マンション管理士は500時間、管理業務主任者は300時間。2つの資格の勉強時間を調べると、ほぼこの組み合わせに行き当たります。どちらもマンション管理の国家資格で、出題範囲が大きく重なり、試験日も1週間しか離れていないため、両方を同じ年に受ける「ダブル受験」もよく話題になります。
ただ、学習サイトの数字を1つずつ読むと、マンション管理士だけでも500時間から700時間まで幅があり、想定している受験者も違います。この記事では、各サイトの目安を想定する受験者でそろえ直し、そこに2つの試験実施機関の公式統計と、合格者に総勉強時間を聞いた数少ない調査を重ねます。ダブル受験や宅建合格者の場合の考え方、いつから始めれば間に合うか、科目への配分、勉強場所にかかる費用、合格後の数字までを順に整理します。
この記事の要点
- 学習サイトの目安は、マンション管理士が主に500〜700時間(知識ゼロの初学者で500〜700時間、独学を想定したページと一般論で500〜600時間)、管理業務主任者が約300時間、ダブル受験が500〜600時間。フォーサイトの2019年更新のコラムには、合格者の多くが250〜500時間だったとの記述もある
- 講座を使った令和7年度合格者のアンケート(アガルート)では、マンション管理士の合格者の50.5%が500時間以上、管理業務主任者の合格者の50.6%が400時間以上を費やしていた(当サイトが公表された割合から集計)
- 令和7年度の合格率は、マンション管理士11.0%(合格基準点50問中42問)、管理業務主任者19.6%(同36問)。管理業務主任者の合格基準点は、2016〜2025年度の10年で33〜38問と動いている
- 相手の試験の合格者は5問免除を受けられる。ただし申込み時に合格番号が必要で、申込みの締切がどちらの合格発表よりも前なので、ダブル受験をするその年には使えない
- 宅建合格者の勉強時間を示す公的データはない。確認した学習サイトにも、マンション管理士について宅建保有者向けに500時間未満の数字を示したものはない
- マンション管理業者は、事務所ごとに管理組合30組合につき1人以上の専任の管理業務主任者を置く義務がある(居住用の独立部分が5以下の建物の管理組合だけを扱う事務所は例外)。マンション管理士は名称独占の資格で、これまでに登録した人は累計3万214人
結論:試験ごと・受験者ごとにそろえた目安
先に結論をまとめます。2つの試験の目安を、各学習サイトが書いている「想定する受験者」の条件で並べ直すと、次のようになります。
まずマンション管理士です。
| 想定する受験者 | 目安 | そう示している学習サイト |
|---|---|---|
| 関連知識がない初学者 | 500〜700時間 | TAC(関連知識がまったくない初学者は500〜700時間)、スタディング(マンション管理業務の初学者は700時間程度)、アガルート(全くの初学者で500時間。独学の初学者などは700時間まで見ておくと無難)、フォーサイト(2019年更新のコラムで初学者は600〜700時間を目安にするとする) |
| 独学を想定したページの目安 | 500時間程度 | ユーキャン(独学での合格をテーマにしたページで500時間程度。不動産の資格や知識の有無で変わるとする) |
| 学習方法や経験を限定しない一般論 | 500〜600時間 | TAC(目安500時間)、フォーサイト(同社のよくある質問で約500〜600時間) |
| 実務経験者や不動産資格の保有者 | 500時間 | スタディング(実務経験者や他の不動産資格の保有者で500時間程度)、アガルート(宅建保有者・実務経験者も500時間を見積もる) |
| 管理業務主任者の合格者、ダブル受験 | 300〜400時間 | アガルート(300〜400時間程度に短縮できるかもしれないとする) |
次に管理業務主任者です。
| 想定する受験者 | 目安 | そう示している学習サイト |
|---|---|---|
| 初学者 | 約300時間 | TAC、アガルート、学研 Reskill、マイナビ シカクト(いずれも初学者で300時間程度) |
| 学習方法を限定しない一般論 | 約300時間 | フォーサイト |
| 宅建やマンション管理士の合格者 | 300時間より短い(数字なし) | TAC、アガルート、マイナビ シカクト |
両方を同じ年に受けるダブル受験については、フォーサイトが約600時間、アガルートが「計画的に進めれば500時間程度でも不可能ではない」としています。TACは、ダブル受験は単独受験より時間が長くかかると書いていますが、数字は示していません。
