賃貸不動産経営管理士の勉強時間を調べると、「100〜250時間」という幅のある数字によく出会います。アガルートやマイナビ シカクトは、宅建など不動産の知識がある人なら100時間程度、初学者なら200〜250時間以上と説明しています。ただ、学習サイトを1つずつ読むと、独学の初学者の目安だけでも150時間から250時間以上まで割れています。しかも、その目安をどうやって出したのかを示したページは見当たりませんでした。
一方で、この試験には手がかりになるデータがそろっています。試験を実施する賃貸不動産経営管理士協議会は、合格基準点や合格率に加えて、受験者の職業や既に持っている資格まで公表しています。講座の合格者に合計の勉強時間を聞いた調査もあります。この記事では、各サイトの目安を「どんな受験者を想定しているか」でそろえ直し、そこにアンケート結果と公式統計を重ねて、自分に必要な時間を見積もれるようにします。宅建を持っている人がどれだけ短くできるのか、いつから始めれば間に合うのか、勉強場所にいくらかかるのか、合格した先の数字まで整理します。
この記事の要点
- 学習サイトの目安は、不動産や法律の知識がない人の独学で150〜250時間以上、初学者が講座を使う場合で約200時間、宅建など不動産系資格の保有者で80〜150時間と整理できる
- 講座受講者の合格者175人のアンケート(令和7年度)では、合計の勉強時間は200時間未満が43.9%、300時間以上が29.6%。累計で見ると中央の人は200〜250時間の帯にいた(いずれも当サイト算出)
- 合格率は令和7年度が29.5%。合格基準点は2020年度以降、50問中34〜40問と年によって6問動く。2019年度までは40問の試験で、合格率が5割前後の年もあった
- 宅建を持っているだけでは問題は免除されない(講習を修了すれば5問免除)。当サイトが令和7年度の問題を分類すると、宅建の権利関係と重なる賃貸借・民法系は16問で、賃貸住宅管理業法が14問、建物・設備の維持管理が9問だった
- 2026年度は宅建が10月18日、賃貸不動産経営管理士が11月15日で、間は4週間。宅建の後に100時間を積むなら週25時間が必要になる(当サイト試算)
- 資格の登録者は94,817人(2026年4月1日時点)。賃貸住宅管理業者は10,197社(2025年度末)で、営業所ごとに業務管理者を置く義務がある
結論:条件をそろえると、目安はこう読める
学習サイトが示す勉強時間を、各サイトが書いている「想定する受験者」の条件で並べ直すと、次のようになります。数字と条件は各ページの記載どおりです。
| 想定する受験者 | 目安 | そう示している学習サイト |
|---|---|---|
| 不動産や法律の知識がない人が独学する | 150〜250時間以上 | 資格Times(150時間程度。同じページのまとめには、独学で100〜150時間とも記載)、アルク(150〜200時間)、アガルート(200〜250時間)、マイナビ シカクト(250時間以上)、TAC(講座利用の目安に50時間程度を上乗せ) |
| 独学(知識の有無は限定していない) | 最低でも150〜250時間 | 住宅新報 不動産ココ(同じページは初学者について200〜300時間程度とも記載) |
| 初学者が講座を使う | 約200時間 | TAC(講義60〜70時間+自習140時間程度)、マイナビ シカクト(講義50〜70時間程度+自習で合計200時間程度) |
| 初学者の一般的な目安(学習方法を限定しない) | 200〜300時間 | ヒューマンアカデミー(200時間以上、法律知識ゼロから200〜250時間)、住宅新報 不動産ココ(200〜300時間程度) |
| 受験者を限定しない一般論 | 100〜250時間 | アガルート・マイナビ シカクト・伊藤塾・ヒューマンアカデミー(100〜250時間)、アルク(100〜200時間)、TAC(200〜250時間)、LIFULL HOME'S Business(150〜200時間)、スタディング(最低ライン100時間) |
