職種が「公認会計士,税理士」の人の年収を「所定内給与×12か月+年間賞与」で算出すると、約766万円(平均年齢42.2歳、勤続8.5年)になります(当サイト算出)。
ただし、この値には4つの限界があります。公認会計士を含んでいること、会社や事務所に雇われている人だけの値で、自分の事務所を開業している税理士は入っていないこと、企業規模10人以上の事業所の値で、それより小さな事務所に勤める人は入っていないこと、そして資格を取れば年収がこの水準になることを示すものではないことです。
よくある質問
税理士試験の勉強時間は何時間必要ですか?
5科目合計の目安は、学校やメディアによって約1,500〜6,000時間と大きく割れています。条件がはっきりしているのは、TACとLECが示す自社講座の標準学習時間で、よく選ばれる簿記論・財務諸表論・法人税法・相続税法・消費税法の組み合わせなら合計2,250〜2,300時間です(当サイト算出)。ただしこの時間は講義時間を含み、理論の暗記時間を含みません。当サイトは、計画を立てるときの仮置きとして、2,250〜2,300時間に暗記の時間と再受験の分として700〜750時間ほどを上乗せした3,000時間前後を使うことを提案します(当サイト試算。上乗せ分は調査に基づく値ではありません)。試験を実施する国税審議会・国税庁は、必要な勉強時間を公表していません。
税理士試験の科目別の勉強時間はどれくらいですか?
TACの目安では、法人税法と所得税法が各600時間、簿記論・財務諸表論・相続税法が各450時間、消費税法が350時間、固定資産税が250時間、事業税と住民税が各200時間、酒税法と国税徴収法が各150時間です。LECもほぼ同じ水準ですが、消費税法300時間、国税徴収法110時間、酒税法200時間など一部が異なります。どちらも講義時間を含み、理論暗記の時間は含みません。
税理士になるまで何年かかりますか? 社会人の場合は?
TACは、学生や受験に専念する人で2〜3年、仕事と両立する社会人で3〜5年を目標とするのが一般的だとしています。試験は年1回なので、TACが示す週あたりの時間の目安に当てはめると、週10〜15時間なら1年に1科目で5年、週20〜25時間なら1年に2科目ずつで3年が、全科目を一度で合格した場合の最短です(当サイト試算)。実際には科目ごとの合格率が令和6〜7年度で8.0〜31.9%なので、再受験の分だけ長くなります。また、税理士として登録するには、租税や会計の事務に通算2年以上従事した実務経験が必要です(日本税理士会連合会)。合格までの年数の公開集計としては、個人ブログが情報公開請求で入手した国税庁の資料をもとに、平成29年度の官報合格者795人のうち20年以内に合格した人の平均を8.92年と示したものがあります(免除を受けた人を含み、起点は最初の科目合格とみられます)。
簿記1級や簿記2級を持っていると勉強時間は減りますか?
簿記論・財務諸表論と学習範囲が重なります。TACは、日商簿記の2級で簿記論の学習範囲の50%、1級で90%を学習済みだとしています。アガルートは、簿記1級を持っている人が簿記論に合格するまでの時間を300〜400時間程度としています。また、日商簿記1級に合格すると、税法科目の受験資格を満たします。
大学生でも税理士試験を受けられますか?
受けられます。2023年度(第73回)から、簿記論と財務諸表論は受験資格がなくなり、誰でも受験できます。税法科目は、大学3年次以上で社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得していれば受験できます。令和7年度の試験では、大学在学中の受験者が2,811人で、そのうち896人が5科目到達または一部科目に合格し、この区分の合格率は31.9%でした。
税理士の年収はどれくらいですか?
税理士だけを対象にした公的な賃金統計はありません。参考として、賃金構造基本統計調査(令和7年)で職種が「公認会計士,税理士」の人の年収を所定内給与と賞与から算出すると、約766万円(平均42.2歳)でした(当サイト算出)。ただしこの値は公認会計士を含み、会社や事務所に雇われている人だけの値で、開業している税理士は入っていません。また、企業規模10人以上の事業所の値で、それより小さな事務所に勤める人も入っていません。資格を取れば年収がこの水準になることを示すものでもありません。
調査方法・出典について
- 受験者数・5科目到達者数・一部科目合格者数・合格率、年齢別・学歴別・科目別の数字は、国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果表」と「令和6年度(第74回)税理士試験結果」によります。受験者に占める割合、1人あたりの受験科目数、5科目到達者の割合は当サイトが算出しました。
- 受験者数の推移のグラフは、国税庁「税理士試験結果」各年の値です。
- 令和8年度の試験日程・受験手数料・合格発表日は「令和8年度(第76回)税理士試験公告」、科目別の申込者数は「令和8年度(第76回)税理士試験 受験申込者数」、得点通知の変更と熊本県の再試験は国税審議会の各お知らせ(2026年8月21日ほか)、配点は「令和8年度(第76回)税理士試験出題のポイント」によります。
- 試験科目と合格基準は国税庁「税理士試験の概要」、受験資格は「税理士試験受験資格の概要」と「税理士試験に関するQ&A」、大学院の学位による免除は国税審議会「改正税理士法の『学位による試験科目免除』制度のQ&A」によります。合格科目が生涯有効であること、国税従事者の免除、登録に必要な実務経験は、日本税理士会連合会「税理士の資格取得」によります。
- 税理士登録者数(2026年9月末)は日本税理士会連合会「税理士登録者数」、資格の種類別の登録者数(2026年3月末)は国税庁「令和7年度統計年報 税理士」によります。
- 税理士の年齢構成は、日本税理士会連合会「第7回税理士実態調査報告書」の数字のうち要点だけを、会計事務所の広場の記事(2025年4月24日)から引用しました。報告書そのものは会員向けの公開で、当サイトは原本を確認していません。
- 税理士業務の制限は、税理士法第52条の規定を引用した国税庁「税理士法違反行為」の説明と、国税庁「税理士制度」によります。
- 年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種第1表(企業規模10人以上、男女計)の「公認会計士,税理士」の値から、所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額で当サイトが算出しました。
- 合格までの年数の公開集計は、個人ブログ「Markの資格Hack」の記事(2018年7月11日)の数字を紹介したもので、合格者数の795人は国税庁「平成29年度(第67回)税理士試験結果」と一致することを2026年10月2日に確認しました。ブログの元になった国税庁の資料は確認していません。
- 学校・メディアの勉強時間・年数の目安は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。5科目合計の値と、年数の試算は当サイトによるものです。
- 開始月別の時間は、各月1日に始めて8月5日に試験があると仮定し、正確な週数から当サイトが計算して、週あたりは0.5時間単位、平日1日は10分単位に切り上げました。
- 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
- 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず国税庁の公式情報をご確認ください。