この表から言えるのは次のことです。
- マンション管理士について、宅建の保有者や実務経験者向けに500時間未満の数字を示したサイトはありませんでした(管理業務主任者の合格者を除く)。アガルートやユーキャンは宅建や不動産の知識があれば時間は短くなりうるとしていますが、数字は示していません。宅建では、法律系資格の経験者や不動産業で働く人に200〜350時間という具体的な数字を示すサイトがあるのと対照的です。
- 管理業務主任者の目安は、確認した5社(TAC、アガルート、学研 Reskill、マイナビ シカクト、フォーサイト)が約300時間を挙げていました。ただし学研 Reskill は、同じページの四冠を比べた段落では、宅建と管理業務主任者に300〜400時間が必要としており、ページの中で数字が食い違っています。また、後で見る合格者アンケートでは、総勉強時間が300時間未満だった合格者は4人に1人ほどで、半数は400時間以上でした。
- ダブル受験の目安(500〜600時間)は、2つを別々に受けた場合の合計(500+300=800時間)より短く見積もられています。範囲の重なりを生かせることが前提です。
確認した範囲では、目安の数字の根拠として調査の人数や方法まで示したサイトは、アガルートの合格者アンケート(後の節で扱います)と、学研 Reskill が載せた17人の調査(同じく後の節で触れます)を除いて見当たりませんでした。試験を実施するマンション管理センターとマンション管理業協会も、合格に必要な学習時間は公表していません。「勉強時間の目安」そのものがどこまで当てになるのかは、勉強時間の目安は本当かで学習科学の研究をもとに検証しています。
それでも数字がずれる理由
条件をそろえても残るずれには、確認できた範囲で3つの理由があります。
1つめは、同じ会社でもページによって前提が違うことです。アガルートは、ある解説ページでは全くの初学者でマンション管理士500時間とし、別のページでは独学の初学者などは700時間まで見ておくと無難としています。前者は講座の利用も含めた初学者、後者は独学に寄せた見積もりと読めます。数字を比べるときは、そのページが独学をテーマにしているかどうかを確かめる必要があります。
2つめは、同じ会社でもページの更新時期や根拠が違うことです。フォーサイトのよくある質問はマンション管理士を約500〜600時間としていますが、2019年3月更新のコラムでは、初学者は600〜700時間を目安にするとしながら、合格者アンケートや体験記を調べると合格者の多くは250〜500時間を確保していたようだと書いています。この調査の人数や時期は示されていません。
3つめは、講座を売る立場からの見せ方です。ユーキャン、TAC、アガルートのページは、勉強時間の説明のあとに自社講座の案内が続く構成になっています。講座には教材選びや計画づくりの手間を省ける利点がありますが、独学と講座利用で合格までの時間がどれだけ違うかを実際に比べたデータは、確認した範囲では見当たりませんでした。
合格者は実際に何時間勉強していたか
総勉強時間を合格者に聞いた調査で、人数と時期が分かるものが2つあります。どちらもアガルートが、自社の講座を使って令和7年度の試験に合格した人を対象に行ったアンケートです。マンション管理士は2026年1月9日〜3月17日に実施して有効回答81人、管理業務主任者は2026年1月16日〜3月23日に実施して有効回答89人です。回答を許諾した人だけが対象です。
| 合計の勉強時間 | マンション管理士の合格者 | 管理業務主任者の合格者 |
|---|---|---|
| 200時間未満 | 8.6% | 7.9% |
| 200〜300時間 | 11.1% | 16.9% |
| 300〜400時間 | 14.8% | 24.7% |
| 400〜500時間 | 14.8% | 15.7% |
| 500〜600時間 | 16.0% | 12.4% |
| 600〜700時間 | 11.1% | 9.0% |
| 700〜800時間 | 7.4% | 2.2% |
| 800〜900時間 | 6.2% | 3.4% |
| 900〜1,000時間 | 1.2% | 3.4% |
| 1,000時間以上 | 8.6% | 4.5% |
この割合を当サイトが足し上げると、次のことが分かります。