| 宅建など不動産系資格を持つ人 | 80〜150時間 | 資格Times(80時間程度)、アルク(80〜120時間)、マイナビ シカクト(100時間程度)、アガルート(不動産知識を有する人などで100時間)、住宅新報 不動産ココ(実務経験者や宅建士保持者で100〜150時間) |
| 賃貸管理の実務経験者 | 60〜100時間 | アルク |
この表から言えるのは次のことです。
- 不動産も法律も初めてで独学するなら、250時間を見込んでおくのが無難です。独学の初学者の目安は150時間から250時間以上まで割れていますが、後で紹介するアガルートの講座利用者175人のアンケートでは、回答者の中央が200〜250時間の帯でした(累計から当サイトが判断)。短く見積もって途中で足りなくなるより、長めに見積もって早く仕上がるほうが計画を立て直しやすくなります。
- 講座を使う初学者なら、200時間前後が相場観です。
- 宅建を持っている人は80〜150時間まで短くできる可能性があります。ただし、この試験には宅建で学ばない分野がまとまって出ます(後述)。
どの数字も各社の経験や見立てとして示されたもので、目安そのものをどう算出したかを書いたページは見当たりませんでした。試験を実施する協議会も、合格に必要な学習時間は公表していません。表の数字は相場観として受け止め、次のアンケート結果と公式統計で自分の位置を確かめてください。勉強時間の目安という考え方そのものがどこまで当てになるのかは、勉強時間の目安は本当かで学習科学の研究をもとに検証しています。
数字がずれる理由
条件をそろえても残るずれには、確認できた範囲で3つの理由があります。
1つめは、試験そのものが変わったことです。協議会の公表資料によると、2019年度(令和元年度)までは40問の試験で、2020年度から50問になりました。合格率も、2018年度は50.7%でしたが、2020年度以降は24.1〜31.5%です。TACは、100時間程度という情報について、40問だった頃なら対応できたかもしれないが、今後はより多くの時間を確保したほうがよいと書いています。古い記事の短い目安は、今の試験には当てはまらない可能性があります。
2つめは、「勉強時間」に講義を見る時間を含めているかどうかです。TACは講座を使う場合の内訳を「講義60〜70時間+自習140時間程度」と示しています。講座を使っても、講義とは別に自分で問題を解く時間が必要だということです。
3つめは、講座を売る立場からの見せ方です。TACは独学なら講座の目安に「プラス50時間程度」、マイナビ シカクトは「50時間以上多く」という形で目安を示しています。講座には教材選びや計画づくりの手間を省ける利点がありますが、独学との時間の差を実際に比べたデータは示されていません。
講座を使った合格者は何時間勉強していたか
確認できた範囲では、この試験の合格者に勉強時間を聞いた調査は2つあります。どちらもアガルートが、自社の講座を使って合格した人のうち回答に許諾した人を対象に行った自己申告のアンケートで、時間を計測したものではありません。
合計の勉強時間:175人の分布
1つめは、令和7年度の試験に合格した講座利用者へのアンケートです(調査期間は2025年12月25日〜2026年1月15日、有効回答175人)。公表ページでは表の見出しが「合格者の1日あたりの勉強時間」となっていますが、値は「50時間未満」から「400時間以上」までの区分で、同じページのグラフの題も「合格者の合計勉強時間」です。そのため当サイトは、これを合計の勉強時間の分布と判断しました。合計の勉強時間は次のように分かれました。
| 合計の勉強時間 | 割合 |
|---|---|
| 50時間未満 | 3.4% |
| 50〜100時間未満 | 13.1% |
| 100〜150時間未満 | 15.4% |
| 150〜200時間未満 | 12.0% |
| 200〜250時間未満 | 12.6% |
| 250〜300時間未満 | 13.7% |
| 300〜350時間未満 | 11.4% |
| 350〜400時間未満 | 5.1% |
| 400時間以上 | 13.1% |
最も多いのは100〜150時間(15.4%)ですが、どの帯も1割前後で、ひとつの山にまとまっていません。当サイトが累計すると、100時間未満は16.5%、200時間未満は43.9%で、半分を超えるのは200〜250時間の帯でした。300時間以上の人も29.6%います。「100時間で受かる」も「300時間以上かかった」も、どちらも合格者の実際の姿だということです。
注意点が3つあります。対象は講座の受講者だけで、独学の人は含まれていません。回答者の宅建の有無は公表されていないので、宅建を持つ人が短く済んだのかどうかはこの調査からは分かりません。また、回答者の49.1%は2回目以上の受験で合格した人で、合計の時間に前の年の勉強を含めたかどうかは示されていません。
1日の勉強時間:117人の分布
2つめは、令和6年度の合格者に1日の勉強時間を聞いたアンケートです(調査期間は2024年12月24日〜2025年1月30日、有効回答117人)。
| 1日の勉強時間 | 平日 | 休日 |
|---|---|---|
| 30分 | 15.4% | 6.8% |
| 1時間 | 34.2% | 14.5% |
| 1時間30分 | 12.8% | 6.0% |
| 2時間 | 25.6% | 23.1% |
| 2時間30分 | 1.7% | 1.7% |
| 3時間 | 6.0% | 12.8% |
| 3時間30分 | 0.0% | 2.6% |
| 4時間 | 2.6% | 12.8% |
| 5時間 | 1.7% | 11.1% |
| 6時間以上 | 0.0% | 8.5% |
平日で最も多いのは1時間(34.2%)、休日は2時間(23.1%)です。この分布から当サイトが平均を試算すると、平日は1日約1.5時間、休日は1日約2.8時間で、平日5日と休日2日を合わせると週およそ13時間になります(「6時間以上」は6時間として計算したので、休日の値は少し低めに出ています)。このペースなら、200時間に届くのは約15週(3か月半)、300時間なら約22週半(5か月強)です。
宅建の勉強時間で紹介した同じ会社の宅建合格者のアンケートでは、平日2時間・休日3時間が最多でした。最も多い回答どうしで比べると、賃貸不動産経営管理士の合格者アンケートの回答は、宅建より1日1時間ほど短くなっています。
合格者・受験者の実像:受験者の6割は不動産業
協議会は、受験者の職業や既に持っている資格まで公表しています。自分に当てはめる前に、どんな人が受けて、どんな人が受かっているのかを見ておきます。
令和7年度の試験結果
令和7年度(2025年11月16日実施)の試験では、申込者36,360人のうち31,792人が受験し(受験率87.4%)、9,370人が合格しました。合格率は29.5%、合格者の平均年齢は43.0歳です。
受験者の年代は、30代24.6%、40代25.7%、50代22.6%、20代17.8%で、20代から50代まで広く分かれています。働きながら受ける人が中心の試験だと考えられます。
受験者の職業と、既に持っている資格
協議会が公表している令和7年度の受験者アンケートでは、従事している職業は次のとおりでした。
| 受験者の職業 | 構成比 |
|---|---|
| 賃貸管理 | 30.1% |
| 不動産(その他) | 12.6% |
| 賃貸仲介 | 9.5% |
| 不動産(売買) | 7.9% |
| 建設 | 5.9% |
| 金融 | 5.5% |
| オーナー | 5.4% |
| 学生 | 1.8% |
| その他 | 21.4% |
賃貸管理・賃貸仲介・不動産(売買)・不動産(その他)を当サイトで合算すると60.1%になります。受験者の6割は、仕事で不動産に関わっている人です。
既に持っている資格(複数回答とみられる人数)では、宅地建物取引士が14,639人で最も多く、ファイナンシャル・プランナー7,664人、管理業務主任者1,779人と続きます。回答者数は公表されていませんが、令和7年度の受験者31,792人と比べると、宅建を持つ人は4割を超える規模です(当サイト算出。14,639人÷31,792人で約46%、申込者36,360人で割っても約40%です)。受験した理由の上位は「専門知識を身に付ける」(19,136人)と「仕事で使う」(13,982人)でした。