- マンション管理士の合格者は、500時間以上が50.5%、400時間未満が34.5%でした。学習サイトの目安「500時間」は、合格者のちょうど真ん中あたりにあたります。
- 管理業務主任者の合格者は、400時間以上が50.6%、300時間未満が24.8%でした。総勉強時間が学習サイトの目安の「300時間」に届かなかった人は4人に1人ほどで、半数は400時間以上かけています。
- どちらも1,000時間以上かけた人が一定数います(マンション管理士8.6%、管理業務主任者4.5%)。
ただし、この調査には注意点が3つあります。対象は講座の受講者だけなので、独学の人より教材や計画が整っていた可能性があります。ダブル受験をした人が2つの試験の合計時間を答えたのか、片方の時間を答えたのかは分かりません。宅建の合格者や実務経験者がどれだけ含まれるかも示されていません。独学の人を対象にした同様の調査は見当たりませんでした。学研 Reskill は、スキルアップ研究所の調査として管理業務主任者の受験者17人の勉強時間の分布を載せていますが、人数が少ないため、ここでは使っていません。
合格者・受験者の実像
次に、試験実施機関の公式統計を見ます。2つの試験は実施機関が別で、マンション管理士試験は公益財団法人マンション管理センター、管理業務主任者試験は一般社団法人マンション管理業協会が、国土交通大臣の指定を受けて行っています。
| 項目(令和7年度) | マンション管理士 | 管理業務主任者 |
|---|---|---|
| 試験日 | 2025年11月30日 | 2025年12月7日 |
| 申込者 | 13,098人 | 17,410人 |
| 受験者 | 10,984人 | 14,435人 |
| 合格者 | 1,210人 | 2,832人 |
| 合格率 | 11.0% | 19.6% |
| 合格基準点 | 50問中42問 | 50問中36問 |
| 合格者の平均年齢 | 48.4歳 | 44.4歳 |
マンション管理士の合格率は、前年度の12.7%(受験者10,955人、合格者1,389人)から下がりました。管理業務主任者の合格率は前年度の21.3%から下がっています。
マンション管理士は受験者の3割が60歳以上
マンション管理センターは、年代別の受験者数と合格者数を公表しています。
令和7年度 マンション管理士試験の年代別合格率
受験者959人・合格者131人
受験者1,383人・合格者192人
受験者2,262人・合格者271人
受験者3,095人・合格者346人
受験者3,285人・合格者270人
受験者10,984人・合格者1,210人
受験者の29.9%は60歳以上で、年代別で最も多い層です。一方、60歳以上の合格率は8.2%で、30代までの13%台より低くなっています。自分のマンションの管理組合で役員を務めている人や、定年後の仕事として目指す人が多いと考えられますが、受験の動機を公式統計で確かめることはできません。年代による合格率の差にも、勉強に使える時間や受験の目的の違いなど、複数の要因が混ざっていると考えられます。
管理業務主任者の合格者の平均年齢は44.4歳で、男性46.5歳、女性37.9歳です。合格者2,832人のうち女性は692人で、当サイトが計算すると24.4%です。
5問免除の仕組み
2つの試験には、相手の試験の合格者が一部の問題を免除される制度があります。
- マンション管理士試験の合格者は、管理業務主任者試験で「マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること」の5問が免除され、45問を解きます。
- 管理業務主任者試験の合格者は、マンション管理士試験で同じく適正化法の5問が免除され、45問を解きます。
- どちらも免除者は試験開始が10分遅く、13時10分から15時までです。
令和7年度の合格基準点は、免除者がちょうど5問少ない基準でした(マンション管理士は45問中37問、管理業務主任者は45問中31問)。免除者だけの受験者数や合格率は、どちらの実施機関も公表していません。
ダブル受験を考えている人が知っておきたいのは、免除を受けるには申込みの時点で相手の試験の合格番号を記入する必要があるという点です。2026年度で見ると、申込みの締切はWebでどちらも9月30日(郵送はマンション管理士が8月31日、管理業務主任者が8月24日)でした。一方、合格発表はマンション管理士が2027年1月8日、管理業務主任者が1月15日です。申込みの締切がどちらの合格発表よりも前なので、同じ年にダブル受験をする人は免除を使えません。免除が効くのは、前の年までにどちらか一方に受かっている人です。