短期間で受かったという体験談を読むときは、書き手が不動産の仕事をしているか、宅建の勉強をしたことがあるかを確かめてください。受験者の多くがそうした経験を持つ試験なので、経験のない人がその時間をそのまま自分に当てはめるのは危険です。
5問免除の講習を修了した人の合格率
この試験には、賃貸不動産経営管理士講習という制度があります。誰でも受講でき、おおむね2週間の事前学習(公式テキストを使った自宅学習)と、9時〜17時30分の1日のスクーリングを修了すると、修了年度とその翌年度の試験で50問のうち5問が免除されます。令和7年度は受験者の42.1%(当サイト算出)が講習修了者でした。
令和7年度 賃貸不動産経営管理士試験の合格率 — 管理士講習修了者(5問免除)と一般受験者
受験者13,397人・合格者4,898人
受験者31,792人・合格者9,370人
受験者18,395人・合格者4,472人
令和7年度の合格率は、講習修了者が36.6%、一般受験者が24.3%で、12.3ポイント(当サイト算出)の差がありました。前年度の令和6年度も、講習修了者29.7%、一般20.6%でした。この差には、5問免除の効果だけでなく、講習を受ける人の実務経験や、受験に向けた準備の量の違いも含まれている可能性があります。講習の受講料は実施団体ごとに異なり、協議会のページでは一律の額は示されていません。免除される5問は、令和7年度の試験問題冊子の注意事項に「問46から問50までの5問」と明記されています。令和7年度の問46〜50は、入居者の募集、建築基準法の用語、機械式駐車場とエレベーターの維持管理、給湯設備、賃貸住宅を取り巻く社会情勢でした。なお、令和8年度の受験申込案内では、協議会は免除問題の出題分野を公開しないとしています。
合格点は50問中34〜40問。68〜80%の正答が必要
令和7年度の合否判定基準は「50問中38問以上正解した者」で、講習修了者は「45問中33問以上」でした。出題数が50問になった2020年度以降の推移は次のとおりです。
賃貸不動産経営管理士試験 合格基準点と合格率の推移(2020〜2025年度)
- 合格基準点(左軸・問)
- 合格率(右軸・%)
合格基準点は34問から40問まで、年によって6問動いています。2021年度は40問(正答率80%)が必要でした。2025年度は38問でした。この年は、問9の記述に正誤の判定に当たって不明瞭な表現があったとして、協議会が問9は「全ての解答を正解として取り扱う」としています。協議会の試験結果資料には基準の数字が載っているだけで、基準点の決め方の説明は見当たりませんでした。
ここから言えるのは、目標を「7割(35問)」に置くと、年によっては届かないということです。過去の基準点の上限に近い38〜40問を、本番で安定して取れる状態を目指して計画を立てるのが安全です。過去問は協議会が過去の試験問題一覧で2015年度以降の問題と正解番号を公開しています。過去問を何周すればよいかは過去問は何周すればいい?で扱っています。
いつから始める? 開始月別の「1週・1日あたりの時間」
賃貸不動産経営管理士試験は、年1回、例年11月の第3日曜に行われます。2026年度(令和8年度)の試験は11月15日(日)の13時〜15時(120分)で、合格発表は12月24日(木)の予定です。受験申込はWebが9月30日、郵送が9月24日(当日消印有効)で締め切られています。2027年度の日程は、この記事の確認時点(2026年10月2日)では発表されていません。
試験日から逆算して、始める月ごとに必要な時間を計算すると次のようになります(当サイト試算)。各月の1日に始め、試験日を11月15日と置きました。第3日曜の中で最も早い日なので、実際の試験日が遅い年は表の値がやや多めに出ます。週あたりの時間は正確な週数から計算して0.5時間単位に切り上げ、平日1日の時間は10分単位に切り上げています(切り上げなので、表の値どおりに続ければ目標の時間に届きます)。週数だけは四捨五入した表示です。「平日1日」の列は、休日に3時間ずつ(週6時間)勉強した場合に、平日に1日あたり必要な時間です。
| 始める月 | 試験までの週数 | 100時間:週 | 200時間:週 | 200時間:平日1日 | 300時間:週 | 300時間:平日1日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 約45週 | 2.5時間 | 4.5時間 | 休日だけで足りる | 7時間 | 10分 |
| 3月 | 約37週 | 3時間 | 5.5時間 | 休日だけで足りる | 8.5時間 | 30分 |
| 4月 | 約33週 | 3.5時間 | 6.5時間 | 10分 | 9.5時間 | 40分 |
| 5月 | 約28週 | 4時間 | 7.5時間 | 20分 | 11時間 | 1時間 |
| 6月 | 約24週 | 4.5時間 | 8.5時間 | 30分 | 13時間 | 1時間20分 |
| 7月 | 約20週 | 5.5時間 | 10.5時間 | 1時間 | 15.5時間 | 2時間 |
| 8月 | 約15週 | 7時間 | 13.5時間 | 1時間30分 | 20時間 | 2時間50分 |
| 9月 | 約11週 | 9.5時間 | 19時間 | 2時間40分 | 28時間 | 4時間30分 |
| 10月 | 約6週 | 16時間 | 31.5時間 | 5時間10分 | 47時間 | 8時間10分 |
先ほどの令和6年度のアンケート回答の分布から試算した「週およそ13時間」(正確には13.3時間)を物差しにすると、200時間を目指すなら8月開始(切り上げ前は週13.2時間)、300時間を目指すなら6月開始(同12.6時間)が、このペースで間に合う最後のラインです。9月以降に始めると、200時間でも平日に毎日2時間40分以上が必要になり、働きながらでは相当に厳しい計画になります。
宅建と同じ年に受ける人へ:宅建の後は4週間
宅建の試験は例年10月の第3日曜で、賃貸不動産経営管理士はその4週間後です。2026年度は宅建が10月18日(不動産適正取引推進機構が公表)、賃貸不動産経営管理士が11月15日です。
宅建が終わってから100時間を積むなら、4週間で週25時間、80時間でも週20時間が必要です(当サイト試算)。休日に3時間ずつ勉強する前提だと、残りを平日5日で割って1日あたり、100時間なら約3時間50分、80時間なら約2時間50分です(当サイト試算。10分単位に切り上げ)。平日も毎日3〜4時間近くを確保する計画になります。TACも、同じ年に宅建を受ける人には9・10月を宅建に専念できるようにスケジュールを組むよう勧めています。宅建の勉強と並行して、夏までに賃貸住宅管理業法など宅建に無い分野へ少しずつ手をつけておくと、宅建の後の4週間を過去問の演習に充てやすくなります。
復習の間隔を試験日から逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。
分野別の配分:宅建持ちが時間をかけるべき分野
協議会が示す出題範囲は、管理受託契約、賃貸住宅の維持保全、家賃・敷金などの金銭の管理、賃貸住宅の賃貸借、賃貸住宅管理業法、管理の実務その他、の6つです。ただし、分野ごとの出題数は公表されていません。そこで当サイトが、令和7年度の試験問題50問を論点で4つに分けて数えました。分け方によって数は変わるので、目安として見てください。右の列は、そのうち講習修了者が免除された問46〜50の数です。
| 分野(当サイト分類) | 令和7年度の問題数 | 主な内容 | うち免除対象(問46〜50) |
|---|---|---|---|
| 賃貸借・民法系 | 16問 | 賃貸借契約、定期建物賃貸借、保証、原状回復、委任、相続、登記 | 0問 |
| 賃貸住宅管理業法 | 14問 | 登録、業務管理者、重要事項説明、サブリース規制、定期報告 | 0問 |
| 建物・設備の維持管理 | 9問 | 建物の構造、耐震診断、給水・給湯、漏水、法定点検、防火管理、建築基準法、エレベーター | 3問 |