合格ラインの仕組み
どちらの試験も50問の四肢択一式(マークシート)で、試験時間は2時間です。結果報告には、何問で合格とするかの決め方は書かれていません。
管理業務主任者試験は、マンション管理業協会が初回からの推移を公表しています。2006〜2025年度の20年分をグラフにしました。
管理業務主任者試験 合格基準点と合格率の推移(2006〜2025年度)
- 合格基準点(左軸・問)
- 合格率(右軸・%)
直近10年(2016〜2025年度)に限ると、合格基準点は33問から38問、合格率は18.9%から23.9%でした。基準点が5問動く一方で、合格率はおおむね20%前後の帯に収まっています。基準点が38問だった2024年度もあれば、33問で受かった2018年度もあります。決め方が公表されていない以上、「何問取れば受かる」と言い切ることはできず、過去の最高に近い点を目標に置くのが安全です。
マンション管理士試験は、令和7年度の合格基準点が50問中42問でした。8割を超える正解が必要だった計算で、管理業務主任者より高い得点が求められています。
どちらの試験も、時間を満たせば受かるという性質のものではありません。「本番で何問取れるか」を、過去問の正答率で測りながら進めることが大切です。
いつから始める? 開始月別の「1週・1日あたりの時間」
2026年度の試験は、マンション管理士が11月29日(日)の13時〜15時、管理業務主任者が12月6日(日)の13時〜15時です。申込みはWebがどちらも9月30日、郵送がマンション管理士は8月31日、管理業務主任者は8月24日で締め切られました。マンション管理士は例年11月の最終日曜、管理業務主任者は例年12月の第1日曜に行われており、2027年度の日程は、例年どおりならどちらも2027年6月上旬ごろの官報公告で発表されます。
試験日から逆算して、始める月ごとに必要な時間を計算すると次のようになります。各月の1日に始め、試験日をマンション管理士とダブル受験は11月24日、管理業務主任者は12月1日と置きました。どちらも例年の試験日として最も早い日なので、表の値はやや多めに出ます。ダブル受験は、先に来るマンション管理士の試験日までに600時間を積む前提です。週あたりの時間は正確な週数から計算して0.5時間単位で切り上げ、「平日」は休日に4時間ずつ(週8時間)勉強した場合に平日1日あたり必要な時間を、正確な値から10分単位で切り上げて示しています。どちらも切り上げなので、表のとおり勉強すれば目標の時間に届きます(当サイト試算)。
| 始める月 | 管理業務主任者 300時間 | マンション管理士 500時間 | ダブル受験 600時間 |
|---|---|---|---|
| 前年12月 | 週6時間(休日だけで足りる) | 週10時間(平日30分) | 週12時間(平日50分) |
| 1月 | 週6.5時間(休日だけで足りる) | 週11時間(平日40分) | 週13時間(平日1時間) |
| 3月 | 週8時間(休日だけで足りる) | 週13.5時間(平日1時間10分) | 週16時間(平日1時間40分) |
| 4月 | 週9時間(平日10分) | 週15時間(平日1時間30分) | 週18時間(平日2時間) |
| 5月 | 週10時間(平日30分) | 週17時間(平日1時間50分) | 週20.5時間(平日2時間30分) |
| 6月 | 週11.5時間(平日50分) | 週20時間(平日2時間30分) | 週24時間(平日3時間20分) |
| 7月 | 週14時間(平日1時間10分) | 週24時間(平日3時間20分) | 週29時間(平日4時間10分) |
| 8月 | 週17.5時間(平日2時間) | 週30.5時間(平日4時間30分) | 週37時間(平日5時間50分) |
| 9月 | 週23.5時間(平日3時間10分) | 週42時間(平日6時間50分) | 週50時間(平日8時間30分) |
試験までの週数は、マンション管理士の試験日までが前年12月開始で約51週、4月開始で約34週、7月開始で約21週、9月開始で約12週です。管理業務主任者はそれぞれ1週ずつ長くなります。
この表から言えるのは次のことです。
- 働きながらダブル受験をするなら、4月までに始めると平日1日2時間以内に収まります。7月以降に始めると、平日も毎日4時間以上が必要になり、現実的な計画とは言いにくくなります。