| その他の法令・実務 | 11問 | 個人情報保護法、住宅セーフティネット法、税金、保険、会計、入居者募集、社会情勢 | 2問 |
令和7年度の免除対象5問は、建物・設備の維持管理から3問、その他から2問でした。講習を修了した人は、建物・設備の分野のうち解く必要がある問題が6問に減ったことになります。ただし免除される問題の範囲が毎年同じだとは限らないので、講習を受ける人もこの分野を丸ごと捨てるのは避けたほうが安全です。
学習サイトの配分の考え方は、いくつかの点で一致しています。LIFULL HOME'S Businessのコラムは、賃貸住宅管理業法から勉強を始め、満点を狙うつもりで臨むよう勧めています。住宅新報 不動産ココも、賃貸住宅管理業法と管理受託契約を最優先としています。
宅建を持っている人にとって大事なのは、宅建の権利関係と重なるのが主に賃貸借・民法系の16問だという点です。賃貸住宅管理業法は宅建の試験範囲にありません。給水・給湯設備や法定点検、漏水の調査といった設備の維持管理も、宅建では問われない内容です。宅建を持っている人ほど、時間の大半をこの2つに回すのが合理的です。
配分を自分で決めるには、次の手順が使えます。
- 目標点を38〜40問に置く。過去の合格基準点の上限です。
- 目標点を分野ごとに割り振る。たとえば、賃貸住宅管理業法13問、賃貸借・民法系12問、建物・設備7問、その他7問で合計39問、という具合です。
- 分野別に過去問を解いて正答率を測り、目標との差が最も大きい分野に時間を寄せる。1〜2週間ごとに測り直して配分を変えます。
公式テキスト『賃貸不動産管理の知識と実務』は年度版として発行されています。協議会は、法令や統計データは試験年度の4月1日時点のものに基づいて出題するとしているので、古い年度の教材だけで学ぶと、法改正や統計の数字で取りこぼすおそれがあります。
勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか
200〜300時間を積むうえで、最も大きな壁は「毎日の時間を確保し続けること」です。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。
当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。
| 集計の範囲 | 金額 |
|---|---|
| 第1四分位(安い方から4分の1の位置) | 月5,800円 |
| 中央値 | 月7,800円 |
| 第3四分位(高い方から4分の1の位置) | 月11,000円 |
324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。
アンケート回答の分布から試算したペース(週およそ13時間)で200〜300時間を積むと、期間は約3か月半から5か月強です。月単位で契約すると4〜6か月分になり、中央値の月7,800円なら自習室代の合計は3万1,200円〜4万6,800円です(当サイト試算)。これに受験手数料12,000円が加わります(Web申込では事務手数料400円が別にかかります)。
公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。
受かった後の数字:登録者は9.5万人、業者は1万社
登録には実務経験2年か実務講習が必要
試験に合格しただけでは、賃貸不動産経営管理士にはなれません。協議会への資格登録が必要で、登録には管理業務に関する2年以上の実務経験か、それと同等以上の能力があると認められること(実務講習の修了)が求められます。実務講習は、7時間のeラーニングと18時間のテキスト学習で、受講料は20,000円です。登録料は6,600円で、資格は4月1日に付与されます。合格から1年以上たってから登録する場合は、別に登録講習を受ける必要があります。
資格の登録者は94,817人
協議会によると、賃貸不動産経営管理士の総有資格者数(登録者数)は2026年4月1日時点で94,817人です。これは登録した人の数で、試験の合格者の累計ではありません。合格しても登録していない人は含まれていません。