- 管理業務主任者だけなら、7月開始でも平日1日1時間ほどで300時間に届きます。ただし、合格者アンケートで半数が400時間以上かけていたことを考えると、300時間ちょうどの計画は余裕がありません。400時間で計算し直すと、7月開始なら週18.5時間(切り上げ、当サイト試算)になります。
- 宅建(2026年度は10月18日)からマンション管理士・管理業務主任者へと続けて受ける場合、宅建の試験日から管理業務主任者の試験日までは7週間です。宅建の勉強と並行して、マンション管理の範囲にも早めに手を付けておく必要があります。
試験日から復習の間隔を逆算したいときは、試験日を入れるだけで復習日を提案する復習スケジューラが使えます。各資格の試験日程は資格試験スケジュールにまとめています。
宅建を持っている人の勉強時間
検索では「宅建持ち」「宅建合格者」の場合の勉強時間もよく調べられています。結論から言うと、宅建合格者が何時間で受かったかを示す公的なデータはありません。どちらの実施機関も、合格者の職業や保有資格を公表していないからです。
確認した学習サイトの書き方は、次のとおりです。
- 管理業務主任者について、TAC、アガルート、マイナビ シカクトは、宅建などに合格していれば初学者より短い時間で合格を目指せるとしていますが、時間の数字は示していません。
- マンション管理士について、宅建保有者向けに500時間未満の数字を示したサイトはありませんでした。アガルートは、ある解説ページでは宅建の資格を持っている人は学習時間がより少なくて済むとし、別のページでは、区分所有法を宅建よりはるかに広く学ぶ必要があり、標準管理規約や会計、設備など宅建で学ばない範囲もあるとして、宅建を持っていても500時間を見積もるよう勧めています。同じ会社でも見方が食い違っています。ユーキャンは、不動産関連の資格を持っているかどうかで勉強時間は変わるとしています。
宅建で学ぶ民法(権利関係)は、マンション管理の場面に置き換えた形で両試験に出題されます。一方で、マンションの管理規約のひな型である標準管理規約、管理組合の会計(簿記の仕訳など)、給排水などの設備は、宅建ではほとんど扱いません。自分の時間を見積もるなら、まず両試験の過去問を1年分解いてみて、民法と区分所有法の問題がどれだけ解けるかを確かめるのが確実です。宅建の勉強時間そのものについては、宅建の勉強時間で整理しています。賃貸住宅の管理の資格で、同じ不動産管理の系統にある賃貸不動産経営管理士については、賃貸不動産経営管理士の勉強時間で扱っています。
科目別の配分:重なる範囲と、自分で決める方法
2つの試験の出題範囲は、法令で次のように定められています。マンション管理士はマンション管理適正化法施行規則第2条、管理業務主任者は同第64条によるもので、2026年度の出題の根拠となる法令は、どちらも2026年4月1日時点で施行されているものです。
| マンション管理士 | 管理業務主任者 |
|---|---|
| マンションの管理に関する法令・実務(区分所有法、民法、標準管理規約など) | 管理事務・管理者事務の委託契約(民法、標準管理委託契約書など) |
| 管理組合の運営の円滑化(集会の運営、会計など) | 管理組合の会計の収入・支出の調定と出納(簿記、財務諸表論など) |
| 建物・附属施設の構造と設備(長期修繕計画、大規模修繕など) | 建物・附属施設の維持・修繕の企画や実施の調整(建築基準法、消防法など) |
| マンション管理適正化法(5問、免除の対象) | マンション管理適正化法(5問、免除の対象) |
| (該当なし) | 上記のほか管理事務の実施(区分所有法など) |
区分所有法、民法、標準管理規約、会計、建物・設備、適正化法と、主な分野はほぼ共通です。TACは、2つの試験は似ている部分が多いものの、立場の違いから重視される分野や求められる知識の深さが異なり、マンション管理士のほうがより深い知識を問われると説明しています。分野ごとの出題数は、実施機関からは公表されていません。
2026年度は、出題の根拠となる法令が大きく変わる年でもあります。区分所有法などを改正する法律(令和7年法律第47号)の中核部分が2026年4月に施行され、マンション標準管理規約も2025年10月に改正されました。管理業務主任者試験の出題範囲には「管理者事務」という言葉が加わっています。過去問や古いテキストの解説が今の法令とずれている箇所があるので、使う教材の対応年度を確かめてください。