需要の根拠は法律にある
賃貸不動産経営管理士は、2021年6月に施行された賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)で、業務管理者の要件とされた国家資格です。
同法12条は、賃貸住宅管理業者に対し、営業所または事務所ごとに1人以上の業務管理者を選任し、管理受託契約の内容の明確性や維持保全の実施方法の妥当性などについて管理・監督させることを義務づけています。業務管理者が1人もいなくなった営業所では、新たに選任するまで管理受託契約を結べません(同条2項)。また、1人の業務管理者が他の営業所の業務管理者を兼ねることはできません(同条3項)。選任しなかった場合は30万円以下の罰金の対象になります。
管理戸数が200戸以上の事業者は、国土交通大臣の登録が義務づけられています(200戸未満は任意登録)。国土交通省によると、登録業者の数は2023年度末に9,482社、2024年度末に9,881社、2025年度末に10,197社と増え続けています。
宅建士は講習で業務管理者になれる
ただし、業務管理者になる道は賃貸不動産経営管理士だけではありません。同法施行規則14条などにより、管理業務の実務経験が2年以上ある宅建士は、指定講習(eラーニング10時間)を修了すれば業務管理者の要件を満たします。実務経験が足りない場合は実務講習の修了で代えられます。ただし、指定講習を修了しても賃貸不動産経営管理士の資格は取得できません。
仕事で業務管理者になる必要があるだけの宅建士なら、試験を受けずに指定講習で足りる場合があります。資格そのものを持ちたい人、宅建を持っていない人は、試験に合格して登録することになります。勤務先が求めているのがどちらなのかは、受験を決める前に確かめておくと無駄がありません。
年収について
賃貸不動産経営管理士の資格保有者を対象にした公的な賃金統計はなく、賃金構造基本統計調査にも対応する職種がありません。そのため、この記事では年収は扱いません。
不動産の資格をさらに重ねる人向けに、宅建の勉強時間とマンション管理系の資格の勉強時間も同じ方法で整理しています。
よくある質問
賃貸不動産経営管理士の勉強時間は何時間必要ですか?
想定する受験者によって変わります。学習サイトの目安を受験者の条件でそろえると、不動産や法律の知識がない人の独学で150〜250時間以上、初学者が講座を使う場合で約200時間、宅建など不動産系資格を持つ人で80〜150時間です。講座受講者の合格者175人のアンケート(アガルート、令和7年度)では、合計の勉強時間は50時間未満から400時間以上まで散らばり、200時間未満が43.9%、300時間以上が29.6%でした(当サイト算出)。試験を実施する賃貸不動産経営管理士協議会は学習時間を公表していません。
宅建を持っていると、賃貸不動産経営管理士の勉強時間はどれくらい短くなりますか?
学習サイトの目安では、宅建など不動産系資格の保有者は80〜150時間とされ、初学者より短く見積もられています。民法や借地借家法など賃貸借の分野が宅建の権利関係と重なるためです。ただし当サイトが令和7年度の50問を分類すると、賃貸借・民法系は16問で、宅建の試験範囲にない賃貸住宅管理業法が14問、給水・給湯や点検など建物・設備の維持管理が9問ありました。宅建を持っているだけでは、この試験の問題は免除されません(講習を修了した場合は5問が免除されます)。
賃貸不動産経営管理士に合格するには1日何時間勉強すればいいですか?
始める時期と目標の時間によって変わります。11月中旬の試験から逆算して200時間を積む場合、6月開始なら週8.5時間で、休日に3時間ずつ勉強すれば平日は1日30分ほど、8月開始なら週13.5時間で平日は1日1時間30分ほどです(当サイト試算)。講座受講者の合格者117人のアンケート(アガルート、令和6年度)では平日1時間、休日2時間が最多で、当サイトがこの分布から試算した平均は週およそ13時間でした。
賃貸不動産経営管理士は独学で合格できますか?難易度は?