科目ごとの時間配分を数字で示した学習サイトは、確認できた範囲ではアガルートだけでした。マンション管理士について、区分所有法と標準管理規約に少なくとも170時間、民法、その他の法令、建築・設備、適正化法にそれぞれ80時間程度(建築・設備は多くても80時間以内)としています。170時間と80時間×4分野を単純に足すと490時間で、そのうち約35%を区分所有法と標準管理規約に充てる計算です(当サイト算出。「少なくとも」「多くても」の値が混ざるので、あくまで目安の合計です)。
ただ、どの配分が合格に有利かを比べたデータはありません。他人の配分をまねるより、自分の目標点から逆算する方法をおすすめします。
- 目標点を決める。マンション管理士なら令和7年度の基準点42問以上、管理業務主任者なら過去10年の最高38問以上を目安にします。
- 過去問を分野別に解き、分野ごとの正答率を測る。
- 目標との差が最も大きい分野に時間を寄せ、1〜2週間ごとに測り直して配分を変える。
ダブル受験なら、共通する区分所有法・民法・標準管理規約を先に固め、試験が近づいたら管理業務主任者に特有の委託契約と会計に時間を回す、という順番が自然です。過去問を何周すればよいかは過去問は何周すべきかで、試験直前の勉強の組み立て方は試験戦略と学習科学で扱っています。
勉強時間を確保する場所:自習室代はいくらかかるか
300〜600時間を積むうえで最も大きな壁は、毎日の時間を確保し続けることです。家では集中できない人にとって、勉強する場所の選択は時間の確保そのものです。
当サイトに掲載している有料自習室のうち、月額プランがある324施設で、各施設の最も安い月額プランの料金を集計しました(2026年9月30日時点)。
| 集計の範囲 | 金額 |
|---|---|
| 第1四分位(安い方から4分の1の位置) | 月5,800円 |
| 中央値 | 月7,800円 |
| 第3四分位(高い方から4分の1の位置) | 月11,000円 |
324施設のうち320施設は、当サイトが公式サイトと料金を突き合わせて確認した掲載です。「最も安い月額プラン」には、夜間のみや平日のみといった利用時間に制限のあるプランも含まれます。
週14時間(休日4時間ずつと平日1時間強)のペースで勉強した場合を当サイトが試算すると、期間と費用は次のとおりです。月単位で契約し、中央値の月7,800円で計算しました。受験手数料は2026年度の額で、Webで申し込む場合は別に事務手数料(マンション管理士317円、管理業務主任者297円)がかかります。
| 目標 | 期間 | 自習室代 | 受験手数料 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 管理業務主任者 300時間 | 約5か月 | 39,000円 | 8,900円 | 47,900円 |
| マンション管理士 500時間 | 約8か月強(9か月分) | 70,200円 | 9,400円 | 79,600円 |
| ダブル受験 600時間 | 約10か月 | 78,000円 | 18,300円 | 96,300円 |
ダブル受験の自習室代は、第1四分位の月5,800円なら58,000円、第3四分位の月11,000円なら110,000円です。
公立図書館は無料で使えますが、館によっては持ち込みの勉強を制限していたり、席の数が少なかったりします。平日の夜や休日に確実に座れるかどうかは、事前に確かめておくと安心です。
受かった後の数字:資格者の人数と需要の根拠
最後に、300〜600時間をかけて取る資格の「その先」を、公表されている数字で見ておきます。
マンション管理士は合格者累計4万4,947人、登録者累計3万214人
マンション管理センターの令和7年度事業報告書によると、マンション管理士試験の合格者は第1回からの累計で4万4,947人です。このうち、マンション管理士を名乗って業務を行うために必要な登録をした人は、累計で3万214人でした(2025年度末時点、前年度末から757人増)。携帯用のマンション管理士証を有効に持っている人は8,672人です。
マンション管理士は、試験に受かって登録した人だけが名乗れる「名称独占」の資格で(マンション管理適正化法の名称の使用制限の規定)、法律で定められた独占業務はありません。管理組合の相談に応じ、助言や指導をすることが業務です。登録した人は5年ごとに法定講習を受ける必要があります。
管理業務主任者は合格者累計13万5,048人
管理業務主任者の登録者数は、直近の値を確認できませんでした。国土交通省の資料には、2017年(平成29年)の登録数が75,435人(約7.5万人)とあります。マンション管理業協会の推移表から、試験の合格者を初回の2001年度から2025年度まで足し上げると13万5,048人になります(当サイト算出)。このうち3万3,742人は初回の2001年度の合格者です。
管理業務主任者として働くには、試験に合格したあと、管理事務の実務経験が2年以上あるか、それに代わる登録実務講習を修了して国土交通大臣の登録を受け、さらに管理業務主任者証の交付を受ける必要があります。主任者証の有効期間は5年です。
需要の根拠は法律にある
管理業務主任者の需要を支えているのは法律です。マンション管理適正化法は、マンション管理業者に対し、事務所ごとに一定数の成年者である専任の管理業務主任者を置くことを義務づけています。国土交通省関東地方整備局の解説では、その数は管理事務の委託を受けた管理組合30組合につき1人以上(30組合未満でも最低1人)です。ただし、人の居住の用に供する独立部分が5以下の建物の区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受ける管理事務だけを業務とする事務所には、専任の管理業務主任者を置く必要はありません。
さらに、管理会社が管理組合と委託契約を結ぶ前の重要事項の説明、契約を結んだときに交付する書面、管理事務の定期的な報告は、管理業務主任者が担うと定められています。
マンション管理業協会の調査では、会員332社が2026年4月1日時点で10万5,442組合、665万3,680戸の管理を受託しています(回答率97.3%による推計)。国土交通省の推計では、分譲マンションのストックは2025年末で約723.6万戸あり、築40年以上のマンションは約158.8万戸です。築40年以上の戸数は、10年後に約2.0倍、20年後に約3.2倍になる見込みとされています。古いマンションが増えるほど、修繕や管理組合の運営をめぐる専門家への相談は増えると考えられますが、それが資格者の採用や報酬にどう結びつくかを示す公的統計はありません。
年収について
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、マンション管理士や管理業務主任者に対応する職種がありません。資格を持つ人の年収を示す公的な統計も見当たらないため、この記事では年収の数字を載せていません。
よくある質問
マンション管理士と管理業務主任者の勉強時間は何時間必要ですか?
学習サイトの目安は、マンション管理士が主に500〜700時間(知識ゼロの初学者は500〜700時間、独学を想定したページと学習方法を限定しない一般論は500〜600時間)、管理業務主任者が約300時間です。フォーサイトの2019年更新のコラムには、合格者の多くが250〜500時間を確保していたようだとの記述もあります。一方、講座を使って令和7年度に合格した人のアンケート(アガルート)では、マンション管理士の合格者の50.5%が500時間以上、管理業務主任者の合格者の50.6%が400時間以上を費やしていました(当サイトが公表された割合から集計)。試験実施機関はどちらも学習時間を公表していません。
マンション管理士と管理業務主任者のダブル受験には何時間必要ですか?
フォーサイトは約600時間、アガルートは計画的に進めれば500時間程度でも不可能ではないとしています。2つの試験は出題範囲の大部分が重なり、2026年度は11月29日と12月6日と1週間違いで行われます。ただし、相手の試験の合格者が受けられる5問免除は、申込みの時点で合格番号を記入する必要があり、申込みの締切がどちらの合格発表よりも前なので、ダブル受験をするその年には使えません。
宅建を持っているとマンション管理士・管理業務主任者の勉強時間は短くなりますか?
民法などで重なる部分があるので短くなる可能性はありますが、宅建合格者が何時間で受かったかを示す公的なデータはありません。TACやアガルートは管理業務主任者について宅建合格者は短い時間での合格を目指せるとしていますが、時間の数字は示していません。マンション管理士について宅建保有者向けに500時間未満の数字を示したサイトはなく、アガルートは、宅建保有者は学習時間がより少なくて済むとするページと、宅建で学ばない範囲があるので500時間を見積もるよう勧めるページがあり、見方が食い違っています。
マンション管理士・管理業務主任者に合格するには1日何時間勉強すればいいですか?