当サイトが確認した10の学習サイトのうち、資格Times・アルク・住宅新報 不動産ココ・アガルート・マイナビ シカクト・TAC・伊藤塾の7サイトが独学の目安を示しており、知識がない初学者の独学では150〜250時間以上でした(住宅新報 不動産ココは知識の有無を限定せず、最低でも150〜250時間)。ただし、独学で合格するための時間をまとめや回答で、資格Timesは100〜150時間、アルクは100〜200時間、伊藤塾は100〜250時間と書いており、どこを読むかで幅があります。合格率は令和7年度が29.5%で、出題数が50問になった2020年度以降は24.1〜31.5%です。合格基準点は50問中34〜40問と年によって動き、令和7年度は38問でした。50問中68〜80%の正答が必要な試験で、合格率が50.7%だった2018年度とは水準が違います。
5問免除の講習は受けたほうがいいですか?
時間と費用に余裕があれば検討する価値があります。賃貸不動産経営管理士講習は誰でも受講でき、おおむね2週間の事前学習と1日のスクーリングを修了すると、修了年度とその翌年度の試験で50問中5問が免除されます。令和7年度の合格率は講習修了者が36.6%、一般受験者が24.3%でした。ただしこの差には、講習を受ける人の実務経験や学習量の違いも含まれている可能性があります。受講料は実施団体ごとに異なります。令和8年度の講習は7月15日〜9月25日の日程で実施されました。2026年度(11月15日)の試験に向けては、これから受講しても免除は間に合いません。2027年度以降の講習と試験の日程は、協議会の発表を確認してください。
宅建士なら試験を受けずに業務管理者になれますか?
なれます。賃貸住宅管理業法の業務管理者の要件には、賃貸不動産経営管理士として登録した人のほか、管理業務の実務経験が2年以上ある宅建士で指定講習(eラーニング10時間)を修了した人も含まれます。実務経験が2年に満たない場合は、実務講習の修了で代えられます。ただし指定講習を修了しても、賃貸不動産経営管理士の資格は取得できません。
調査方法・出典について
- 受験者数・合格者数・合格率・合否判定基準・合格者の平均年齢・講習修了者の内訳は、賃貸不動産経営管理士協議会の各年度「賃貸不動産経営管理士試験の概要」(2018〜2025年度)によります。講習修了者が受験者に占める割合と、不動産関係の職業の合算は当サイトが算出しました。
- 受験者の年代・職業・既取得資格・受験理由と、登録者数(2026年4月1日時点)は、協議会「受験申込者数および受験者に関するデータ」によります。既取得資格と受験理由は人数のみの公表で、回答者数は示されていません。
- 宅建の試験日(2026年度は10月18日)は、不動産適正取引推進機構の「令和8年度のスケジュール」によります(2026年10月2日確認)。
- 試験の日程・受験手数料・出題範囲・講習・登録の要件は、協議会の令和8年度試験実施要領、受験申込案内、各講習のページ、「賃貸不動産経営管理士・業務管理者になるまでの流れ」によります。
- 分野別の問題数は、協議会が公開している令和7年度の試験問題50問を、当サイトが論点で4つに分類して数えたものです。
- 業務管理者の選任義務は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律12条の条文を、国土交通省が公開している法律本文(令和2年法律第60号)で確認しました(2026年10月2日)。業務管理者の要件、200戸の登録基準、罰則は、国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイトと協議会の解説によります。賃貸住宅管理業者の登録数は、国土交通省の各年度の立入検査結果(詳細版)によります。
- 学習サイトの勉強時間の目安は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。
- 講座利用の合格者の勉強時間は、アガルートが公表した自己申告のアンケート(令和7年度合格者は有効回答175人、令和6年度合格者は有効回答117人で2025年3月18日公表)によります。累計の割合、1日の平均、週あたりの時間は、公表された分布から当サイトが試算しました。
- 開始月別の表は、各月1日開始・試験日11月15日・休日に3時間ずつという前提で当サイトが試算しました。
- 自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
- 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ず賃貸不動産経営管理士協議会の公式情報をご確認ください。