始める時期と目標によって変わります。4月1日に始め、マンション管理士とダブル受験は11月24日、管理業務主任者は12月1日(どちらも例年の試験日として最も早い日)までに積むとすると、管理業務主任者だけの300時間なら週9時間、マンション管理士の500時間なら週15時間、ダブル受験の600時間なら週18時間です。休日に4時間ずつ勉強すれば、平日はそれぞれ1日10分、1時間30分、2時間ほどになります(当サイト試算、切り上げ)。
管理業務主任者やマンション管理士は最短何か月で合格できますか?
管理業務主任者の300時間を3か月(約13週)で積むには週23時間強、マンション管理士の500時間を6か月(約26週)で積むには週19時間強が必要です(当サイト試算)。講座利用の合格者アンケートでは、総勉強時間が300時間未満だった人は管理業務主任者の合格者で24.8%、マンション管理士の合格者で19.7%でした。ただし、このアンケートが聞いたのは総勉強時間で、学習期間ではないため、何か月で合格した人がどれだけいるかは分かりません。
5問免除を受けると合格しやすくなりますか?
マンション管理士試験の合格者は管理業務主任者試験で、管理業務主任者試験の合格者はマンション管理士試験で、マンション管理適正化法の5問が免除されます。令和7年度の合格基準点は、管理業務主任者が50問中36問(免除者は45問中31問)、マンション管理士が50問中42問(免除者は45問中37問)で、どちらも免除者は5問少ない基準でした。免除者だけの合格率はどちらの実施機関も公表していないため、どれだけ合格しやすくなるかは公式統計では確かめられません。
調査方法・出典について
- マンション管理士試験の受験者数・合格者数・合格率・合格基準点・年代別の内訳・合格者の平均年齢は、マンション管理センター「令和7年度マンション管理士試験の結果について」(2026年1月9日)によります。
- 管理業務主任者試験の受験者数・合格者数・合格率・合格基準点・合格者の平均年齢と男女別の内訳、2001〜2025年度の推移は、マンション管理業協会「令和7年度 管理業務主任者試験 結果報告」(2026年1月16日)によります。女性合格者の割合と、合格者の累計は当サイトが算出しました。
- 2026年度の試験日・合格発表日・受験手数料・申込期間・出題範囲・5問免除の条件は、マンション管理センター「令和8年度マンション管理士試験 受験案内」と国土交通大臣の実施公告、マンション管理業協会「令和8年度 管理業務主任者試験 実施要領」と同協会の試験案内ページ・Q&Aによります。
- マンション管理士の合格者累計・登録者累計・マンション管理士証の保有者数は、マンション管理センター「令和7年度事業報告書」によります。
- 管理業務主任者の設置義務(例外を含む)と業務は、国土交通省と関東地方整備局のマンション管理業の解説ページ(2026年10月1日確認)で照合しました。管理業務主任者の2017年の登録数は、国土交通省「不動産業ビジョン2030 参考資料集2」によります。マンション管理士が登録して名乗る資格であることは、マンション管理センターの事業報告書と国土交通省「マンション管理士になるには」によります。
- 管理受託の組合数・戸数は、マンション管理業協会「令和8年マンション管理受託動向調査結果概要」によります。マンションのストック数と築40年以上の戸数は、国土交通省「分譲マンションストック数の推移」「築40年以上の分譲マンション数の推移」(いずれも2025年末現在)によります。
- 学習サイトの勉強時間の目安と科目配分は、2026年10月1日に各社の解説ページで確認しました。
- 合格者の総勉強時間は、アガルートが公表した令和7年度合格者アンケート(マンション管理士は有効回答81人、管理業務主任者は有効回答89人)によります。「500時間以上」などの累計の割合は、公表された区分ごとの割合を当サイトが足し上げたもので、元の割合の丸めにより合計が100%にならない場合があります。
- 開始月別の時間と自習室代は、本文に記した前提で当サイトが試算しました。自習室の料金は、当サイトに掲載している有料自習室のうち月額プランがある324施設について、各施設の最も安い月額プランを2026年9月30日時点で集計しました。
- 公表値は今後の発表で更新される場合があります。受験の際は、必ずマンション管理センターとマンション管理業協会の公式情報をご確認ください。